【アメフト】早慶戦直前インタビュー② 松岡拓希主将

いよいよ今週末に迫った早慶戦。インタビュー企画2回目は松岡拓希主将(法4・慶應)だ。昨季はSBとしてチームに貢献したが、今季は主将としてチームをまとめていく立場となった。昨季を振り返りながら、今季が目指すべき慶大ユニコーンズの姿を語ってもらった。

 

――まず、昨季を振り返って

結果で見ると2勝5敗で自分が入部してからは一番悪い成績で、やっぱり一言で言うと悔しいというか、自分たちの力を出し切れなかったという気持ちが強いです。どの試合も接戦だったと思います。その時に勝負どころで勝ち切れなかったというのがチームとしてあるのかなと思っていて、一人ひとりがちっちゃいことにこだわれなくて、試合の1点、2点というのもそうなんですけど、普段の生活での靴を並べるとかそういう本当にもっともっと細かいところまでこだわるといったところがチームの文化として薄かったのがチームの反省としてあります。本当に今年はそこから変えて、どんなちっちゃいことでもチャンピオンのようにという願いを込めて”_____” like a championというスローガンにしました。

 

――昨季の良かった部分はどこですか?

うーん、良かった点は…ちょっと分からないですね。やっぱり負けちゃってしまっているので、良かった点は正直あんまりないですかね。

 

――戦い方において改善すべきところは

やっぱり準備の仕方ですかね。去年はリーグ初戦で出鼻をくじかれて、完全に準備不足というか、気持ち面でも戦術面でも、夏合宿が終わってから試合ムードに変えられませんでした。やっぱりそこが一番の敗因だと思います。戦術面も気持ち面も夏の段階で作り上げるというところは変えていきたいと思います。

 

――ここからは松岡選手自身についてお聞きしますが、アメリカンフットボールを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

アメフトを始めたきっかけは、中学までシニアで野球をやっていたんですけど、高校受験のために辞めて、高校で慶應に入って野球をやるほどもう熱意もなかったし、実力的にもスタメンを取れるほどあったわけではないので、新しいスポーツを始めようと思いました。そこで、背は大きかったので、まあデカくなれば強くなるだろうというようなイメージでアメフトを始めました。もう本当にアメフトのことは何も知らなかったしほとんど見たことがなかったんですけど、流れで入っちゃったという感じです。

 

――そこでラグビーなどではなくアメフトを選んだ理由は何ですか?

ラグビーは慶應内部出身者や経験者が多いイメージでしたが、アメフトの方は外部の人も多くて初めての人も多かったので、入りやすさという雰囲気でアメフトになりました。

 

――今季は主将ということですが、主将になった理由を教えて下さい

高校でも主将をやっていたんですけど、自分の中で高校の時はやっぱりまだまだ甘かったなというところがいっぱいありました。でも主将を経験して自分の中でリーダー像みたいなものが変わった部分が多くあって、やっぱり自分が成長できたのはキャプテンをできたからだし、その成長できたところをもう大学4年になったところでリベンジじゃないですけど見せたいというか、その立場になってチームを日本一に導きたいという気持ちが大学に入ってからずっとありました。

 

――主将就任の経緯は

基本的には立候補なんですけど、今年は幹部とかコーチも大きく選考に関わっていたので、立候補をしてコーチも認めてくれてという感じですね。

 

――昨季は副将が2人いたのに対して今季は1人ということですが、理由などはありますか?

僕はオフェンスで副将のSB中野(中野航平=政4・慶應)がディフェンスで、バランスがよく取れているので2人でいいんじゃないかという理由からです。去年はオフェンスリーダーにふさわしい方として小田さん(小田裕太=商卒)と源太さん(柴田源太=商卒)がいらっしゃって、お二人を幹部にすることでチーム全体をマネージメントしやすくなるのではないかという試みでした。年によって、人によって変えていくという感じなので、今年はバランス的にオフェンスとディフェンスで一人ずつという感じになりました。

 

選手とスタッフの主体性をいかに引き出すかというところを意識したい

 

 

――新シーズンが始まって大変なことはありますか?

今年は、いろんな面で部の文化を変えているんですね。そこの文化を変えるというところはやっぱり一番大変だと思っています。文化って全員が変えようと思わなければ変わらなくて、やっぱり最初にドカーンというインパクトを与えていかないと変わり始めは変わらないし、かつそれをちょっと変えたところで継続しなければ文化として定着しないと思います。そこのインパクトプラス継続というところで200人の気持ちをずっとキープさせていくところがやっぱり難しいところですかね。

 

――文化を変えるというのは具体的にどのようなことをしているのですか?

例えば、今年からルールをかなり減らしたりとか、ユニコーンズマナーといって「これはやっちゃいけない、これはやったほうが良い」というのが明記されていたものをなくし、自分たちで考えるようにすることです。また、スタッフと選手の関係や学年ごとの上下関係を良い意味でフラットにし、下級生が自分の意見を発信できたりするような環境を作っています。トレーニング面では、アップのやり方も変えて、チームの動きに一寸たりとも狂いがないようにタイミングやフォームを何時間もかけて合わせることに重きを置くようになりました。食事面も改善しようとメニューも変えて、競技に対する意識を高めています。挙げていけばきりがないんですけど、今年度のスローガンの”_____” like a championのように、一つ一つの小さな行動のレベルを上げていき、文化を上げていくということを今やっています。まあそれがやっぱり難しいですけど。

 

――そのような変化というのは昨季の結果を踏まえてのことですか

そうですね。去年の結果を踏まえて、自分たちは弱いということを見つめ直すことになり、その結果、「変えないと勝てない」という考えに至りました。

 

――そのチームの方向性というのは全員で決めたのですか

そうですね。全員で一気に話し合うのは難しいので、まずは代ごとに話し合って、全学年からの意見を吸収しながら全体的な方向性は決めました。言葉選びとかクリエイティブなところは自分たち4年生が基本になって、最終的には幹部、リーダーズで最終決定をしました。

 

――そういった中で主将として意識していることはありますか

僕が目指しているのは全員が主体的に考えて行動する、そして全員が自分の意見を誰にでも発信できるチームです。なので僕の仕事は誰かを怒って動かすことではなく、みんなの気持ちをいかに動かすかということだと思います。実際僕はガツンとコントロールしちゃいたいタイプなんですけど、そこを抑えて選手とスタッフの主体性をいかに引き出すかというところを意識しています。結構発言とかするメンバーも増えていったりとかはしているんですけど、そういう人たちが将来リーダーになってくれたら、僕の役割というのは遂行されたのかなと思いますけど、今はまだ途中ですね。

 

――ディフェンスチームとオフェンスチームを一つにまとめるということに関して、難しさなどはありますか

オフェンス、ディフェンスというところは正直そんなに感じていないんですけど、スタッフと選手をまとめるというのが難しいと思っています。コミュニケーションが今まで足りていなくて、スタッフが選手にガツっと言ったり、選手がスタッフにガツンと言えるような信頼関係というのをしっかり築けてないと思います。そこがやっぱり今までも課題だったので、今年からはスタッフもかなり主体的に選手に発信したりとか、チームのことに関して発信していくというのはやってくれています。なので良くはなっていると思います。

 

――オープン戦について

オープン戦は秋のリーグ戦のための準備という面もあるので、試合の仕方、勝ち方、気持ちの持って行き方みたいなのを春のうちに掴みたいなというのがあります。しっかり気持ち入れてプレーも完成させて全員で一つになってやり抜く、そういう形を早い段階で見出せるかというのがすごく重要なんで、一つの試合として一つの自分たちの形を作れるかというところはすごく大事かなと思います。

 

――プレー面で強化していく点はどこだと思いますか

やっぱり今年は力の伝え方というのを強化してやっているので、ヒット一つ取ってもヒットの仕方、当たり方というのは凄くこだわっていいきたいですね。

 

――ここからは早慶戦についてお聞きします。まず、早稲田大学の印象はいかがですか

早稲田大学はやっぱり戦術面において凄く良いチームだなと思っていて、去年の秋も戦術面で一歩上手に行かれているなというのは自分たちでも感じています。やっぱりスカウティング・アナライジングスタッフ含め、かなりそこの戦術面に知性を感じる素晴らしいチームだなと思います。

 

――オフェンスとディフェンスのそれぞれの印象は

オフェンスはしっかりとしたランを持っていて、今年はWRブレナン翼(国教3)はじめ、ロングターゲットになるスピードのあるレシーバーがいるので、そこのバランスが良いのかなと思いますね。やっぱりオフェンスラインは大きくてランにもパワーがあって、そして長いところをレシーバーがロングパスで行ける、プレイアクションでかき回せるみたいな、形を持ったチームというか、しっかりとした自分たちのフットボールを持っているなという印象です。ディフェンスは戦術面も含めてなんですけど、パワーでゴリゴリというよりもスピードとシステムをかなり自分たちで自信を持って、実際にプレーできているという印象があります。

 

――最後に早慶戦に向けて意気込みを教えて下さい

自分の中での早慶戦のスローガンみたいなものを書く時があって、自分は「Beat like a champion」としました。このBeatというのは自分が高校3年生の時にチームスローガンがBeatで、ベアーズのBearを倒すということのBeatなんですけど、シーズンの初戦だった春の早慶戦では、試合会場に集まるときからもう勝てるなと確信していて、その日はもう目の色がその先その前感じられないほど殺気立っていました。実際に試合は7年ぶりに勝って、その瞬間は今でも忘れられません。でも、逆にその秋に引退したのも早稲田戦で、3点差で負けてしまいました。それから大学に入ってからは、春の早慶戦で一回も勝っていません。高校の時のリベンジも含め、今年のみんなを背負ってという意味も含め、BeatとLike a championを合わせてBeat like a champion。このスローガンに僕の早慶戦への気持ちは集約されているかなと思います。

 

――ありがとうございました!

(取材:岩見拓哉 写真:内田貴啓)

 

試合情報

第66回早慶アメリカンフットボール対校戦

2018年4月29日(日)13:00キックオフ

@駒沢陸上競技場

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