【ハンドボール(男子)】4年生ラストゲームで猛攻 ワセダを追い込むも6点差届かず/第73回早慶ハンドボール定期戦

ハンドボール

雨が降り、凍てつく寒さとなったこの日、第73回早慶ハンドボール定期戦(男子)が行われた。早大は秋季リーグ1部7位、慶大は2部7位という結果に終わり、悔しさを残したまま迎えた伝統の一戦。4年生にとってはラストゲームとなる舞台であり、これまで積み重ねてきた時間の集大成をぶつける機会でもある。会場には両校の應援指導部、応援部が駆けつけ、開始前から熱気が漂った。敵地・早稲田アリーナに乗り込んだ慶大にとっても、その空気に飲まれず自分たちのリズムをつくれるかが問われる。リーグの結果は同じ「7位」。しかし、早慶戦は順位では測れない重みを持つ。伝統の一戦が、始まろうとしていた。

慶大は序盤、積極的な仕掛け、集中力の高い守備で拮抗した入りを作った。しかし中盤以降は相手の堅い守備と速い切り替えに押し込まれ、攻撃が停滞する中で速攻を許して連続失点。点差が開いた場面で7人攻撃を選択すると、守備の好プレーを起点に得点を重ね、前半終盤に反撃の形を作って折り返した。後半は立ち上がりから一気に流れを引き寄せ、好守からのロングスローなどで勢いを加速。連係からの得点や1対1を着実に決めて逆転し、会場の空気も慶大のリズムになった。しかし中盤以降、再び連続失点して主導権を奪われ、終盤は食らいついたものの早大の勢いを押し返しきれず、最終的に6点差で敗れた。


2025/12/14(日) @早稲田アリーナ

第73回 早慶ハンドボール定期戦(男子)

 

前半

後半

合計

慶大

14

23

早大

13

16

29

◇慶大スターティングメンバー◇

GK

#1  鈴木悠斗(環4・桐光学園)

LB

#2  川瀬寛人(経4・慶應)

CB

#6  嶋田涼太(環2・桐光学園)

RB

#3  中村信介(政3・桐光学園)

RW

#17 村田秀斗(経1・熊本マリスト)

PV

#18 太田滉人(環1・慶應)

LW

#11 大塚賢太(政1・慶應)

立ち上がり、慶大は先制を許したものの、2分に村田秀斗(経1・熊本マリスト)が右サイドから中央へ侵入してパスを受け、積極的にシュートまで持ち込む。ここは相手GKに阻まれたが、直後に迎えた早大のカウンターでは主将GK鈴木悠斗(環4・桐光学園)のナイスセーブを見せ、追加点を与えない。3分には嶋田涼太(環2・桐光学園)が力強いシュートを沈め、試合を振り出しに戻した。慶大は序盤、集中力のあるディフェンスで相手に簡単な得点を許さず、拮抗した入りを作った。

積極的に攻撃を仕掛けた村田

しかし中盤以降、早大の素早い切り替えに対応しきれず、連続失点で苦しい展開となる。相手の堅守に攻撃を停滞させられ、守っても直後の速攻で走られる形が増え、守備と攻撃の間でリズムを掴めない時間が長引く。

そこで慶大は、点差が開いた場面で7人攻撃を選択し、攻撃の圧力を高める。17分にはGK鈴木が再び好セーブでチームを救い、直後に嶋田が左サイドで受けて切り込み、反撃の一撃を決める。さらに19分には大塚賢太(政1・慶應)がGK鈴木からのロングパスを受け、そのまま決め切って勢いをつけた。

終盤は嶋田が個人技と決定力で存在感を際立たせる。左サイドでの切り込みに加え、アンダーハンドからの強烈な一撃、そして高い打点からのジャンプシュートと、多彩な得点で攻撃をけん引。慶大はこの時間帯に生き生きとしたプレーを取り戻し、苦しい流れの中でも追い上げられる手応えを示す。しかし、前半の連続失点が響き、リードを奪うまでには至らず、ビハインドのまま前半を終える。

この日9ゴールを決めた嶋田

後半、慶大は立ち上がりから一気に流れを引き寄せる。開始直後、村田が相手の強いプレッシャーを受けながらも切り込んで得点し、続く場面ではGK鈴木の足での見事なセーブから、約40mのロングスローを受けて村田が決め切る。守備のビッグプレーがそのまま得点につながり、会場の空気も慶大のリズムに傾く。

1年生の活躍が光る

さらに川瀬寛人(経4・慶應)がこの試合初得点を挙げると、太田滉人(環1・慶應)が川瀬とのワンツーから得点し、中央でフリーになった場面でもGKとの1対1を落ち着いて決め切る。鈴木も連続の好セーブで勢いを後押しし、大塚の得点も重なって、慶大は後半序盤に試合をひっくり返す展開を作る。オフェンスでは特に1年生の躍動が目立ち、強度の高いディフェンスを受けながらも最後までやり切る場面が続く。

随所で好セーブを見せた鈴木

中盤以降も、嶋田がGKとの1対1を冷静に沈め、中村信介(政3・桐光学園)がディフェンスの間を抜くディスタンスシュートを決めるなど、慶大は多彩な形で得点を重ねる。しかし、ここから早大が再び主導権を握る。16分以降に連続失点が続き、流れを止めきれない。早大の速い展開と、守ってから一気に走る形に対応が後手に回る。

ここまでチームを支えてきた副将・川瀬

終盤、慶大は川瀬の得点や村田の追加点、嶋田のサイドからのブラインドシュートなどで食らいつき、最後には中本一摑(理1・国立)もこの日初得点を挙げて意地を見せる。それでも、後半中盤の連続失点の波を押し返しきれず、最終的には6点差で敗れた。

途中出場から得点を決めた中本

打倒ワセダの思いは後輩たちに託された

(記事:小野寺叶翔 取材:塩田隆貴、小野寺叶翔)



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