前日の国武戦で2試合連続のストレート勝ちを収めたものの、優勝の可能性が消えた慶大。秋季リーグ最終戦の相手は名門・東海大。勝って少しでも上位に食い込みたいところだったが、相手の勢いに押し切られ有終の美を飾ることはできなかった。
11月3日(日)秋季関東大学男子1部バレーボールリーグ第11戦 慶大×東海大 @日本体育大学世田谷キャンパス新体育館
得点 | ||
慶大 | セット | 東海大 |
20 | 1 | 25 |
25 | 2 | 17 |
25 | 3 | 17 |
23 | 4 | 25 |
7 | 5 | 15 |
ここまで8勝2敗の3位と好位置につけて迎えた最終戦。慶大は全日本インカレの上位のシード権獲得に向けて勝利を収めたいところであった。対する東海大は下級生主体で挑んだ秋季リーグの総決算ともいえる試合に臨んだ。
第1セット、東海大のサウスポー・池田のぶら下がって打つスパイクにブロックのタイミングが合わず、序盤だけで2度のタイムを使うなど劣勢に立たされる。しかしタイム後は柳田(環3)のスパイクやサービスエースで連続得点を奪い、点差を詰めて中盤を迎える。ここで東海大はジャンプサーブを丸谷(環3)に集中させ慶大のサーブカットを崩し、試合を優位に進める。ここでベンチは丸谷に代えて守備に定評のある吉田(環2)を投入するも、このセットを20-25で落とす。
続く第2セットは柳田の軟打や稲田(環3)のダイレクトで確実に得点を重ね、良い流れでの滑り出しを見せる。その後は岡田の高さのあるスパイク、ライン際に落ちるジャンプサーブが決まり、相手のスパイクミスも手伝って終始慶大が主導権を握り25-17でものにする。
第2セットの勢いそのままに第3セットも相手のミスを逃さず得点していく。この日好調であった野口(環3)のフローターサーブでサービスエースを奪うなど、サーブで崩していく理想的なバレーを展開していった。その中でも星谷のブロックやCクイックも決まり、相手ブロックに的を絞らせない。結局このセットも25-17で取る。
第4セットは打って変わって接戦となる。岡田(商4)・柳田の両エースのスパイクで得点していくものの、相手キャプテンの鶴田を中心とする東海攻撃陣がスパイクを確実に決めて食い下がる展開に。なかなか点差が開かないまま終盤に突入すると、リベロ野瀬(環2)を中心として相手のフェイントを落とさず拾ってつなぎ、丸谷が決めるという形を作り、試合を決めにかかる。だがここで岡田の痛いサーブミスが出てしまう。このミスで流れが変わってしまったのか、ここから連続してポイントを取られ23-25でこのセットを落とす。
何とか悪い流れを断ち切りたい慶大だったが、第5セットは序盤からサービスエースを取られるなど相手サーブに押され、苦しい展開に。その中でも岡田のコート真下に突き刺さる強烈なスパイク、柳田のバックアタックが見られたものの、試合の主導権を奪うまでには至らず7-15で落とし、今季3敗目を喫した。
この結果8勝3敗の4位で秋季リーグ戦を終え、春季リーグ9位からの躍進を見せた。だが最終戦を振り返って、「最後の最後にスパイクミスとサーブカットのミスが出た」(宗雲監督)、「サーブカットはうちの課題」(岡田)と振り返るように慶大の課題が浮き彫りとなったゲームでもあった。特にサーブカットは、今リーグ戦の中で相手のジャンプサーブにうまく対応できずカットが短くなり、センター線を使えずどうしてもサイド中心の攻撃となってしまい、ブロックに付かれてしまうといった悪循環を生み、試合の流れをつかめないことが多々あった。「少しでも守備の慶應と呼ばれるくらい成長してインカレに臨みたい」(宗雲監督)と語るように守備の安定性を高めることがチームのさらなる飛躍につながるだろう。
とはいえ、ベストスコアラー賞を受賞した柳田、次点となった岡田を中心にチームを組み立て、春リーグで手も足も出ずに敗れた強豪チーム相手にしっかりとリベンジを果たし、優勝争いを演じたこの秋季リーグの戦いぶりは「着実に強くなっているということを確信できた」(岡田)と言うように選手の自信にもなったはずだ。
「この負けを絶対に生かしたい」(宗雲監督)、「悔いを残さないように、全力で頑張りたい」(岡田)と語るその視線の先にはすでに全日本インカレの頂点しか見据えていない。
(記事 岩井邦夫)
監督・選手コメント
宗雲監督
(今日の試合を振り返って)残念の一言です。(敗因は何か)最後の最後にスパイクミスとサーブカットのミスが出て、そこが春から一番心配していた慶應の弱い部分が秋シリーズで一番大事だったあのセットだけに出てしまって、やはりそのミスだと思います。(秋季リーグ戦を振り返って)残念です。春よりかは慶應のチーム単体として見た場合、遥かに力がついていると思うんですね。守備なんかは小学生くらいのレベルのものが、なんとか大学生の1年生くらいの守備までうまくなったと思うのですが、当然周りのチームも良くなっているので、優勝のチャンスこそあったものの、優勝をつかむとこまでは伸びきれなかったのかな、そこまでのチャンスをつかむだけのテクニック以上のものが持てず、力がつかなかったのかなと思います。(チームとしての修正点は)実はリーグ中からリーグが終わったらある形を変えるというのは学生とも話をしていて、いつも通り詳しくは話せないのですが、少し形を変える予定で、修正点は急にレシーブはうまくならないので、やっぱり丸谷選手とか守備にもっと力を入れてもらって、少しでも守備の慶應と呼ばれるくらい成長してインカレに臨みたいと思っています。(今後の試合に向けて一言)今、インタビューを受けていてふと感じたのですが、さっきまでは最後のポカで負けて悔しい思いがすごくあったのですが、逆に負けたからこれで勝って2位か3位でよかったよかったと終わるよりも、こういう終わり方をしたので、インカレに向けて開き直れるし、私自身もまた火がついたところがあるので、この負けを絶対に生かしたいと思います。
岡田拓巳主将
(今日の試合を振り返って)今日は本当に、OBの方からもお叱りを受けたのですが、僕が大事な所で何回もミスをしてしまって申し訳ないと思います。今回の秋リーグは、春リーグで勝てなかった相手に勝てて、春リーグからは考えられないような戦績を残せたので、着実に強くなっているということを確信できたリーグでした。(東海大のサーブが力強かったですね)そうですね、サーブカットはうちの課題ですし、もちろんこれからも、あと1か月ですけれど、そこを中心に頑張らなくてはいけないと思っています。東海はサーブが良いチームだというのは頭にあったのですが、大事な所でサーブを決められてしまって、そういう意味では「構え」というものが足りなかったかと思います。(これからインカレへ向けて動き出すことになりますが)そうですね、去年は準優勝ということなんですけれど、去年は去年で、今年は僕や星谷をはじめとした4年生のチームなので、去年の事はあまり考えずに、自分たちが悔いを残さないように、全力で頑張りたいと思います。
益田万太郎 副将
(副将としてこの試合をどう臨みましたか)リーグの順位としては勝てば3位以上ということでなんとしても勝ちたいと思って臨みました。(今日の試合を見て何か課題はありましたか)途中まではベンチから自分も見てて勝てるなとほぼ確信があったのですが、最後に4セット5セットと、このような形になってしまったのは自分達の弱さや気持ちの面も大きいと思います。そこをあと1ヶ月でなんとかしていきたいです。(秋季リーグ戦を振り返って)自分は1回しか試合に出なかったのですが、チームとしては練習でやってきた成果が目に見えた大会でもあったので収穫は大きかったと思います。(最後のリーグ戦でしたが)今はまだ実感があまりわかなくてこれで終わったのかとかもないのですが、終わったといわれると寂しい気持ちと悔いもたくさんあるのですけど、ここまでやり遂げてよかったと思います。(早慶明定期戦に向けて)チームとしてはインカレを目指しているのですが、早稲田と明治はこれから決勝を行い1位が決まります。そこに胸を借りる気持ちでやっていければなと思います。
星谷健太朗
(今日の試合を振り返って)そうですね、途中まで良い展開だったんですけど最後ちょっと上手くいかなくてそこがちょっと悔しいですね。(ご自身にとって最後のリーグ戦でしたが)最後だからということはあまり思わないでプレーしていたんですけど、最後もうちょっといけたら良かったなっていう後悔はありますね。(ご自身のプレーについて)何回かシャットアウトできてまあまあ良かった部分もあったんですけどもう1、2本シャット出来てれば4セット目あたりも違かったと思うのでそこはちょっと力不足だったと思います。(次の早慶明定期戦にむけて)そうですね、早稲田も明治もそれぞれ上位なのでそこを倒してその弾みのままインカレに臨めたらいいなと思います。
サイド | 柳田将洋(環3・東洋高) |
セッター | 野口剛志郎(環3・東福岡高) |
センター | 星谷健太朗(理4・渋谷幕張高) |
サイド | 岡田拓巳(商4・熊谷高) |
サイド | 丸谷将大(環3・東筑高) |
センター | 稲田聡典(環3・日向学院高) |
リベロ | 野瀬将平(環2・東福岡高) |
途中出場 | 上田悠貴(総2・生野高) |
佐藤凜太郎(環2・東北高) | |
吉田純(環2・東亜学園高) | |
上野素希(文1・甲陽学院高) |
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