ジュニア選手権4連敗を喫した慶大。カテゴリー1残留に向け、絶対に負けられない入替戦。経験豊富な面々をスタメンに連ね、筑波大を相手に迎えた。序盤から筑波大の堅実な攻撃にディフェンスを突破され、点差を広げられる展開に。慶大の得点機は0-21で迎えた前半中盤、#石垣慎之介(政4・慶應志木)が外側でロングパスを受けトライ。前半終了間際には#大川竜輝(理4・慶應)がパスダミーを見せながらディフェンスを交わし追い上げのトライを見せた。しかし同点には届かず、7点ビハインドで前半を折り返す。
後半も先制を許したが、9分には後ろから回り込みパスを受けた大川が敵陣を独走しこの日2トライ目を決めて慶大に勢いを与える。しかし、得点後の筑波大の集中攻撃により、試合終盤での石垣のトライ以外に得点機は訪れず、26-60でノーサイド。この試合でカテゴリーの入替が決定した慶大だが、執念で敵陣を突破する4年生の躍動が目立った。「日本一」に向けあと1ヶ月強、蹴球部は前を向き続ける。
2025年12月7日(日)第47回関東大学ジュニア選手権大会入替戦 対筑波大学 @慶大下田グラウンド
⚫︎慶大 26{14―21、12―39}60 筑波大⚪︎
第47回関東大学ジュニア選手権大会 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/12/7(日) | 筑波大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
2 | 2 | トライ(T) | 3 | 5 |
2 | 1 | コンバージョン(G) | 3 | 4 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 2 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
14 | 12 | 計 | 21 | 39 |
26 | 合計 | 60 | ||
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 山中 優太郎 | 177/102 | 商4 | 慶應 |
2 | 山中 悠伍 | 177/95 | 経2 | 慶應 |
3 | 渡邉 哲暉 | 175/106 | 政4 | 慶應 |
4 | 笠原 大介 | 180/96 | 商4 | 慶應 |
5 | 矢﨑 隼太 | 184/97 | 政4 | 県立千葉 |
6 | 小川 和真 | 176/78 | 政1 | 茗渓学園 |
7 | 米津 幸治 | 175/91 | 商4 | 慶應 |
8 | 本田 李成 | 179/90 | 政1 | 慶應 |
9 | 森 航希 | 170/75 | 環3 | 桐蔭学園 |
10 | 大川 竜輝 | 172/85 | 理4 | 慶應 |
11 | 石垣 慎之介 | 175/84 | 政4 | 慶應志木 |
12 | 百田 航 | 182/82 | 政4 | 慶應 |
13 | 山本 大悟 | 174/85 | 環4 | 常翔学園 |
14 | 草薙 拓海 | 177/87 | 政1 | 桐蔭学園 |
15 | 江頭 駿 | 174/82 | 経4 | 慶應 |
16 | 安藤 佑真 | 174/84 | 政1 | 慶應志木 |
17 | 西澤 賢佑 | 178/109 | 文4 | 膳所 |
18 | 浦城 尚生 | 176/105 | 商2 | 慶應 |
19 | 髙橋 優太朗 | 180/85 | 商1 | 慶應 |
20 | 持木 太心 | 180/95 | 総2 | 桐蔭学園 |
21 | 杉山 雅咲 | 170/75 | 総4 | 大阪桐蔭 |
22 | 久保田 康大 | 174/85 | 理4 | 宮崎西 |
23 | 笠原 悠真 | 178/82 | 政3 | 慶應 |
筑波大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 小澤 一誠 | 172/102 | 医4 | 國學院久我山 |
2 | 門脇 遼介 | 175/100 | 体育4 | 桐蔭学園 |
3 | 寺山 公太 | 176/108 | 国際総合2 | 川越東 |
4 | 加島 優陽 | 189/93 | 体育2 | 石見智翠館 |
5 | 加藤 颯人 | 181/98 | 障害科学4 | 春日井 |
6 | 髙木 海斗 | 174/94 | 体育4 | 筑紫 |
7 | 城戸 隼人 | 176/91 | 体育4 | 獨協埼玉 |
8 | 杉崎 玖宇 | 174/83 | 体育4 | 國學院久我山 |
9 | 高田 健太郎 | 163/70 | 体育4 | 小樽潮陵 |
10 | 水澤 雄太 | 181/84 | 体育3 | 茗溪学園 |
11 | 森尾 大悟 | 175/81 | 体育2 | 茗溪学園 |
12 | 今村 颯汰 | 169/78 | 体育3 | 福岡 |
13 | 飯岡 建人 | 184/85 | 体育3 | 流通経済大附属柏 |
14 | 深田 衣咲 | 172/80 | 体育1 | 東福岡 |
15 | 増山 将 | 177/83 | 体育3 | 東海大附属大阪仰星 |
16 | 前澤 徹馬 | 171/96 | 社会4 | 神戸 |
17 | 大坪 大悟 | 169/96 | 生物資源4 | 筑紫丘 |
18 | 黒澤 俊太郎 | 172/103 | 社会3 | 浦和 |
19 | 星 凌太 | 177/93 | 体育4 | 佐沼 |
20 | 志賀 祐平 | 180/94 | 医1 | 修猷館 |
21 | 廣瀬 研太朗 | 168/72 | 体育3 | 茗溪学園 |
22 | 安藤 核 | 173/78 | 社会4 | 浦和 |
23 | 谷川 智樹 | 175/85 | 体育プロ1 | 崇徳・朝日大 |
一段と寒さが増し、冬の訪れを感じさせる気温の中行われたジュニア選手権入替戦。慶大のキックオフから始まった前半6分、慶大のパスが乱れたところを筑波大にキックパスでつながれる。外側でトライを奪われ、先制点を許す。その後、慶大は粘り強いディフェンスで相手のペナルティを誘い、敵陣22mライン付近でラインアウトを獲得する。しかし、そこからボールを奪われ、キックを使ったアタックで前半11分、再びトライを許してしまう。その後もキックの攻防から左右に展開するアタックに対し、慶大は決死のディフェンスを見せるもその隙を突かれてトライを献上し、0-21と点差を広げられ、苦しい展開に。
しかしここで終われない慶大は意地を見せる。前半22分、筑波大のオフサイドから敵陣22mライン際でラインアウトを獲得し、そこからSO大川が外側へロングパスを出し、そのボールが外側のWTB石垣につながり、石垣が持ち味のランで走り切りトライを奪う。その後、CTB百田がコンバージョンキックを華麗に決め切り、7-21と点差を縮める。

また前半終了間際には、敵陣内での慶大ボールのスクラムから左右に展開し、WTB草薙、CTB山本がゲインしてじりじりとゴールラインに近づく。最後は百田からパスを受けた大川がパスダミーを駆使しながら相手のディフェンスを翻弄し、ハンドオフで相手をかわしつつトライを取り切った。百田がコンバージョンキックを難なく決め、14-21と良い流れに乗ったまま前半を折り返す。

1トライ1ゴール差をなんとかひっくり返したい慶大。しかし後半開始直後も、自陣深いところで取られたラインアウトからそのまま押し込まれ、先制を許す。
これ以上の失点は許されない中、筑波大のキック中心のアタックに対して積極的なディフェンスで止めにかかる。9分、自陣での筑波大のパスの乱れを誘ってマイボールとすると、森のエリアを戻すキックでチャンスを創出する。
ラインアウトを冷静に成功させ、左右に揺さぶるパス回しで徐々に敵陣に攻め込む。森にボールが渡ると、後ろから回り込んできた大川にパスを渡す。スペースを見つけた大川はディフェンスを振り払いながら敵陣を独走。そのままトライエリアに飛び込んだ。百田のコンバージョンもしっかりと決まり、スコアを21-28とする。

筑波大に近い距離のパスを繋がれ自陣に攻め込まれる時間が多かった一方で、ハイボールをキャッチした相手選手に堅実にタックルする草薙や、相手FWのゲインを体を張って止める大川らを起点に相手のペナルティを誘発し、耐え続ける。しかし、慶大の素早いパスと筑波大の力強いタックルが激しく絡み合い、敵陣でチャンスを掴みに行ってもノックフォワードでエリアを戻され、得点に結びつけられない場面が連続した。
21-48で迎えた50分、途中出場の持木が相手の隙を縫って一気にゲインすると、その後ボールを受けた杉山がディフェンスをかわしながら、外側で待っていた石垣にパスを放る。そのままライン際を駆け上がり、石垣がこの試合2つ目のトライを収めた。

スコアを26-48とし、ここから反撃に取り掛かりたかった慶大だが、この後も筑波大にキックを駆使されながら自陣を明け渡し、連続トライを許す。最後まで敵陣深くまで入り込めず、26-60というスコアでノーサイド。春季大会、秋季対抗戦に続いてここでも筑波大に敗戦を喫し、カテゴリーの入れ替えが決定した。
慶大蹴球部が後に残すは大学選手権のみ。チーム一丸となって課題を見直し、まずは1戦目、大阪・花園ラグビー場での試合を迎える。注目は4年生の石垣。昨年度大学選手権でトライも決めたトライゲッターは今季怪我からの実戦復帰後、ジュニア東海大戦・早大戦・帝京大戦・ジュニア筑波大戦の4試合で計6トライを記録し、進化し続けている。いずれも石垣の代名詞でもある「スピードを活かしたラン」でチームの停滞した流れを打開するという役割を全うし、存在感を見せている。”志木高のスター”が高校生より一足先に花園で爪痕を残し、チームを選手権1勝目に導いてくれるだろう。
以下、選手インタビュー↓
ーー今日の試合を振り返って
やりたいことができずに、完敗してしまったという感想です。
ーー 筑波相手にどのような準備をしてきたか
自分たちが一年間やってきたことを、ジュニア戦は最終戦なので、そこで特にディフェンスのところをやろうと思っていたんですけど、なかなかそこが上手くいかずというところでした。
ーー BKとしてキックを多く使っている印象でしたが、どのようなゲームプランだったか
しっかり、ハイパントのところであったり、途中からプランをそこにフォーカスしようという風にしたんですけど、なかなか流れをつかみきれなかったというのがよくなかったなと思います。
ーー 選手権に向けてチームとしてどのように準備していきますか
今日でうまく流れを作りたかったところなんですけど、できなかったので。これを糧に、逆にバネにして選手権につなげていけたらなと思います。
ーー今日の試合を振り返って
振り返ってみれば最初3本取られちゃったところが敗因かなと。前半2本(トライを取り)返して、前半の終盤と後半の序盤はいい勝負できたけど、その最初に取られた3本を捲りきれなかったから、そこかなと思います。
ーー一つ目のトライは春の筑波大戦でのトライと似たようなプレーのように見えたが
BKが縦に行く展開がすごく作れていて、航(百田)から縦のところに相手が寄ってくれたので自分が前に行って決めれました。確かに、春の筑波戦の時と似た感じでしたね。
ーー二つ目のトライは
実はボールをもらう前、前が空いていなくて絶望だったんですけど、航希(森)からボールをもらったときは前が開けて、「パスしようかな、蹴ろうかな」と思いつつ、「走れる!」と思って独りで走り抜きました。
ーー選手権に向けてチームとしてどのような準備をしますか
この試合で来年からジュニアはカテゴリー2となるのが決まってしまったけど、今後ろを見ていても仕方がないので。来週(14日)、選手権が大阪であるのでそこに向けて、個人としても、チームとしてもいい準備をしていきたいなと思います。
(取材:島森沙奈美、月井遥香)

