今季もついに早慶戦の日を迎えた。前節で法大がすでに優勝を決めており、今回の早慶戦で勝ち点を挙げたチームが2位となる。試合は肌寒い秋風とは裏腹に伝統の一戦と呼ぶにふさわしい熱いシーソーゲームとなった。慶大の先発・白村(商3)は初回いきなり早大打線につかまり2点の先制を許す。慶大打線も2回表、阿加多(法4)の2点タイムリーですぐさま同点に追いつくと4回表にも2点を追加し逆転に成功する。しかし、その裏、早大打線の猛攻に遭い、4失点を喫し再逆転を許す。反撃したい慶大であったが、中盤以降は打線が沈黙し、4―7で初戦を落とした。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
慶大 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
早大 | 2 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | × | 7 |
慶大:●白村、只野、仲井、福谷―阿加多
早大:有原、○内田、横山―地引
慶大出場選手
ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) | |
1 | [7] | 佐藤旭(商2・慶應) |
2 | [8] | 辰巳(文4・郡山) |
3 | [6] | 福富(商4・慶應) |
4 | [4] | 山﨑錬(商4・慶應) |
5 | [5] | 横尾(総1・日大三) |
6 | [9] | 藤本(環2・慶應) |
9 | 松本大(環3・桐光学園) | |
7 | [2] | 阿加多(法4・慶應) |
8 | [3] | 植田(商3・慶應) |
H | 谷田(商1・慶應) | |
3 | 倉橋(総4・済々黌) | |
9 | [1] | 白村(商3・慶應) |
1 | 只野(商4・慶應) | |
H | 影山(総4・鎌倉学園) | |
1 | 仲井(文4・時習館) | |
1 | 福谷(理4・横須賀) |
およそ23000人の大観衆が見守る独特の雰囲気の中で行われた早慶1回戦。試合は初回から動く。1回裏、慶大先発の白村(商3)は先頭の中村にいきなりセンター前ヒットを許すと、3番・髙橋にはレフト前ヒットでつながれる。さらに暴投で1死二、三塁とピンチを広げられると、続く打席には先日のドラフト会議で中日ドラゴンズから4位指名を受けた杉山を迎える。杉山はこの場面でセンター前タイムリーを放ち早大が1点を先制。さらに5番・地引には死球を与え1死満塁と苦しい状況が続くと、続く6番・茂木の内野ゴロの間にサードランナーが生還し1点を追加。続く打者にも四球で出塁を許し再び満塁のピンチを迎えるが、有原をセカンドフライに打ち取り、白村が何とかこの回を2失点にとどめた。
すると続く2回表、慶大打線がすぐさま反撃に出る。この回先頭の山﨑錬(商4)が相手のエラーで出塁すると、続く5番・横尾(総1)がレフトへ二塁打を放ちチャンス拡大。1死後、明大戦では当たりの止まっていた7番・阿加多がセンター前へ2点タイムリーヒットを放ち同点に追いつく。
さらに4回にも慶大打線が早大先発の有原を攻め立てる。1死から山﨑錬がライト線へ鋭い当たりを放ち、二塁にヘッドスライディング。間一髪のタイミングで二塁打とする。主将が気合いのこもったプレーでチャンスを演出すると、続く横尾のレフト前ヒットで山﨑錬が一気に生還し1点を追加。逆転に成功する。さらに藤本(商2)もレフト前ヒットで続き、その後植田(商3)が敬遠気味の四球で歩かされ、2死満塁とチャンスを広げて打席には白村。ここは白村の気迫が上回り、押し出しの四球をもぎ取って、リードを2点に広げた。
しかし、その裏、白村が早大打線につかまる。この回先頭から3連打を浴び、1点を返されると、1番・中村に死球を与え無死満塁の大ピンチを迎える。ここで続く大野大に初球をライト前に運ばれ再び試合を振り出しに戻された。快投が期待された白村であったがここでマウンドを降り、無念の降板となった。代わって無死満塁のピンチの中マウンドに上がった只野(商4)は、落ち着いた投球を見せるも2者連続の併殺崩れの内野ゴロの間に2点を追加される。結局この回4失点を喫し逆転された慶大は再び試合の主導権を早大に握られる。
さらに慶大は6回裏からマウンドに上がった仲井(文4)が大野大に四球を与えると、盗塁を試みた大野大を刺しにいった阿加多が二塁へ悪送球。さらにこのボールのカバーに入った辰巳(文4)がファンブルしてしまう間にランナーを一気に生還させてしまう。ミスが重なった慶大が中盤に重い追加点を与えてしまった。
7回からは早大・杉山と同じく中日ドラゴンズから1位指名を受けた福谷(理4)がマウンドに上がり、好投をみせるも時すでに遅し。頼みの慶大打線が5回以降、内田と横山の好リリーフの前にわずか1安打と沈黙。中盤の失点が最後まで響き、4-7で早慶戦初戦を落とした。
序盤は良い流れで攻撃できていたが、あと1本が遠かった慶大。しかし、このチームで試合ができるのはこの早慶戦で最後。気持ちを切り替えて、少しでも上の順位でシーズンを終われるよう、そして4年生に1日でも長くユニホームを着させ続けてあげるためにも明日の試合は絶対に負けられない戦いになる。チーム一丸となって慶大の意地を見せてほしい。
(記事 本田万佐央)
選手のコメント
山﨑 錬主将(商4)
(早慶戦を迎えるにあたって試合前のチームの雰囲気は)最後優勝がない中で、この早慶戦を迎えたんですけれど、最後思いっきり楽しんで、自分たちらしく最後まで笑顔でやろうよって言ってやりました。(序盤の攻撃はいい流れで4点を取ったが)これまでずっと0で、ピッチャーをなかなか援護してあげられない試合が多かったんですけど、でも今回は4点取ってあげることもできましたし、途中まではどんどん振りにいけていたという面では、よかったのかなと思います。(しかしあと一押しが足りなかった)そうですね。もう一本出ていれば流れがうちに来たと思いますし、明日はそういうところでもっと畳み掛けられるようにやりたいです。(ご自身は久々のヒットとなる二塁打を放ったが)そうですね。早慶戦は最後なんで、ガンガン行こうと思って思いきり振りました。(二塁へのヘットスライディングでベンチが盛り上がっていたが)ああやってチームに勢いがつけばいいと思ってますし、積極的な姿勢を見せてヘットスライディングとかでどんどん盛り上がっていけばいいなと思います。(明日に向けて)この仲間とやるのもあと少しですし、少しでも長くやれるように必ず明日は勝ちます!
福谷 浩司(理4)
(先日のドラフト会議で地元の中日ドラゴンズから1位指名を受けた瞬間の率直な感想は)びっくりしました!(プロではどのような選手になりたいか)信頼されるような選手になりたいです。(先発、抑えに対するこだわりはあるか)ないです!(最後の早慶戦にかける意気込みは)勝って終わりたいです!(早慶戦では同じく中日ドラゴンズから指名を受けた杉山選手と対戦する可能性があるが、意識するか) します!(今日のピッチングを振り返って)調子が悪い中で0点で抑えられたのでまだよかったです。(明日への意気込みは)勝って明後日に繋げます。
阿加多 直樹(法4)
(試合を振り返って)攻撃面は序盤は良い感じでしたが、やや不運な判定もあって流れをつかみ切れなかったです。ピッチャーも結構打たれてしまったので、バッテリーとして修正していかないといけないです。(白村の投球内容について)ボールが真ん中に集まりすぎてしまいました。ストライクゾーンの中で勝負するのが白村の持ち味だが、今日はそれが裏目に出てしまいました。(久々の安打となった同点タイムリーについて)最近は調子が悪くて、今日はどんどん振っていって、ダメならダメでいいやという気持ちでいきました。追い込まれていたがなんとか食らいついて、結果につながったのでよかったです。(多くの観客が集まる早慶戦だったが、普段通りのプレーだったか)そうですね。ただお客さんがいるほうがテンションが上がるので、気持ちの面では結構高ぶりましたね。(次の試合に向けて)多くてもあと2試合で、いつが最後になるかわからないので、やり残すことのないようにプレーしたいです。今までやってきたことを全部出せるように頑張りたいです。
辰巳 智大(文4)
(最後の早慶戦へはどのような意気込みで臨んだか)勝って終わりたいなという気持ちでした。(今日の試合を振り返って)中盤まではよかったんですけど、最後は自分のミスもあって負けてしまったので悔しいです。(明日の早大は吉永投手の登板が予想されるが、どう準備するか)シンカーがいいので、しっかり見極めて打ちたいと思います。
只野 尚彦(商4)
(試合前の意気込みは)アップしていて、すごいお客さんが入ってくださったんで、なんとかして勝ちたかったんですけど、残念な結果で…(4回、無死満塁でのリリーフになったが)大ピンチだったんですけど、立教のときの経験もあったんで、少し落ち着いて、自分の投げるボールだけを投げれたので、そういう意味では落ち着いてたかなと思います。(自身の調子は)調子は今シーズンずっと良いので、その点では不安は無いので、思いきって投げられました。(明日への意気込み)本当に、全部が最後の最後になってしまうので、ひとつでも、1試合でも長くやれるように、明日まず勝って、月曜日に繋げたいと思います。
仲井 洋平(文4)
(今日のピッチングを振り返って)負けてはいたんですけど、結果どうこうよりもとにかく最後なんで、楽しんで投げられればいいかな、と思いましたね。(6回からのマウンドということで何か特に意識したことは)いや、まあ特に意識したとかはないんですけど、2点差だったので、リズム良く投球に繋げられたらなと思いました。(不運な形で1点を失ったがマウンド上での動揺などは)自分のフォアボールから始まった失点だったので、まあそこはしっかりと。そもそも不運というか自分の責任だったので。(明日以降の意気込みは)そうですね、自分としても最後なんで、楽しんで。明日勝てば3試合目もあるんで、少しでも長く投げられるように、頑張りたいと思います。
福富 裕(商4)
(試合前、試合中の雰囲気は)試合前は、もう何もないので、出していこうという雰囲気はありました。試合中は、(4回裏に早大・中村がデッドボールで出塁した場面で)相手の中村がバントした時に、絶対バットに当たってたんですよ(笑)なのに審判の判断ミスがあって、ちょっとしらけちゃったというのはありました。(試合を振り返って)思ったより点は取れたんですけど、いろんなミスで取られちゃったんで、そこは残念だったかなと思います。(5回にヒットが出たが)調子が悪いので、とりあえず1本出て良かったなという感じです。(明日への意気込み)このメンバーと一緒に野球できるのはあとちょっとなので、1試合でも長くできるように、明日勝ちたいです。
白村 明弘(商3)
(今日の試合を振り返って)早慶戦初登板で、優勝も無くなっていたので気持ち的に乱れがあったかなと。調子自体はそんなに悪いとは思わなかったですけど…。次から頑張ります。(今季を振り返って)ここまでは良かったんですけど、最後悪かったら意味が無いので、また良い形で締められたらと思います。(来季に向けて)まだあんまり来年のことを考えていないので、とりあえず明日、明後日を良い形で締められて、来年に繋げられたらと思います。
植田 忠尚(商3)
(今日を振り返って)自分の実力をまだまだ出しきれてないってことを強く感じました。(早慶戦の雰囲気はどうか)初めてだったので、観衆の多さに驚きました。この中でプレーできていることに嬉しさを感じます。(有原投手については)球は早いんですけど、打てない球ではないんで、もう一回対戦する事があれば、次は打てるように頑張ります。(明日に向けて)4年生とできるだけ長く試合ができるように、明日は絶対に勝ちます。
藤本 知輝(環2)
(今日の試合を振り返って)4年生とできる最後の試合なので、負けたら意味がないですね。(自身のバッティングについて)そんなに良くなかったですけど、塁に出ることができて良かったです。(早慶戦ということで特別な思いはあったか)はい、やっぱりずっとこの舞台に立つことを目標にしてたので。(明日に向けて)4年生と1日でも長く試合したいので、明日勝って、明後日につなげたいと思います。
佐藤 旭(商2)
(今日の試合を振り返って)早慶戦ということでたくさんお客さんが入ってくれて、すごくいい雰囲気の中でやれたと思いますけど、ただ勝ちきれなかったことは自分の中で悔しいですし、個人的にもいいところがなかったので、不甲斐ないです。(有原投手の印象は)かなりいい投手というイメージで臨んで、ある程度自分で考えていったんですけど、やっぱり相手の調子が良かったので打ち崩せなかったという感じです。(明日以降に向けて)最後勝ち点を取って終わりたいので、明日、明後日と全力で頑張りたいです。
横尾 俊建(総1)
(今日の試合を終えて)とりあえず悔しいです。(自身の打席について)負けているので、切り替えて頑張りたいと思います。(明日に向けて意気込み)先輩方のために最後は勝ちたいです。
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