季節外れの暖かさの中、早稲田大学17号館柔道場で第63回早慶対抗柔道戦が行われた。試合は20人の勝ち抜き戦で行われ、大将の藤井(総2)の活躍などもあり、単独とはならなかったが同時優勝をもぎとった。
第63回早慶対抗柔道戦
2011/11/20(日)@早稲田大学17号館柔道場
慶大 | 早大 | |||
選手 |
結果 |
選手 | ||
井上 | ○ | 払腰 | 浅井 | |
井上 | 引き分け | 山田 | ||
高辻 | ○ | 大外刈 | 西岡 | |
高辻 | ○ | 合わせ技 | 高山 | |
高辻 | 背負投 | ○ | 片岡 | |
伊藤 | 内股 | ○ | 片岡 | |
藤塚 | 引き分け | 片岡 | ||
西口 | ○ | 横四方固 | 福井 | |
西口 | ○ | 合わせ技 | キアラシ | |
西口 | 縦四方固 | ○ | 星野 | |
瀬詰 | ○ | 腕ひしぎ | 星野 | |
瀬詰 | ○ | 払腰 | 上田 | |
瀬詰 | 合わせ技 | ○ | 小林 | |
小林 | 腕ひしぎ | ○ | 小林 | |
吉武 | ○ | 内股 | 小林 | |
吉武 | ○ | 合わせ技 | 川端 | |
吉武 | ○ | 払腰・有効 | 野口 | |
吉武 | 隅返 | ○ | 五嶋 | |
檜垣 | 返し技 | ○ | 五嶋 | |
梅田 | ○ | 内股 | 五嶋 | |
梅田 | 足払 | ○ | 松井 | |
鈴木 | ○ | 体落 | 松井 | |
鈴木 | 背負投 | ○ | 村山 | |
鎌田 | 小外刈 | ○ | 村山 | |
高橋 | 反則勝ち | ○ | 村山 | |
大前 | 内股 | ○ | 村山 | |
山本 | 合わせ技 | ○ | 村山 | |
森山 | 合わせ技 | ○ | 村山 | |
利國 | 掬投 | ○ | 村山 | |
福島 | 内股・技あり | ○ | 村山 | |
小倉 | 引き分け | 村山 | ||
藤井 | ○ | 払腰 | 石原 | |
藤井 | ○ | 大内刈 | 佐藤 | |
藤井 | ○ | 体落 | 堀 | |
藤井 | ○ | 大内返し | 後藤 | |
藤井 | 引き分け | 赤堀 |
今回で63回目を迎えた早慶対抗柔道戦は「均衡した試合が予想されて」(小倉主将)いた。前半は慶大が吉武(商1)の3人抜きなどもあり想定よりも少なかったがリードを保っていた。しかし、相手の主将が出てくると形勢は一気に変わる。8人を抜かれて逆に追う展開になると会場はざわつき始める。そんな中出てきた主将の小倉(総4)が引き分けに持ち込み「最低限の仕事」(小倉主将)を果たすと、次に控える大将・藤井が登場。会場の声援を一身に受ける。相手は引き分けを狙ってきていたが「焦らず、自分のペースを掴んで」(藤井)いき、4人を抜いて大将戦に持ち込んだ。さすがの藤井も連戦の疲れがあったがその中で引き分けに持ち込み、試合は両校の同時優勝に終わった。
By Yuhei Sakurai
コメント
加納監督
(今日の試合を振り返って)こちらが想定していたよりも、前半でリードを奪えなかったのが誤算といえば誤算ですね。向こうの村山君には相当抜かれるであろうと思ってましたので、何人がかりで止められるかというのが1つのテーマでしたけども、あそこを小倉の前で止めることが出来たらうちにも勝機があったと思うんですね。ただ小倉まで引っ張り出されてしまったので、本当にギリギリの勝負になったんですが、最後藤井がよく頑張ってくれました。うちが何とか引き分けに持ちこんだという試合でしたね。(勝ち抜き戦だったが戦い方は)勝ち抜き戦の場合は相手のポイントゲッターをいかに止めるかが戦い方の1番肝になる部分なので、欲を言えば村山君をもう少し早く止めることが出来れば良かったんですが、まだそこは実力の差がありますね。それと来年以降も引き続き勝ち抜き戦にしたいと思ってます。昔はずっと勝ち抜き戦だったのが、10年ほど前から交互にやっているんですが、早稲田の方からも毎年勝ち抜き戦にしようという話があるので、もしかしたらそういうことになるかもしれないです。また、来年になれば慶應高校の選手が上がってきてもう少し戦力的には分厚くなるので、来年こそは単独優勝したいですね。(引き分けという結果について)あまり喜んではいけないんですが、正直戦力的に言うと上出来かなと思います。向こうのレギュラーの選手の個々の強さを考えると、どうしてもこちらの方が戦力的に枚数が足らない状況ですので、藤井に救ってもらった感じですけれども、よく引き分けに持ちこめたなと。学生達は本当によくやってくれたと思っています。(今季を振り返って)今季は目標としていたことが3つありまして、1つが1部復帰、2つ目が尼崎の体重別団体戦への出場、そして早慶戦勝利、という3つを目標としていたんですが、これで半分は実現出来た形になるんですね。1部には昇格できなかったんですけども、尼崎の体重別団体戦には出場しましたし、早慶戦も引き分けということで、50点という感じですね。来年もしっかりと取り組んでいきたいと思ってます。(今年のチームについて)今年は主将の小倉が本当に上手くまとめてくれて、全て小倉に任せておけば安心出来ました。戦力的にやや薄い所があるんですけど、それを気持ちの面で上手くカバーして、現状持っている力は全部出してくれたかなと思ってます。(今シーズンを振り返る上で重要だった試合)尼崎の体重別団体戦というのが、今までずっと挑んできたんですが出場出来なくて、そこを突破できたことがチームの自身になったと思います。また、体重別団体戦で強豪の福岡大学とやって、負けはしましたけどもいい試合が出来たので、試合が終わってから1人1人が自信を持つことができたんじゃないかなと思ってます。(他大学と比べた慶大の特徴は)どうしてもうちは入学試験がネックになる部分があるんですね。強い選手を推薦で取れるような大学がたくさんありますから、そういう大学には負けたくないですね。スカウト活動も地道にやっているんですけど、柔道も勉強も出来る子はなかなかいないんですよね。でもうちに入ってきてくれる子は、みんな柔道も勉強も頑張っていて本当に素晴らしいです。うちは昔から専任のコーチスタッフがいないので、学生主導で稽古もやっていく形なので、主将を中心に出稽古を多くしたりという工夫をしています。その中で今年ここまでやれたのは主将の小倉がチームを引っ張ってくれたからだと思っています。(来年以降にどう繋がるか)今日の結果というのは必ず自信になりますから、来年以降はさらに上、単独優勝するということを目指したいと思います。それに向けた具体的な手応えもつかんでいるんじゃないかなと思っています。
小倉主将
(早慶戦を振り返って)そうですね。当初から均衡した試合が予想されていまして、それで案の定、前半は慶應がリードしたんですけど後半は向こうの主将にたくさん抜かれてしまって、結局は同時優勝ということになりまして。やはり予想通り例年以上に白熱した試合が展開されたのかなと思います。(どのような思いで早慶戦に臨んだか)まず私自身としてはやっぱり最後の早慶戦ということもありまして、とても期する思いがありました。私自身は残念ながら引き分けという形で終わってしまったんですけど、あそこで自分がしっかりと最低限の仕事をしたことでこの同時優勝をすることができたのではないかと思っています。そしてチームとしてはこの2週間前の2部大会という東京都の2部リーグの試合があったんですけど、そこで2年連続で優勝していたんですけど今年負けてしまいまして、そこから2週間立て直してきて一丸となってこの試合に臨めたので全員の想いが一つになった結果かなと思います。(早慶戦は特別か)特別ですね。いろいろな大会に出てきましたけど、やはりこの大会で味わう雰囲気とか気持ちの高揚というのは一生忘れられない財産になります。(大将を務めた藤井選手について)そうですね。彼は実績のある選手ですし、安定した柔道を展開してくれるので私の仕事としては自分ができるだけ相手を抜いて彼にバトンを渡すというところだったんですね。彼はやはり期待に応えてくれて、後ろ3、4人強い相手だったんですけど強い気持ちを持って勝ってくれたなと思っています。感謝しています。(主将として意識していることは)やはりチームの団結ですね。部員が近年増えてきまして今、38名ほどいまして。本当は40名いたんですけど2人ほど事情があって辞めてしまったんですけど。試合に出れる選手は20名だけ、残りの18名はやはり試合に出れないという立場でモチベーションを落としがちだと思うんです。ただ、常に練習のときから一丸となってみんな気持ちを一つにして戦わなくちゃいけないということを主将として発信してきましたので、本当に今日の試合では応援はうちの方が勝っていたと思うし、(同時優勝という結果は)みんなの力があったからだと思います。(主将になって変わったことは)常に周りを意識するということです。やはり勝負をしていてどうしても自分のことだけ考えてしまうんですね。主観的になりがちなんですけど自分は主将であってやはりチームを統括する立場ですので、その自分自身の気持ちの高まりとは一線を画して客観的な視点を持って、今周りはどういう状況にあるか、例えば他のメンバーがやっている試合に関してどういうサポートができるのかというのは常々考えています。(今シーズンを振り返って)勝った試合、負けた試合それぞれでいい思い出、悪い思い出はあるんですけど、一年を通して本当に一生忘れられない財産になるなと思います。本当に苦しいときもありましたし、主将として自分がみんなに貢献できてるか悩むときもあったんですけどこうして一年間みんながついてきてくれて、最後、早慶戦で同時優勝という形で終えられたのは本当に幸せだなと思っています。(今年のチームの特色は)先ほども触れたんですけど、一体感が強いなと思っています。ただ単に仲がいいというわけではないんです。体育会なので最低限度の規律、礼儀というのは重んじているんですけど、それを重視しつつ本当にアットホーム。お互いに本音を言い合える仲なのかなというのが近年のうちの柔道部ではなかった今年の強みなのではないかと思っています。(今年は年間を通じてどのような目標を持っていたか)当然体育会なので、試合すべてに勝つことというのをまずは念頭に置いてきました。具体的には早慶戦の勝利であったり、2部大会を優勝するだったりとか、そういうところで勝つということも重要視してきました。ただ、私もそうですしコーチ陣もそうですし、部員全員もそうなんですけど勝つことだけが目標であってはいけないんですね。それは方法論であってやっぱり柔道を通じて何を学ぶか、社会に出るにあたってこの大学生の時期に自分たちがどう成長するか、そのツールとして柔道というものがあると。必死に打ち込むことによって当然、財産ができますし、一生涯にわたるよき友にも出会えます。そういうところを一年間、目標においてやってきました。(普段はどのような点を意識して練習しているか)普段の練習は本当に追い込むことですね。限界突破という言葉がふさわしいくらい練習は厳しくやっていますし、やはり1年間という長いスパンの中でモチベーションが下がってしまう時がどうしてもあるじゃないですか。そういう時にも、言い合える仲というのがいい方向に働いて、1年間を継続的にモチベーションを高く練習に打ち込んで追い込んでこれたのかなと思っています。(柔道から離れたときの柔道部の雰囲気について)メリハリがうちにはあって、柔道をやるときはある種ケンカではないですけど、相手をねじりつぶすくらいの気持ちでやってるんですけどいったん練習が終われば、みんなでどっかに遊びに行ったりとかもしますね。なのでいい意味でメリハリがあって仲がいいですね。(他の体育会と比べて柔道部ならではのものは)やはり伝統というものが他の部よりもうちはあるのではないかと思っていて、体育会の部番号も1番で日本最古の運動部という風に言われているんですね。今日の早慶戦に関しても早稲田がホームなんですけどおそらく客観的に見て観客数とか人の数は慶應の方が多かったなと思うんですよ。そういうのは慶應、とりわけ柔道部っていう長い歴史のある部が、現役、OB関係なく一致団結して戦っていこうという姿勢の表れだと思いますし、応援だけではなくて日頃から金銭的な支援もいただいてますし、他にもいろいろ支援をいただています。そういうサポートがあって今私たちが試合できているのでそういう意味では長い伝統とその温かい先輩方のサポートが他部に誇れるうちの強みかなと思っています。(後輩に託す今後の目標は)まずはやはり今年以上に躍進してほしいというのがあります。強い選手も入ってきてますし、仲もいいですのでまずは成績として今年以上の成績をあげてほしいなと思います。もう一つはやはり、まあいっぱいあるんですけど、強いてあげれば選手で出てる人というのは限られているので、それは柔道以外もそうだと思うんですけど、出れない選手であったりマネージャー、主務の選手たちも活躍できる、支えてくれてるんだというのをしっかりと表舞台にアピールして誰が見ても、慶應の柔道部ってすばらしいなと、あの人間性はすばらしいなという部を築いていってほしいと思います。(自身の4年間を振り返って)私は大学から慶應に入ったんですけど、慶應の持つ特有の温かさ、人間性のつながりというのをこの4年間で感じました。なので慶應に入ったことは本当に誇りに思っていますし、入ってよかったなと思っていて、来年以降、社会人になるんですけど柔道部はもちろんのこと、慶應全体に関して何か貢献できることを積極的にしていきたいなと、この恩を返していきたいと思っています。(自身にとって柔道とは)柔道とは人生そのものですね。私は中学校から柔道を始めたんですけど、本当に来る日も来る日も畳の上で柔道に打ち込んできましたし、私の人生は柔道そのものと言い換えられるくらい頑張ってきた自信があるんですね。そこで培った精神力とか考え方というのは社会に出てからも自分の強みとしていきたいと思いますし、この4年間の苦しさというのはたぶん社会に出たとき以上につらかった4年間だと一方では言えると思うので、社会でどんな困難や苦しさが待っていてもこの4年間を思い出せば、へっちゃらかなと、乗り越えられるかなと思っています。
藤井選手
(早慶戦を振り返って)前の19人の内容はまとめて1つとして考えたとき、僕が想像していた最悪の状況で回ってきたんですよ。そこで相手は引き分ければいいので、いかに逃げてくるかは分かっていたので、逃げてくる相手に対してどうやって取れるかというのが僕の勝負だったと思っています。(4人抜きからの大将戦だったが、個人の出来は)副将までは逃げてくる、取りに来ないのは分かっていた。それでも焦らずに自分のペースを掴んで、最後結局一本取るっていう自分のいいところが出たんじゃないかなと思います。大将戦に関しては正直もうきつかったんで(笑)、まあ取れないだろうなと思って、せめては分けようと、取られないようにしようと思ってやって、それが結果として出来たので、あれは個人戦だったら全然駄目な試合ですけど、まあこういうかたちで引き分けまで持ち込めたのはいいかなと思ってます。(早慶戦ということで意識したこと、プレッシャーなどは)早慶戦に対して特別プレッシャーとかは僕は感じないほうで、伝統とかそういうのをあまり感じないほうで(笑)、ひとつの試合として自分のベストなコンディションに持っていけたかなと思ってます。(2年生ながら大将を任されたが、意識したことは)いや、全然ないですね。意識しちゃうと大将だからっていうプレッシャーも加わってきちゃうので、とにかく自分は自分の試合をするっていうことだけですね。大将だからとか、2年生だけどとか、そういうことは意識してないですね。とにかく出来ることをやろうと思って頑張りました。(自身2度目の早慶戦だが昨年と違うところは)試合として、点取りと勝ち抜きじゃないですか。やっぱり勝ち抜ききつかったなあっていうのがありますね(笑)来年は僕を使わないで勝ってくれたらなと思っています。(1年生として臨むのと2年生として臨むのでは精神的な違いはあるか)そんなに変わらないですね。常に自分は相手が格下でも同じぐらいでも格上でも、やっぱり自分が下でチャレンジャーの気持ちでいこうっていうのは常に意識しているので、1年生のときも2年生のときも自分が下で、相手がチャンピオンだっていう意識でやっています。いつもチャレンジャーで。(柔道は個人戦だが、団体戦で意識することは)やっぱり駆け引きですね。僕は大将なので取るしかないんですけど、中盤のみんなはやっぱり駆け引きで、取るとこ取って、引き分けるとこしっかり引き分けなきゃいけないっていう仕事が大事なんじゃないですかね。今回はちょっと出来てなかったかなって思いますね、みんなの仕事が。(大将戦での声援というのは)ある程度聞こえますけど、あんまり意識しないようにしてるので、技術的な監督のアドバイスは聞きますけど、それ以外の声援は基本的には声援としてしか受け取ってないので。そんなにプレッシャーにもならなかったですね。(話は変わるが、自身の柔道の持ち味は)あんまり自信は持ってないんですけど、やっぱり攻めることを意識することだと思います。柔道をやる上で、絶対に守っちゃいけないと思っていて。攻撃柔道、チャレンジャー柔道が自分の持ち味ですかね。(逆にもう少し改善したいというのは)それはたくさんあるんですけど、最近一番大きいのは先に攻撃するということで、攻めがちょっと遅いんですよ。重量級ということもあって。相手より先に技を出していけるような選手になりたいですね。(慶大柔道部に入って成長したと感じることは)正直、具体的には分からないんですよ。何が出来るようになったのか。でもなんとなく自分強くなったなあっていう(笑)ちょっと曖昧なんですけど。というのは最近出てきましたね。(1年生のときには感じなかったのか)はい。1年生のときはやっぱり慶應にきて大丈夫なのか、(自分の力が)落ちちゃうんじゃないか、もっと強いところに行かなきゃいけなかったんじゃないか、っていう不安もありましたけど、そのなかで2年生になってだんだん結果も残せるようになってきて、自分はここでも出来るんだっていう自信はちょっとずつ取り戻していった実感はありますね。(そもそも藤井選手が柔道を始めたきっかけとは)小学校1年生のときに母親に連れられてという感じなんですけど、体が大きくて、力も強くてわんぱくだったんで柔道でもやらせてみるかっていう程度のノリです。(何歳くらいのときか)7歳です。小学校に入学してちょっとくらいですね。(そのころは柔道をやっていて辛かったか、楽しかったか)楽しかったですね、本当に。中3くらいまでは楽しいことしかなかったです(笑)(桐朋中学時代はどうだったか)あの中学3年間は自分の中でも結構成長した3年間だと思っていて。中学のころはまだ若造なので、高校生とかの練習相手がいっぱいいる中でもまれていって伸びた3年間だと思うんですよ。中1で始めて東京優勝して関東優勝して、中3でも東京優勝したけど全国2位で、みたいな感じで、だんだん伸びていって、柔道の道に本格的に進もうかなと思い始めた3年間ですね。(中高一貫校だったが、あえて東海大相模高に進学したのはなぜか)やっぱり中学三年間の集大成として臨んだ全国大会で、決勝で負けたんですよ、最後の30秒くらいに。全国制覇が出来そうなのにしないままに柔道人生を終わらせたくなかったというか、もうちょっと柔道やってもいいんじゃないかなと思ったからですね。結構苦しんだ決断だったんですけど、親の反対とかも多少あって。(エスカレーターしないことに対する不安や葛藤は)葛藤はすごくありましたけど、そのときまだ調子にのっていたというのもあるんですけど自分は絶対柔道で成功すると思っていたので(笑)その道選んで柔道を一生懸命やるということに期待のほうが大きかったんじゃないですか。(桐朋柔道部と東海大相模の違い)あまりにも違い過いすぎて何を言えばいいのかわからないんですけど、実力であったりというのも大きく違いますし。相模のいいところというのは先輩、後輩がすごく仲良くて風通しのいい組織で、タメ語を使っちゃうぐらいの(笑)。それが強さの秘訣だったのかなと思いますし、相模柔道部に行って良かったと思えるような最高の仲間にも出会えましたし。(東海大相模柔道部時代を振り返ってみて)結果としてみれば、三冠2連覇とか、全国で8回優勝したとか色々あるんですが、正直自分の中で納得した全国制覇というのはなかったですね。やはり周りに助けられて優勝したという感じで、納得できない3年間でした。個人の成績でも良い成績が出せなかったですし、団体の中での個人的な成績としても良くなかったので。結果は出せていたんですが正直あの3年間というのは苦しかったですね。(慶應を選んだのはなぜ)将来が広がるというのはもちろんあって、東海大相模であれば柔道しかできないですが、慶應に入ればそれ以外のことも選択肢としていっぱいできるというのがありました。それから何と言ってもAO入試があったので、入れる可能性が一番大きかったというのが正直な理由ですね。(慶應柔道部の印象)良いところと悪いところがあって、雰囲気も良くて、みんな一生懸命に練習するので柔道部としてはいいんですけど、多少伝統にこだわりすぎるというか、古い悪しき伝統も守ろうとしてしまうというところがいけないところなのかなと。(国際舞台での経験)実際のところ、柔道をしている選手からしてみれば、日本人とやるか外国人とやるかの違いなのでそんなにはないんですけど、精神的に日本を背負うというところがきつい部分がありますね。一回、国際大会で優勝したときに、センターポールに日の丸が上がって、国歌が流れたんですよ。それ見ていいなという風には思いました。(対戦相手が日本人、外国人では技術的には違いは)すごくありますね。全然違いますね。テレビとかでも見ててわかると思うんですが、レスリング柔道と呼ばれているように全然組んでこなかったり、あとは胴着を固くしてみたりとか、文化が違うから考え方が違いますし。それについての対策もしっかりとしていますし。最近国際大会に派遣されていないので、やっていないんですが、国際大会が決まったら外国人対策をしっかりやります。(日の丸を背負うことへのプレッシャーについて慣れてきたか)最初はやはり緊張していましたよ。韓国の国際大会に行ったんですけど、がちがちで緊張して何も出来なったんですが、やはり回を重ねるごとに自分が国際大会に出れる資格が来たんだという自信が出来たので、だんだん慣れてきました。もう緊張とかはないと思います。(今後の目標)慶應柔道部の目標としては、とりあえず目の前の1部復帰というのが目標ですね。ただ今回2部大会に負けてしまって、来年の組み合わせがきつくなりそうなので、できるか分からないんですけど、それが大きな目標です。僕個人の目標は、今年シニアの全日本の指定強化選手に入ることが出来て、そこからどれだけのし上がっていけるかで、国際大会にも派遣されると思うので、来年の目標はグランドスラムというものがあって、世界選手権に少し小さい版みたいなものなんですけど、そこに派遣されるというのが目標です。そこで結果を残してポイントを取っていくというのがとりあえずの目標です。(長期的には)それはもちろん世界選手権優勝と、オリンピック優勝です。(藤井選手にとって柔道とは)自分をあらゆる面で成長させてくれるものですね。柔道をしていなければわからないものがたくさんありますし、これが人生のなかでも絶対役に立っていくのかなと、柔道を30歳で引退して終わるのではなく、そこから先も絶対に役に立ついろいろなものを学ばせてくれるものだと思います。
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