9月13日の青学大戦で、白星発進を果たした慶大蹴球部。関東大学対抗戦、慶大蹴球部はここまで開幕から3勝2敗と、掲げる目標「日本一」へ向けて歩みを進めている。
この先には、名だたる強豪校が立ちはだかる。そして11月23日、聖地・秩父宮ラグビー場で迎えるのは、第102回を数える伝統の早慶戦だ。慶大が2010年以降勝利から遠ざかっている宿敵・ワセダを前に、蹴球部員たちは今、何を思うのか。
今回はケイスポラグビー班が、井吹勇吾選手(環2・桐蔭学園)、藤森貴大選手(経3・慶應)、中谷太星選手(環2・東福岡)に対談形式でお話を伺いました(取材:11月14日)。ぜひ最後までご覧ください!
ーー他己紹介をお願いします
井吹→藤森:彼は藤森貴大で、正確なスローと持ち前のランが特徴の素晴らしいHOです。
藤森→中谷:こちらは2年の中谷くんです。二浪してSFCに一般入試で入っていて。本当に頭も良くて体も大きくてすごい好青年です。特に強いスクラムが特徴的で、ワセダ戦でも中谷くんの姿をぜひ見てください。
中谷→井吹:彼の名前は井吹勇吾くんで、同じSFC生です。彼はスクラムがすごく強いですし、器用なプレーも随所に見られるので、そこを見てほしいです。ラグビー部のアイドル的存在で、結構所作が可愛いので、トライした後のちょっと喜ぶ姿とか、そういうのを見てほしいです。
ーー今シーズン(春〜秋)を振り返って
井吹:全体を通してよかったと思っています。春シーズンは青学大に負けてしまって、最後落ち込んだ雰囲気でシーズン終わったんですけど、次の秋のシーズンは初戦から勝利できて。明治には惜敗してしまったんですけど、とてもいい試合ができたので、早慶戦、帝京戦に向けていい雰囲気でチームが仕上がっているんじゃないかなと思っています。
藤森:1年間通して、対抗戦に向けて良いチームになっていると思います。春季大会で、対抗戦のチームに対して1回も勝つことができなくて。その中で夏合宿の厳しい練習を乗り越えて、対抗戦も今のところ、全体として自分たちのやりたいことができていると思います。チームは今勢いに乗っているので、(この後)ワセダ、帝京という強豪校が続きますけど、ひたむきに慶應らしいプレーを続けて勝ちを取りにいきたいです。
中谷:僕も結構シーズンは好印象で、成長できてるっていう実感があります。
ーー今シーズン1番印象的な試合/プレー
井吹:明治戦です。困惑と、今までやってきた練習が実りきらず悔しい気持ちが溢れました。
藤森:対抗戦初戦の青学戦です。春季大会の一番最後に戦ったんですけど、そこで負けてしまって。去年までは「自分たちにチャレンジしてくるチームに対してしっかり勝つ」みたいな雰囲気だったんですけど、今年はその負けから、「自分たちがチャレンジャーとしてしっかり勝つ」という気持ちで挑むようになりました。
中谷:僕も明治戦です。結果負けちゃったんですけど、FW全体として結構戦えていた部分も、負けてる部分もあって、面白い試合でした。
ーー今シーズン辛かったことは
井吹:合宿のFWのセッションが一番しんどかったです。BKが先に帰って、相手の顔も見えないくらい真っ暗になった時に、スタッフの方が車に乗って、車のライトで(グラウンドを)照らしてくれて、スクラムを組み続けたっていうのが一番印象的ですね。
藤森:自分も一緒です(笑)。ほんとに長くてきつくて。空が暗くなって練習も終わりかと思いきや、車が出てきて、その明かりでスクラム組まされた時は、本当に日越しちゃうんじゃないかと思っちゃって。長すぎたので地獄でした。
中谷:僕は日々の練習です。ユニットっていうポジション別練習があるんですけど、ちょっと最近FWの疲労がすごくて、、、。BKよりきついと思います。
ーーそこからどう乗り換えたのか/乗り越えているのか
井吹:気合いです。
藤森:スクラムのセッションが毎週あって、その時間がどんどん長くなってくるんです。最初は21時ぐらいまでだったんですけど、最近はもう少し長くて。耐えと慣れで乗り越えています。
中谷:僕は無心でやってます。
ーー筑波戦をはじめ、ディフェンスが非常に良いと思うが、その要因は
井吹:個々のプレーと、1年生のフレッシュな人たちのタックルですね。申驥世(文1・桐蔭学園)や西野誠一朗(法1・桐蔭学園)あたりのフレッシュマンたちがバンバン体張ってくれるので、それがチーム全体を引っ張ってると思います。
藤森:この前の明治戦だと、伊吹央さん(経4・慶應)みたいな、FWだけじゃなくてBKも前に出てタックルして、しっかり1対1のコリジョンに負けない部分が80分通して出来続けてきたのが、試合全体での慶應のディフェンスの良さに結びついているんだと思います。
中谷:部員だったり、家族だったり、そういう身の回りの応援してくれる人たちの声援は力になります。
ーー今のスクラムの完成度は
井吹:明治相手に対等かそれ以上に組めてたと思うので、そう考えたら現時点で80点くらい出してもいいかなと思っています。ワセダ、帝京に戦えたら結果として100点だと思うので。完成度とかじゃなくて、勝てたら点数が上がると思います。
藤森:自分も点数をつけるなら70、80点ぐらいです。5戦やってきた中で、明治、筑波の強いスクラムに対してしっかり押せてる部分はあったのでいいと思うんですけど、前半ファーストスクラムでペナルティを出しちゃったりとか、一番最初のスクラムがちょっとうまくいってないので、入りからいい状態でスクラムを組めたらもっと点数あがると思います。
中谷:僕も二人と一緒なんですけど、やっぱり一貫性を持つことが一番大事かなと思います。最初のプレーでいかに自分たちのペースでスクラムを組めるかがワセダ戦のキーになると思います。
ーー明大戦からスタメン。過去4試合と心持ちは違ったか
藤森:春季大会でスタメンで出てたのもあったので、特段緊張したっていう感じはなくて。自分たちの与えられた役目、自分だったらスローイングを攻めるとか、スクラムを安定させるとか、運動量など、そこを意識して入ろうかなって思ってました。
井吹:出るタイミング違ったので、緊張するタイミングも違くて。そこがいつもと違って緊張してました。
中谷:僕も緊張はしてたんですけど、やることやるだけだと思ってたので、スタメンだからという緊張よりも、明治戦だからっていう緊張の方が大きかったですね。
ーーご自身の強みは
井吹:外の流しのディフェンスが得意だと思っていて、そこは一番見てほしいポイントです。
藤森:自分はフロントローにはないステップとか、あとたまに狙ったりするインターセプトとか。結構フロントローって、力強いボールキャリーとかをイメージすると思うんですけど、それとは違った一面を出せるのが強みです。
中谷:僕はこの大学生離れした見た目です。どれだけ相手を蹴落とせるか、怖気づけさせるか、という見た目の部分かなと思います。
一同:(笑)
ーー強みを磨くために普段から意識していることは
井吹:フィットネスのタイムに入れるとかですかね。
藤森:普段の練習で、ボールを積極的にもらいに行くとかですね。
中谷:僕は、この髭をどんだけ毎日剃って整えるかっていうことを意識して、身なりに気を遣っています。
ーー身体作りで心がけていることは
中谷:僕は早寝早起きですかね。
藤森:去年とか1年生の時は結構怪我とか病気とかが多くて、結構練習に出れていなくて。それで積み上げたものを失ってしまうことが多かったので、練習であんまり休まないっていうところを心がけています。
井吹:僕は逆にしっかり休むことを意識してます。ちょっと体調が悪かったらしっかり休むっていうところを意識してやってます。
ーーそれぞれ、同じフロントローの小川士潤(経2・慶應)、渥美和政(経4・慶應)、廣瀬宇一朗(環2・桐蔭学園)と自分の違うところは
井吹:強みが違うと思います。小川はセットプレーが強いと思うんですけど、僕はバックスラインでのディフェンスがうまいと思ってるので、そこはやっぱり違うなと思ってます。
藤森:渥美さんは4年生としてFWを引っ張っていく姿勢だったり、ラインアウトスローや力強いボールキャリーというところで自分とは違う強みを持っていて、尊敬してます。
中谷:ういち(廣瀬)はフィールドプレーがいいと思うんですけど、僕はういちよりもスクラムが強いのかな。あと一番は年齢が違う。その人としての熱さ、あと顔、髭ですかね(笑)。
ーー今まで対戦してきて強いと思ったフロントローは
井吹:平川慧さん(令7卒)です。平川さんのスクラムが一番強かったっていうイメージです。
藤森:対抗戦の中だったら、筑波大学HOの前川(陽来/体4・尾道)です。自分が結構近くで組みたい中で、うまく距離を取られて。いつもは押し切れるのに押し切れなかったです。
中谷:僕は井吹くんです。強いから。世代ナンバーワンPRだな(笑)。
ーー過去の早慶戦を振り返って
井吹:僕は去年出てて、中々の大差で負けたので、いかにひっくり返せるかっていうのがキーになってくると思います。
藤森:去年自分は観客席から観てたんですけど、速いテンポのアタックとか、力強いセットプレーで結構やられてたのを目の当たりにしました。セットプレーは相手も強みにしてると思うので、今年こそ、そこに対していかに戦えるか楽しみです。
中谷:去年僕は出てないんですけど、今年出たらやることやるだけなので、歯を食いしばって頑張ろうと思います。
ーー早慶戦での慶大のキーマンは
井吹:フロントローです。理由はないです。見てもらえればって感じです。
藤森:自分もフロントローです。
中谷:出るかわかんないですけど、キーヴァーブラッドリー京(総2・常翔学園)。とにかく強い。去年も早慶戦に出て途中で怪我しちゃったんですけど、あいつのプレーは見ていて結構ワクワクするので。そしてもし出たら多分1年ぶりの復帰戦になるので、期待したいです。
ーー思い入れのあるワセダの選手は
井吹:前田麟太朗(スポ2・桐蔭学園)です。高校が一緒で、高校の時はどっちもAチームだったっていうのもあって、お互い(一緒にスクラムを)組んだことはないんですけど、初めての直接対決だと思うので、そこは意識してます。
藤森:自分は一貫校出身で相手選手との関わりもあまりないですけど、唯一関わりがあるのは、SHの大賀雅仁(スポ3・桐蔭学園)です。中学校選抜の時自分はFBをやっていて、そこで一緒になって、そこから高校でも大学でも試合が終わった後に結構話しているので、戦えたら嬉しいです。
中谷:植木太一(人科2・関東学院六浦)選手です。同じく二浪しているので。
ーーそれぞれにとって早慶戦とは
井吹:憧れの試合です。
藤森:夢の舞台ですね。幼稚舎でラグビーをしていて、そのときから秩父宮で早慶戦を観て、自分も出たいと夢見ていました。その場に立つことにプライドを持って戦いたいと思います。
中谷:身の回りの人への感謝だったり、勇気づけだったり。僕らが一番できるのはそういったプレーで見せることだと思うので、そういう意味では大舞台でプレーできるっていうのはちょっと特別感があるかなと思います。
ーー早慶戦で注目してほしい自分のアピールポイントは
井吹:前田とのスクラムに注目してほしいです。
藤森:自分もスクラムはこの1年間、積み上げてきたものがあるので、それを見てほしいです。
中谷:FW全体のプレーを見てほしいです。日頃きつい練習してるので、早慶戦のような大舞台で結果が出たら嬉しいです。

ーー早慶戦への意気込み
井吹:憧れの舞台で勝ち切れるように頑張ります。
藤森:夢の舞台でプレーできることに感謝して、慶應義塾の代表として責任と誇りを持って、自分の役割を全うします。
中谷:凛とした態度で力強く頑張ります!
ーー貴重なお話をありがとうございました!
(取材:月井遥香 記事:中原亜希帆)


