この日午前に行われた立大戦に勝利し、ベスト8進出を決めた慶大。ベスト4への座をかけ、強豪・東洋大との大一番を迎えた。今季グループA優勝の東洋大に対し、最後まで粘り強さを見せるも、実力の差を見せつけられ1-6で敗戦。優勝を目標に戦った今大会だったが、惜しくもベスト8で涙を飲む結果となった。
第84回日本学生氷上競技選手権大会
2012/1/7(土)19:35 FO@苫小牧王子製紙スケートセンター
東洋大学6-1慶應義塾大学
{得点者 慶大のみ}似鳥
格上相手に開始直後から自陣での戦いを強いられる慶大。苦しい展開の中、粘り強く守りチャンスをうかがう時間が続く。そんな中4分に東洋大が退場者を出し、パワープレーのチャンスとなると、5分DF白神(商1)のミドルシュートからゴール前のFW金村(経3)がコースを変え、ゴールを襲うもわずかに枠を捉えられない。すると9分、右サイドから放たれたミドルシュートがGK田中誠(経4)の肩口をすり抜け先制を許すと、直後にも追加点を許し、序盤から劣勢に立たされる。するとここで流れを変えるべく、慶大はGKを細井(政2)に交代。ところがこの交代でも流れは変わらず、14分に自陣ゴール前でパスを回され失点を許してしまう。しかしこのまま引き下がれない慶大は17分、DF小川(環3)からパスを受けたFW似鳥(環4)が左から切れ込み、角度のないところからシュート。これが逆サイドのゴールネットに突き刺さり、1点を返し、第1ピリオドを終える。
勝利の望みをつなぐためにも、これ以上の失点は避けたい第2ピリオド。しかし1分、東洋大のパス回しに翻弄されあっさり失点を喫してしまう。一方、1点でも返したい攻撃陣は3分、相手のパスミスをカットしてFW松山(商4)がシュートもGKの好セーブに防がれてしまう。さらにその後はシュートまで持っていけない慶大。すると10分に似鳥が2分間の退場になると、直後のキルプレーで失点。慶大にとっては非常に大きな5点目を許してしまう。その後、3度のパワープレーのチャンスを得るも、いずれも東洋大の堅守を崩すことはできず、1-5で最終ピリオドを迎えることとなった。
インカレ制覇へ後がなくなってしまった第3ピリオド。FO直後、似鳥がゴール前まで持ち込みシュートを放つ。これはGK正面を突いてしまうが、直後にFW荒谷(経4)が右サイドを抜けチャンスとなると、中央で待っていた金村にパスがつながり、GKの動きを見極めシュートもブロックされてしまいゴールならず。一方のディフェンスでも5分、GKと1対1のピンチを作られてしまうが、ここは細井が好セーブを見せ、追加点を許さない。すると10分、今度は金村がGKと1対1のチャンスになりシュート。しかし無情にもゴール右に外れ、ゴールが遠い。なかなか得点が奪えない中迎えた15分に決定的な6点目。それでも最後まで足を止めない慶大。試合終了間際には似鳥が抜け出し、GKと1対1に。何とか最後に1点を返したい場面だったが、シュートは無情にもブロックされてしまい万事休す。優勝を目指して走り続けた似鳥組だったが、その挑戦はベスト8で潰えてしまった。
ここ3年間で法政大、東洋大、明大と並いる強豪にも勝利している慶大にとってはこの試合でジャイアントキリングを起こす可能性も少なからずあった。だが突き付けられたのは東洋大との「実力の差」(浅沼監督)だった。特にパワープレーのチャンスをものにする点やパススピードといった点で差を見せつけられた格好となってしまった。だが格上相手でも臆することなく最後まで粘り強く守り、攻守にわたり足を止めない慶大ホッケーは間違いなくこの日アリーナに詰めかけた観客の心を熱くした。似鳥組に残された最後の一戦となる早慶戦。早慶戦ではこの試合以上の慶大らしいしつこいホッケーを最後まで見せ、今度は勝利で観客の心を掴んでほしい。
By Daiki Yamamoto
*なお、第76回早慶アイスホッケー定期戦は1月14日(土)、東伏見ダイドードリンコアイスアリーナにて16時45分FOで開催されます。
浅沼監督
(残念ながらベスト8敗退となってしまったが)グループA王者東洋と胸を借りて思いっきり最後までどこまでやれるかがこの試合だと思うので、当然勝つ気で臨んだんで、選手たちはほんとの最後の1秒までキルプレーでもパックを奪ったりとしながら戦ってくれたので、厳しい言い方をするとこれが現実の実力なので、来年以降のパワープレーの取り方だとかキルプレーの守り方だとかいう点で課題があったということで、新しいチームに向けてまた頑張っていきたいと思います。(強豪・東洋大相手だったが試合を振り返って)やはりパックに対してのテクニックもそうですし、ゴールに対しての精度だったり、やはり格上のチームなんで、そういった部分は高かったと思います。ほんとに我々は慶應のプレーとして運動量としつこさ、そこの部分のやるべきことはやってきたので、これが本当の実力の差だと思っています。(今日は途中からケガから復帰の細井選手をGKに起用したが)今日の1戦目、誠太郎で大丈夫だったんですけど、2戦目練習の時から見てますと、ちょっと不安要素が出てきたので、失点が重ならないうちに、次期正キーパー候補の細井にもこういう経験をさせなければいけないと思ったのと、キーパーが代わることによって選手たちが改めて気が引き締まるところで流れが変わればなと。4年生なので本当は最後まで守らせてあげたかったんですけど、断腸の思いで代えました。(なかなか東洋大の堅守を崩せなかったが)やはり大事なところでキルプレーが多くなってしまったことと、一方でパワープレーのチャンスもあったんですけど、そこでなかなか形を作らせてもらえずに、単発なシュートで終わってしまったこと、押し込めなかったことがやはり大きな差だったのかなと思います。(負けてしまったものの慶大の粘り強いホッケーは見せられたと思うが)本当に4年生たちが満身創痍な選手もいたんですけど、痛いとか疲れたとか誰一人言わず、我々の指示通りにどんどんシフトに出てくれたので、そこは非常にベンチを守る人間としては心強く、みんなが戦える姿勢で臨んでくれたことが非常に心強かったです。あとは残された東京での一戦があるので、今日の悔しさを忘れずに、東京で練習して、早慶戦最後の試合をホームというか東京で迎えられるのは久々だと思うので、思いっきり暴れて、盛り上がる試合をしてほしいと思います。(早慶戦で勝つために一言お願いします)40人全員がまだまだ競争だと思います。4年生も1年生も関係なく競争だと思うので、残り東京に帰って2回の練習で、チームが勝つためにお互い高めあうという気持ちを持って、最後まで競争して、勝つための努力を各々がしてほしいと思います。あと一つだけ、試合に出ている4年生がいる中で、試合に出ていない4年生もいたんですけど、自ら率先してベンチドアマンをやってくれた今井(商4)、中村(理4)、そして上の観客席から大きな声を出して指示を出してくれた込山(理4)とかにも本当に感謝しています。4年生のチームに対するリーダーシップが非常に見えました。それを最後早慶戦まで頑張ってほしいと思います。
似鳥主将
(やはり東洋大は強かったか)強豪チームであるとは思っていたのですが、最初は自分たちのミスで失点してしまって、そこが今日の一番の大きな敗因であったと思います。(東洋大と慶大の差はどこにあると感じたか)パスワーク、そして絶対に負けないというタフな精神というのは本当に東洋が持っている素晴らしいものだなと思いました。(インカレを戦って得たものは)優勝が目標であったのでベスト8という全然届かない順位で、最初、駒澤、立教戦は余裕勝ちということではなくて立教さんも駒澤さんも本当に必死にやってきたのでギリギリで勝たせてもらい、立教や駒澤の気持ちものせて戦ったが勝利という形で終われなかったので…。手ごたえとしては本当に東洋は強いなと。自分たちはまだまだ練習不足だったなと思いました。(来季後輩たちはディビジョンAで戦うこととなるが)今回インカレ優勝を掲げてやっていたので、グループAに入っても絶対優勝して、インカレでも優勝して慶應が強豪であるということをもう一回アイスホッケー界に知らしめて欲しいです。(最後に早慶戦があるが)今回優勝出来なかったのでその気持ちを早慶戦にぶつけて絶対に勝ちたいと思います。
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