一般受験を乗り越え、慶應義塾体育会で活躍する学生にインタビューを行う受験生応援企画。第6弾となる今回は蹴球部の山﨑太雅(商1・県立浦和)にインタビュー。高校時代もラグビー部に所属していた山﨑が部活を引退したのは11月後半。本格的な受験対策を始めたのはその後だった。「慶大以外へ進学する選択肢はなかった」と語る巨漢は、どのようにして、一見不可能と思える短期間での現役合格を勝ち取ったのか。そして、山﨑が受験勉強を通じて再発見したものとは。
埼玉県屈指の進学校として知られる浦和高校出身の山﨑。中学まではバスケットボールに打ち込んでいたが、同校がラグビーの名門校であることから、高校1年生から楕円球との生活を始める。すると189cm/103kgという体格を活かし、競技歴わずか3年で高校日本代表候補に選出されるなど目覚ましい活躍を見せた。
ラグビー界に彗星のごとく現れた大型新人は、進路を慶大一本に絞り、不退転の覚悟で受験勉強に挑んだ。浦和高校には「第一志望はゆずらない」という合言葉があり、第一志望に受からなかった場合は浪人を選ぶという生徒も多いというが、山﨑はあくまでも現役合格にこだわった。「申驥世(文1・桐蔭学園)を筆頭に、花園で活躍していた選手たちが慶大に進学することを知り、絶対に彼らと4年間一緒にプレーしたいと思いました」と山﨑は語る。
そんな山﨑が受験勉強において重視していたことは「自分のスケジュールを確立し、それを遵守すること」だった。5時半に起床し、電車で1時間かけて高校へ。移動中は英単語帳に取り組み、学校に到着したら正午まで勉強。13時までに昼食を済ませ、再び8時まで勉強。帰路は地理の「一問一答」を反復し、帰宅したら23時半までに就寝。このサイクルを1日も崩さなかった。
山﨑が確立したのは生活サイクルだけではない。「地理はマークシートの部分の対策を『一問一答』で行い、記述問題に関しては別の問題集を解いて、高校の先生に回答を確認してもらい、足りていない要素を洗い出してもらっていました。数学と英語は、共通テストと特徴が似ていて、いかに速く正確に解けるかが重要だと考えました。10年分の過去問を解いて、数学では共通テストの問題集も活用しました」。緻密な分析の上で的確な対策を練り、合格に漕ぎ着けた。
3月から蹴球部の練習に参加した山﨑は当初、周りとの差に圧倒されたという。しかし、ラグビーから離れたことで再発見したのは、自身のラグビーに対する感情だった。「3か月間ラグビーから離れたことで、改めてラグビーに対する愛が深まり、よりアグレッシブにラグビーを楽しめるようになりました」。楕円球への情熱にふたたび火をつけた山﨑は、猛練習を重ねて急成長を見せ、5月の春季交流大会・流通経済大学戦で〝初黒黄〟を飾ると、秋季対抗戦の初戦・青山学院大戦対抗戦デビューを果たすなど、1年目から目覚ましい活躍を見せた。
取材の終盤、慶大の魅力について聞くと、山﨑は「人との出会い」を挙げた。「素晴らしい仲間たちと共にラグビーが出来ていることがまず1番大きいと思っています。そして、授業を通して出会った友達も、いろんなベクトルで努力をしていて、刺激をもらっています」と、蹴球部の活動だけでなく、キャンパスライフの充実ぶりについても口にした。
取材時、山﨑が着用していたシャツには「練習ハ不可能ヲ可能ニス」という言葉が刻まれていた。彼はまさにこの格言の体現者だ。受験とラグビーという二兎を追い、たゆまぬ努力の末にどちらも得た山﨑の生き様は、慶大を目指す受験生に無限の可能性を示している。山﨑はこれからも自分の限界を超え続ける。入試に向けて最後の追い込みをかける受験生と同じように。
(取材:髙木謙)

