オリンピックとは違うもう一つの世界の舞台で躍動する選手がいる。今回の特集は、ロンドンパラリンピックへの出場が決まった高桑早生選手(総2)。先日長居で行われたジャパンパラリンピック兼日本選手権では、100mと走り幅跳びの両方で優勝するなど調子は万全だ。そんな高桑選手が障害者スポーツの普及にかける情熱とは――。(この取材は5月19日に行いました。)
――ロンドンパラリンピックのテストイベントを振り返って
本番で使われている競技場で走れるということで、すごく楽しみでロンドンに行きました。実際に見てみたらきれいで立派な競技場で、記録もそんなに悪くなかったので良い遠征になったかなと思います。
――100mと走り幅跳びの試合の内容を具体的に振り返って
100mはベストには程遠い記録だったんですが、ちょっとトラブルがありまして…。色々な要因が重なった割には良く走れたのではないかなと思います。まだまだ満足のいく結果ではないんですけど、今回の試合の結果としては、実りのあるものというか、色々学べたレースだったかなと思います。走り幅跳びは、何年ぶりかは忘れてしまいましたが、久し振りにベストが出ました。幅跳びは本腰入れてはやっていなくて、100mをメインで練習していたので、その割にはよくできてベストも出たし、良かったなと思いました。
――パラリンピックと同じ会場ということで、緊張などはあったか
さっき言ったみたいに、100mはトラブルもあったので緊張する間もなくレースが始まってしまったので(笑)競技場に行く前は緊張してたんですけど、会場の雰囲気というか、本番のオリンピック、パラリンピックで使われる競技場なんだ!ということで、ちょっとミーハー心も持ちながら楽しめました。
――大会にはどのような意気込みで臨んだか
第一に、せっかくロンドンまで行ったので情けない記録では帰って来たくないなというのがありました。ベストは出なくても、自分がその時点で良いレースだったなと思えるような遠征にしようと思って、本当にリラックスした気持ちで臨めました。
――その点に関しては満足している
そうですね、満足しています。
――パラリンピックにはどのような意識を持っているか
先シーズンが選考のシーズンで、ランキングも良いところまで上げられたし、記録も良い記録が残せたので、やっと現実味を帯びてきたというか。先シーズン始まった頃は、まだまだ夢の舞台というか、わたしがパラリンピックを目指すなんておこがましいと思うような舞台だったんですけど、先シーズン今シーズンを通してやっと現実味を帯びてきたなと。もうちょっとで手が届きそうなところまで来たんじゃないかと思います。
――世界の舞台はいくつか経験しているが、パラリンピックは特別か
はい、すごく特別なものです。唯一障害者スポーツで、色々なところから注目してくれる大会なので、そういった意味でも特別ですね。
――出場できた場合目標は
まだ具体的には思いつかないんですけど…。前回の北京パラリンピックで、日本人選手が初の決勝進出というのを成し遂げているので、私も100mで決勝に行けたらいいなと今は思っています。多分幅跳びも出るので、そちらもファイナルに残りたいと思います。入賞できるようにがんばります。まだ全然イメージが沸かないんですけど(笑)
――今は出ることが目標
そうですね。
――強化している部分は
先シーズンからフォームに力を入れています。慶應の競走部に入ってから、スピードや体力はかなり付いてきたので、そこからフォームの改善を色々考えてトレーニングしています。色々なフォームに挑戦してみたりだとか、修正と同時に挑戦をしてトレーニングをしています。
――それは100mに関して
そうですね。幅跳びはほとんど練習していないんで(笑)。
――しかしパラリンピックのテストイベントでは全体の3位だった
そうなんですよね(笑)何が起こったのか自分でもよく分からなくて…本当に走力とタイミングだけで今回のあの幅跳びは記録を出してしまったので。
――世界と戦う上でもっと伸ばしたい部分は
自分は世界と比べたら劣るところだらけなので、ざっくりとですが全てですね。今回ロンドンに行って感じたのですが、まだまだだなと思います。もう一度夏に向けて一から色々考えていきたいなと思います。
――ロンドンに行って学べたことは
すごくたくさんあります。競技面というよりも、心構えというか、どういう心意気で臨んだらいいのかというのを勉強しました。
――今の調子は
調子はすごく良いです。身体もよく動きますし、ロンドンに行ったことで気持ちもすごく高ぶっているので、調子は良いと思います。
――今後に向けての意気込みは
今は本当にパラリンピックに出るというのを目標にしているので、それだけのことを考え競走部でトレーニングさせていただいています。
――パラリンピックに出場したら見てほしい部分は
もうパラリンピックを見ていただければ、私は満足です。私のことだけじゃなくて、どちらかというと私のことなんてどうでも良いので(笑)パラリンピックを見てもらうことにすごく意味があるので、そこで、私をきっかけでも良いのでパラリンピック、障害者スポーツを知ってもらえれば嬉しいと思います。
――今後の陸上人生の目標は
目標…なんでしょうねえ(笑)そうですね、せっかくここまでやってきたので、もうしばらく陸上は続けていくと思います。障害者スポーツはその最高峰にパラリンピックというものがあると思うんですけど、パラリンピックだけでなく、世界選手権で活躍できるような、「日本の高桑早生」という名前を世界の人に知ってもらえるような、そんなアスリートになりたいと思います。
高桑選手お忙しい中ありがとうございました。パラリンピックでのご活躍を期待しております!
(取材・原直生)
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