【野球】投打の千両役者が魅せた！１勝１敗のタイに持ち込む　立大②

５月１８日（日）立大２回戦

「右のエース」と「４番」が、その名の通りの活躍だ。先発は、先週リーグ戦初完封の快投を見せた加藤拓（政２）。持ち前の速球で立大打線を７回１失点に抑える期待通りの投球を見せる。打っては４番・横尾（総３）が今季初となる２点本塁打を放つなど４打点の大暴れ。最後は三宮（商３）が失点しながらもなんとか踏ん張り勝利を収めた。

　慶大：◯加藤拓、三宮－小笠原

　立大：●齋藤、大澤、井上、小林昌－鈴木

◆慶大出場選手

	ポジション	選手名（学部学年・出身高校）
１	［７］	佐藤旭（商４・慶應）
２	［６］	山本泰寛（環３・慶應）
３	［９］	谷田成吾（商３・慶應）
４	［５］	横尾俊建（総３・日大三）
	５	北村祐樹（商３・丸亀）
５	［８］	藤本知輝（環４・慶應）
	８	梅野魁土（環３・福岡大大濠）
６	［４］	竹内惇（商４・慶應）
	Ｒ４	照屋塁（環１・沖縄尚学）
７	［３］	齋藤大輝（商２・慶應）
８	［２］	小笠原知弘（環３・智弁和歌山）
９	［１］	加嶋宏毅（商３・慶應志木）
	１	三宮舜（商３・慶應）

 

昨日今季初黒星を喫し、悲願の優勝に向けて落とせない一戦となった立大２回戦。先発加藤拓は２回まで１安打に抑えるものの３回、先頭の豊村に連続でボールが高めに抜け四球を与えると、２死３塁のピンチを迎え打席には１番・佐藤拓。今季絶好調の立大のリードオフマンは加藤拓の甘く入った直球を見逃さず、レフト前に運ぶ適時打。その後は加藤拓が牽制で１塁走者をアウトにしそれ以上の失点は防いだものの、立大に今日も先制を許してしまう。

 

一方攻撃陣は、立大先発・齋藤の直球と変化球の巧みなコンビネーションの前になかなかチャンスを作れない。しかし４回、先頭の谷田（商３）が死球で出塁し、打席に立つのは４番・横尾。初球をファールにするとその後３球ボールを見極め、５球目。齋藤の直球を捉えた打球は逆風をものともせず、ぐんぐん伸びてライトスタンドへ飛び込む２点本塁打。慶大が成長した主砲の一振りで逆転に成功する。

５回、慶大は８番・小笠原（環３）の安打などで２死一、二塁のチャンスを作り、２番・山本泰（環３）の放った打球はショートの正面へ。チェンジか、と思われたその瞬間、立大のショート・大城がファンブル。思わぬ形で２死満塁とチャンスが拡大する。打席に入った３番・谷田は、初球の甘く入った直球を迷わず振り抜き適時打。更に横尾も２点適時打で続き、一挙４点を奪いリードを広げた。

 

加藤は「力んだり、フォームのバランスが悪かったりというのがあったが、それをイニング間のキャッチボールなどで改善できた」と語るように、序盤こそ不安定だったもののその後は尻上がりに調子を上げた。今日も最速は１５０キロを計測し、球速は最後まで落ちない充実のピッチング。７回を被安打４、１失点の素晴らしい内容でマウンドを降りる。スコアは６－１でリード。慶大の快勝ムードが漂っていた。

けれども９回の３アウトを取るまでは終わらないのが野球だった。後を託された三宮が「気持ちに余裕を持ってマウンドに上がることができたが、逆にそれで気が緩んで」しまい、立大打線に５安打を浴び３失点の大乱調。さらにホームランが出れば逆転というピンチを迎えてしまう。しかし最後は代打山﨑を変化球で空振り三振に仕留めゲームセット。慶大が辛くも逃げ切りに成功した。

 

今日の試合は、江藤助監督の「エースが抑えて、４番の横尾が打った、そういうゲームだね」という言葉に凝縮されているのではないだろうか。しかも今日の横尾の本塁打によって今季慶大の３番から６番のスタメンを担う選手に本塁打が生まれたことになり、強力打線に一層箔が付いた。さらに守備面では、小笠原が２つ盗塁を防ぎ、相手の反撃の芽を摘み取る活躍。このように選手一人一人が自らの役割を全うすれば、今日のように必ず勝利は慶大の元に舞い込む。それだけの地力が今季の慶大にはあると確信した試合だった。明日の相手先発は１戦目に抑えこまれた澤田圭が予想される。必ずやリベンジを果たし、早慶戦へ弾みをつける勝利を手にしてほしい。そのあかつきには必ず、優勝の二文字がはっきりと見えてくることだろう。

 

 

【Keispo pick up】今季１号は殊勲の逆転打　横尾俊建

今季打率.375と絶好調の横尾。しかし本塁打だけがまだ出ておらず、いつ出るのかと心待ちにしていたファンも多かったのではないだろうか。「やっと一発出たなと。これで気も楽になります」と語るように、本人も待望の今季第一号はライトスタンドへ。逆方向にも長打を打てるようになった今季の横尾を象徴するような本塁打だった。今日は２点適時打も放ち現在リーグ２位タイの８打点。頼れる主砲横尾の勝負強いバッティングが慶大の勝利を導く。

 

 

（記事　角谷明香）

 

◆打撃成績

		１	２	３	４	５	６	７	８
[7]	佐藤旭	遊ゴ		二飛		四球		左飛
[6]	山本泰	遊安			空三振	遊失		中飛
[9]	谷田	中飛			死球	左安②		四球
[5]	横尾		中飛		右本②	左安②		死球
5	北村
[8]	藤本知		空三振		遊ゴ	遊ゴ		中飛
8	梅野
[4]	竹内惇		左飛		空三振		四球		左安
R4	照屋
[3]	齋藤			一ゴ		空三振	三邪飛		二併打
[2]	小笠原			右飛		遊安	右飛		三ゴ
[1]	加藤拓			右安		二犠打	空三振
1	三宮

◆投手成績

	投球回数	打者数	球数	安打	三振	四死球	失点	自責
加藤拓	７	２３	９５	４	３	１	１	１
三宮	２	１１	３７	５	３	０	３	３

◆監督、選手コメント

江藤省三助監督

（本日の試合を振り返って）加藤が投げて、つまりエースが抑えて、４番の横尾が打った、そういうゲームだね。最後はちょっともたもたしたけどね。会心のゲーム運びです。（好投した加藤投手の調子は）法政戦のほうが良かったけれども、（今日も）良いと思う。明日も投げてくれると思います。（３失点の三宮投手について）調子は変わらず良いのだけれども、ちょっと勝負を急いでしまったね。早く終わりたかったんだと思う。そういう気持ちがあったから相手とタイミングが合って、ああいう風に失点した。もう少しじっくりやればよかったね。（４回の横尾選手が右打ちでホームラン。すごいパワーでしたね）そうそう。あそこで打てる人は右バッターでは（横尾しか）いないからね。やっぱりいいバッターだね。（５回は相手のエラーにつけこみ４得点。理想的な野球ができたのでは）そうですね。ああいう風に畳み掛けると勝てるね。（明日へ向けて一言）頑張ります。

 

佐藤旭主将（商４）

（今日の試合を振り返って）チャンスは少なかったと思うんですけど、それを活かせたかなと思います。（前日の今季初黒星を踏まえて、今日戦う上でチームとしての意識は）負けたことに関しては昨日は昨日ということで、もう終わったこととして今日にまた切り替えて、本当に勝つだけだったので今日みんなで勝とうという気持ちで臨めたかなと思います。（谷田、横尾両選手の活躍について）彼ら２人は普通にやってくれれば普通に結果が出るだけの力を持った選手だと思いますし、彼らの力そのものが出た試合だったかなと思います。（９回表、立大から反撃を受けたが）こう何試合もやっていく上で簡単には勝たせてくれないというかタフな試合が続いていくんですけど、やっぱりその中で勝ち切っていかなければならないと思うので、内容はどうあれ勝ち切れたということはチームにとって収穫だったかなという風に思います。（明日は早慶戦前最後の試合になると思うが抱負を）明日しっかり立教に勝って勝ち点４で早慶戦に臨みたいと思うので、大事に戦って勝ちたいなと思います。

 

竹内惇（商４）

(今日を振り返って)１点取られて少しやばいかなと思ったんですけど、4番がしっかり仕事をしてくれて、本当横尾に感謝です。(相手先発・齋藤について)スライダーを投げてくると聞いていたので、それは見極められたんですけど、結構チェンジアップを投げてきてちょっとそれに対応出来なかったかなと思います。(第３打席には大ファールがあった)打った瞬間はファールかなと思ったんですけど、走っていくうちに「ちょっと入るんじゃないかな」と。でもファールだったんで切り替えました。(第４打席の安打について)明日も試合があるし、１本打ちたいなと思って打席に入りました。(明日以降の意気込み)明日勝つと大分優勝に近づくと思うので、全力で勝ちに行きます。

 

三宮舜（商３）

(今日の試合を振りかえって)今日は打撃陣が頑張ってくれて、加藤も踏ん張ってくれて、投打が噛み合ったかな、という印象です。(いつもより点差の開いた場面での登板)いつもは厳しい場面での登板をすることが多くて、今日は気持ちに余裕を持ってマウンドに上がることができたのですが、逆にそれで気が緩んじゃったのかなと思います。(先発の加藤選手に関して)いつも通りです。(点を取られてしまったが、今日の自身の調子は)調子は、昨日に比べてはあんまり良くはなかったんですけど、点を取られてしまいました。まとまりすぎたかな、と思います。(チームのムードは)昨日負けても雰囲気は良かったので、ムードは良いと思います。(明日に向けて)明日勝って、早慶戦に向けて頑張りたいと思います。

 

小笠原知弘（環３）

(今日の試合を振り返って)最後は危なかったと思います。(先発・加藤投手の調子は)加藤はあんなぐらいかな、という感じです。特別良くも悪くも、いつも通りな印象です。(前回に比べやや高めに浮いていたかな、という印象でしたが)高めが決して悪くはないんですけど、確かに今日は相手のバッターに当てられる場面は多かったように思います。(今日は盗塁を２個刺した)そうですね、まぁ刺せた方がいいのは間違いないですから、今後も刺したいと思いますが、なかなか難しいです、今日はたまたまです。(今日は牽制死もあったが、あれは小笠原さんからの指示か)基本的にはバッテリーのコンビネーションで決めるんですが、あのプレーは加藤の単独でやってくれました。多分ピッチャーが一番感覚を持っていると思うので。(最終回は立大の連打。改めて立大打線の怖さが見えた)立大に限らずどこの大学も打線は強力なので、なかなかうち（慶大）も今投げている投手が3、4人と少ない人数で回してるので、そろそろしんどいのもあります。特に立大を意識はしてませんけど、粘り強いチームだなと改めて感じました。(最終回のピンチ、三宮投手にマウンドでなんと声をかけたか)ホームラン打たれても同点の場面だったので、思い切りいけというのと、打たれているボールが甘いだけで、他は良いボールがきていたので大丈夫だぞと伝えました。(明日に向けて)結果は何でもいいので、勝つだけです。

 

横尾俊建（総３）

(今日をふりかえって) 勝ててよかった、それに尽きます。(２打席目のホームラン、ヒットエンドランのサインが出ていたように見えましたが)いや、ヒットエンドランというか、自動ランであいつ(谷田)が勝手に走ったので自分としては何も変えていないです。右打ちも狙ったわけではないです。(今日の一発が今シーズン初ホームランとなったが)やっと一発出たなと。これで気も楽になります。(本日４打点の大活躍)それがチームの勝ちにつながっているので、よかったです。(最後の打席の死球は大丈夫か)痛かったですけど、気合いで。声出ちゃったんですけど(笑) (明日に向けて)勝負の一戦なのでいい勝ち方して早慶戦で優勝したいと思います。

 

山本泰寛（環３）

（今日の試合を振り返って）ピッチャーも粘ってくれたし、野手陣もクリーンアップがチャンスでしっかりと打ってくれたので、それが勝ちにつながって良かったと思います。（１回の内野安打の際のヘッドスライディングについて）ゴロが飛んだら絶対全力疾走っていうのはチームで心掛けているので、塁に絶対に出てやろうという気持ちでやりました。（５回の打席の前にネクストバッターズサークルで江藤助監督と話をしていたがどのようなことを言われたのか）齋藤投手は低めに変化球がきてたので、低めだけは振らずに右方向を狙っていけとのことでした。（５回、セカンドランナーの際にキャッチャーが弾いた隙をついて三塁へ進塁したが意識していたのか）普段からショートバウンドだったら次の塁を狙うっていうことをチームとして徹底してるので、それがしっかりできたので良かったと思います。（明日に向けて）明日も厳しい試合になると思うので、しっかり自分の役割を果たせたらいいなと思います。

 

谷田成吾（商３）

(今日の試合を振り返って)今日勝たないと、優勝に厳しくなるので、今日絶対に勝とうという話をしていたので、勝てて良かったです。(５回のタイムリーについて)相手のエラーでチャンスが回ってきたので、ここをしっかり打てば、１点差で危なかったので、しっかり打って点数を入れられて良かったです。(７回の惜しくもホームランにはならなかった打球について)良い当たりすぎて、ファールになっちゃったんですけど、もうちょいつまっていれば入ったんですけど、しょうがないです。(立大の印象)最後粘り強かったですし、打線がすごく良いなという印象があるので、明日は相手より点数を多く取れるようにしっかりしたいと思います。(明日に向けて)しっかり明日勝ち点を取って、完全優勝出来るように立教から勝ち点を取りたいと思います。

 

加藤拓也（政２）

(今日のピッチングを振り返って)先制点を取られてしまったんですけど、そのあと粘り強く投げられたので良かったと思います。(先週の好投から１週間、どんな調整をしてきたか)少しでも自分が上手くなれるようにという意識で、調整というよりは上手くなろう、成長しようという気持ちで一週間過ごしました。(序盤はストレートがすっぽ抜ける場面も見られたが)力んだり、フォームのバランスが悪かったりというのがあったのですが、それをイニング間のキャッチボールなどで改善できたので良かったと思います。(尻上がりに調子を上げたのもそういった点が大きいのか)そうですね、キャッチャーといろいろ話をして、フォームのことについてもいろいろ考えたのでそこが良かったと思います。(100球投げることなくマウンドを降りたが、明日も投げるつもりなのか)そうですね、行けと言われたら行くつもりなので、(今日早めに降板したのは)そのためだと思ってます。(明日の第３戦に向けて)勝ち点が懸かっているので勝つだけですけど、自分ができることをしっかりやっていきたいと思います。

 

齋藤大輝（商２）

（今日の試合を振り返って）そうですね、打線がよく繋がって、みんな大事なところで打ってくれたのでよかったと思います。（今日は黒星１つからの試合だったが、チームの雰囲気は）１敗したという感じはなく、いつも通りの明るい雰囲気でできたと思います。（９回では立大に連打を放たれたが）連打が続いてしまったんですけど、三宮さんならいつかは抑えてくれるだろうという気持ちで守っていたので、大丈夫でした。（明日に向けて）もう勝つしかないので、明日も絶対に勝ちたいと思います。