【女子テニス】優勝、準優勝独占!慶大の歴史に新たな1ページが刻まれる 全日本学生選手権ダブルス決勝

今大会数々の金字塔を打ち立てた選手たち。坂井監督、サポート勢とともに笑顔で締めくくった。

今大会数々の金字塔を打ち立てた選手たち。坂井監督、サポート勢とともに笑顔で締めくくった。

第57回を数える全日本学生選手権の女子ダブルスの歴史の中で、これほど慶大にとって輝かしい日があっただろうか――。8月26日、岐阜メモリアルセンターにて慶大のダブルス2組による女子ダブルス決勝戦が行われた。予想を裏切らないフルセットの激戦の末、藤岡(総3=徳島市立高)・安形(環1=城南学園高)を破ってその頂点に輝いたのは西本(総2=岡山学芸館高)・池田(環2=富士見丘高)の二人だった。ただひたむきに悲願の日本一を目指して、パートナーを信じ、仲間同士であっても全力でぶつかりあい、涙し、こぶしを突き上げた少女たちを岐阜の夕暮れが包み込んだ。  

2013/08/26 全日本学生選手権大会@岐阜メモリアルセンター

  ダブルス決勝戦

○西本・池田5-7,6-3,6-4 ●藤岡・安形(同士討ち)  

強い絆と快進撃を見せた藤岡(右)・安形(左)

強い絆と快進撃を見せた藤岡(右)・安形(左)

どちらが勝っても慶大初のインカレダブルス女王、そんな緊張感の中で試合は始まった。序盤でリードを築いたのは、予選から快進撃で勝ち進み、準決勝では第1シードの亜大ペアをも打ち破った藤岡・安形だった。「最初の出だしがすごく肝心だと思っていて、やっぱり戦って勝ちに行く姿勢で最初からスイッチを入れて入れた」(安形)と振り返る通り、1年生の安形も先輩の脇を打ち抜く豪快なストレートエースを見せて勢いに乗る。ダブルフォルト2本など、ミスに足を取られる西本・池田を後目に、藤岡・安形が3ゲームを先取した。

ロブ戦で主導権を握った藤岡

ロブ戦で主導権を握った藤岡

しかしそこから第2シードペアが反撃を始めた。それまで藤岡が仕掛けていたロブラリーでも、ストロークに抜群の安定感を誇る西本が押しはじめ、2ゲームを連取して迫る。さらに池田もボレーで畳み掛けミスを引き出したが、「一戦一戦勝ち上がってきていて、何をするにも自信をもってやってきていた」(西本)という相手を突き崩すことはできなかった。接戦になった第1セットだったが、ここまでの破竹の勢いそのままに、藤岡・安形が先制し、勝利に王手をかけた。

しかし、相手は慶大のダブルス1にして第2シード。「そんな簡単に勝てる相手ではなかった」(安形)。やはり競り合いにもつれ込んだが、3-2となった場面から西本・池田が一歩抜け出した。池田が下がりながらもコースを狙う難しいスマッシュを決めて見せると、西本もサーブでペースをつかむ。二人の打点の高い攻撃がリードを広げ、西本・池田から6-3で最終セットへと突入した。

ネットダッシュで攻勢をかけた西本(右)・池田(左)

ネットダッシュで攻勢をかけた西本(右)・池田(左)

 

この第3セットでも、互いに長いラリーを辛抱強く続けるシーソーゲームとなったが、「要所でミスが出てしまった」(藤岡)と、その勢いに陰りが見え始めたのは、長引いたサービスゲームを何とかキープした後の第8ゲームだった。3-4と追いかける場面で、藤岡・安形のリターンに粗さが見られ、ミスが出てしまう。その後、安形の左腕からの特徴的なサービスから1ゲームしのぐが、西本・池田から6-4でついにゲームセット。大激戦の末、栄光をつかんだ二人は抱き合って喜びを爆発させた。

生き生きとしたプレーで日本一を掴み取った

生き生きとしたプレーで日本一を掴み取った

 

この結果、第2シードだった西本・池田ペアが初優勝を飾り、「個人戦ですけど日本一を取れたということがうれしい」(池田)と安堵の表情を見せた。また、ノーシードだった藤岡・安形ペアはジャンプアップして準優勝に輝いたが、「すごく勝ちたかったんですけど、悔しいっていう気持ちでいっぱい」(安形)と声を震わせた。選手たちの表情は悲喜こもごもだが、慶大にとって優勝、準優勝を独占するという輝かしい結果で今大会は幕を閉じることとなった。

日本の頂点に立った彼女たちを次に待ち受けるのは、団体戦日本一を目指すうえで最初の関門となる関東リーグだ。関東を制するものは全国を制す。今度こそはチーム一丸となって、もう一度全国の頂点を目指していく。その初戦は9月1日、強豪・亜大と早稲田大学東伏見テニスコートで激突する。王座を目指す彼女たちの第1歩を是非会場で見届けていただきたい。

(記事 伊藤明日香)

     

終盤は自信に満ちたプレーを見せた西本(左)・池田(右)

終盤は自信に満ちたプレーを見せた西本(左)・池田(右)

西本恵(総2=岡山学芸館高)・池田玲(環2=富士見丘高)

(優勝した瞬間の気持ちは)

池田 決まった瞬間は安心じゃないですけど、まず一つ全国大会の優勝、個人戦ですけど日本一を取れたということがうれしいのと、しっかり目標を達成できたというちょっと安心感というのがありました。

西本 やっぱりインカレでタイトルをすごく取りたかったので、決まった瞬間はそこまで実感はなかったですけど、でも本当にうれしかったのを覚えています。

(第1セットを取られて追いかける展開となりましたが、二人でどんなことを話し合って第2セットに臨みましたか)

西本 少しやっぱり受け身になっていた部分があって、タイトルが目の前にあって緊張していた部分もあったんですけど、私は個人的にはシングルスですごく悔しい負け方をしたので、もう絶対後悔だけはしたくないという思いで、二人でやりました。

池田 やっぱり思い切りの部分で相手より劣っていた部分があったので、自分たちから攻めるという部分と、緊張もあったと思うんですけど、ラケットが振れていなかったというのは自分たちにあったと思うので、どれだけ強気でいけるか、しっかり振り切ろうっていう、とにかく思いっきり後悔なくやろうと話しました。

(第1セットは相手のどんなプレーに苦しみましたか)

西本 戦術っていう面でもいろいろ考えて来られてたなとは思ったんですけど、やっぱり点が相手の良かった点かなと思います。

池田 私たちは部内戦とかでも何回も何回も試合をしていて、対策は立てられていて、それに対しての対策を自分たちも考えていたんですけど、やっぱり決勝だっていうこともありますし、思うようにいかない部分を最初は突かれたかなと思います。

(春関に続き、インカレを制覇しましたが、次の目標は)

西本 目の前のリーグ戦で、絶対団体戦でも強いペアになるということと、あとは全日本選手権でしっかり勝てる、学生だけじゃなくて、プロの方もいるステージで勝てるようになっていきたいと思います。

池田 同じなんですけど、目の前のリーグ、王座で一本取ってこられるダブルスになることと、今回のこの結果で全日本選手権に出る切符をもらえるかもしれないので、去年は予選に出てすぐ負けてしまったんですけど、本選に出て、プロの人がいる中でも上を目指していきたいと思います。

藤岡莉子(総3=徳島市立高)

(今日の試合を振り返って)最初から本当に勝つつもりでいて、後輩という事もあって絶対に勝ちたかったんですけど、やっぱり事が今日の敗因かなと思います。ただここからすぐにリーグが始まるので、ここでしっかりすべて取って、王座でも怖がられる存在になれるように頑張ります。 (大会全体を振り返って)予選からダブルスが始まって、予選1回戦はファイナルまで行ったんですけど、一個一個積み重ねてひたむきにプレーして勝ち上がってこられたのは大きな自信になったので、それを本当にこの後の試合につなげたいと思います。 (ここからリーグまでどのような準備をしていきますか)本当に気持ちも体ももう一度リフレッシュして、もうリーグで全て出して王座に行けるように頑張りたいと思います。

 ミスに落ち込む安形

ミスに落ち込む安形

安形玲耶(環1=城南学園高)

(今日の試合を振り返って)序盤から最初の出だしがすごく肝心だと思っていて、やっぱり戦って勝ちに行く姿勢で最初からスイッチを入れて入れたのはとても良かったんですけど、やっぱりそんな簡単に勝てる相手ではなくて、向こうにペースをつかまれたときに自分が揺らぐ部分があって、すごく勝ちたかったんですけど、悔しいっていう気持ちでいっぱいです。 (同校対決でしたが、練習のときと今回の試合では相手はどう違いましたか)やっぱり、部内戦よりも勝負への、勝ちに対する姿勢がいつもより強くて、でも私たちも気迫を全面に出して戦えたので、部内戦と公式試合とでそんなに違いはなく戦えたと思います。 (準優勝という結果に対して)個人戦の全国大会では今までで初めてなので、予選から一つずつ階段を上って、藤岡さんを信じてここまでやってこれたのはすごくうれしいですけど、やっぱり優勝できなくて、頂点に立てたわけではないので、この悔しい気持ちをすぐ一週間後に始まるリーグにぶつけていきたいし、来年のこの大会では頂点に立ちたいと思います。

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