4月21日(日)に隅田川で第82回早慶レガッタが行われた。昨年の同大会では3年ぶりの優勝を果たした慶大対校エイト。今年は距離が3750mに延び、両校にとって過酷なレースとなったが、その中で、慶大対校エイトは徐々に加速していき、最終的に早大に7艇身の大差をつけて、悲願の連覇を果たした。また、第二エイトはレース終盤で早大にかわされてしまい惜敗。女子舵手付クォドルプルは大差をつけられ、早大に敗れてしまった。
「連覇」の偉業を達成すべく、今年も対校エイトが隅田川にやってきた。今年は距離が昨年の3000mから3750mに延びる上に、コース上の関係から早大より10m後ろからのスタートとなった慶大対校エイト。こうした不安材料もあったが、これまで十分な対策は立ててきた。「不安はなかった」(根本主将・商4)と練習量に裏付けられた自信を持って臨んだレースは慶大のペースで進む。スタート時の差をレース開始直後から詰めていく慶大。両国橋を通過するころには、早大におよそ1艇身の差をつけ、序盤からリードを奪う。「いいリズムでボートを漕ぎ切ることができた」(吉田副将・総4)との言葉通り、そのまま安定したピッチで漕ぎを進めていき、リードを保つ。後半以降はさらに3艇身、4艇身と差を広げていく慶大。ゴールである桜橋から見えるころには、すでに大きな差を広げていた。結果は7艇身差の大差で慶大の勝利。「平成17年以来」(根本主将)という8年ぶりの連覇を果たした。レース後には選手たちは両手を挙げガッツポーズを見せるなど、大きな喜びを露わにするとともに、「しっかりと自分たちのやってきたことを出し切れた」(根本主将)と充実感に満ちていた。
対校エイトよりも前に行われた第二エイトのレース。こちらも対校エイトのレース同様、距離は3750mであった。レースは序盤から両校接戦を見せる。中盤には慶大が一歩リードといった様相を呈する。そのまま慶大がリードを2艇身ほどまでに広げて、レースは終盤へ。このままゴールまで漕ぎ切るかと思われたが、最後の最後で早稲田が怒涛のラストスパートをかけ、慶大を猛追する。残り約700mのところでは1.5艇身ほどあった差が、桜橋付近では4分の1艇身差まで縮まる。慶大は粘って逃げ切りたいところであったが、ついにゴール直前で抜かれてしまい、結果は惜しくも3分の1艇身差で敗れてしまった。
昼ごろに行われた女子舵手付クォドルプルのレースは冷たい雨が降りしきる中、行われた。今年は昨年から距離が短縮されての1000mのレース。これまで早大に23連覇を許している中、今年こそはその連覇を止めたい慶大女子舵手付クォドルプルであったが、レース序盤から早大に差を離されてしまう。差は次第に開いてしまい、およそ29秒差の大差で敗れてしまい、早大の24連覇を許してしまった。敗れてしまったものの、レースを振り返って三好主将(環4)は「1人1人がとても成長して強くなった」とクルーの成長を感じている。夏の大会に向けて更なる成長に期待したいところだ。
一つの目標であった早慶レガッタでの優勝を勝ち取った対校エイト。「みんなで心を一つにしてボートを進めることができた」ことが最大の勝因であったと吉田副将は話した。慶大の強みであるチームワークが生み出した勝利だ。
早慶レガッタが終わっても、ボートのシーズンはまだ終わらない。8月には全日本大学選手権、10月には全日本選手権が待っている。「全国で優勝」(吉原・理3)という目標を達成するために、慶大端艇部はまた走り出す。
(記事:櫻井悠平)
【監督・選手コメント】
畠山監督
(レースを振り返って)
「レースの後半しかほとんど見れていないんですけれども、そこを見る限りでは練習の成果は出ていたのかなと。コース設定が今年初めて3750mということで、スタート時点でもう10m近く差がついている。ボートのレースでは先に出られるというのは圧倒的に不利なんですけれども、その対策を十分練ってきたので、ポイントとなる両国のカーブまでにある程度そのハンディを克服できたというところがポイントだったのかなと思っています。」
根本星詩主将(商4=対校エイト 2)
「今回初めて距離が伸びたレースでしたが、しっかりと自分たちのやってきたことを出し切れました。3000mのときよりもさらにハードな練習を繰り返して、レースに対する不安であったり、悩みや迷いを全て払拭してスタートにつけたのが最大の勝因だと思います。」
(2連覇ですが、気持ちは)
「8年ぶりの2連覇だったので本当に勝ててよかったです。」
(プレッシャーは)
「対校は勝つことが仕事なので、勝たなきゃいけないプレッシャーはもちろんありますが、変に硬くなるというような緊張に持っていかずに、いいプレッシャーにして、この隅田川で漕げるということを楽しんでやろうと言いました。」
(コースも長くなり、天候も雨で寒い中でしたが)
「コンディションはアップのときが一番荒れていて、若干の不安はありました。だんだん落ち着いてきて、対校のときはそこまで荒れていなくて、これなら自分たちの力を出せると思いました。距離が長くなったことに対する対策はこの半年間ずっとやり続けてきたので不安はなかったです。」
(ゴールが近づいてきて、どのような気持ちだったか)
「言問橋を過ぎて少しした辺りから観客のみなさんの声援が聞こえ始めるんです。そこからは感無量というか、みんながいてくれることが力になりました。そこからさらにいい漕ぎができたと思います。」
(これからのシーズンに向けて)
「2連覇して勢いがついたので、ここでだれることなく、10月の全日本まで半年間あるので、また突っ走っていきたいです。」
吉田誇雄副将 (総4=対校エイト 3)
(今のお気持ちは)
「早慶レガッタでは8年振りの連覇ということで、とてもうれしいです。」
(今日のレースを振り返って)
「最初早稲田に1艇身出られているところからのスタートだったので、どのように追い付くかということだったのですが、最初の橋の前で追い付くことができたことで気持ちがそこですごく楽になって、その後は比較的いいリズムでボートを漕ぎ切ることができたので、とても良いレースだったと思います。」
(自身にとっては最後となる早慶戦だったが)
「後輩たちの目標が早慶戦3連覇ということだったので、その夢をつなぐことができたことは良かったですし、後輩たちに何か残すことができたことは非常にうれしく思います。」
(今日のレースの勝因は)
「やはりクルーの、9人の信頼関係ですね。みんなで心を一つにしてボートを進めることができたということが勝利の大きな要因だったと思います。」
(今後に向けて)
「この勢いに乗って残りのインカレ、全日本に必ずみんなでつなげていきたいと思います。」
吉原大輔(理3=対校エイト C)
(勝利を収めた気持ちは)
「途中からずっと早稲田が見えなくて分からなかったんですけど、ゴールした後に振り返って見たらかなり差がついていたので、その時はやっぱりうれしかったですね。」
(レースを振り返って)
「最初から早稲田に出られていてその時点で不利だったんですけど、最初の500m辺りで一気にさせたことが大きかったと思います。」
(コックスとして意識したこと)
「そうですね、やはりコース取りです。最初のカーブは漕手と連携して上手く曲がるように注意して。それが結果として上手くできたと思います。」
(今後の目標)
「部の目標としてもそうなんですけど、全国で優勝というのが1番の目標ですね。」
中島悠司(商4=第2エイト C)
(今日の試合を振り返って)
「残念ながら勝てなかったんですけれども、自分たちの力は出し切ったので、次の夏に繋げていきたいです。」
(後半までリードしていたが)
「桜橋手前までしっかりリードしていたんですけれども、最後の最後で早稲田のすごい追い上げにあってしまい、自分たちの力をもう少し出せればよかったと思います。」
(今日の収穫と課題)
「前半はやはり強みなんですけれども、後半にちょっと弱いところが出るのでそこを改善していくところが今後の課題だと思います。」
(隅田川でのレースだったが)
「コースと違いカーブが何か所もあるのでやはりコックスの技量が試されるのですけれども、そこで自分はまだまだ力が足りないなと実感させられました。」
(今後に向けて)
「最後の夏なので一丸となって頑張りたいです。」
三好瑞季主将(環4=女子舵手付クォドルプル S)
(今の率直な気持ち)「色々な思いはありますが、次へのスタートだと考えています。負けたことに関しては自分たちの至らなさがありますが、自分たちが今まで積み上げてきたもの、全力でやったことについてはすべて出し切ったという達成感があるので、それでも負けてしまったということは実力差だったと思うので、次に向けて今度は自分たちが対校エイトのように見て下さる人に感動を与えられるようになりたいです。」
(今年から距離が短くなったが)
「隅田川で漕ぐ3000メートルはとても貴重な経験だったので残念ではありますが、1000メートルと決められた中でさらに勝てる可能性が高まったと思うので幸せに感じています。」
(早稲田の印象)
「とても強いです。高校の頃からみんな友達なんですが、努力家でこちらも尊敬するような方ばかりですが、私達も対応できるくらい頑張ってきたと思えるので、「実力差としてとても強かったんだな」と今でも実感しています。」
(良かった点)
「ほとんど全部良かったです。クルーのまとまりや気持ちの統一感、早慶戦に向けた気持ちの持ち方や言葉の使い方など、1人1人がとても成長して強くなったと思います。」
(反省点)
「実力差で負けてしまったところです。これから1人1人の体力向上など、もっともっと成長していくことが必要だと思っています。」
(今季に向けて)
「特に4年生は最後の大会で、試合の結果でしか感謝を表すことができないので、今日の結果というものを-に捉えるのではなく、新しいスタートとして成長し、夏の大会の時には「早慶戦の時には慶應に勝てたのに」と早稲田に思わせるような戦いをしたいです。」
(来年の早慶戦へ向けて後輩へメッセージ)
「とにかく自信を持って漕いで欲しいです。私たちが自信を持って漕げたのは、一緒に乗っていた後輩やまわりの人の支えがあったからです。4年生にとってこの場所で漕ぐことは最後なので、とにかく自信を持って楽しんで勝って欲しいなと思います。」
【】内はレース名 ()内はタイム
【対校エイト】
優勝 :慶應義塾大学 (13′53″68)
準優勝:早稲田大学 (14′17″37)
【第二エイト】
優勝 :早稲田大学 (13′32″45)
準優勝:慶應義塾大学 (13′33″53)
【対校女子舵手付クォドルプル】
優勝 :早稲田大学 (4′02″57)
準優勝:慶應義塾大学 (4′31″20)
※掲載が遅れてしまい、申し訳ございません。
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