2月17日から21日にかけて5日間開催された秩父宮杯・秩父宮妃杯第99回全日本学生スキー選手権大会(インカレ)。20日の男子1部スペシャルジャンプで森野幹登(環3・札幌日本大学)が初優勝を飾った。
今回は、初優勝にたどり着くまでの思いと、その背景にある心境を詳しく聞いた。
自身初の全国制覇となった今回のインカレ。森野は「率直に嬉しい」と語り、大学1・2年時には成績が伸び悩んでいた時期もあったと振り返る。そのうえで、最も調子の良いタイミングでインカレに臨み、結果に繋げることができた喜びを口にした。
会場となった北海道名寄市のなよろピヤシリシャンツェは、当日は天候に恵まれ、風も適度に吹く良好なコンディションだった。自身の状態も、インカレ前に出場した青の煌めきあおもり国スポ冬季大会(青森国スポ)頃から上向いており、その流れのまま今大会に臨むことができたという。
青森国スポでは上位入賞には至らず悔しさをにじませていたが、森野自身は「ジャンプの調子自体はインカレと変わっていなかった」と明かす。ジャンプ前のイメージトレーニングを重ねる中で、むしろ“イメージの作り込み”こそが現在のジャンプに不足している部分だと気づいたという。インカレ前にその点を修正したことが、結果的に良いジャンプにつながったと分析している。

楽しさを胸に、大きく飛び出す森野<本人提供>
1本目から121.5点を記録し、2位に7点差をつける高得点でスタートした森野。飛ぶ前はプレッシャーを感じていたものの、着地後には安心感が生まれ、心に少し余裕ができたという。「2本目は『よし、じゃあ後は楽しく飛ぼう』と思って飛ぶことができて。プレッシャーもあったんですけど、ワクワクしている感じもあったかなと思います」と振り返る。
2本目を終えた後には、応援席の部員たちに向かって力強いガッツポーズを見せた。その理由について森野は、「勝ったっていうよりは、自分のいいジャンプができたという感じ」と語った。
インカレ前は、生活リズムや練習といった基本的な質を意識して過ごしていたと語る一方で、「あまり余計なことを考えないことを重視していた」とも話す。“勝ち”を意識して力が入りすぎると、かえって良いパフォーマンスにつながらないため、ドラマや映画を観る、合宿所の温泉にゆっくり浸かる、部員とたわいもない会話をするなど、普段どおりの時間を大切にしていたという。

試合中は互いにライバルながら、レース後は笑顔で写真に収まる<本人提供>
冬のシーズンは部としてではなく、各自が別々のチームで練習を行う。森野はその期間、地元の札幌に戻り練習を続けていたという。夏のシーズンは部で陸上トレーニングを行うものの、ジャンプの練習はできないため、この時期に飛ぶ回数を増やし、冬だからこそ取り組める練習に力を入れていたと語る。
また、札幌では、練習会場に行くと常にトップ選手が集まっており、「その雰囲気を掴んで、自分も良い所を取り入れよう」と意識して取り組んでいたという。
通常、スキー競技は個人戦であり、声援を受ける機会は多くない。しかしインカレは団体戦となる。森野は大会前日の決起集会で、監督やOBOG、部員が集まり互いを鼓舞し合う様子を目にし、「やっぱり慶應スキー部としてここに来ているんだな」という実感が湧いたと話す。
続けて、「やっぱり見てくれている人がいるというのが、すごい力になる」と語り、良いジャンプを決めた際には「やったー!」「ありがとう!」といった声が飛び交い、「チームに貢献できた」という思いが強まったと振り返った。
中でも、優勝を一番喜んだのは監督だった。「いや、本当にありがとうね。もう最高だよ」と本人以上に喜びを見せ、OBOGの温かい雰囲気も感じ取れたという。「こんなに喜んでくれる人がいるなんて本当に良かったな」と笑顔を見せた。

優勝を一番喜んでくれた土居監督と笑顔で写る森野<本人提供>
今後の個人目標としては、国内のA級大会でトップ10入りして入賞すること、そして来年のインカレで優勝することを掲げた。チームとしては、男子1部5位、女子1部3位を具体的な目標に据えているという。
一方で、「やっぱり結果よりも、満足してスキーができているか、楽しめているかの方が大事」とも語る。インカレを悔いなく滑りきり、全員が満足して笑顔で終えられることが一番だと強調した。
来シーズンは、さらに多くの“笑顔”が雪上に広がっていることに期待したい。
(記事:五條理子、写真:慶大スキー部提供)

