ジュニア選手権、ここまでの慶大Jrはラグビーエリート校相手に大敗が続き、勝ち越すには一つも落とせない状況。ホーム・下田グラウンドで迎えたのは宿敵ワセダ。
試合開始から早大の堅いディフェンスに苦戦し、トライエリアまで迫ることができない苦しい時間が流れる。慶大へビッグチャンスが訪れたのは0-33で迎えた前半36分。CTB山本大悟(環4・常翔学園)が華麗なキックダミーで相手を翻弄し、敵陣深くへ。そこからSH森航希(環3・桐蔭学園)の手に山本からボールが渡ると、得意のランでディフェンスをついに突破。貴重な5点をもぎとり、5-33で前半を終えた。
後半も慶大らしい魂のタックルで真正面から挑み続けたが、早大の多彩な攻撃を封じきれず、5-73で敗戦した。大差を付けられた慶大であったが、その中で得られた手応えと、次戦への光を残した一戦となった。
2025年10月19日(日)第47回関東大学ジュニア選手権大会カテゴリー1 対早稲田大学 @下田グラウンド
⚫︎慶大 5{5―33、0―40}73 早大⚪︎
第47回関東大学ジュニア選手権大会 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/10/19(日) | 早稲田大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
1 | 0 | トライ(T) | 5 | 6 |
0 | 0 | コンバージョン(G) | 4 | 5 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
5 | 0 | 計 | 33 | 40 |
5 | 合計 | 73 | ||
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 山中 優太郎 | 177/102 | 商4 | 慶應 |
2 | 山中 悠伍 | 177/95 | 経2 | 慶應 |
3 | 渡邉 哲暉 | 175/106 | 政4 | 慶應 |
4 | 笠原 大介 | 180/96 | 商4 | 慶應 |
5 | 矢﨑 隼太 | 184/97 | 政4 | 県立千葉 |
6 | 本田 李成 | 179/90 | 政1 | 慶應 |
7 | 小川 和真 | 176/78 | 政1 | 茗渓学園 |
8 | 恩田 優一郎 | 175/100 | 政3 | 慶應 |
9 | 森 航希 | 170/75 | 環3 | 桐蔭学園 |
10 | 和田 健太郎 | 168/73 | 理2 | 清真学園 |
11 | 安西 良太郎 | 180/84 | 商1 | 慶應 |
12 | 青木 晟時 | 175/84 | 経3 | 本郷 |
13 | 山本 大悟 | 174/85 | 環4 | 常翔学園 |
14 | 江頭 駿 | 174/82 | 経4 | 慶應 |
15 | 武居 泰獅 | 178/80 | 法2 | 桐蔭学園 |
16 | 安藤 佑真 | 174/84 | 政1 | 慶應志木 |
17 | 西澤 賢佑 | 178/109 | 文4 | 膳所 |
18 | 山北 響己 | 177/98 | 経1 | 慶應志木 |
19 | 加藤 光 | 182/100 | 法2 | 慶應志木 |
20 | 岡田 海世 | 185/96 | 環1 | 清真学園 |
21 | 杉山 雅咲 | 170/75 | 総4 | 大阪桐蔭 |
22 | 横山 卓哉 | 177/78 | 総1 | 報徳学園 |
23 | 草薙 拓海 | 177/87 | 政1 | 桐蔭学園 |
早稲田大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 山口 湧太郎 | 176/105 | スポ4 | 桐蔭学園 |
2 | 杉村 利朗 | 182/105 | 社2 | 東福岡 |
3 | 平山 風希 | 180/127 | スポ1 | 大分東明 |
4 | 小林 光晴 | 188/99 | 文2 | 福岡 |
5 | 萩原 武大 | 177/91 | スポ4 | 茗溪学園 |
6 | 野島 信太郎 | 170/84 | 教3 | 東海大学付属大阪仰星 |
7 | 久我 真之介 | 181/94 | 文構2 | 早稲田実業 |
8 | 米倉 翔 | 181/93 | スポ3 | 修猷館 |
9 | 川端 隆馬 | 162/66 | スポ1 | 大阪桐蔭 |
10 | 島田 隼成 | 174/77 | スポ2 | 修猷館 |
11 | 西浦 岳優 | 175/78 | 社2 | 東福岡 |
12 | 黒川 和音 | 167/77 | 人4 | 茗溪学園 |
13 | 金子 礼人 | 183/91 | 法4 | 西南学院 |
14 | 鈴木 寛大 | 175/79 | スポ3 | 倉敷 |
15 | 田中 大斗 | 169/77 | 教2 | 早稲田実業 |
16 | 田中 健心 | 173/95 | スポ2 | 桐蔭学園 |
17 | 石原 遼 | 173/98 | スポ1 | 桐蔭学園 |
18 | 荒田 明彦 | 168/90 | 商4 | 函館ラ・サール |
19 | 紀伊 龍二 | 181/86 | 商4 | 早稲田実業 |
20 | 駒井 良 | 183/99 | スポ1 | 東海大学付属大阪仰星 |
21 | 大賀 雅仁 | 170/73 | スポ3 | 桐蔭学園 |
22 | 森田 倫太郎 | 168/74 | スポ3 | 報徳学園 |
23 | 平野 仁 | 192/92 | スポ2 | 法政大学 |
時折冷たい雨が降る中行われたジュニア選手権大会第3節。前半開始わずか2分、NO8恩田がスティールでボールを奪うと、相手陣地の深いところでCTB山本がキックパスから相手のノックオンを誘い、いきなりチャンスを作る。

慶大は開始早々攻めの姿勢を見せるも、前半5分、ラインアウトからモールを形成され、そのまま先制トライを献上してしまう。その後も続けて2トライを奪われ、0-19と大幅なリードを許してしまう。
ここで終われない慶大は、前半17分にSO和田のキックで相手の反則を誘い、相手陣地22メートルライン付近でのスクラムを獲得する。また前半20分には、相手のラインアウトでこぼれたボールからチャンスを作り、渾身のアタックを見せる。惜しくもトライには繋がらなかったものの、勢いづいていた早大に対し強気なプレーを見せつけた。
しかし、慶大の決死のディフェンスにもかかわらず、再びラインアウトモールからの流れでトライを奪われ、0-33と大きく点差をつけられ、苦しい展開に。
早大の勢いに終止符を打ちたい慶大は前半35分、山本がディフェンスの間をすり抜け、キックダミーやパスダミーを駆使して相手を巧みに翻弄し、内側からサポートに来ていたSH森がトライを決め切り、今試合チーム初得点を挙げた。


そこから勢いに乗った慶大は相手のラインアウトからボールを奪い、アタックを展開し、WTB安西が持ち前のステップで大きくゲインするなど、徐々にアタックの流れをつくるもトライにはつながらず、5-33で試合を折り返した。
早大相手にこのままでは終われない若虎軍団は、後半の立ち上がりから猛攻を見せ、敵陣深くに侵攻する。後半1分、早大のペナルティーを誘発すると、和田のフリーキックでインゴールまであと5mの好位置でマイボールラインアウトを獲得。決定機を迎えるが、このラインアウトを確保できずノックオンを犯し、追撃点を挙げることはできない。
すると、直後のスクラムでペナルティーを取られたことを起点に攻め込まれ、早大に後半最初のトライを献上。リードを広げられる。
更にもう1トライを奪われ、なんとしても得点が欲しい慶大は14分にFB武居に替えて草薙を、18分にNO8恩田に替えて岡田を、24分にはSH森に替えて杉山を投入し巻き返しを図る。
時間経過とともに早大の圧力に慣れ、敵陣でプレーする時間は増えたが、あと一歩のところでトライまで辿り着かないもどかしい展開が続くと、逆に敵陣深くでのターンオーバーから速攻を受けるなどじわじわと点差を離される。
最終盤、慶大は敵陣で早大のペナルティーを誘発してから2分近く意地の攻撃を続けるも、最後までインゴールは遠く、最終スコア5-73で敗れた。
早大の素早いパスワークに翻弄されてチームの特徴であるディフェンスが鳴りを潜め、得点も前半に挙げた1トライのみに抑え込まれた慶大。それでも永遠のライバルである早大は、目標である「日本一」を達成する上で、必ず超えなければいけない壁だ。対抗戦、ジュニア戦を通じて更なる成長を見せ、その成果を11月23日に聖地・秩父宮でぶつけたい。
以下、選手インタビュー↓
ーーチームとして、早慶戦というビッグゲームにどのように臨んだか
Jr.戦と言えど早慶戦は特別な試合ですし、自分たちは今対抗戦でも良い流れを作れている中で、更なる勢いをつけるためにマイルストーンのような位置付けとしていたのですが、序盤から相手の勢いに負けてしまったことが敗北に繋がりました。
ーー個人として早慶戦に対してどのようなマインドで臨んだか
1年から全ての早慶戦に出場してきて、1か月後に最後の早慶戦を迎える中で、内容が良いゲームはあっても、1回も勝てていないので、なんとか勝ちたいという気持ちで臨みました。
ーーゲームプランと達成度について
慶應に代々受け継がれてきているDNAのようなものがディフェンスだと自分たちは捉えていて、その強みを全面に押し出そうというプランだったのですが、相手のアタックの勢いに負けてしまい、受けに回ってしまったことが大量失点に繋がったと思うので、反省しなければなりません。
ーー序盤に自陣でプレーする時間が長かったが、エリアマネジメントについてはどう考えていたか
エリアマネジメントに重心を置いてキックゲームをするよりも、ボールを回してアグレッシブなアタックを続けていこうというプランだったのですが、自分たちのアタックに繋げる前に、早稲田さんに自分たちが経験したことのないようなアタックをされて、対応が遅れている間に複数本トライを取られてしまったという印象です。
ーー来週末の対抗戦・日体大戦に向けて
対抗戦も中盤に差し掛かり、終盤には強い相手との3連戦が控えているので、次節は自分たちが取り組んできた形を完成させられるような一戦にしたいと思っています。
――今日の試合を振り返って
自分たちがやりたいことをできず、逆に自分たちがやりたいことを早稲田にやられた、という印象が一番大きいです。
――トライの時の感触は
大悟さん(山本)が良いボールキャリーをしてくれて、そこに自分がついて良い連携が取れて、最終的にトライに繋ぐことができました。そこまでの過程としては、慶應が勢いづいてきて、1人1人が前に出るというのをしてくれたおかげで僕がトライできたので、全体的にあの慶應としてのアタックが良かったかなと思います。
――ジュニア早慶戦ということで、11/23の早慶戦に向けて何か得られたことは
課題ばかりではあるんですが、あと1ヶ月で一つ一つ課題を潰して、最終的に11/23で勝つことができればいいなという風に思います。
――次戦、日体大に向けてチームとしての意気込みをお願いします
チームとしては、今のAチームは自分たちがやりたいことが少しずつできていて、この前もプランを遂行できているので、次回の試合も自分たちのプランをしっかり遂行して、日体大に勝ち切れるように頑張ります。その後も早稲田、明治と続いていくので、流れに乗っていけるような試合をしたいです。個人としては、試合に出ることを目標として、そのためにこういうジュニアr戦だったり練習でアピールして、まずは日体大戦で出れるように頑張りたいと思います。
(取材:島森沙奈美、月井遥香、髙木謙、蕭敏星)

