12月11日(日)の関東Jr.選手権決勝を目前に控えた慶大蹴球部。特集第2弾では、Jr.チームのFwdを支えるLOの南善晴(環4)、遠藤洋介(環3)の両選手にお話しを伺った。まさに十人十色と言える慶大LO陣の素顔、Jr.選手権の総括、そしてJr.選手権決勝への抱負や大学選手権を見据えた今後の意気込みを語っていただいた。
――Jr.選手権のリーグ戦の戦いぶりを振り返っていかがですか
南 全体としてはAチームがあまり勝ててない現状なのですが、Bチームは勢いがあります。みんなAチームを目指していますし、ここで勝つことが何よりも自分のアピールだという気持ちが強いので。僕は4年生として引っ張ることもありながら、引っ張られるところもあるので、すごくたのもしいチームだと思っています。
遠藤 接戦を何度もものにできているな、と思います。すごくいいチームです。
──現在のBチームの強みとは
南 おそらく「自分たちは強くない」と思っていることとこそが強みなんじゃないかな、と思います。Aチームと練習していると、う「自分たちには何ができるんだろう?」と模索しますし、「このプレーは活きる、このプレーは活きない」というのも判断しています。謙虚な姿勢が他のBチームより強くなっていけた要因だと思います。
遠藤 あとは勢いがありますね。だんだん自信が持ててきているのも強みになっていると思います。
──Jr.選手権でのご自身のベストプレーを挙げてください
遠藤 南さんは早大戦のタックルじゃないですか?あの恐ろしいやつ(笑)。僕後ろから見ていたんですけど、すごかったですよ。
南 そう言ってもらってるんで、早大戦で良いタックルをしたらしいのでそれでお願いします(笑)。そうですね、遠藤のいいところは僕たちLOはラインアウトでの空中戦を任されている訳なんですが、相手の分析をこまめにやってくれているところです。
遠藤 それは南さんがやらないだけじゃないですか(笑)!全部の僕に任せるんですよ!
南 それ今日(インタビューで)言うな、って言ったじゃん(笑)! ラインアウトの全プレーが遠藤の責任なので、ベストプレーと言われると難しいですね。遠藤のベストプレーは自分で挙げようか(笑)?
遠藤 僕として嬉しかったのは、セカンドフェーズの明大戦でラインアウトの14本中14本取れた、ということですね。
──Jr.チーム全体的に良くなっている点というのはありますか
遠藤 タックルじゃないでしょうか。最初タックルは悪かったと思うんです。東海大戦などは特に。
南 セットプレーの安定はここ最近できてきましたね。遠藤様のラインアウトも好調ですし。徐々に仕上がってきましたね。
──逆転勝ちをした、先日のセカンドフェーズの明大戦を振り返って
遠藤 慶大は明大とすごく相性が悪いんですよ。去年もJr.チームは明大にボコボコにされていますし。
南 苦手意識は確実にありました。でも感覚としてはいけるんじゃないか、というのが僕らの中にはありました。僕は試合前にゲームキャプテンの宮内(総4)と話していて、「やはりどんどんタックルで前に出よう」ということを、いつもは言わないのに言っていました。気持ちが乗った感じです。あとは「苦手なんだよな」と思うくらいにして、緊張しすぎなかったこと、負けていたので気持ちも上手くみんなまとまって、全体として良い感じで勝てたんじゃないかな、と思います。
──あのセカンドフェーズの明大戦から得た収穫はどんなものでしたか
遠藤 敵陣勝負できたことですかね?大きいFwd相手に自陣で勝負をするのでは危ないんで、良かったです。あとはブレイクダウンが良かったことですね。雨の中の関東戦ではブレイクダウンで結構やられていたので。明大戦は人数かけたのもありますが、かなり良くなりました。
南 大きい相手に対してでも、ちゃんとやっていけるんだ、という気持ちはついたと思います。あの試合後、WTBの鈴木貴裕(経3)がAチームに上がったんです。やはりみんなゴールはJr.チームではないので、Aチームを目指せるし、ちゃんと自分たちは見てもらっているんだ、と思えたその気持ちはプラスになったと思います。
──南選手、遠藤選手ご本人のことについて伺います。お互いのプレーの良いところは
遠藤 居てくれると安心感がある、ってことですかね。キャリアーでもブレイクダウンに入った時でも、南さんは大きくて力もあるので、安心感がありますね。
──遠藤選手はもう一人のLOが南選手でないと、違和感などあるのですか
遠藤 違和感…ありますね。この夏秋とずっと一緒にやっていたので。
──では、南選手の考える、遠藤選手のプレーの良いところは
南 僕がちょっと大振りを狙ってしまう性格なんですよ。タックルでもインパクトでも。そういう性格を把握してくれていて、遠藤は堅実なプレーをしてくれます。ピッチャーとキャッチャーじゃないですけど、本当に遠藤は女房役って感じですね。僕も遠藤じゃないと困る点はありますね。ラインアウトの分析は任せっきりっていうのは良くないんですけど(笑)、でも遠藤の言う言葉だったら信じられるし、逆に遠藤に任されたことはしっかりやろうと思えます。
──では、お互いにもっと頑張って欲しいと思う点は
遠藤 運動量ですね。それはまあ僕がカバーしている面もあるんですけど、南さんが運動量を増やすともっと勢いがつくと思います。
南 いや…ないです。遠藤にはないです!慶大のLOって1人は堅実、1人はパンチ力のある人、みたいな組み合わせが多いんです。そういう意味では彼の堅実なプレーというのは群を抜いていると思うんです。僕はそれに対してパンチ力の方で頑張っていかないといけないので。
──慶大のLO陣で、「この選手のあのプレーがいいな」と思うものはありますか
南 慶大のLOはみんなキャラクターと持ち味が違うのでみんな良いです。特にこれ、という訳ではないかもしれないです。たとえば栗原(総4)の瞬発力、藤本(環4)のパンチ力、熊倉(政4)の接点での激しさなど、そういうのを少しずつ吸収して、LOのエキスパートになりたいな、とは思います。でも特に…というのは難しいんですね。
遠藤 今年の4年生はLOが多くて、全部いいところ吸収したいと思います。強いて言うなら僕はラインアウトのサイン出しに関しては、ちょっと負けたくないな、と思っています。
──LOの選手同士は仲が良いのですか
遠藤 LOって変わった選手が多すぎて。仲はいいんですけど…
南 馬が合う感覚は全くないです(笑)!
遠藤 それは全くです(笑)。でもLOでよく集まって色々やってたりします。
南 昨日もご飯食べにいって、その時はOBの方もいたのでまだ静かだったんですけど、帰りの電車の中ではみんな好き放題喋ってて。うるさいねぇ(笑)。
遠藤 ただでさえ大きいじゃないですか僕らって(笑)。電車でもすごく目立つのに、大声で。まあ仲はとてもいいですよね。
──帝京大戦に向けての話になりますが、まず今の調子はいかがですか
遠藤 上がってきているとか言われてますけれども、あまり実感なくないですか?
南 ない。いつも通りな感じです。明治戦だったり早稲田戦だったりの前と気持ちは変わらなくて。僕に関しては最後の年の大学選手権のトーナメントが出て、ジュニア決勝を含めて指折りしても5回しかない中で、どう見せるかっていうのは常に考えています。もちろん健康管理にも気を使っているので、いつも通りな感じのコンディションの合わせ方ができますね。
──現在練習で重点をおいて取り組んでいることはありますか
南 Fwd全体ではモールの強化です。個人的にはボールをもらう回数を増やしてアタックしたいというのと、相手が高いボールを蹴って上げたときとかも積極的に取りに行くなど身長を活かした僕らしいプレーというのを目指したいので、そういうハイボールは競りにいきたいという感覚がありますね。
──それはやはり得点力にも結び付けたいというのはありますか
南 そうですね。あと、目立つと自然とAチームが近くなると思うので、それを狙って。ボールを持つと注目が集まるので。それでそのまま得点になれば、南いいなって上げてもらえると思うので、それを考えています。
──一度リーグ戦で逆転勝利もありましたが、今年の帝京大の印象は
南 僕はその試合出てないんですよ。今回Bチームでの帝京戦は初なので、とりあえず帝京には負けたっていうイメージしか僕はないので、チャレンジするっていう気持ちだけですね。
遠藤 僕は出てました(笑)。でも、勝ったから次も勝てるとは誰も思ってないのでチャレンジの気持ちなんですけど、帝京の大きなFwdはスクラムがすごい恐いので、スクラムでどれだけマイボールが出るかとか、そういうところが大事になってくると思いますね。
──帝京大にライバルの選手はいますか
遠藤 ライバル?マニング選手出るんじゃないですか?あと、1年生の小瀧選手でしたっけ?大きい選手もいて、そのどちらかは出てくるんじゃないですか。勝ちたいですね。
南 僕はどんな試合でも絶対に、どの選手にも固執することはしないようにしてるんですよ。なのでライバルはいないんです。どの選手にも勝つ。それだけですね。
──Jr.選手権はV2もかかっていますが
遠藤 特別な思いですけど、出れば関係ないですね。さらに言うと、僕らの目標はここじゃないんですよね。大学選手権に出たいので。
南 表向きコメントは伝統ある黒黄だから…ってやつなんですけど、言うなれば偽物の黒黄なので。
遠藤 偽物の黒黄ですもんね。
南 そんなところで満足しないんで。ここで緊張するんだったらAチームで出たときどれだけ緊張するんだって話なので、多分しないと思うし、僕が緊張しそうなときはみんなの顔を見て落ち着きたいと思います。
──決勝戦は観客が多いと思われます。モチベーションが違ったりはしますか
遠藤 大舞台だとやっぱりありますよ。ジュニア早慶戦もすごかったじゃないですか。ギャラリー多い方が燃えませんか。あまり関係ないですか。
南 いや、俺はね、全然思わない(笑)。基本的にはグラウンドの外に興味がないんですよね。仲間がゲキを飛ばしてくれるのは本当に嬉しいことなんですけど、グラウンドに立ってる15人、ベンチ含めて22人が完全な今プレー出来る仲間であって、そいつらがいるだけで十分頼もしいので、あまり周りに感化されるということはないです。
──Jr.選手権決勝の舞台で、自分のここを見てほしいというのはありますか
南 ボール持つ回数を増やして、インパクト見せて、高いボールもキャッチして、と意識していることをやりたいです。OBの方にも「それがLOの仕事だ」って言われているんですけど、あんまり最近Aチームでも本当にインパクトのあるプレーをしているLOを見ないんですよ。一つ一つが堅実で、抜かりないプレーをしているのはすごくいいことだと思うんですけど、やっぱLOに必要だとされている、ボールを持ったインパクトとハイボールキャッチを見てほしいです。
遠藤 僕はやっぱりラインアウトと、ブレイクダウンの激しさじゃないですか。本当にオールラウンドっていうような。
──今まで何度もゲームキャプテンを務めていた宮内選手がケガをしてしまいましたが
遠藤 ショックでした。突然でしたもんね。練習中に突然しゃがんじゃって、どうしたんだろって思ったら、もう歩けてなくて…。
南 彼なりに今一生懸命にやっていて、絶対に出たいんだという気持ちは前面に出ています。僕たちは彼が出ることを望んでいるし、出られる最大限のバックアップができる環境を作って待っているっていう感じですね。
遠藤 僕が言うのもおかしな話かもしれないですけど、宮内さんって、すごくいいプレイヤーなんですけど、なかなかAチームに出られてないんですよね。やっぱりこのジュニア選手権を戦っていくにあたって、ジュニア選手権決勝って4年生が黒黄を着れるチャンスなんで、そういうモチベーションは僕の中でもすごいあったんですけど、ケガしたってのはショックでした。でも、Bチームにいる4年生はみんな熱いのでそこは大丈夫なんですけど、一人いないっていうのは寂しいです。
──Jr.選手権も決勝戦ということで気持ちも高まっていたりしますか。それともやはり平常心でしょうか
遠藤 平常心ですよ。
南 たぶん前日の夜とかになったら勝手に高まると思います(笑)。身内のことなんですけど、今回大学に入って初めて父親と母親が僕の出る試合を見に来るんです。父親は元ラガーマンだったんですけど、それにすごい憧れてて。父親にラグビーしているところを見せられるっていうのはすごい嬉しいことなんで、今は平常心だけど、前日とかになったら一人で寮で吠えてるかもしれないですね(笑)!
──最後に、webを見ている方へメッセージをお願いします
南 もはや大学選手権の前哨戦のようなもので、慶應に今勢いを生むのはBチームで、そういう意味でも絶対にジュニア選手権決勝を勝利したいと思うので、ぜひ秩父宮に応援に来てください!
遠藤 (拍手)さすがです!
──お忙しい中ありがとうございました!
By Akane Takahashi
南 善晴(みなみ よしはる)
大分舞鶴高を経て、現在環境情報学部4年生。屈強なフィジカルを活かし、低く刺さるタックルやブレイクダウンの攻防などで活躍を見せている。そのパンチ力は慶大LO陣随一。1㌢89㌢、95㌔。
遠藤 洋介(えんどう ようすけ)
国学院久我山高を経て、現在環境情報学部3年生。今季はJr.選手権の全試合に出場している。ラインアウトの分析も徹底的に行っており、空中戦のサイン出しと堅実なプレーには定評がある。オールラウンドに動くことのできるLO。1㍍87㌢、87㌔。
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