京王電鉄杯 最終日 東大戦
2012/4/30(月・祝)@トヨタ府中スポーツセンター
2012年京王電鉄杯はこの日、最終日を迎えた。2日目までの4試合を全敗で終えていた慶大は、9・10位決定戦に臨んだ。関東トーナメント前の最後の試合ということもあり、結果だけでなく内容面においてもトーナメントに繋がる戦いを期待したい一戦だった。試合は、「今まであんまり試合に出れなかった人が元気を出してやってくれている」(佐々木HC)との言葉通り、1年生やバックアップの選手達が活躍を見せた。怪我人の多いチームにとっては、非常に実りの多い試合となった。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 16 | 27 | 21 | 24 | 88 |
東大 | 14 | 13 | 6 | 23 | 56 |
◆慶大スターティングメンバー | |||||
選手名(学部・学年・出身校) | |||||
PG | 伊藤良太(環2・洛南高) | ||||
SG | 大元孝文(環1・洛南高) | ||||
F | 大木崚介(経3・慶應志木高) | ||||
PF | 黒木亮(環1・延岡学園高) | ||||
C | 本橋祐典(環3・佼成学園高) |
1Q は互角の戦いを繰り広げる。東大のゾーンディフェンスに対し、慶大は思うようにプレーすることが出来ないが、個人技で何とか得点を決めていく。一方、東大もジャンパーを確実に決め、さらにゴール下で粘りを見せるなど、1Qは16-14とほぼ互角の内容で終える。2Q序盤、慶大は大元のスリーポイント、黒木のジャンパーで徐々に東大を引き離す。その後は大元、真木の1年生らが得点面でチームを牽引。「ゴール下を支配することができた」(大元)ため、慶大は楽に得点を重ねていく。中村が終盤にバスケットカウントを決めるなど、慶大は2Qで流れをしっかり引き寄せ、16点差をつけて試合を折り返す。
3Q序盤、真木の「バックコートから付いて相手にプレッシャーを掛ける」ディフェンスが機能し、慶大を更に勢いづかせる。大元も「ノーマークでボールが回ってきたため、シュートが打ちやすかった」との言葉通り、スリーポイントを2本連続で沈める。終盤、主力が下がってもバックアップの選手がチームを失速させない。4Qは新しい顔ぶれも見える中、上級生がチームをしっかり引っ張る。本橋がジャンパーを立て続けに決めれば、大木はゴール下で奮闘し、得点に繋げる。大差を維持したまま、慶大が88-56で最終日を勝利で飾った。
3日間を通し、主力が戦列を離れ、苦しい戦いを強いられた慶大であった。しかし正念場である今こそ、個人が成長できるチャンスだと捉えることも可能だ。出場選手が入れ替わることが多いため、個人で状況を打開するプレーも見られた。ここ数試合では、中村や平石、大木といった戦力がチームで機能し始め、大元や黒木は1年生ながらチームの中枢を担っている。今までにないチームの形が見え始め、選手層の厚さがうかがえる。だが、「バックアップの選手のイージーミスをなくすこと」(佐々木HC)は必須だ。また得点源が定まらない中、ディフェンス、リバウンドをしっかりこなしていくことも大切である。「ある意味全てが課題」(佐々木HC)というように、チームとしての完成度をあげていかなければならない。来週からは早速トーナメント戦が始まり、そして来月には伝統の早慶戦が待っている。「怪我人が復帰した時にチームがレベルアップすること」(伊藤)を信じ、この苦しい時期を乗り越えていってほしい。
(記事・丸山由鶴)
◆試合後コメント 佐々木三男HC (選手層が厚くなっているように見えるが)今はチームとしてもピンチの状況なので、今まであんまり出れなかった人が元気を出してやってくれるというのはいいことだと思います。全ては埋めきれないと思うけど、それでも精神的にはみんなの結束が図れるかもしれないです。(1年生について)少しここ最近の試合は小さくなってしまっているので、それは我々にとっては最大の敵なんですよね。新しい力が吹き込む風というのはこの子達にとっては大事なことなので、悪い意味で慶應に馴染みすぎですね。ミスをしてもいいから、もっとハツラツとプレーすることで、自分の持ってる力をチームに吹き込んで欲しいんです。だからあんまり細かいことは注意していません。(トーナメントに向けての修正点)得点を取る人がいなくなってしまったので。いくらディフェンスを頑張っても、シュートが入らないと相手を楽な気持ちにさせてしまいます。そういう意味で言ったら得点をどう取るかということになると思うんですけど、僕としては伊藤ぐらいしかいないのかなと思ってます。伊藤が点を取るようになるとセーフティーがいないとか、そういう問題はありますけど、セーフティーの前に得点を取らないといけないので、伊藤を得点源にして、バックアップの子達にディフェンスを頑張ってもらうということでやっていくつもりです。(トーナメントに向けて)この5試合もずっと筑波にターゲットを絞ってやっていて、矢嶋があれだけやれば筑波とも10点ぐらいのゲームが出来るかなと思っていた矢先に怪我をしてしまったので。まあでももう一度ディフェンスを頑張って、10点ぐらいの差で試合をもつれさせることが出来ればとは思っていますけどね。少し構想が壊れてしまいましたね。あと復帰する人がいるとは思うんだけど、実戦を経験しないと、練習だけでは掴めないものもあると思うので。中村とか大木はショートリリーフなら大丈夫だと思うので、それを何回か使いながら、何とか勝ちたいと思ってますけどね。 G真木達(環1・國學院久我山高) 相手が東大で、一部のチームじゃなかったんで、ディフェンスのプレッシャーは昨日一昨日に比べては緩くてやりやすかったっていうのはあるんですけど。今日みたいなプレーを進化させて、相手に関係なく一部でも出来る様に、もっと向上心持って行かなきゃいけないなと思いました。(自分の持ち味は)フォワードをやらせてもらっているんですけど、ボールをもらってから周りを見て上手くスペースを作ることです。後は、自分はジャンプ力とかスピード、それとディフェンスでの機動力って佐々木先生に言われてるんですけど、ディフェンスでバックコートから付いて相手にプレッシャーを掛けて、そこからブレイクに繋げて行くのが持ち味だと思います。(GからFに変わっての違いは)得点を取らないといけないんで、常にゴール下を把握しておかないといけないです。そうしないと得点は取れないんで、いかにスペースが空いた所で1対1をするかっていうガードとはまた違った視野があるので、そこで違いを感じています。(試合中に意識して取り組んだことは)昨日一昨年とあまり攻めれていなかったので、先生からもハキハキやれって言われてて、今日は自分的には昨日までよりは攻めれたと思うんで。とにかく攻めることを心掛けて今日は臨みました。(トーナメントに向けて)まだ一年生なので、自分に出来ることを精一杯やって、少しでもチームに貢献出来るように頑張りたいと思います。 SG大元孝文(環1・洛南) 昨日と一昨日と1部と試合をやってきて、あたりの部分やディフェスの激しさという面でとても違ったので、その部分では自分にかなりノーマークでボールが回ってきて、シュートが打ちやすかったです。慶應がディフェンスの時も2、3人でダブルチームをすると、ボールをこぶしたりしてマイボールになるという場面が多くて、結果勝ちはしたんですけど、今大会を通して1部の実力をはっきり思い知らされたのかなって思います。(この大会を通して得たもの)最後の東京大学との試合はバックコートでプレッシャーをかけてボールをとるという場面が多くて、それは選手同士でミーティングしている時に背が小さくて得点力がない部分ガードでプレッシャーかけてボールをとろうという話を実践できていました。自分達で見いだして結果に繋げることができたという点でよかったと思います。(どんな役割を担っていきたいか)得点力が落ちてしまったので、得点力を補えるプレーをしていきたいですし、チームが苦しい状況なので、一年生がハッスルできるプレーをしていって、チームを盛り上げられるようにしたいです。(シューターとしての評価)試合前に思ったのは、シュートがはいらなくてもシューターというポジションはシュートを打ち続けていかなければならないということで、シュートがはいったときでもはいらないときでも、絶対ゴールに目を向けようと考えました。そしてそれは結構できていたので、自分のおいていた課題としてはまずまずできたんじゃないかと思います。(今日の勝因)相手のレベルがあまり高くなかったのでゴール下の部分で、1部のチームにやられていたことを今日は逆にゴール下を支配できたということとガードの部分で、バックコートにプレッシャーをかけることができ、早い展開に持ち込めたのがよかったと思います。(トーナメント戦に向けての意気込み)今大会も筑波戦に照準を合わせてきています。筑波は1部でも上位の方に絡んでくると思うので、メンバー少ないですけど、バックコートでプレッシャーをかけて、苦しいシュートを打たせて、それをリバウンドに繋げて、速攻で決めるというバスケットを40分間貫き通せば、競り合えると思うので、その部分を意識して練習に取り組んで、トーナメントは絶対勝ちにいきたいと思います。
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