【ラグビー】伝統の第100戦目慶明戦 惜敗に刻む魂 ──雪辱を胸に次は早慶戦へ/2025関東大学対抗戦Aグループ@第5節 対明治大学

ラグビー

 節目の第100戦目慶明戦。伝統の一戦を見届けようと、聖地・秩父宮ラグビー場には多くの観客が詰めかけた。

 前半開始から約10分間、粘り強いFWと果敢なBKの連携で、明大相手に慶大が喰らいつく。0-5で迎えた25分、相手のペナルティからキックを選択し、マイボールラインアウトでサインプレーから申驥世(文1・桐蔭学園)がトライエリアに鋭く飛び込み同点に追いついた。その後スコアを5-19と再び後を追う慶大。逆転の望みは後半に託された。

 後半9分、スクラムで作ったチャンスを展開し、最後はSH橋本弾介 (法4・慶應)が渾身の先制トライ。約5分後、BK陣の巧妙なゲインが連続したのちCTB今野椋平(環4・桐蔭学園)がトライエリアまで独走。19-19と同点に。後半23分、相手のオフサイドで慶大はショットを選択し22-19と見事逆転に成功。しかし明大にすぐさま逆転を許し22-24で惜敗した。

 慶明戦100戦目として繰り広げられたこの一戦の軍配は、明大に上がった。しかし慶大蹴球部4年生の魂、下級生のアグレッシブな躍動は随所で光り、全員で戦い抜く姿は観客を唸らせた。誰か一人の責任ではなく、全員で背負い、全員で次戦へ。再び秩父宮に舞い戻る慶大蹴球部にとって、この試合は「早慶戦勝利」への道を照らす一戦となった。

2025年11月2日(日)関東大学対抗戦 対明治大学 @秩父宮ラグビー場

 

関東大学対抗戦

慶應義塾大学

2025/11/2(日)
11:30 K.O.
@秩父宮ラグビー場

明治大学

前半

後半

 

前半

後半

トライ(T)

コンバージョン(G)

ペナルティゴール(PG)

ドロップゴール(DG)

17

19

22

合計

24

前半25分 申(T)

後半9分 橋本(T)

後半10分 小林(G)

後半14分 今野(T)

後半14分 小林(G)

後半23分 小林(PG)

得点者

前半11分 西野(T)

前半32分 平(T)

前半33分 萩井(G)

前半38分 西野(T)

前半39分 平(G)

後半27分 古賀(T)

 

  • 慶大 22{5―19、17―5}24 明大○

慶應義塾大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

井吹 勇吾

175/100

環2

桐蔭学園

2

藤森 貴大

173/102

経3

慶應

3

中谷 太星

180/115

環2

東福岡

4

西野 誠一朗

184/92

法1

桐蔭学園

5

山﨑 太雅

189/105

商1

県立浦和

6

恩田 優一郎

175/100

政3

慶應

7

申 驥世

175/93

文1

桐蔭学園

8

中野 誠章

176/107

文2

桐蔭学園

9

橋本 弾介

169/76

法4

慶應

10

小林 祐貴

168/75

政1

慶應

11

伊吹 央

176/81

経4

慶應

12

今野 椋平

183/90

環4

桐蔭学園

13

小舘 太進

173/84

商4

茗溪学園

14

江頭 駿

174/82

経4

慶應

15

田村 優太郎

174/80

総2

茗溪学園

16

渥美 和政

173/103

経4

慶應

17

小川 士潤

172/100

経2

慶應

18

廣瀬 宇一朗

180/111

環2

桐蔭学園

19

矢﨑 隼太

184/100

政4

県立千葉

20

持木 太心

180/95

総2

桐蔭学園

21

森 航希

170/75

環3

桐蔭学園

22

笠原 悠真

178/82

政3

慶應

23

小野澤 謙真

180/90

環2

静岡聖光

 

明治大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

田代 大介

180/109

営3

大分舞鶴

2

西野 帆平

176/104

文4

東福岡

3

山口 匠

180/120

政経3

流通経済大付属柏

4

亀井 秋穂

191/90

政経3

長崎北陽台

5

菊池 優希

186/107

政経4

山形中央

6

大川 虎拓郎

186/104

法3

東福岡

7

楠田 知己

184/104

政経4

東海大大阪仰星

8

最上 太尊

183/105

商4

仙台育英

9

柴田 竜成

174/81

営4

秋田工業

10

萩井 耀司

173/81

商2

桐蔭学園

11

東 海隼

181/84

情コミュ4

光泉カトリック

12

伊藤 龍之介

170/79

商3

國學院栃木

13

平 翔太

175/94

商4

東福岡

14

白井 瑛人

178/85

商2

桐蔭学園

15

竹之下 仁吾

180/86

政経3

報徳学園

16

高比良 恭介

176/103

政経2

東福岡

17

伊藤 潤乃助

175/109

文4

常翔学園

18

佐々木 大斗

176/110

政経1

常翔学園

19

小椋 健介

182/104

情コミュ4

桐蔭学園

20

藤井 達哉

179/99

政経3

東福岡

21

田中 景翔

169/74

文3

常翔学園

22

蓬田 雄

173/94

政経4

流通経済大付属柏

23

古賀 龍人

184/86

政経2

佐賀工業

 第100戦目慶明戦の舞台となった秩父宮。1万人を超える観客が詰めかけ、スタンドは試合前から特別な熱気に満ちていた。対抗戦第3節・第4節の快勝で手応えを掴んだ慶大は、5季ぶりの慶明戦勝利をかけ、伝統の一戦に挑んだ。

明大のキックオフで開始した序盤、名門の猛攻に対して果敢なタックルを仕掛け、開始1分で敵陣でのラインアウトを獲得。相手のノックフォワードからスクラムに繋げたが、ここは明大に手が挙がった。

開始5分以降、自陣22m付近で左右に広く展開される時間が続くも、WTB伊吹を中心に魂のタックルで何度も喰らいつく。規律を守った迫力ある慶大ディフェンスに、観客も大きく沸いた。

最初に試合が動いたのは11分。右サイドでのラインアウトから明大がモールを形成。慶大はその前進を食い止めようとしたものの、明大は押し合いを続けず、素早く抜け出してキャリーに切り替えた。その切り替えに対応しきれず、先制トライを許してしまう。

 

しかし慶大はここで崩れず、反撃のギアを上げる。SH橋本を起点に丁寧なパスワークで粘り強く繋ぎ、NO8中野やLO西野が縦に当たってはBK陣が外へと展開する形でフェーズを重ねた。スタメンに4年生不在のFWでもフィジカルに引けを取らず、相手のハイタックルのアドバンテージがある中でボールを継続。そして0-5で迎えた25分、敵陣22m付近でのラインアウトを獲得した慶大は、FWのサインプレーで期待のルーキーFLが飛び込み、トライ。ゴールは決まらずとも、5ー5で同点に追いついた。

このまま流れを引き寄せたい慶大は27分、明大のオフサイドからマイボールラインアウトを獲得する。モールで前進したところからHO藤森がボールを持ち出し伊吹に繋げるも、トライエリアには届かず。その後、明大ボールのスクラムを機に自陣の奥へボールを持ち込まれ、テンポの速いパスワークで猛攻を受ける。攻撃ラインを崩そうと試みるも、31分、前のスペースが空いた隙に明大の主将がランで切り込み、7点を追加される。その後もラインアウトからのモールで再度追加点を許し、5ー19と14点のビハインドで試合を折り返した。

点差を縮めたい慶大は、後半開始に合わせてWTB江頭に代えて小野澤を投入。攻撃に変化をつけて反撃の機会をうかがう。後半は慶大のキックオフでスタート。序盤は両校ともにキックを多用した陣取り合戦が続いたが、明大のダイレクトタッチを誘い、慶大がラインアウトを得る。確実にボールを確保し、序盤から攻撃の良いリズムを作り出し、明大に刃向かう。

9分には今季初スタメンのフロントローが本領発揮。スクラムで押し勝つと、素早く左へ展開。途中出場の小野澤までつなぎ、5mライン付近まで迫る。サポートに入ったSH橋本が抜け出してインゴールへ飛び込み、慶大が後半最初のトライ。SO小林がしっかりとコンバージョンを決め、スコアを12-19とした。

 

続く14分、明大のハイパントを小野澤が冷静にキャッチ。一気に敵陣22mラインまで切り込む。WTB伊吹小林とパスを繋ぎ、最後はCTB今野が空いていたディフェンスの間を割って敵陣を独走し、トライを奪う。小林のコンバージョンも再び決まり、ここで19-19の同点に追いつく。

勢いそのままに23分、積極的な攻撃展開が功を奏し明大のオフサイドを誘うと、慶大はショットを選択。小林が確実に決め、22-19とついに逆転に成功する。慶大が試合の主導権を握り始める。

しかし明大も簡単には譲らない。27分、スクラムでの反則から自陣深くのラインアウトを与えると、モールでじりじりと前進される。粘る慶大ディフェンスだったが、最後は明大FB古賀にトライを許す。コンバージョンは外れたものの、スコアは22-24。再びリードを奪われた。

流れを取り戻したい慶大だったが、明大の攻勢は続く。フェーズを重ねながらじわじわとゴールライン直前まで攻め込み、慶大ディフェンスを揺さぶる。それでも慶大は体を張った低いタックルで粘り強く対応。25フェーズにも及ぶ攻撃を全員で防ぎ切ると、最後はLO西野が相手をヘルドボールに追い込み、貴重なターンオーバーを奪った。

慶大のトライラインドロップアウトでゲームが再開される。明大のノックフォワードから慶大がスクラムを得ると、終盤の攻撃を仕掛ける。フェーズを重ねて着実に前進する。しかし追加点には至らず、ここでノーサイドの笛。あと一歩届かず、白熱した伝統の一戦は22-24で幕を閉じた。

前半はセットプレーで劣勢に立たされたものの、後半は修正力を発揮し、攻守にわたって粘り強いラグビーを展開した。途中出場の選手たちが流れを変え、最後まで勝利を狙い続けた姿勢は確かな手応えを残した。惜しくも勝利には届かなかったが、この敗戦は必ず次に生きるはずだ。次戦は宿命のライバル・早大との伝統の一戦。この日の悔しさを糧に、早慶戦で勝利をつかみたい。

以下、試合後インタビュー↓↓

⭐️トライを挙げたSH橋本選手

――今日の試合を振り返って

日体戦が終わってから1週間、明治に勝つことだけを目標に、チーム一丸となってトレーニングを重ねてきました。その中でテーマを「戦」として、相手に体を思いっきりぶつけることで「明治相手にも戦えるんだ」と思わせようというマインドで臨みました。序盤は良い入りができたと思っていたのですが、前半は時間を追うごとに徐々に押し込まれて点差を離されてしまいました。ただ、ハーフタイムにもう1度みんなで話し合って、後半は自分のトライも含めて、全員で流れを作って巻き返せたと思います。

――前半は押し込まれがちだったが後半は一転。どのような部分が変わったか、または前半含めて想定通りだったのか

前半もボールを動かすゲームプランは悪くなかったですし、日体大戦から継続して、自分たちでボールを動かして攻撃していくリズムを掴めていたので、後半もプラン通り、敵陣に入ったらアグレッシブなボール回しでアタックすることを心がけていました。その中で2トライを奪えて、良い流れに乗れたのではないかと思います。

――またもパスダミーから自ら持ち込んでトライ。感触は

まずFWがスクラムに勝ってくれて、思い切って攻撃ができる中でBKでうまくパスを繋いで、謙真(小野澤)が外でゲインしてくれた中でのトライでした。ラックの付近に空くスペースは常に狙っている中で、自分に出来る全力のプレーをした結果がトライに結びついて良かったです。

――次戦・早慶戦に向けて

今日は最後にとても悔しい終わり方をしてしまいました。次戦まで時間が空くので、もう1度みんなで同じ方向を向いて、今年こそワセダに勝てるようしっかり準備していきたいです。

 

⭐️MIPに選出されたHO藤森選手

――今日の試合を振り返って

今週1週間「戦」というフォーカスを掲げた中で、全体を通して戦えた部分は多かったのですが、細かい部分やセットプレーでミスが出てしまったことで、優位に進めることができませんでした。

――初スタメンの感想

対抗戦が始まってから4試合はベンチスタートでしたが、春はスタートから出る試合もあったので、特に緊張することなく試合に臨むことができました。

――体格に勝る明大に対する対策は

スクラムに関しては、明治さんがヒットしてくるタイプのスクラムを組んでくるというスカウティングがあったので、自分たちは低く構えて、まずは耐えて、相手の姿勢が高くなったところでカウンターするという形を想定していました。ただ、最初は自分が相手の2番に突き上げられて浮いてしまうという部分もありましたし、修正するまでに時間がかかってしまったので、日体大戦から引き続き反省しなければならないポイントだと思います。

――次戦・早慶戦に向けて

早慶戦は特別な舞台ですし、緊張してしまうと思うのですが、緊張に飲まれて自分らしいプレーが出来なくなってしまうと何ひとつ良いことがありません。今日のようにメンタルセットからしっかりと準備をして臨むことができれば、ワセダとも良い試合が出来ると思います。

 

 

早大

帝京大

明大

慶大

青学大

筑波大 

立大

日体大 

勝点

早大

 

⚫︎

20-25

2T2G1PG1DG

12/7

14:00

国立

11/23

14:00

秩父宮

59-12

10T3G1PG

39-13

5T4G2PG

78-0

12T9G

59-7

9T7G

4

0

1

26

帝京大 

25-20

3T2G2PG

 

11/16

14:00

秩父宮

11/30

13:00

熊谷

62-7

10T6G

⚫︎

14-18

2T2G

48-21

8T4G

113-7

17T14G

4

0

1

25

明大

12/7

14:00

国立

11/16

14:00

秩父宮

 

24-22

4T2G

91-7

13T13G

⚫︎

24-28

4T2G

76-7

12T8G

43-12

7T4G

4

0

1

25

慶大 

11/23

14:00

秩父宮

11/30

13:00

熊谷

⚫︎

22-24

3T2G1PG

 

32-18

4T3G2PG

⚫︎

12-21

2T1G

61-5

11T3G

45-17

6T4G1PT

3

0

2

20

青学大 

⚫︎

12-59

2T1G

⚫︎

7-62

1T1G

⚫︎

7-91

1T1G

⚫︎

18-32

2T1G2PG

 

12/6

14:00

熊谷B

11/9

14:00

えどりく

11/24

13:00

熊谷

0

0

4

4

筑波大

⚫︎

13-39

1T1G2PG

18-14

3T1PG

28-24

4T4G

21-12

3T3G

12/6

14:00

熊谷B

 

11/22

14:00

秩父宮

11/9

11:30

えどりく

3

0

1

16

立大

⚫︎

0-78

⚫︎

21-48

3T3G

⚫︎

7-76

1T1G

⚫︎

5-61

1T

11/9

14:00

えどりく

11/22

14:00

秩父宮

 

12/6

11:30

熊谷B

0

0

4

4

日体大

⚫︎

7-59

1T1G

⚫︎

7-113

1T1G

⚫︎

12-43

2T1G

⚫︎

17-45

3T1G

11/24

13:00

熊谷

11/9

11:30

えどりく

12/6

11:30

熊谷B

 

0

0

4

4

◎勝ち点の多い順に順位決定を行う。

・勝ち:5、引分:3、負け:1、不戦勝:6点、不戦敗:0点、不成立:3点

・負けても 7 点差以内ならば、勝ち点 1を追加。

・3トライ差以上での勝ちならば、勝ち点1を追加。

 

(取材:愛宕百華、島森沙奈美、山口和紀、髙木謙)



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