【ラグビー】明大に逆転負けで対抗戦3敗目

明大の大型Fwdの圧力に苦戦した

青学大戦に辛勝し、迎えた慶明戦。慶大蹴球部の真の実力が問われる試合だったが、10-18のスコアで敗北。前半をリードして折り返すが、流れを後半まで持続させることが出来ずに対抗戦で無念の3敗目を喫してしまった。

関東大学対抗戦A対明大

2011/11/03 12:00K・O

得点
慶大 チーム 明大
前半 後半 VS 前半 後半
1 0 T 0 2
1 0 G 0 1
1 0 PG 2 0
0 0 DG 0 0
10 0 小計 6 12
10 合計 18
スコアプレー
時間 得点者 得点方法 スコア(慶大‐帝京大)
前半12分 染山(明大) PG 0-3
前半27分 仲宗根(慶大) PG 3-3
前半30分 染山(明大) PG 3-6
前半40分 浦野(慶大) T(G○仲宗根) 10-6
後半4分 堀江(明大) T(G×染山) 10-11
後半15分 石原(明大) T(G○染山) 10-18
 
出場選手
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 三谷 俊介(総2)  
2.HO 高橋 浩平(経4) →後32分16.渡辺 祐吉(経3)
3.PR 平野 裕馬(環3) →後18分17.山田 亮介(環3)
4.LO 栗原 大介(総4)  
5.LO 熊倉 悠太(政4) →後18分18.藤本 慎二郎(環4)
6.FL 明本 大樹(総4)  
7.FL 伊藤 悠(商4)  
8.NO8 鹿児島 昌平(経3) →後7分19. 石橋 拓也(環1)
9.SH 渡辺 諒介(経2) →後25分20.宮澤 尚人(法1)
10.SO 宮川 尚之(環2)  
11.WTB 服部 祐一郎(総1)  
12.CTB 仲宗根 健太(総4)  
13.CTB 岩淵 功太郎(法4) →後37分21.高田 英(経3)
14.WTB 浦野 龍基(政1)  
15.FB 新甫 拓(経3)  
 

チーム唯一のトライを挙げた浦野

序盤は両チームともに相手の出方をうかがうように、中盤でボールをゆったりと展開する。その中でまず、攻撃を仕掛けたのは慶大。WTB浦野(政1)が大外をゲインし敵陣に侵入すると、Bks陣を中心に積極的にボールを横に振りながらゲインラインを切りにいく。ただこの攻撃機会は明大のボールを越えていくタックルにやられ、ターンオーバーされてしまう。その後も横の連携を軸に攻撃を組み立てていくも大事なところでハンンドリングエラーが出てしまいトライまで繋げることができない。一方守備では相手のサインプレーに対してタックルを外されことなく対処していくが、ブレイクダウンでのペナルティを要所で犯してしまう。そして11分、慶大のノットロールアウェイの反則により22m付近中央から明大にPGを決められ先制を許してしまう。その後試合は膠着状態に。SO宮川(環2)のテリトリーを上手く取るゲームメイクにより敵陣で攻撃する時間は長くなるが、スクラムのコラプシングの反則、また球出しのタイミングで相手Fwdに絡まれてしまうことで決定的なチャンスを作り出すことができない。ひとまず同点に追い付きたい慶大は、敵陣5m付近で明大のホールディングの反則でタッチキックを狙わずPGを選択。CTB仲宗根主将(総4)がきれいな弾道のキックでこれを決め、試合を振り出しに戻す。しかし、30分再び明大にPGを沈められ、ずるずると点差を広げられ前半を終えるかと思われた。しかし39分、相手反則から栗原副将(総4)がクイックリスタートで持ち出すと、ラックを経て仲宗根―FL伊藤(商4)―CTB岩淵功(法4)と繋ぎ、岩淵功が内に切れ込みながら大外の浦野にパス。最後は浦野がトップスピードでインゴールに走り込みトライを決めた。その後のキックも成功し10‐6と勝ち越しに成功する。慶大は取り切れなかったトライを最後に奪い、良い流れで前半を折り返す。

伊藤はビッグゲインなどでフィールドプレーでも魅せた

この勢いのまま相手を突き放していきたい後半の入り。しかし明大が重戦車Fwdを中心とした攻撃にシフトすると、流れを変わる。これまで敵陣のペナルティではPGを狙っていたが、タッチキックを選択するように。加えて「レフェリーのジャッジとの兼ね合いの中でペナルティがかさんでしまう」(田中監督)ことで明大に自陣への侵入を許してしまう。すると、4分に相手Fwd陣に縦への突破を許しトライまで繋がれてしまうと、15分にも自陣5m付近での相手ボールラインアウトからドライビングモールでボールをインゴールまで押しこまれてしまい連続失点。10-18と逆転を許してしまう。慶大も自陣に攻め込まれている状況を打破しようと、伝統の低いタックルで必死のディフェンスで食らいついていく。しかし、相手WTBが前に出てくることで大外がミスマッチになってしまいじわじわとゲインを許してしまうと、20分あたりからは自陣5m付近に張り付けに。このピンチはラックサイドのディフェンスを固めることで何度もグラウンディングを阻止して相手Fwd陣にゴールラインこそ割らせなかったが、明大がゆったりとした攻撃を展開し自陣でうまく時間を使われてしまう。終盤は伊藤のビッグゲインなどで再び敵陣に攻撃の場を移していくも、時すでに遅し。終盤の反撃も空しく、後半は得点を挙げられずに無念の敗戦となってしまった。

一度狂ってしまった歯車はもう元に戻らないのか。この敗戦により対抗戦の成績は3勝3敗となってしまった。大学選手権出場こそ確実な状況だが、選手権で結果を残すためにも早慶戦だけは絶対に勝って勢いを付けなければならない。そのために必要なことは何か。その課題の一つは「仕事量」(仲宗根主将)。「慶應は体が小さい分走らなきゃいけない」(岩淵)。愚直なまでの仕事量で大きい相手に対抗することこそが、勝利への近道に違いない。「ビッグゲームだからといって特別なことをせず、基礎的なことを大事にやる」(栗原副将)。日吉での練習をもっともっと充実させることが実りの秋、飛躍の冬への鍵となる。

【ケイスポ的MOM】帰ってきたハードタックラー岩淵

タックルに入る岩淵功

ビッグマッチとなった慶明戦で対抗戦初出場初スタメンを飾ったのがCTB岩淵功太郎(法4)だ。昨季は主にジュニア選手権で活躍を見せ、対抗戦のリザーブメンバーにも数試合で選ばれた。今季は主力としての働きが期待されたが、ケガの影響で遂に念願の対抗戦デビューを果たした苦労人である。

岩淵の最大の武器は慶大の伝統である低いタックル。この日も幾度となく好タックルで明大の重戦車Fwdに対抗し、ディフェンス面で抜群の働きを見せた。さらにはオフェンスでもWTB浦野(政1)のトライをアシストし、13番としての役割を十二分に全うした。対抗戦で厳しい戦いを強いられている慶大の中にあって、岩淵のような実力者の復帰は大きいだろう。早慶戦そして大学選手権を戦っていく上でとても頼もしい戦力が戻ってきた。

By Kazuhiro Takai 

 

コメント

田中監督

(試合の感想)正直悔しいです。その一言に尽きます。我々は筑波、帝京に負けましたが、価値ある敗戦でした。ただ、明治、早稲田は特別です。明治だから勝たないといけない。選手たちは気合が入っていました。準備もしていました。そんな中で、前半は勝って折り返しました。ただ、後半はレフェリーのジャッジとの兼ね合いの中でペナルティがかさんでしまい、明治を自陣に入れてしまった。テリトリーを取って敵陣で戦うことができなくなってしまいました。また、後半は明治のWTBが上がってきました。前のスペースをとるべきだったが、縦に勝負に行ってしまったことも良くなかった。しかし、収穫もありました。Fwdがスクラムで押し負けなかったのでFwdが強化されたのかなと。目指してきたラグビーは完成しつつあります。この敗戦を糧にしてもう1段上げて早稲田に臨んで行きます。(テンポアップしたラグビーが満足に出来なかった理由)明治のディフェンスが良かったこと。また、中盤の球出しの時点で相手の絡まれてしまったこと。どちらも必死に戦っている中、ひたむきなタックルに負けました。ただエリアマネージメントに関しては想定内でした。

CTB仲宗根主将

(試合を振り返って)気合いが入っていていいモチベーションで臨めました。思い通りのプレーが出来ました。ただ、後半相手のトライをきっかけにエリアが取れなくなり、自陣に釘付けになってしまった。強豪校相手に結果を出せていないので、全員がその理由を共有して早稲田戦に臨んでいきます。(最初のペナルティでPGを狙わなかった理由)1回目は角度が急だったのと、時間を使って敵陣に入ったのでPGを狙いませんでした。3回目は簡単な角度だったので狙いました。(終盤8点差の時にトライを取りに行ったが)トライを取れる自信もありましたし、ペナルティも外側だったのでPGは狙いづらかった。ただ、最後のペナルティでラインアウトを狙った時は迷ってしまいました。(今日フォーカスしていた点は)テンポアップ、仕事量、エリアマネージメントの3つに焦点を当てていました。前半は慶應のボールが出てテンポアップで来ていたので良かったのかなと。(BKsの間を抜かれていたシーンが多くなってしまっていたが)仕事量で明治に負けてしまったことが原因。それだけです。

LO栗原副将

(明治戦でしたが、どういう点を意識して臨んだか)Fwdが強い当たりのチームなので、低くて速いタックルを意識しました。(ラインアウトについて)ラインアウトに関しては攻守ともによくやれていたと思うので、及第点くらいはあげられると思います。(早慶戦に向けて)今から大きく修正できることはあまりないと思うので、ビッグゲームだからといって特別なことをせず、基礎的なことを大事にやっていこうと思います。

PR平野

(試合を振り返って)惜しい試合だったんですけど、ペナルティがかさんでしまって自分たちのペースでできなかったです。(スクラムについて)前半の最初の方は出の部分でうまくできなくて、回されたりしてしまいました。だんだん相手の特性も分かってきて、安定してきたと思います。(後半の戦い方について)自分たちのペース、敵陣で戦うことができませんでした。明治さんは自陣に入れてしまうとモールやFwdで勢いづくチームなので後半に敵陣で戦えなかったことが点数を取れなかった原因だと思います。(ゲームプランは)ノーペナルティを掲げていました。ペナルティからタッチに出されてモール、というパターンが明治大学さんとやる時は怖いので、そこを一番意識していました。(ブレイクダウンについて)そんなに負けてはいなかったと思います。五分五分くらいですね。(自身のプレー)前半に思うようにスクラムが組めなくて、そこから相手にPGを狙われたりしてリズムを掴めなかった。次は最初から良いスクラムが組めるようにしていきたいです。(早大戦に向けての課題は)スクラムでもっと圧力を掛けることと、もっと走ること。敵陣で戦って慶應のラグビーをしたいと思います。

FL明本

(フォーカスしていた点は)リアクションスピードを上げて、しっ かり走り勝つ、というのが慶大の今日のポイントでした。(振り返って)前半の前半、すごく慶大のラグビーができたと思います。 そこで取り切れれば良かったのですが、取り切れなかったので悔しいな、と思っています。(リードで前半を終えたが、ハーフタイムにはどのような話があったか)前半の前半のすごく良いイメージを持ったまま後半に入ろう、という話でした。実際後半の入りは良かったです。でもそこでも本当に取り切れなかったので、それが一番の敗因です。前半の序盤のようなラグビーを、80分間ずっと続けられるようにしていきたいです。(途中からNO.8に入ったが)去年からやっていますし、僕的にはFLよりNO.8のほうがやりやすいというのもありますし、しっかり自分の役割が出来たと思います。特に問題はなかったです。(今日のFwd戦は)しっかり止められたところもあったので、それが収穫でした。次の試合でまたディフェンスがしっかり出来るようにしっかりやっていきたいです。(今日出た課題は)僕的にはフィットネスかな、と思います。運動量が80分間保てていない感じがしました。筑波戦、帝京戦もそうでしたが、後半にやられてしまうという展開がすごく多いので、そこから修正していかなくてはいけないと個人的には思っています。(対抗戦最終戦である早慶戦に向けて)4年目にして最後で最初の(対抗戦の)早慶戦になります。悔いだけは残したくないので、しっかり悔いの残らないように準備していきたいです。

SO宮川

(今日の試合を振り返って)前半は上手くテリトリーが取れたのですが、後半はちょっと前過ぎちゃったかな、という感じはあります。(試合前に意識したこと)まずは明治のFwdは大きいということで、敵陣で戦うということ、テリトリーを取るということを意識して戦うことを意識しました。(キックの出来について)まあまあです。(今日のゲームプランは)とりあえず敵陣でやること、あんまり自分たちの陣地で揉まないっていう話でした。前半は上手くいったのですが、後半は欲が出て前過ぎちゃったかなと反省しています。(後半の入り方について)後半の入りが大事だったのですが、明治さんのFwdのペースに飲まれてしまったかなというのは思います。(ペナルティーも多かった)そうですね、前からずっと言われていたことなのですが、今日も多くなってしまいました。(今日出た課題)外に振ったときに、ボールが上手くテンポよく出てこないっていうのがあったので、そこを改善できればもっと良いリズムの出たアタックができるのではないかと思います。(次戦、早慶戦に向けて)試合に出させてもらったら、自分の役割を果たせるようにがんばりたいと思います。

CTB岩淵功

(今日の試合を振り返って)凄くBksにチャンスがあったのに取りきれなくて、ミスが多くて取られてしまったという感じです。(明大戦で意識したことは)とにかく明治のFwdを走らせようというイメージがあってそれだけを意識したんですけど、ブレイクダウンでプレッシャーをかけられて自分たちのやりたいことができませんでした。(久しぶりのAチームだが)今年は春から怪我してなかなか練習にも出れてなかったんですけど、ここで復帰して明治戦に出してもらえたんでとにかく恥じないプレーをしようという気持ちで頑張りました。(プレーした感触は)勝てなかったので責任は果たせてないのかなという感じですが、いつも自分のできることを100%やるというように意識しています。(オフェンスでトライに絡む活躍だが)前の仲宗根が抜けてそこに伊藤が入ってそれを繋いでという感じでした。乗っかっていくというのが今回の慶應のオフェンスのテーマだったのでうまく抜けたところにみんなが乗っかって行ってトライが取れたのかなと思います。(ディフェンスについて)そんなに悪かったとは思わないですけどやはりペナルティしてしまったりとか、明治に走り勝たなきゃいけないのに明治に走らされていたかなというイメージがあったので、もっと慶應は体が小さい分走らなければならないと思います。(間を抜かれるシーンがあったが)一つ抜かれてしまったのは僕が見てる選手とWTBが見ている選手が違ってそこでギャップができてしまいました。修正できるところなので次までに修正したいです。 (今日出た課題は)とにかく1対1でまだまだ当たり負けてるし、慶應のCTBである限りもっと走って、もっとタックルして、常に存在していかなければならないと思うのでそこをもっと意識したいです。(次は早慶戦だが)早慶戦というのは夢のような舞台なので、それに出ただけで終わらないで絶対チームのために勝ちたいと思います。

WTB浦野

(今日の試合を振り返って)勝てた試合を自分たちのミスなどで逃してしまったことが悔しいです。(フォーカスしていた点は)うちと明治を比べたときに勝っている点がフィットネス、走り勝てるということだったので前半から素直にけるんじゃなくて外にふって、逆目とかに走って相手を走らせて、疲れさせたときに後半立て直してっていうことだったんですけど、前半外にふるときにミスしたりして、後半それでエリアマネジメントできずに、自分たちのミスで負けてしまいました。(キック処理に関して)50点くらいです。Bks全体なんですけどもっとポジショニング良くして、もっと走って、処理する前に相手に キックするところを困らせることができればもっとFwdを楽にさせられて後半苦しい時間帯も短 くできたんじゃないかなって思います。(連携などディフェンス面の評価)メンバーが変わったのもあるんですけどそれは言い訳にできなくて、自分がもっとコミュニケーション取らなければいけないところで取れなかったりっていう簡単なところだったんですけど、全部が未熟だったことだと思います。(今日出た課題は)ディフェンスとキック処理で迷惑かけてそこでFwdにクエスチョンもたせたのでBks全体でFwdを前に出させてあげられないと慶應は今後勝つのは難しいと思うので、オフェンス面よりも前にやっぱりキック処理とディフェンスでFwdを前に出してあげることが課題だと思います。(早慶戦に向けて)選ばれるかわからないですけど早稲田は明治と並んで絶対に負けちゃいけない相手なので、理屈どうこうとかじゃなくて、絶対勝つという気持ちで、本当に後がないので、絶対負けたくないです

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