【What is 〇〇部?】創部101年目 新たな時代へ狙いを定める/File.40 射撃部(後編)

射撃

慶應義塾体育会を深掘りしていく連載企画 、「What is ○○部? 」。第40回目は、昨年に創部100周年を迎えた射撃部を特集。今回ケイスポでは、2026年度の射撃部主将を務める田端開(政3・桐蔭学園)主将にインタビュー。後編では、田端主将が考える射撃の魅力、今後の目標などについて話を伺った。

ーー入部のきっかけ

 体育会に入りたいと考えていたのですが、高校の時にスポーツと言っても登山ぐらいしかやっておらず、ガチガチの運動というのもなと思っていました。そんな中、射撃部が目に留まって、特に2020年に新しい射撃場ができたということで「今相当熱い部活なのだろうな」と思って入ってみた結果、先輩の温度感であったりとか部の雰囲気がとても良くて、部そのものに惹かれたというのと、射撃という競技自体も自分の性格に合っていたので「ここで4年間過ごしたら絶対面白い大学生活になるだろうな」と思って入部を決意しました。

 

ーー射撃の魅力

 まず、競技としてというより、射撃という行為自体がかっこいいなと感じました。日本で生活していて合法的に銃を所持してそれを撃つ機会はなかなかないですし、そういう意味でかっこいいなと純粋に思いました。

 競技についてですと、いろんな個人競技のスポーツって、例えば弓道とかアーチェリーとか色々ありますが、射撃ってすごく科学的で、サイエンスで色々改善できることが多いんです。例えば「あと撃発が0.何秒早かったら点数としては何点上がっていた」みたいなデータを科学的に出してくれるソフトがあります。私としては、その合理的な部分が射撃の魅力だなと感じました。

 あとは、この競技は自分との戦いがベースなので、他人ではなく、自分が射撃に対してどう向き合っているのかが実際点数にも現れるんです。ちょっと練習をサボっているとすぐ点数が下がりますし、練習でうまいこと行っていない時は、点数はなかなか上がらない。逆に、理論に基づいてポジティブに練習できてる時は、数字としてもどんどん自分の成績が上がっていきます。ある意味ゲームみたいな感じで、自分の記録を見ていて楽しいなと感じています。

 射撃の魅力を2つ挙げるとするならば、1つはかっこよさで、もう1つはすごい科学的で、やればやるだけ結果が出る、という部分なのかなと思います。

ーー競技としてデータが重視される傾向が強い

 そうですね。自分のどこが悪いかっていうのはデータで見れば一目瞭然で、そのデータをじゃあどういう風にこう良くするかっていうところで、先輩からのヒューリスティックな教えであったりとか、そういうものが絡んでくるという風に考えておりまして、何が悪いかっていうのはもう見た明らかで、それをどういう風に改善するかというところで、個性やその人の考え方、価値観みたいなものが出てくると考えています。

 

ーー選手としてのご自身の強み

 種目としては、「伏射」と言われる、寝転んだ体勢を取り、50分間で60発撃つ競技を得意としています。

 また、古くからあるオリンピック競技である射撃では、英語だったりドイツ語で書かれている教本やガイドブックみたいなものがかなり充実していて、理論が確立されています。そういう既存の理論を頭に入れているからこそ「ここが悪かったらここを直せばいい」という部分が分かっているというのが、自分の選手としての強みなのかなと思っています。これは後輩への指導にも繋がっているような気がしていて、重要なことなのかなと考えています。

ーー伏射が得意というお話があったが、ライフル射撃における3つの姿勢で求められる技術はそれぞれ違うものなのか

 そうですね。本当に強い人に言わせてみれば本質は一緒なのだと思いますが、僕みたいに競技経験が数年しかない人からすれば、もう全然違いますね。

 例えば50mの距離の場合、立って撃つ時はできる限り真ん中に当てに行くみたいな感じですが、寝転んでる時はなるべく外さないような精密さを重視されるので、全然違います。伏射は精密に真ん中を撃ち続けなければならないので、メンタルに来るものがあるような気はしますね。

 共通する部分で言うと、射撃って極めれば極めるほど、自分の脈との闘いになってきて、こう、いかに「どくん、どくん」と脈を打っている間に撃てるかが問われます。ただやはり0.何ミリとかの世界なので、立っている時と寝転んでいる時、姿勢が違うと求められるものは全く違うと思いますね。理論も全然違いますし。

 

ーー個人競技である射撃部の主将に求められる役割・主将として意識していること

 様々な見方があるとは思いますが、こういう個人競技においては「チーム一体感を持って目標に対してコミットできるか」というところに、主将の腕が試されるという風に思っております。我々はずっとインカレ優勝を目指していて、インカレ優勝や早慶戦優勝のためにはみんなが強くなることって必要ですけれども、極論を言ってしまえば「レギュラー選手だけ強くなればよし」という投資のバランスもあると思うんですよね。例えば、レギュラー選手にだけすごく熱心に教えて、そうじゃない人を放任するみたいな。もしかしたら、そういうやり方の方が部の競技成績自体は伸ばせるかもしれないですけど、私が目指しているのはそうではなくて、個人競技だからこそ「全員が楽しく、射撃部に入ってよかったと思った状態で卒業できること」を、目標というか、私の行動指針にしています。

 また、今のはマインドの話ですけれども、実利的なところで言えば、競技に専念できるような環境を作ることが大事だと思っていて、そのために部員全員の声を拾い上げる傾聴力も主将に求められると考えています。個人競技だからこそ、1人で悩んでる人に対してどういう風にアプローチできるか。すべてのケースに対して自分が関わることはできないので、それぞれ先輩と後輩の関係の中で解決していくわけですけれども、相談しやすい雰囲気を作るのは主将の役割なのかなと考えています。

 

ーー4連覇を成し遂げた早慶戦を振り返って

 4連覇無事できたのでホッとはしてるんですけれども、ここ数年では1番危なかったので、そういった意味ではヒヤヒヤしましたし、私自身、レギュラーとして伏射で出場したのですが、全然点数が振るわなくて、本当にギリギリの戦いになってしまったというのが個人としては反省をしています。

 団体としては無事勝てて良かったという気持ちはありますけれども、2026年以降はこんなギリギリの戦いじゃなくて、もっと差をつけて勝てるよう、全員が成長しなくてはと考えております。特に今年は5連覇を目指すという中で、当然早稲田に勝った上で、昨年の塾の成績をいかに更新できるかという所を目標としたいと思っています。

ーー早慶戦ならではの難しさ

 射撃ってどうしても自分のメンタルが点数に反映されるところがあるので、日頃あまり気にしてなかったところが気になってしまったりとか、逆に日頃意識しなくてもできていたことが、急にできなくなってしまったり、そういうイレギュラーが競技本番に起こり得ることが怖いなと思っております。私自身も、いつもならできていたことができなくなってしまい、点数が振るわなかったです。

 今年は早慶戦の点数が慶應が5365.4点で、早稲田が5342.7点という結果だったのですが、差が20数点しかなくて、1発で大体10点が記録される競技なので、チームの中であと2発外していたら勝敗が覆ってしまうぐらい、ギリギリの戦いでした。そもそも「的から外してしまった」「誤って構えている途中に1発撃ってしまった」みたいな紙一重の事故が起きると、すぐ点差がひっくり返ってしまうっていうのが射撃の怖いところですし、早慶戦は他の大会に比べてそのような事故が起こりやすいと思います。特別な思いを持ってずっと練習してるからこその緊張感というものは、実際に早慶戦という舞台で撃ってみないとわからないものだと感じています。

 

ーー2026年の目標

 目標は2つあると思っています。1つは早慶戦5連覇。ここは目標というより、絶対にやらなければならないこととして捉えてます。もう1つはインカレ優勝です。他校も強いですし、オリンピック選手も出場する大会なので、なかなか難しい部分ではあるんですけれども、我々が今までやってきたことが最大限発揮して、全員が自己ベストを出せれば、インカレ制覇も夢ではないので、ここを目指して戦っていきたいと思っています。

 個人の目標としては、2025年僕はインカレの個人の方で8位だったのですが、この成績では悔しいので、インカレでの個人順位を上げることが今年の目標です。

--お忙しい中ありがとうございました!

 

※一部写真は射撃部から提供していただきました。

 

(記事:髙木謙 編集:小野寺叶翔、神谷直樹、髙木謙)

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