【受験生応援企画】環境情報学部・中谷太星(蹴球部) ~"劣等感"も力に変えて~

ラグビー

一般受験を乗り越え、慶應義塾体育会で活躍する学生にインタビューを行う受験生応援企画。第9弾となる今回は蹴球部の中谷太星(環2・東福岡)にインタビュー。大怪我が響き、不完全燃焼のまま高校ラグビーを引退した中谷は「慶應でラグビーを続けたい」と一般受験で慶大を目指した。2年間の浪人を経て憧れの黒黄ジャージーに袖を通した仕事人が、大好きなラグビーから距離を置いた受験期に培った経験とは。入学後、蹴球部やSFCキャンパスで得た収穫とは。蹴球部が誇るひたむきな仕事人が語る。

 

 中谷はラグビーの名門・東福岡高校の出身。同期で、2025年度に明治大学の主将を務めた平翔太(商4・東福岡)らと共に花園制覇を目指していたが、高校2年時に前十字靭帯の怪我で長期離脱を経験。不完全燃焼のまま引退を迎えた中谷は、高いレベルでラグビーができるだけでなく、将来的にラグビー以外の選択肢も見据えられる慶應義塾大学へと狙いを定めた。しかし、ラグビー漬けの毎日を送っていた現役時代は勉強時間が限られていたため、中谷は浪人を決断。高校時代の得意科目であった英語でも「感覚で解くタイプだったこともあり、SFCレベルの問題には通用しない」と参考書の端から端まで目を通し、難易度の高い単語帳を複数こなし、1日1題過去問を解くなど、徹底的な慶應SFC対策を行い、難単語を多く含む超長文という強敵をなぎ倒して合格に漕ぎ着けた。

 そんな浪人期間にモチベーションとなったものを聞くと「劣等感」という意外な答えが返ってきた。「スポーツ推薦で有名大学に進学したかつての同期が、大学ラグビーという新たな舞台で活躍する姿を見て『見返してやりたい』『いつかぶっ倒してやりたい』と思っていました。また、直接口には出さないけれど、自分のことをどこかで見下している人もいました。そういう状況で生まれる負の感情も受験のモチベーションになりました」と中谷は言う。

 ネガティブな感情すらもエネルギーに変えた中谷は、ストイックな生活サイクルを徹底する。朝4時に起床し、寮にスマホを置いて近くのマクドナルドへ向かい、9時まで自習をしてから予備校へ。昼食を取った後、更に17時まで勉強すると、夜は慶大蹴球部への入部を見据えてトレーニングに励んだ。このトレーニングの効果もあり、中谷は1年目から蹴球部で頭角を現す。

 2024年9月22日、東福岡高校時代のチームメイトである平や大川虎拓朗(法3・東福岡)が所属する明治大学との試合で〝黒黄デビュー〟を飾ると、180cm/115kgという巨体を活かした力強いプレーで出場を続けた。今季は対抗戦の終盤3試合と大学選手権でスタメン出場を果たし、2年生にして正プロップの座を勝ち取った。中谷自身も「入部当初は体が動かないのだろうと想像していましたが、意外とそんなことはなかった」と手応えを感じていたという。

 2年間ラグビーから離れ、受験勉強を経験したことによる自身の変化について中谷は「色んなものの見方が身につきました。高校時代はラグビーに集中しすぎるあまり他の事を考えられなくなってしまったこともありましたが、今は色んなものに目を向けられるようになりましたし、それがラグビーにも活かされている実感があります」と語った。さらに慶大に進学して良かったことについて聞くと「キャンパスでは幅広い授業が取れて、自分の興味のあるジャンルを学ぶことが出来ること、蹴球部で仲間と切磋琢磨(せっさたくま)できることです」と、学業と体育会、双方の魅力を教えてくれた。

 かつて元チームメイトの活躍を観て唇をかんだ男は、受験勉強を乗り越え「慶大でラグビーをする」という夢を叶え、蹴球部で体を張り続けている。その姿は慶大を目指す受験生にとっての希望の星となっている。中谷は、自分と同じようなひたむきな努力を続ける受験生に、プレーでエールを送る。

(取材:髙木謙)

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