史上初の3連覇を成し遂げた昨年の早慶定期戦から1年。数々の死闘を繰り広げてきた慶大と早大が、今年も国立のピッチにやってくる。前人未到の4連覇を目指す慶大と、それを何としても阻止しにかかる早大。聖地で両雄が、プライドをかけ激突する。
早慶戦3連覇中の慶大だが、今季のリーグ戦では両者に明暗が分かれている。開幕以来好調を維持し首位に勝ち点2差の3位につける早大に対し、中々勝ちきれず8位に沈む慶大。堅い守備陣を中心に安定した戦いを見せる早大に対し、若手主体のチームの中で不安定な戦いの多い慶大というのが今季の印象だ。その差が歴然と出たのは第9節の直接対決のとき。開始2分に先制点を奪われ劣勢に立たされた慶大だったが、近藤貫太(総1・愛媛ユース)のゴールで早い時間帯に追いつくことに成功する。その後は、慶大らしいポゼッションサッカーで主導権を握るも、早大の堅い守備を前にチャンスを作り出すことができない。すると、終了間際慶大選手の足が止まった隙をつかれ失点。試合はそのまま1-2で敗れ、経験の差、チーム力の差を感じさせられた試合だった。
今年の早大チームの強さは、その安定した守備陣にある。菅井順平、畑尾大翔といった4年生を中心とするディフェンス陣はリーグでも屈指の実力。この守備網を突破するのは容易ではないだろう。さらに特筆すべきなのは、攻撃の際の縦への速さだ。ボールを奪うと手数をかけずにゴール前へ。そのままフィニッシュに持ち込む光景が目立っている。パスの出どころである島田譲と増田湧介(総2・清水東高)とのマッチアップ、スピードあるサイドアタッカーたちをどう封じていくのか。この二つが鍵となるだろう。
そんな慶大にも好材料はある。武藤嘉紀(経2・FC東京U-18)の復調と、新システム3-4-3の機能だ。昨シーズン負った大けがから復帰した武藤は、ここまで2戦連続得点中。とりわけ最終節筑波戦では、果敢にドリブルで仕掛けチャンスを量産していた。この男の存在は早大ディフェンス陣を悩ませるはずだ。
両チームの選手たちが、この舞台にかける思いは、言葉で言い表せないほどに強い。それは毎年分かれる両チームの明暗からも見て取れる。リーグ戦とはまた違う緊張感に包まれるこの試合、どのような結果になるのかは誰にも分からない。ただ一つ言えるのは、間違いなく好ゲームになるということだ。両者の意地とプライドをかけたこの試合。7月4日19時試合開始予定だ。
(記事 石塚大樹)
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