【What is 〇〇部?】アクセル全開の挑戦!技術で魅せるモータースポーツ/File.33 自動車部(前編)

自動車

慶大の体育会を深掘りしていく連載企画、「What is 〇〇部?」。第33回目は自動車部!創部からの歴史は長く、OB・OGとの結びつきも強い慶應義塾自動車部。運転、走行はもちろん、整備まで部員たちで行って活動しています。今回は、日吉の自動車部専用練習場にて、西村京夏選手(法3・田園調布雙葉)、梅村燎選手(理2・慶應)をはじめ、部員・卒業生の皆さまに取材を行いました。

前編では、部の活動、部の雰囲気、自動車部あるあるなど、自動車部に関する情報を掲載しております!

モータースポーツとは

自動車やオートバイなどを使って、速さや技術を競うのが「モータースポーツ」だ。モータースポーツの種目は多岐にわたるが、慶應自動車部では、ジムカーナ、ダートトライアル、フィギュアの3種目に取り組んでいる。 

ジムカーナ

ダートトライアル

ジムカーナとダートトライアルは、1台ずつ走ってタイムを競うスピード競技。ジムカーナは舗装路、ダートは未舗装のデコボコした路面を走る。フィギュアは、駐車の延長のように「決められた場所に正確に車を運ぶ」運転の正確さを競う、ややマニアックな競技である。

フィギュア

アスファルト路面で行うスピード競技は、参加しやすく練習環境も整えやすいため、多くの大学が取り組んでいてレベルアップもしやすい。一方で、荒れた路面では故障やクラッシュなどのトラブルも多く、運転技術に加えて整備力も求められる。フィギュア競技は単にスピードを出すだけでなく、ハンドル操作やバックなど車の動きを細かく理解していないと攻略が難しい。

活動場所

授業期間中の練習は、主として日吉練習場で実施している。日吉の自動車部専用練習場は、通称「イタリア半島」。上から見たときにイタリアの形をしていることが由来らしいが、発祥は不明なようだ。

大会は富士や三重県鈴鹿、栃木県、広島県など各地で開催されるため、直前期には金曜日に出発し二泊三日で現地に赴き、土日を用いて集中的に練習を行うことが多い。

活動頻度

活動日は原則として週5日。大会が近づく時期には週6日になることもある。基本の活動時間は、平日は7時〜12時、休日は9時〜16時。

練習前に集合

また慶應の自動車部では、全員が揃って活動することを重視している。平日は1限・2限の授業で抜ける部員が多いため、7時に必ず集合し、1限の部員は約30分、2限の部員は約45分だけ参加して授業に向かうなど、限られた時間で参加できるよう時間帯を早めて運営している。

活動内容

遠征先では実際に走行練習を重ねる一方、日吉のイタリア半島では主に車両整備や遠征準備など、走行に向けた下準備を中心に活動している。実走行を行う日もあるが、全体としては活動の半分以上が準備作業に充てられている。

走行はもちろん、整備も部員が行う

走行前にコースの確認(慣熟歩行)

1年生は、3・4年生の先輩から走行や整備の指導を受けて技術を習得していく。実際の練習や遠征の場では、OBによる実地指導も行われている。

部の雰囲気

雰囲気は明るく、休日や授業の空き時間を活用して遠征に出る機会も多いため、活動参加率はかなり高い。基本的に全員そろって活動するため団体意識が強く、その点が他大学の自動車部との違いとなっている。また、いわゆる「大の車好き」だけでなく、新しいことに挑戦したい、競技を経験してみたいという動機で入部する部員も多い。

そして、初心者は半分ほど。マニュアル免許は最終的に取る必要があるが、最初は持っていないことが基本のようだ。

塾高自動車部とのつながり

塾高は日吉練習場では、運転の基礎練習に加え、競技としてフィギュアを実施しており、フィギュア大会で用いるコースなども併せて練習している。

塾高自動車部の出身者は年に1~2人程度とばらつきはあるが、一定数入部している。高校ではフィギュアしか取り組めずジムカーナなどのスピード競技ができない場合が多いため、そうした種目にも挑戦し、より幅広くモータースポーツを続けたいという学生が大学でも自動車競技を続けるようだ。

自動車部あるある

部車で全員で安全確認、声出しすることに慣れすぎてしまい、プライベートでもつい周りの車の動きや安全確認が気になってしまうそうだ。日常生活で、他人の運転に対して指導したくなることも。

大会について

部としては、全関東ジムカーナ・ダートトライアル・フィギュアと、その上位大会である全日本ジムカーナ・ダートトライアル・フィギュアの計6大会を重視している。全関東で結果を残さなければ全日本へ進出できないため、まずは全関東での上位入賞を目指している。そのうえで、3競技の総合成績が最も優れた大学に与えられる「全日本総合杯」の獲得を年間最大の目標とし、JAFから授与されるこの栄誉を目指して日々活動している。

 

活動場所や保有車両の台数、OBの厚い支援など環境に恵まれており、全日本総合杯を十分に狙える土台が整っている。本気で日本一を目指したい人にとって、慶應の自動車部はその思いに応えてくれる環境が用意されている貴重な場所といえるだろう。今後の慶應自動車部の躍進に目が離せない。
 
 
(取材:小野寺叶翔、中原亜季帆、水野翔馬)
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