【洋弓(男子)】直前のルール変更に対応し奮闘も遠かった入賞圏内 ルーキー・鳥塚がチーム最高位をマーク/第64回全日本学生アーチェリー個人選手権大会

洋弓

9月22日、第64回全日本学生アーチェリー個人選手権大会が夢の島公園アーチェリー場で行われた。前日に関東を襲った台風の影響で21日の予選ラウンドが中止となり、1エンド6射・12エンドの計72射(満点720点)を1立で射ち切り、そのスコアのみで順位を確定するランキングラウンド一発勝負へ形式が変更された。6月の全日本学生王座決定戦 (https://keispo.org/wordpress/112110/ )で団体5位に入った慶大洋弓部男子からは6名が出場。全国から集まった120名の精鋭が並ぶ中、1年生の鳥塚奏吾(文1・慶應)が前半312点・後半314点の合計626点で26位に入り、1点差の625点で松延晴仁(理4・麻布)が27位に続いた。6月の王座決定戦でチームをけん引した荘司有輝(理3・慶應)(昨年実施したインタビューはこちら→https://keispo.org/wordpress/94204/)は、前半51位から後半に311点を射って42位まで戻すも、合計612点の49位。藤野佑季(文3・国分寺)が618点の40位、河西大心(環1・獨協)が594点の77位、伊藤悠真(政4・慶應湘南藤沢)が539点の113位に終わり、入賞圏(8位=638点)には届かなかった。

第64回全日本学生アーチェリー個人選手権大会
日程:9月22日 開催地:夢の島公園アーチェリー場(東京都江東区)
男子リカーブ出場120名/慶大からは6名が出場
■王座5位から、個人戦の舞台へ

6月の全日本学生アーチェリー王座決定戦で、大学日本一を争った洋弓部男子。準々決勝で東京国際大にシュートオフの末に1点差で競り負けたものの、総合5位に入った。今季のチームは、予選ラウンドで後半ハーフ全体1位を含む予選全体4位と好成績を残したエース・荘司有輝を軸に、実力の高いルーキーの台頭も目覚ましい。仲間とともに戦う団体戦から、個人間の実力勝負となる今大会へ。個々人のレベルアップの成果が試される一戦となった。

6月の王座決定戦で好成績を残した荘司

予選ラウンドが予定されていた前日9月21日は台風の影響で中止となり、大会は1日で終わる。1エンド6射・12エンド、計72射(満点720点)の一発勝負。午前10時に開始のブザーが鳴ると、120名の選手が一斉に立ち位置に並び緊張感の高い試合が始まった。

■前半は藤野がチーム最上位 鳥塚、河西、荘司が続く

前半36射で、慶大勢は存在感を示す。藤野佑季が314点で全体16位、鳥塚奏吾が312点で23位に入り、河西大心が302点で42位、荘司が301点で51位と続いた。6人の中では伊藤悠真が283点で101位と出遅れた。

前半ハーフをチームトップの全体16位で滑り出した藤野

トーナメント戦がなく、72射の一発勝負という普段とは違うコンディションが緊張感を増幅させたのか、抜群の滑り出しとはならない。後半36射での巻き返しが期待される展開だったが、後半は個人戦の難しさが牙をむく。藤野は304点でハーフ66位まで後退し、河西も292点に落ちて77位に沈んだ。後半にハーフ順位を上げたのは、松延晴仁(30位→29位)と荘司(51位→42位)の2人だけ。前半の遅れを取り返しきれず、入賞圏内の638点には届かなかった。

初のインカレターゲットで前半から好位置に入った河西

■エース・荘司、後半に311点 前半の301点が重くのしかかる

チームのエース・荘司有輝の一戦は、前半36射を301点、51位で折り返すところから始まった。そこから後半に精度を上げ、310点台の311点を射ってハーフ順位を42位まで押し上げるも、合計612点は49位。今季の安定感を知る荘司にとっては、数字が示す以上に重い順位だった。

本来なら、予選のスコアによって翌日の決勝トーナメント進出者と組み合わせが決まり、荘司が「得意だったし、楽しみにしている面も大きかった」と語る決勝トーナメントへと臨む予定だった。だが台風の影響で形式が変わり、予選順位を挽回する大舞台は消えた。72射の合計点だけで順位が決まる一日だっただけに、悔しさが残る大会となった。

後半ハーフで順位を上げる追い上げを見せた

■部内トップ争いは1点差でルーキに軍配 1年・鳥塚と4年・松延

チーム内の最上位と2番手は、1点差に並んだ。2025年度の関東高校選抜個人準優勝者であり、1年生ながらチームの頂点に立った鳥塚は、前半312点・後半314点で、両ハーフともに安定した内容を残した。

ルーキーながら部内最高位を記録した鳥塚

2025年度の全日本学生個人選手権で9位に入っている松延は、前半309点で30位と出遅れながら、後半に316点を射って追い上げ、27位で4年間の個人戦を終えた。

後半ハーフでは部内最高点をマークした松延

学年も実績も違う6人が同じ的に並び、団体戦で全国5位に入った実力者揃いの慶大勢は、個人戦では入賞圏に届かなかった。隣で射つ仲間の点が加算される団体戦と、大会直前のルール変更もあり72射のすべてが自分の順位にはね返る個人戦。同じ弓を引いても、立っている場所はまるで違う。その違いを、次はどう埋めていくのか。今後の洋弓部のさらなる成長へ刺激の入る大会になったことだろう。

最後のインカレターゲット出場となった伊藤は楽しそうに弓を射る姿が印象的だった

 

【試合後インタビュー】

ーー決勝がランキングラウンドだけになったと分かって、どういう気持ちの変化があったか。試合をするにあたって、この72射で全部が決まる感触は

荘司:「結構そのトーナメントを楽しみにしていたので、残念だなというのと、72本一発勝負だとより実力が出やすいから、難しい試合になるなと思いました」
藤野:「トーナメントで上の順位の人を倒して、ひっくり返してやろうという気持ちだったので、それがなくなって、ちょっと残念という感じでした」 
鳥塚:「トーナメントとはまた別で、ランキングラウンドで72本打つのは、1射1射ちゃんと気持ちを込めていかないといけないというのが求められるんですけど、結局1射1射集中して打つことに変わりはないので、普段やっていることをそのまま出すよう意識して打ちました」
河西:「自分は、トーナメントは何があるか分からないというか。3射で、次のエンドはリセットされるし、本当に何があるか分からないし、格上の相手にも勝てるかもしれない、そういうチャンスをつかみやすい形式だったので、結構楽しみにしていたんですけど、それがなくなっちゃって。悲しいというより、悔しいみたいな気持ちが強かったです」
伊藤:「全日本くらいの試合だと、トーナメントがあってこそだという気もしたんですけど、でもどんな形式でも、結局練習で意識してきたことをそのまま、どこに行ってもやるだけだと思っていたので、そんなに心境の変化みたいなのはありませんでした」
松延:「個人的にはトーナメントが得意なので、あったらよかったなと思うんですけど、ランキングラウンドでも、楽しく打てればいいかなと思っていました」

ーー今日を振り返ってみて

荘司:「あまり納得のいく結果ではなかったので、しっかり反省して。ただ、春から比べて成長していると思うので、1カ月後の全日本選手権に向けてまた頑張っていきます」
藤野:「風があって結構難しい環境だったんですけど、だからこそ収穫のある、風の中でどうやって自分が当てればいいかというのが見つけられた、いい試合だったかなと思います。来年のリーグ戦とか王座に向けて、今日の試合を生かしていきたいです」 
鳥塚:「全国の選手が集まってきて、その高いレベルの中で、こういう難しいコンディションでどうやって当てるかというのを、改めて実戦で経験として得られたのは、すごく大きな収穫だったかなと思います。今日得たことを、来年のリーグ戦や王座、もし可能なら今年の全日本選手権に繋げていきたいです」
河西:「今日は本当に自分のやりたいことも何もできなかったし、ミスの原因とか、いつもだったら分かることというのが全く分からない状態になってしまったんですけど、来月、あと1、2週間くらいで国スポがあったり、全日本選手権とかナショナルチームの選考会というすごく大きい試合が1、2カ月続くので、すぐに練習で修正して、このミスを生かして、少しでも高い順位を取れるように頑張りたいと思います」

ーー今大会がお二人にとって最後のインカレだったと思うが、楽しめましたか? 

伊藤:「結果は散々だったんですけど、でも春頃から、まず出ることを目標にしていた試合だったのと、最後、同期とか慶應の後輩たちとか、他校の友達たちと、みんなと一緒にこの全日本の大きな試合に出られて、終始なんだかんだ楽しく打てていたので、すごく満足しています」
松延:「自分のパフォーマンスを出そうというのもあったんですけど、同期と一緒にこの場に立てるというのは光栄だなと思って、楽しく打てました」

【取材、記事:鈴木啓護】