【バスケ】敗戦の中で手にした確かな手応え!成長を胸に秋シーズンへ 早慶戦男子戦

第70回早慶バスケットボール定期戦

2012/6/2(土)@代々木第二体育館

男子戦

慶大は昨年、リーグ戦2部降格という大きな屈辱を味わった。そして迎えた今季もこれまでトーナメントでベスト16敗退となるなど、満足のいく結果を残せていない。昨季から今季にかけて、非常に苦しい戦いが続いているのである。ただ、思い返してみれば、そんな苦しい戦いも昨年の早慶戦での大敗から始まったのではないだろうか。そう思わずにはいられないほどに、昨年の早慶戦での大敗がチームに与えた影響は大きかったはずだ。だが、そんな苦しい戦いも、もう終わりにしたい。そのためにはこの早慶戦で絶対に結果を残さなければならない。なぜなら、早慶戦で味わった悔しさは早慶戦でしか晴らせないからだ。明けない夜はない――。不遇の一年に終止符を打つべく、慶大は運命の一戦に臨んだ。 

  1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 18 25 24 19 86
早大 31 17 14 31 93
◆慶大スターティングメンバー
  選手名(学部・学年・出身校)
PG 伊藤良太(環2・洛南高)
SG 真木達(環1・国学院久我山高)
SF 中島祥平(総3・魚津高)
PF 黒木亮(環1・延岡学園高)
桂竜馬(政4・国立高)
 

PG伊藤良太(環2・洛南高)は苦しい中でもタフショットを決め続けた

関東トーナメントに引き続き中島祥を3番で起用し、インサイドを強調した布陣となった。復帰が期待された蛯名涼(法3・洛南高)、矢嶋瞭(総3・福大大濠高)の3年生コンビは怪我のためメンバーからも外れた。

試合は慶大ボールでスタート。試合序盤、慶大は桂主将、中島を中心としたオフェンスで順調に得点を重ねていく。だが、中盤以降は早慶戦独特の重苦しい空気が乗り移ったかのような、重いオフェンスに終始してしまう。ディフェンスでも相手のアウトサイドを止めることが出来ず、慶大にとっては攻守両面で非常に苦しい展開となる。終盤、慶大のオフェンスが停滞している間に早大に走られて連続得点を許すと、1Qで18-31といきなり大きなビハインドを追うこととなった。

ディフェンスの立て直しを図りたい慶大は、2Q開始から2-3のゾーンディフェンスを仕掛ける。するとそれが功を奏したのか、徐々に相手のシュートが落ち始める。一方のオフェンスではインサイド陣の奮闘ぶりが目立つようになる。中島が中距離のシュートを立て続けに決めると、黒木も気迫溢れるリバウンドからバスケットカウントを決めガッツポーズを見せる。このプレーで点差を1桁まで戻した慶大は、相手のインサイドを徹底的に攻める。本橋、黒木がゴール下で得点し37-44。その後もリバウンド争いで優位に立つ慶大がセカンドチャンスを決めるシーンが目立つ。アウトサイドでの得点が少ないが、その分インサイド陣が踏ん張りを見せて、43-48とビハインドを5点にまで縮めて2Qを終える。

PF黒木亮(環1・延岡学園高)は1年生ながらダブルダブルの大活躍を見せた。

3Q、慶大は黒木のフリースローと伊藤の得点で47-48と一気に1点差まで詰め寄る。その後早大が決め返し3点ビハインドとなるが、ここで真木がこの試合初めてスリーポイントを決め、慶大がついに同点に追い付くことに成功する。その直後に早大が決め返すが、「追いつくことに必死だった」(真木)という真木のスリーポイントが連続して決まり、同点のまま試合が進む。両校譲らぬ意地のぶつかり合い。それを打ち破ったのは中島だった。速攻に先陣を切って走ると、そのままバスケットカウントを決め、この試合初めて慶大がリードを奪う。その後もファウルトラブルに陥った早大のインサイドを攻めたて、黒木が見事なフェイクからゴール下を決めリードを広げる。インサイド陣の安定した活躍に加え、外角のシュートが当たり出した慶大が67-62でリードして3Qを終える。

4Qに入っても慶大の勢いは止まらない。本橋がポストプレー、ミドルシュートと幅広い形で得点すると、続けて中島のスティールから速攻が決まり、73-63とリードは10点にまで広がる。会場は大歓声に包まれ、試合は決まったかに思われた。だが、そう簡単には終わらないのが早慶戦。「勝てると思った」(黒木)という気持ちが油断に繋がってしまう。

インサイドで奮闘を見せたC本橋祐典(環3・佼成学園高)

タイムアウト後のディフェンスで、真木がこの日5つ目のファウルを犯しファウルアウト。これまで大事なシュートを決めてきたキーマンを失った慶大は一気にオフェンスが停滞。タフショットが落ちた所を早大に走られ、瞬く間に逆転を許してしまう。頼みのインサイドにもいい形でボールが入らない。苦しくなった慶大は残り1分46秒、77-83と6点ビハインドとなった所で最後のタイムアウトを要求。すると直後のオフェンスで伊藤のスリーポイントが決まる。さらに前線からプレスを掛けてボールを奪うと、桂がバンクショットを決め4点差まで迫る。残り時間が1分を切り、続くディフェンスは絶対に失点が許されない状況だった。だがしかし、ここでも早大#6大塚の個人技を止めることが出来ず、バスケットカウントを決められてしまう。慶大はファウルゲームに最後の望みを懸けるが、相手のフリースローが落ちることはなく、試合終了を知らせるブザーが無情にも鳴り響いた。結局試合は86-93で終了。肩を落とす選手達に、会場からは惜しみない拍手が送られ続けた。

終盤の失速で、惜しくも2年ぶりの早慶戦勝利とはならなかった。とはいえ、28点もの差がついた昨年の早慶戦に比べ、早大との差は確実に縮まった。「あと一歩で強い相手にも勝てる」(桂主将)との言葉通り、一部のチームとも互角に渡り合える所までは来ているはずだ。あとはその「一歩」をどう乗り越えるか。「(今年のチームは)行くべき所で行けなかったり、粘れる所で粘れない」(本橋)。ベンチを含めたチーム全体が、勝負所を理解して正しいプレーをする。流れや勢いではなく、勝負所でしっかりと自分のプレーを表現することの出来る、確固たる力が必要なのではないか――。秋シーズンに向けて、成長と課題が見えた早慶戦となった。

さて、次なる戦いは今月11日に初戦を迎える新人戦である。ここ数年、慶大は新人戦ではあまりいい成績を残せていない。だが、今年は伊藤を始めとして1、2年生にもAチームで試合に出場している選手が多くおり、その点では大きな期待が懸かる。また、この新人戦は2月から始まった春シーズンの締めくくりの大会となる。春シーズンを振り返った時に、選手達は「チームとして確実に成長している」(真木)という実感を持っているはずだ。だが、それは結果を残すことでしか証明することは出来ない。秋に控えるリーグ戦に向けて、結果を残すことで「自信」を「確信」に変えていって欲しい。

(記事・岡田洋介)

◆試合後コメント

C桂竜馬(政4・国立高)

(今日の試合を振り返って)悔しいですね。(個人としての出来は)チームが勝てなかったんで、0点です。(トーナメント後はどのような練習をしてきたか)個人としてはインサイドで身体を張れるようになって、ファールもらったり苦しい場面でリバウンド頑張ったり中で得点を取ったりっていうのを課題にしてトーナメントの後復帰してから頑張っていました。チーム全体としてはみんな勝てなくてもやもやしてるんで、どれだけみんなに気持ち良くプレーさせてあげられるかっていう所で、僕が潤滑油にならなきゃいけないなって思っていて、そういう気持ちの面では、みんな吹っ切れて今日の試合に臨めたのかなと思うんですけど…勝てなかったですね。10点離す力は絶対にあるんで、あと一歩で強い相手に勝てるウチのバスケが確立出来ると思うんで、本当に悔しいですけどここで下を向かないで、ちゃんと目標を忘れずに頑張っていきたいです(今日の大事なポイントとなったのは)ディフェンスから速攻で点差を離せて10点差がついたと思うんですけど、離した後のタイムアウト後に、大塚君に3点差まで縮められてしまって。もう一歩の所で掴みきれないっていうのは去年からのウチのチームの課題だと思うんで、「今コイツが来るな」って思った時にマークマンだけじゃなくて周りも「絶対コイツには決めさせちゃいけない」っていうコンセンサスがチーム内でまだ鈍いのかなと思います。そこで大塚君にやられたのはちょっと痛かったです。(下級生の活躍について)本当に頼もしい限りで、上級生にない得点の感覚だったりバスケットセンスを持っていて、みんな素直にチームを勝たせたい思いですごくやってくれていて。それを僕らがバックアップしたり先導したり、彼らが一番力を発揮しやすい状況でプレーできれば結果に繋がるんじゃないかなと思います。(敗れはしたが手ごたえはあったか)戦えなくはないと思うんで、まあやるしかないって感じですね。これじゃいけないっていうより――やるしかないです。(今年は4年生が少ないが、責任は)本当に感じています。例年みたいに4年生に圧倒的なエースみたいな状況で、僕がやらなきゃいけないとは思うんですけど、背伸びして変に得点取りに行くのも違うなって思うんで、自分のやらなきゃいけない仕事をどれだけできるかっていうことに尽きると思うんで、地味なところでもいいんで、ワンプレー自分が存在感を示すことができれば、本当に力がある後輩たちなので、ターニングポイントを作ることが僕の役割になるのかなと思います。

C本橋祐典(環3・佼成学園高)

3ピリで10点離して、そこから追いつかれて、4点離されたところがターニングポイントだったと思います。春シーズンで何回もチームの中でよく話していることなんですけど、1本1本止めなければいけないところを、この1本をとれば絶対流れが来るというところで、やっぱり粘り切れないという、去年は先生がチームの一番悪いところはケアレスミスとおっしゃっていたんですけど、今年は行くべきところで行けなかったり、粘れるところで粘れなかったりというところだと思います。粘れずにずるずるいってしまう、メリハリがつけられていないゲームだったかなと思います。(早慶戦に対する意気込み)とりあえず試合には入る前、早慶戦は1年に1回で、このチームでやれるのは1回きりなので、まずは昨年勝てなかったので勝ちたいというのと試合に入ってからは勝ちたいという一心で、目の前の自分の仕事に集中するようにしていました。(個人的な活躍について)最初は桂さんがスタートででていらっしゃって、いつもと180度違うような人が変わったようなプレーをしていてくれたので、ベンチスタートの僕としてはそれに乗っかろうと思ったんですけど、今日実質的に試合に出る時間が長くなって、チームの柱としてやるべきことは先生から言われていることは一緒なんですけど、リバウンドとディフェンスとポイントゲッターが少し少ないので、彼らが調子が上がってくるまでも、得点の面でも絡んでいけたらいいなと思って、システムであったり、自分たちのやりたいオフェンスは随所に展開できていたとは思うんですけど、最後の最後で、僕などがセットプレー、システムの起点となって、自分たちのプレーを徹底できていれば、追いつけたんじゃないかなと思います。(早大のインサイドがファールトラブルに陥っていたことについて)電光掲示板を見て、木村晃大が4つになっていて、周りには僕のところで勝負させてくれと言いました。最終的には彼がリバウンドで退場した時に、まさにああいうところで離すべきであって、相手の核となる選手が1人いなくなったという僕たちにアドバンテージがある状況の中で、畳み掛けられないのがチームとして弱い部分かなと思います。その後マッチアップした相手が、前の選手より弱いというところを意識できなかったですね。もう少し中で勝負してファールもらったり、オフェンスのリズムをつくっていれば、流れがよくなったのかなと思います。

PF黒木亮(環1・延岡学園高)

今までの電鉄杯とかトーナメントと違って、自分が慶應に入ってこれは勝てると思ったというか勝てる兆しが見えた試合でした。早慶戦という一体感のある雰囲気の後押しもあってか一時10点リードしたんですが、最後に自分たちの弱さが出たと思います。(早慶戦に臨むにあたって)自分はまだ一年生なんで、雰囲気とかも知らなかったし、とにかく試合に出たら頑張ろうと思っていました。4年生が4人しかいないし、その4人のために絶対頑張ってやろうと、チームの中でももちろんなんですけど1年生の中でもそういう気持ちは強かったです。そういう思い入れが強かった分負けてしまったので残念でした。(自身から見た敗因は)自分から見た敗因は最後4Q、点差を守って勝ち切る力がない。いつも勝てそうな時はすごく良いんですけど、逆に相手に流れをもってかれるとそのまま引きずられて負けてしまう。今回は本当に勝てると思ってて、逆に勝てそうな時の油断がチームにもあったと思います。試合に出てて思ったのが、良いシュートを決めて10点差ついた時こそ気を引き締めなければならないと思うんですけど、もう勝ったかのようになっていて、それが良くないというか、自分もしっかりそのことを言えば良かったです。(リバウンドで奮闘していたが)早稲田はセンターの二宮さんが抜けていたし、早稲田の1年生の山本君は高校からずっとやってきてる奴だったんで、こいつだけには負けたくないと思っていたんで、そういう思い入れで試合に臨みました。最初は足がついていかなくて動けなかったんですけど、1本目バスカンをとった時から気持ちがどんどんのっていきました。(出場時間を長くもらっているが)他にも出られない人がたくさんいるし、その人達の分も頑張りたいですし、素晴らしい時間と機会を頂いているので、自分の中でプラスにしていって、これから、来年、再来年、自分たちの代にもつなげていきたいです。(新人戦に向けて)要であり、いつも良い仕事をしてくれる本橋さん、中島さんのインサイド陣がいなくなるので、自分や権田さんとかのインサイドがポイントだと思うので、そこを重視してやっていきたいです。新人戦まで残り少ないんですけど練習して調整していきたいです。

G真木達(環1・国学院久我山高)

もう全然ダメというか、個人の反省なんですが、ほんと零点というか全然なんもできなかったなと試合を振り返って思います。(早慶戦に臨むにあたって)僕は内部から進学してないので、早慶戦に対する気持ちはなかったんですけど、練習中の先輩の雰囲気から早慶戦で勝ちたいなと自分でも思うようになって、今日もたくさんの観客が来てくれたので、勝たなきゃなというのが心の中にありました。それが逆に空回りしちゃって前半はあんな情けないプレーになっちゃったと思います。すごい早慶戦は楽しみにしてましたし、勝ちたいとも思ってました。(連続スリーポイントについて)追いつくことに必死だったので、自分が打たなきゃなというのがありました。(今日の課題について)悪かったことばかりでした。前半のファーストシュートが自分だったんですけどそれを外してしまい、自分の中でリズムが狂ってしまいました。観客にも飲み込まれてしまいました。経験がものをいう部分だと思いますが、コンスタントに点を取ることが課題だと思います。(早大の印象について)大塚選手が本当に上手い選手で、あの人を起点にバスケットが始まっていたので、すごく見習うことがありました。大学のガードの上手さというのをすごく実感しました。(中盤のファールについて)そこは反省点なんですけど、止めなきゃと思って体が勝手に動いてしまいました。(自分のプレーに対する評価は)勝たなきゃいくらがんばっても意味ないので。勝てば自分のスリーポイントも貢献したと言われますけど、負けたら全部水の泡だと思います。(新人戦に向けて)トーナメント終わって、早慶戦終わって、確実にチームとして成長していると思うのですが、勝たなきゃ成長したと客観的に思われないと思うので、新人戦では勝利したいです。優勝目指してがんばります。

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