10月10日(木)から13日(日)にかけて戸田ボートコースにて第91回全日本選手権大会が開催された。大会最終日の13日には各種目の決勝レース、順位決定レースが行われ、慶大端艇部からは女子舵手なしペア、男子舵手なしペア、男子舵手なしクォドルプル、女子エイトの4クルーがそれぞれ順位決定レースに出漕。ひとつでも上の順位を目指す戦いとなった。
最初に慶大から出漕したのは女子舵手なしペア。レース序盤から上位を追う展開となると徐々に差を広げられてしまう。4クルー中4着でのフィニッシュとなり、8位入賞という結果に終わった。
強い風が吹き付ける中での出漕となった男子舵手なしペアは、畠山監督が「今日一番良いレースをした」と評するほどの出来だった。序盤からレーストップに立つと、その後も勢いを落とすことなくレースを牽引。トップを1度も明け渡すことなく2位以下に5秒程の差を付け4クルー中1着でフィニッシュし、5位入賞を果たした。「これまでの反省点を全部踏まえて」(松沢)レースに臨めたことが好タイムにつながったと言えよう。
続いては男子舵手なしクォドルプルが出漕。中盤まではレーストップを保っていた東海大に食らいつくも、1000m地点以降からは猛追してきた東京経済大に追い抜かれるなど思ったようにタイムが伸びず。最終的に4クルー中4着、8位入賞となった。
今大会、慶大端艇部から最後の出漕となった女子エイトは、昨年の全日本選手権大会で艇重量不足による順位付かずという悔しい結果に終わっている。「最初の500メートルからスピードを出そう」(三好主将)というレースプランのもと、中盤までは競った展開となる。その後日体大が独走する中、慶大は東京経済大との壮絶な2,3着争いを繰り広げることに。1500m付近で慶大が追い抜くと、そのまま僅かの差を何とか維持し4クルー中2着のフィニッシュで6位入賞。その差は僅か0.17秒だった。「たくましさを感じた」(畠山監督)レースを女子エイトのクルーたちは見せてくれた。
この日出漕したクルーはすべて順位決定レース。決勝に駒を進めることができたクルーはなく、特に早慶レガッタで大勝を収めた男子エイトが敗者復活で姿を消すなど、「部としては負け」(畠山監督)と言える結果だった。今大会をもって慶大端艇部を支えてきた4年生は引退となるが、長い共同生活、過酷な練習などを通して3年生以下クルーたちが4年生から感じ取ったものが多くあるだろう。10月末には1,2年生主体の新人選手権が控えており、端艇部の新たな戦いが始まる。今年達成できなかった〝日本一〟という夢。〝日本一〟の悲願成就こそが引退していく4年生への最高の恩返しとなる。 (記事 山内貴矢)
監督・選手コメント
畠山監督
(今日の各レースを振り返って)対抗エイトが負けてしまったので部としては負け。今日出ていったのがすべて順位決定なのでファイナルAに残っていないので部としては良くない結果、負けということで受け止めています。でもその順位決定の中で今日一番良いレースをしたなと思ったのは男子のペア。今日1着でゴールしたんだけれども、これはどんどんどんどん内容が良くなっていって、全体のタイムでも4番目くらいだと思うんだけれども、もうちょっと早く内容が良くなってくれると決勝にも行けたのかなと思います。あと今日見た中では女子のエイトはすごく希望があるというか、まるでバラバラだったけれどもどんどんどんどんレースをやっていくと一つになっていって、生き生きとする生き物のようになっていって、最後抜いて行ったりなんかするのもすごくて非常にたくましさを感じました。(今大会で引退する4年生にどのような言葉を掛けるか)僕が監督になった時に1年生だった代になるかと思うんだけれども、最初からエグイ練習をさせられていてよく耐えてきてくれたなというのと、彼らは早慶戦で2回勝っていて早慶戦に関しては良い思いをしているんじゃないかなと。インカレと全日本に関しては彼らのいる内では1回決勝に行っただけなので、最後の年にあまりいい結果を残せなかったというのは申し訳ないなと。でも結構色んなことがあった代なので実りがあるんじゃないかな。後になって思い返したりすると内容の濃いボート部生活を送れたのではないかなと思います。(今後に向けて一言)来年は是非PRしたいんだけれども、端艇部が創部125周年ということで大々的にやっていきたいと、いい結果を出してこれに花を添えたいなと思っています。
三好 瑞季主将(環4=女子エイト)
(この大会への意気込みは)女子部のぎりぎりの人数でエイトを組むことになって、普段ボートに乗って練習できない子とかもいる中で、みんなで同じ場所を目指せることが嬉しかったです。学年も一年生から四年生までいて、これで引退する四年生やまだ来年がある三年生、もうすぐ新人戦がある一、二年生とか様々な立場の人たちが一緒に乗って、それでもみんなで楽しむことを一番メインでやれたので良かったと思います。チャレンジして失敗してもいいから思い切りやろうということをみんなに伝えていて、レース中も常に誰かが声を出してみんながそれに答えてというレースでした。とにかく楽しめて最後までみんなで勝ちたいという思いを持って漕げたことは幸せに思います。(レース内容を振り返って)後半になってスピードが出てくるようなクルーだったので、今日は最初の500メートルからスピードを出そうということでした。昨日まではスタートの三本、四本漕ぐと離されていたんですけど、今日はちょっとついていけていたかなと思いますし、そこからどんどん安定して伸ばしていけたので良かったと思います。(最後の大会を終えた気持ちは)みんなで一つのことを目指せるというのはすごく幸せなことだなと思いました。なかなかうまくまとまらなかったりすることもあるんですけど、本当に一つになって目指したいところを目指せたなという思いがすごくあって、一人一人が満足したレースだったと思いますし私自身もこの部でやってきて良かったなと思えるレースでした。(後輩へのメッセージ)みんなで同じ方向を向くことやボートの楽しさを見失ってほしくないので、すごくつらいスポーツで泣くことの方が多いと思うんですけど、その中でもみんなで励ましあって何かを掴んでいく楽しさを忘れずにやっていってほしいなと思います。
松沢 遼(文4=男子舵手なしペア)
(今日のレースを振り返って)4日間通して少しずつ良くするということができたので、最終的にこれまでの反省点を全部踏まえて今日4日目のレースだったので一番良いレースだったなと思います。(5位入賞という結果に関して)社会人とか結構強いチームがいる中で順位決定戦での1着という形での5位ということなので、すごく満足しています。欲を言えばやっぱり昨日のところでA決勝に行ってレースをしたかったですけど、でもシーズンの最後にこのように5位という結果ですけどレースの中で1着で終わることができたことはなかなかできない経験だと思うので、本当に良かったなと思います。(この大会を以って引退となるが)僕たちは普通の部活の人たち、トーナメントと違って、ここで引退するという日が決まっているのでそれに向けてずっと練習してきているので、それに向けてちょっとでも成果を出すことができたということや、レースの中で1位で終われることはなかなかないことなので、そこは本当にいい経験をさせてもらったなと思います。(後輩たちに向けてメッセージを)本当に強い後輩たちばかりなので何も心配していないところもありますけど、上手くなってくださいとしか言いようがないですね。
コメント