【ソッカー(女子)】大学リーグ第5節 またしても天敵の前に屈す…4失点で初黒星 尚美学園大戦

約1カ月ぶりの大学リーグは、尚美学園大との対戦で再開した。関東リーグで1分け1敗と勝利を挙げられていない相手に対して今度こそ勝ち点3を手にしたい慶大だったが、52分までに3点を奪われる苦しい展開。それでもそこから2点を返し、反撃の姿勢を見せたものの、終了間際にPKで痛恨の4失点目を喫する。大学リーグ今季初黒星で、昇格争いから一歩後退してしまった。

 

第31回関東大学女子サッカー2部リーグ 第5節

 

2017/10/08(日)16:30KO@慶應義塾下田グラウンド

 

【スコア】

慶應義塾大学 2-4 尚美学園大学

 

【得点者】

0-1 15分 池崎愛(尚美学園大学)

0-2 41分 永松沙季(尚美学園大学)

0-3 52分 小川さつき(尚美学園大学)

1-3 58分 小川愛(慶應義塾大学)

2-3 63分 松木里緒(慶應義塾大学)

2-4 83分 永松沙季(尚美学園大学)

 

◇慶大出場選手

GK野村智美(4・作陽高)

DF佐藤幸恵(1・十文字高)

DF加藤楓琳(2・常盤木学園高)

DF熊谷明奈(1・十文字高)

DF足立智佳(1・大阪桐蔭高)

MF松木里緒(2・常盤木学園高)

MF中島菜々子(3・十文字高)→46 石川結菜(1・静岡高)

MF工藤真子(2・日テレ・メニーナ)

MF小川愛(1・神村学園高)→82 勝木日南子(2・大和高)

FW志鎌奈津美(3・常盤木学園高)→66 山本華乃(1・山手学院高)

FW鈴木紗理(1・十文字高)

 

約1カ月の中断期間を経て再開した、大学リーグ。開幕3連戦を3連勝で飾った慶大は、1試合消化試合の多い山梨学院大に次ぐ2位につけている。自動昇格の権利を手にすることができるのは1位のみ。この日はキックオフ前に山梨学院大が勝利を挙げており、慶大もきっちり食らいついていきたいところだ。今節の相手である尚美学園大には8月の関東リーグで敗れる(1●2)など、今季1分け1敗と勝てていない。三度目の正直を果たすべく、この一戦に臨んだ。

 

予想通り、尚美学園大はフィジカルの強みを生かして前線から厳しく圧力をかけてくる。慶大もこれをはがしてのチャンスをうかがう中、9分に最初のチャンスが。加藤楓琳(総2・常盤木学園高)が相手に寄せられながらも鈴木紗理(総1・十文字高)にパスを通すと、前を向いた鈴木は右サイドでフリーになっていた小川愛(総1・神村学園高)に見事なスルーパスを供給。相手GKと一対一の決定機だったが、ここはセーブされてしまい先制とはならない。これまでとは違う姿を見せつつあった15分のことだった。慶大は中盤でやや厳しい判定で相手にFKを与えると、浮き球のパスを頭で合わせられて失点。リードを奪われる。反撃に出たい慶大だったが、この日も相手の激しい守備に苦戦。これまで見せてきたパスワークでの崩しをなかなか出すことができない。すると41分、自陣右サイドで相手にボールを奪われてしまい、そこからカウンターで失点。0-2で前半を折り返す。

 

後半開始から、慶大は「ボランチ2枚の関係とトップの鈴木紗理の関係を活性化」(伊藤洋平監督)させるべく中島菜々子(総3・十文字高)に代えて石川結菜(総1・静岡高)を投入。状況の打開を図る。だが、52分に再び中盤でのボールロストから強烈なミドルシュートを叩き込まれ、0-3とされてしまった。勝負は決したか。スコアはそう感じさせたが、ここから慶大も猛攻開始。まずは58分、石川から小川にスルーパスが通ると、小川が相手GKをかわしてゴール。1点を返すと、その5分後には松木里緒(環2・常盤木学園高)が自ら獲得したPKを沈め、わずか5分でたちまち1点差に詰め寄る。同点、そして逆転へ、機運高まるホーム・下田グラウンド。だが、ここで再びギアを挙げてくるのが天敵たる所以か。尚美学園大も運動量が衰えることなく慶大の連携を寸断しにかかる。相手ゴールに迫れないまま迎えた83分だった。慶大は尚美学園大にPKを与えてしまい、2-4と突き放される。最後まで得点を目指した慶大だったが、相手の圧力に苦しめられて試合終了。大学リーグ今季初黒星となり、昇格争いで一歩遅れを取ることとなった。

 

過去2戦で勝てなかった相手に、またしても勝ち点3を挙げることができなかった。志向するサッカーの“相性”ゆえかもしれない。いろいろなサッカーがあることは言うまでもない。自分たちから仕掛けるサッカーもあれば、相手の良さを消すサッカーもある。その中で、彼女たちが今季一貫して取り組んでいるのは前者だ。「自分たちのサッカーを曲げずにやったのは本当に勇敢だった」。これが、指揮官の評価である。思い返してみてほしい。2017シーズン開幕当初、慶大は得点力不足に苦しんだ。だが、信念を貫き通してそれを乗り越えた。そうかと思えば、今度は失点が重なり勝ち切れなかった。それでも、ぶらすことなく完封勝利をつかみ取った。何度も壁にぶち当たっては乗り越えてきた2017シーズン。目標である1部昇格へ、この敗戦はまたしても慶大の前に現れた壁なのかもしれない。だとすれば、やることは変わらない。1週間後、彼女たちはきっとまた成長した姿を見せてくれるだろう。

 

(記事 小林将平)

 

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試合後コメント

 

伊藤洋平監督

(試合を振り返って)いやあ…負けちゃいましたね。(力負けか)あっちの力をいなそうと1カ月近く練習したんですけど、まあうまくいかなかったですね。(8月の対戦時には相手のプレスをはがした後の判断を課題に挙げていたがその点は)そうですね、下からのビルドアップは良くなっているんですけど、やっぱりあっちもまあ見習わないといけないですけど運動量が最後まで落ちなかったですね。(サイドに追い込まれてというシーンが多かったが回避する策は用意していたか)そうですね、ボランチを落としたりとか、斜めのボールを入れたりとか対策は考えていたんですけど、やっぱり練習試合と公式戦は違って。少しやっぱりネガティヴにリスクを抑えようとロングボールが増えてしまったので、そこが悔やまれるところですね。(前から来ることが分かっていたうえでの2-4というスコアをどう受け止めているか)こういうサッカーに対して自分たちのサッカーを曲げずにやったのは本当に勇敢だったし、成長している部分ももちろんあるんで、特に大きく何かを変えることはないですし、引き続きこのままさらに自分たちのサッカーを磨いていきたいと思っています。他会場の結果も色々と見ていますし、リーグ戦なんでこれに一喜一憂するのではなくてしっかり前を向いてやっていきたいなと思います。(山梨学院大の結果は確認してから試合に臨んだのか)いや、そこはもう勝つのはある程度想定しているので、特に情報は入れていないですね。(失点シーンはどれも崩されたわけではなくもったいない形だった)やっぱりそのセットプレーからの失点ということでリサーチもしていたんですけど、やっぱりそれを上回るあちらの気迫だとか、球際の強さというのは見習わなきゃいけないと思います。(2点返した後にまた盛り返されて厳しい試合になってしまった)自分たちの流れが来ている時に大きく蹴ってしまったりとか、あそこで自分たちから流れを手放すようになったので、非常にもったいない後半でもありました。(後半開始から中島選手を下げて石川選手を投入した意図は)ボランチ2枚の関係とトップの鈴木紗理、あそこの関係をもうちょっと活性化させたくて投入しました。(公式戦で長くプレーしていたのは初めてだったが評価は)中島菜々子のケガもあってトレーニングマッチでは石川がずっと出ていたんですよ。そこで良い関係が発揮できていたんで、そこは全く心配なかったんですけど、まあちょっと余計な時間帯に失点しちゃったりとか、流れをたぐり寄せる力がなかったかなと思います。(それもまた経験になる)まあ彼女だけでなくて、チーム全体の弱さだと思います。(優勝争いで一歩遅れを取る形となってしまった)まあ直接対決で叩くだけだと思うんで、それまでの試合で取りこぼしの内容に一戦一戦準備していきたいなと思います。(今日の2得点も得失点差を考えれば価値のあるものでは)そうですね。不幸中の幸いというか。そこだけですね、プラスの材料は。(次節に向けて)次が国士戦で逆に関東リーグで2回勝っている相手なんで、まあ今日の結果を踏まえて油断する選手は1人もいないと思うんですけど、しっかりとまた今日の反省をしながら準備したいなと思います。

 

野村智美(総4・作陽高)主将

(試合を振り返って)勝てなかったことはチームとしても打撃があって、4失点してしまったことや勝ち切れなかったということにすごく責任を感じています。(今日の狙いは)尚美大とは関東リーグの方で2試合やっている中で1分け1敗で来ていて、かなりリサーチもしていましたし、変に引くのではなくてしっかりと空いたスペースを使いながらゴールまで運ぶビルドアップのところを今シーズンかなり重点的にやっていましたし、大学リーグ中断期間もかなり詰めてやっていたので自信を持って入ったんですけど、前半序盤でそれがゴールに結び付かずに違うところで失点してしまったので、初めの狙いは間違っていなかったとは思います。(4失点してしまった要因は)中断期間にかなり良い準備ができていて攻撃のパターンも増えましたし、かなり良い内容で練習試合なんかもできていたんですけど、攻撃のパターンが多ければ多いほど守備の場面というのはかなり減っていて、そこに対して自分たちが、自覚はなかったんですけど、気の緩みがあったのかなとか、あとはもう捨て身の覚悟で来た尚美に対して自分たちが一歩構えていた部分が失点という形で現れてしまったのかなと思います。(試合中はどんな声掛けをしていたか)本当にやってきたことをやり続けようということを言い続けていて、前半はそれをブレずにできたと思うんですけど、後半は相手も変えてきた部分だったり狙いどころをある程度絞ってきた中で、そこをやり続けられなかったりとか、相手が変えてきた部分に対してどうしたいのかというのをピッチ内で合わせきれなかったのが、最後の2-4という結果になってしまったのかなと思います。(その中でも2点を取ったが)そうですね、本当に0-3という状況の中から2点を取ってくれた前線というのは頼もしいですし、その分自分が後ろをゼロに抑えれば、ディフェンスライン含め守備の面で少なく抑えれば、前線は絶対に取ってくれると思うので、これからの試合で後ろは絶対に守って勝ち点3に結び付けたいなと思います。(次節に向けて)もう本当に一つも落とせないですし、勝ち点だけじゃなくて得失点というのも結構関わってくるので、何が何でも死に物狂いで勝ち点3を取りに行きます。

 

松木里緒(環2・常盤木学園高)

(試合を振り返って)関東リーグで2回対戦してまだ1勝もできてない相手で、そこまで苦手意識はなかったのですが、中断期間で尚美への対応をずっと練習してきて、そこが出せている部分と出せなかった部分があって悔しい結果になりました。(4失点の原因、そして攻撃があまりはまっていなかったことに関しては)尚美は蹴ってくるチームなので、そこで自分たちがいかに蹴らないで下からビルドアップして高い位置まで行けるかというのをやってきました。そこの部分が相手の勢いに飲まれて無駄にハイボールを蹴ってしまったり落ち着けず、自分たちで焦りを生んだ結果、セットプレーでの失点に繋がってしまったのかなと思います。(獲得したPKを自ら決めたが)自分でもらったところは自分で決めなきゃいけないなと思い蹴りました。(次節に向けて)1敗してしまってもう負けられないので、残り試合全てで勝ち点3を取れるようにまず来週、1週間しか期間がないんですけど、そこでしっかりもう一回修正して臨みたいと思います。

 

小川愛(総1・神村学園高)

(試合を振り返って)前半に決められるところがあったのを自分が決め切れなかったのが一番悔しいです。(大学リーグが空いた期間でやってきたことは)相手がどんどん前からかけてくるので、それに動じず後ろからつなぐことをやっていたんですけど、自分は先週の木曜日くらいから1週間以上国体でチームを離れていて、正直チームの練習をあまりしていなかったんですけど、スタメンで出させてもらっている以上はやれることをすべてやろうと思ったんですけど、こういう結果になってしまってすごく悔しいです。(得点シーンを振り返って)DFが食いついた瞬間に背後に石川選手から良いボールが来て、GKが出てきたのが見えたのでGKもかわして、1回相手に取られちゃったんですけど、最後は思い切り振り切れて良かったです。(大勝してきたここまでの大学リーグの相手とは違ったか)そうですね。今日の尚美学園大からは簡単に勝てる相手じゃないのは分かっていたし、でも勝ち続けなきゃ昇格はできないので絶対に勝ちたかったんですけど、落としてしまって、でも切り替えるしかないので、次からは絶対に勝てるように、チームの練習に取り組みたいと思います。(次節に向けて)次節も点に絡むプレーをして、チームの勝利に貢献したいと思います。

 

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