前節、国士大に完封負けを喫した慶大。生命線であるパスの精度が低く、結果以上に内容面で大きな課題が残る試合となった。それから中4日で迎えた今節、降りしきる雨の中で行われた試合は、立ち上がりに慶大がミスから失点すると、その後は常に相手にリードを許す苦しい展開となった。だが、1-2と1点ビハインドで迎えた後半終了間際、森田達見(経4・川崎フロンターレU-18)が起死回生の同点ゴールを決め、何とか勝ち点1を奪取した。
第86回 関東大学サッカー1部リーグ 第5節 日体大戦 | |
2012/5/3(木・祝)13:50KO @相模原麻溝公園競技場 | |
慶應義塾大学2(0-1)2日本体育大学 | |
【得点者(アシスト者)】10分 日体大 梅村徹、49分 慶大 松下純土、83分 日体大 野田彰吾、90分 慶大 森田達見 | |
【退場】90+1分 慶大 藤田息吹 | |
◆慶大スターティングメンバー | |
GK | 峯達也(政2・桐光学園高) |
DF | 保田隆介(法2・横浜F・マリノスユース) |
DF | 松岡淳副将(商4・慶應湘南藤沢高) |
DF | 松下純土(総3・國學院久我山高) |
DF | 岩田修平(総3・名古屋グランパスU-18) |
MF | 増田湧介(環2・清水東高) |
MF | 藤田息吹主将(政4・藤枝東高) |
MF | 山浦新(総2・東京ヴェルディユース)→73分 磨見朋樹(文2・横浜FCユース) |
MF | 近藤貫太(総1・愛媛FCユース)→79分 山浦公裕(商4・FC東京U-18) |
MF | 森田達見(経4・川崎フロンターレU-18) |
FW | 平戸奨眞(法2・暁星高)→84分 端山豪(総1・東京ヴェルディユース) |
前半、慶大は藤田息吹主将(政4・藤枝東高)が平戸奨眞(法2・暁星高)とのワンツーで抜け出しチャンスを迎えるなど、落ち着いた立ち上がりを迎えたかに見えた。だが前半9分に思わぬ形で失点してしまう。相手の楔のボールに対して反応した松岡淳副将(商4・慶應湘南藤沢高)がまさかの転倒。クリア出来ずにこぼれたボールを裏のスペースに繋がれると、そのまま持ち込まれてゴールを決められてしまった。立ち上がりの失点で出鼻をくじかれる形となった慶大だが、その後は慌てることなく冷静に攻撃を組み立てていく。12分には増田湧介(環2・清水東高)のパスに抜け出した森田のクロスに平戸がボレーで合わせるが、これは惜しくもバーの上に外れる。さらに38分には相手のバックパスをカットした近藤貫太(総1・愛媛FCユース)が相手GKと1対1の場面を迎えるが、GKの好セーブで得点ならず。0-1とリードを許したまま前半を終える。
迎えた後半開始早々の5分、慶大が同点に追い付くことに成功する。相手CKからのカウンター、見事な切り替えで数的優位の状況を作り出すと、右サイドに抜け出した松下純土(総3・國學院久我山高)がクロスを挙げる。1度は跳ね返されるも、クリアボールは再度松下のもとへ。「思いっ切り打とうと思った」(松下)との言葉通り、今度は角度のない所から直接ゴールに突き刺した。相手GKが飛び出していたのを見逃さなかった松下の見事なゴールで同点に追い付いた慶大は、そのまま一気に逆転を狙う。30分には、右サイドでボールを受けた森田のグラウンダーのクロスに、飛び込んできた藤田が合わせるもこれは惜しくもバーの上。決定機を逃してしまう。すると、後半37分、増田のパスミスから、相手のカウンターで右サイドを突破される。一度はポストに助けられるも、こぼれ球を頭で押し込まれ失点。逆転を許してしまう。残り時間が10分を切った所での失点に、敗戦の予感が漂ったが、選手達は決して諦めてはいなかった。終了間際の後半45分、藤田のパスカットから、途中出場の端山豪(総1・東京ヴェルディユース)が左サイドで粘り、クロスをあげる。すると、中央に走り込んだ藤田が潰れ役となり、こぼれたボールは森田の足元に。思い切り右足を振り抜くと、ボールはゴール右隅に吸い込まれた。試合はこのまま2-2で終了。劇的な同点弾で追い付いた慶大が勝ち点1を得た。
昇格組の日体大が相手ということもあり、負けられない一戦だったが、何とか勝ち点1をもぎ取った。とはいえ、開幕から5試合を終えて1勝1分3敗と、慶大は厳しい現実に直面している。なかなか結果が出ない状況だが、この成績に満足している選手などいないはず。連戦が続く5月に一気に勝ち点を積み上げ、目標であるインカレ出場に向けて一歩二歩と前進したい所だ。
(記事・岡田洋介)
◆試合後コメント須田芳正監督
(今日は平戸選手がスタメンで近藤選手が二列目でしたが)今までターゲットがいなかったので、ターゲットを入れるということで、平戸を入れて、我々がしっかりとポゼッションして攻撃していくときの一つの選択肢としてダメなときは平戸のポストプレーに期待したということです。まあ、今日はしっかりとボールを繋ぐことができ、そしていい形で縦パスが入ったので良かったです。(今日は武藤選手が欠場でしたが)やっぱり膝の調子がまだ完全ではないということで、雨の日だと少し怖いということもあり、しかも連戦になるということで、今日は無理させないで欠場させました。(今日は転倒する選手が多かったが)滑っていたのは、一部の選手だから、それはなんでかっていうのはちょっとわからないです。これだけいいピッチでやれているわけだし、靴が悪いってわけでもないし、それで失点したわけだから、その辺の責任感っていうか、靴が悪ければ靴を変えないといけないし、体調が悪ければ体調を直さないといけないし、体幹が弱ければ体幹を鍛えないといけないし、バランスが悪ければバランス感覚を鍛えないといけないし、何というか、そこの部分は残念ですね、失点につながったので。(前節から修正した点は)平戸を入れて、ターゲットが一つ増えたということで、すべてグラウンダーの縦パスというよりか、最悪それが彼にボールを集めるということで今日は比較的余裕をもって出来たのでまずまずだったと思います。
DF松岡淳副将(商4・慶應湘南藤沢高)
(今日の試合を振り返って)1失点目は完全に自分のミスで、そういう試合の入り方をしてしまって、雨の中応援の人だったり声を張ってくれて最低限の引き分けという結果を出せたので本当に次が大事になると思います。(ピッチは滑りやすかったか)みんな滑っていたわけではないんですけど、個人的には滑ってしまって。それは自分の問題なので管理できていなかったと思います。(次節は藤田主将が欠場となるが)息吹が出ていない試合で、神大の試合でひどい内容だったので、でもそこは準備している人が11人以外にもいっぱいいるのでその選手が自信を持ってやってくれれば、普段通りのサッカーができれば大丈夫かなと思います。(次節に向けて)息吹がいないのもそうですし、自分がリーダーシップをとって鼓舞してやらなくちゃいけないと思うので今日の試合のようであったら個人的には本当に駄目なのでもっとパフォーマンスを上げて、今日の引き分けが流経で勝てれば次につながった試合となるので絶対に勝てるように頑張りたいと思います。
MF森田達見(経4・川崎フロンターレU-18)
(今日の試合を振り返って)全体的には支配していた試合だったんで勝ちきりたかったのが正直な気持ちです。(二点目を振り返って)端山がいい感じで折り返してくれたので。ダイレクトで打てれば良かったんですけど、最後は気持ちでというか、あまりゴールをみないで思いっきり狙いました。(この5試合を振り返って自身の調子は)調子自体はいいと思います。(次節は藤田選手が欠場し、またメンバーも替わると思うが、チームとしてはどのように戦っていきたいか)正直、藤田がいないのは大分厳しいなという感じがあるんですけど、それでも控えの選手の能力も非常に高いですし、逆に彼らもチャンスだと思ってやってくれると思うんで、特に心配していません。(次節への意気込みを)個人的には自分のゴールで勝利ができれば一番で、ただチームとして勝つことが一番の目標菜ので、そこは個人どうこうよりもチームとして戦っていければいいと思います。
DF松下純土(総3・國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)最後の最後に追いつけたというのがやっぱりけっこう大きくて。ただ前半後半試合を通して、自分たちのサッカーができていて勝ちきれなかったのは正直悔しいんですけどやっぱり最後に追いつけたというのは嬉しかったです。(今日はトップに平戸選手が入っていたので、前線に当てやすかったのでは)そうですね。須田さんも言ってたんですけど、前にターゲットがいることで後ろとしても選択肢が広がるので。やっぱり前にいるということで後ろでのパス回し、ショートパスも有効にできるのでそういった意味ではすごく大きかったです。(自身の得点を振り返って)けっこう貪欲にずっと狙っていたので、まあ前半も点を取れるところがあって外していたので。後半はカウンターの場面だったんですけど、ここは思い切って前に行ってやろうということで行ったらたまたまボールが来て、クロスをあげてはねかえってきたときにもうキーパーがいなかったのでここは思いっ切り打とうて思って打ったらたまたま入りました。(積極的に攻撃に参加していたが)そ うですね。貪欲にゴールを狙っていたのと僕が2、3列目から上がることで向こうの陣形も崩れるので。リスク管理としてボランチの増田であったり息吹君が上がっていたところを戻ってくれるので、けっこう思いっ切り上がることができました。(次節にむけて)もう2日後なんですけど、とりあえず今日のことは切り替えて。いい形で終われたと思うのでしっかりケアをして連戦ですけどしっかり戦いたいと思います。
FW平戸奨眞(法2・暁星高)
(今日の試合を振り返って)初出場ということで、今のチーム状況を考えながら、自分がやらなければいけないことをやらなければならなかったんですけど、結果的に点を取ることはできなかったんですけど、個人的に点が取れなくて悔しいです。(監督からの指示は)前節、ボールがトップに収まらなくてパスミスになってしまったので、DFからのパスを収めてキープして体を張ることを考えてやれと言われました。(前半におしいシュートがあったが)あれは慌ててしまって、トラップして冷静に決めれれば良かったんですけど、自分の経験不足かなと思います。(個人としての改善点は)どんどん試合を積み重ねていって慣れることですね。落ち着いてプレーすることができればいいと思います。(次節への意気込みは)今日の勝ち点1をポジティブに捉えて、次節勝ち点3を取れるように頑張りたいと思います。
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