【ラグビー】対抗戦開幕前特集第1弾 古田主将

古田主将を軸に慶大は一つにまとまっていく

19年ぶりの大学日本一を狙う慶大蹴球部。目標達成のため、彼らがこの夏に取り組んだことは…?開幕前特集第1弾では、黒黄軍団の司令塔・古田京主将(医4・慶應)にお話を伺った。

――春季を振り返って

内容的には徐々に成長も見られましたし、満足のいくシーズンだったと思います。ですが、やはり結果がついてきていないので、そこの部分をどう変えていくのかについて、この夏は練習を積み重ねていました。

 

――印象に残っている試合は

常に負けた試合は心に刻んでいます。特に自分が出場した明大戦(12●45)と帝大戦(12●52)は大差で負けてしまっているので、印象に残っています。

 

――ご自身はけがをした状態でシーズンを迎えられましたが

そうですね。ですが完全に治ってから復帰することができたので、違和感などはなかったです。早くチームに戻ることができてよかったです。

 

――春季大会では遠征も多かったと思いますが、体力面などでの影響はありましたか

確かに試合が続いて大変な部分はありましたが、春でないといろいろな所に行って試合をすることができないので、そういった意味では良かったかなと思います。

 

――春季大会を通してご自身が感じた課題は

プレーの選択ですね。振り返って「あの場面でこうしていれば…」と思うようなところで、相手に流れを取られて点を奪われてしまうことが多かったです。この夏はそういった部分を考えながら練習していました。これは対抗戦で強い相手と対戦するときに一層大事になってくると思います。

 

――夏合宿について

第1次合宿を山中湖で、第2次合宿を網走で行いました。基本的にはウエイトトレーニングとラグビーのトレーニングをし、日吉とあまり変わらない内容です。毎日しっかりとラグビーに向き合うことのできる環境でした。基本的にはグレードごとでしたが、ミーティングも毎日していました。

 

――合宿のテーマは

山中湖では、トランジションの場面でトライを失いやすかったという春の反省を踏まえて、そういった部分を中心に練習していました。網走では「win the race」というテーマがありましたね。例えば、ブレイクダウンのところで速く動くことだったり、速くセットすることだったりというところに重きを置いて練習していました。

 

――合宿の雰囲気はいかがでしたか

毎日練習があるので、毎年疲れとの勝負といいますか…正直そういった部分もありますね。ですが今年は、「そういった時にどれだけ自分たちが頑張れるか」ということを特に意識していました。これは「試合の後半でどれだけ粘れるか」ということにもつながってくると思いますし、のちのち成績にも関わってくると思っています。

 

――合宿中に東海大と対戦されていましたが(28〇10=A戦)、春季での対戦と比べて感じた手応えはありますか

特にディフェンスですね。相手にプレッシャーをかけられた場面がとても多く、失点を防ぐことができました。自分たちの「強み」の一つと言えるようになったと思います。今年からディフェンスのシステムを変えて、以前よりも少しはやく出るようにしました。その取り組みがやっとみんなの身についてきたのではないかと思います。

 

――けがで離脱していた主力級の選手たちも復帰し、フルメンバーに近い状態で練習試合を戦われていたように感じます

そう思いますね。最近は大きなけがもなく、満足なメンバーで練習に取り組めていると思います。秋季は試合もほぼ2週間ごとに組まれているので、ある程度のダメージならしっかりと回復させられると思いますし、良いメンバーで戦っていけると思います。

 

――古田主将から見て、この合宿を通して大きく成長したと感じた選手はいらっしゃいますか

やはり相部(開哉=政2・慶應)と山本(凱=経1・慶應)は、(U20日本代表としての遠征などもあり)春は試合に出ていなかったので…。久しぶりにチームで一緒にプレーをした中で、特にディフェンス面で「頼りになるな」と感じる場面は多かったですね。大山(祥平=経2・慶應)に関しても、昨年から1年ながら予想以上に良いスクラムを組んでいたなという印象があります。チームとしてもっとスクラムを強化していきたいので、期待しています。

 

――相部選手、大山選手、山本選手が代表から帰って来られましたが、そのことによってチームにはどのような変化が起きましたか

まず、選手の層が厚くなりましたね。3人はどちらかというと黙々とプレーするタイプなのですが、やはり代表に選出された選手らしいといいますか、良いプレーを見せてくれることも多いです。そういった意味では4年のFW陣も良い刺激を受けていると思います。

 

――BK陣のレギュラー争いや雰囲気などはどのような状態ですか

CTBとBK3ではレギュラー争いがあると思います。特にCTBに関しては、三木(亮弥=総2・京都成章)と豊田(康平=総4・國學院久我山)のどちらがスターターとして出場するのか…などですね。BK3も、高木(一成=商3・慶應)が頑張っていた中で小原錫満(総4・東海大仰星)が戻ってきましたし…。今練習している15人が中心になってくるとは思いますが、この先どうなっていくのかは正直わかりませんね。

 

――普段、日吉ではどのような練習をされていますか

日曜に試合があるときは、基本的に月曜が休養日、火・水・木曜がハードな練習を積む日、金・土曜が調整をする日という位置づけです。基本的には、朝と午後、夜に練習をしています。朝と午後がウエイトのトレーニング、夜が1時間半~2時間ぐらいのラグビーのトレーニングですね。タックルやボールキャリーなどのベーシックなスキルを高める内容をドリル形式で行ったり、試合形式での練習を行ったりします。練習前には必ず15分ほどのミーティングがあり、金沢篤HCからその日に達成するべきことを伝えられます。それをもとに自分たちで考えて取り組むという形です。

 

――ドローンなどを使用した練習もされていると伺いました

試合形式での練習を上から見ると、ポジショニングなどが良く分かります。「この時はそうするべきだったよね」ということが一目瞭然です。分析班が練習直後に編集してくれて、それを僕たちがパソコンでそれぞれチェックできるような仕組みになっています。その他には、コンディショニングの部分に関してSFCの方々が協力してくださっていて、毎朝体調や体重などを打ちこむアプリがあります。あとはGPSを練習中に常につけて、その選手がどのくらい走っているかを把握できるようになっています。今年は特に「加速」の部分に意識を置いているので、その加速の回数なども数えられていますね。

 

――現在のチーム状態は

チーム全体としては、アタックの形やディフェンスのイメージが共有されていて、本当にあとはそれを試合の中で出すだけだと思っています。自分たちの練習の中では、だいぶ仕上がりは良いなと感じています。

 

――秋は強豪チームと再び対戦することになります。慶大としてどのように戦っていきたいですか

2週間ごとの日程なので、1試合ずつに対してしっかりとした準備をする時間があります。また、(夏季の練習試合で)早大や明大が帝京大に勝ったりしていることも知っているので…正直少し焦る気持ちもありますが、落ち着いて自分たちのプレーが出来れば、結果もついてくると思っています。

 

――日本一を達成するため、主将としてどのような取り組みをしようと思っていらっしゃいますか

チームが一つにまとまるのはとても大事だと思っています。春はこれまで以上に同じポジション内で話すようにするなど、上下の関わりを増やすような取り組みをしていました。秋では、そういった地道な声掛けを続けることはもちろんですが、それ以上に上のチームが良い試合をしていくことが重要だと思っています。結果だけを重視するのではなくて、気持ちを込めて試合をするといいますか…そのようにすることがCチームやDチームのモチベーションにもつながると思います。そういう風に引き上げていくことで、チームとして一つになっていきたいと思います。

 

――対抗戦ではご自身のどういったプレーに注目してほしいですか

まずは80分間を通して「勝ちにこだわる」気持ちが観ている方々に伝わるようなプレーをしたいと思います。また、スタンドオフはプレーの一つ一つでチームの勝敗を左右してしまうポジションだと思うので、判断とキックの精度という部分をしっかりと上げていきたいと思います。

 

――最後に、今後に向けての意気込みを

対抗戦から全部勝って、大学選手権に臨みたいと思います。

 

――お忙しい中、ありがとうございました!

この取材は8月31日に行いました。

(取材:田中壱規、川下侑美/写真:田中壱規)

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