いよいよ明日に迫る早慶定期戦。須田芳正監督は、今季で監督就任4年目となる。「一つの節目」である今季、ソッカー部を3年ぶりに勝利に導くことができるか―。熱い思いを語っていただいた。
―前期のチームを振り返っていかがですか。
まず目標であった4位以内、20得点というのが達成できて、本当に一言でいうと順調に前期を進めていけたなと思います。昨年は最多失点だった。その反省から、まずはここの部分をとにかく減らそうと。まず半分に減らそうという目標を立てて、守備の強化を図りました。その中で、今回結果として最少失点ということで、トレーニングしてきたことができてきました。守備に関しては手ごたえを感じています。
―最少失点の中、守備陣も他のメンバーに任せるのではなく、積極的に攻撃に参加している印象を受けましたが。
去年、一丸となることの大切さを改めて勉強しました。去年の悪いときはみんながバラバラで、戦術も気持ちも共有できていなかった。それが最後、一丸となって戦って奇跡的にああやって残留した。それが教訓になっていて、選手全員がまずは謙虚にチームのためにやろうという気持ちの部分が出てきました。自立しているというのかな。一丸となってまさに戦えているな、というのは確かですね。
―その中で、これから改善したい点はなんですか。
最少失点なんだけど、得点がまだ少ない。ボールを取った後のつなぎのところとか。基本的には堅守速攻だから、時間をかけないで1本の手数をかけないで攻めるということ。相手もしっかり守っているんでね。そのときに、しっかりとボールをキープするだとか、そういった判断力が改善点です。まだまだ守備に関しても、ディフェンスラインが中盤吸収されて、かなり押し込まれる場面というのもあったんだよね。そういったところも含めて、まだ守備・攻撃を改善していきたい。それからもう一つは、やはりシュートの質を上げていくこと。決定的な場面というのは数少ないけど、いくつかあるんだよね。そこの部分を確実に決めていれば、得点も増えるだろうし、負け試合が勝ち試合や引き分け、引き分けが勝ち試合になる。そういったところを改善していかなければいけないと思います。
―シュートの部分で、これから期待したい選手はいますか。
やっぱり前の選手が決めるというのが、チームにとってプラスになると思います。雰囲気的にも。だから、フォワードの選手たちが点を取るということで、攻撃陣には期待したいですね。特に早稲田みたいなのが相手だと、ペナルティエリア内でかっちり守るんだよね。そうするとなかなかペナルティエリアに入れさせてくれない。だから、ペナルティエリアから10メートルぐらいのバイタルのところからシュートを打って、まずは枠に飛ばす。なおかついいところに蹴ることができるように。夏場じっくりとできるので、そういった部分をやっていきたいと思います。
―前期もっとも印象的だった試合は何ですか。
やっぱり開幕戦かな。まずわれわれは、開幕に照準を合わせてきたので。開幕戦というのはリーグ戦の一つの試合だけれど、やっぱり重要なんだと。チーム全体がそこに照準を合わせて準備をしてきたので、そこで勝ったから波に乗ったんじゃないかな。相手は明治だったんだけど、なおかつ完封試合ということで、本当に冬場からやってきたことが出せた。自信もあったけど不安もある。チャレンジャーの気持ちで謙虚に戦った結果、勝利と同時に無失点でいけたということで、「お!今年はいけるんじゃないか!」と。チーム全体に自信を与えたゲームだったので、一番印象に残っています。
―前期もっとも活躍したと思われる選手はだれですか。
いやもう、みんな本当に役割を一生懸命やったと思います。だれがというのはあまりないけれど、まずはキーパーだよね。一番の砦はキーパーなんだよね。一試合のうちで、決定的な場面って2回から3回はあるんだよね。どんなに一生懸命守っていても。それを2回止めてくれれば、うちは勝てるんじゃないか、負けないんじゃないかと。そういうことをコーチとも話していたんだけど、まさに今年は峯(達也)が決定的な場面で、毎試合止めてくれている。彼は本当に今年すごくよくやってくれているなと思います。それから、全体的にやっぱりディフェンス陣だよね。センターで最初に出ていた並木(凌介)あたりも、彼も去年まではBチームだった。開幕戦で出て、けがで今は出ていないれど本当によく頑張ったんじゃないかな。ディフェンス陣全体をよくまとめてやってくれたなと思います。ほかにもみんなよくやったと思うんだけど、とにかくディフェンスのところで中心となった2人は、よくやってくれているなと思います。
―監督に就任されて4年。ソッカー部への思いは変化していますか。
毎年変化しているよ。1年目というのは初めての年だから、緊張感もあった。もちろん前にも監督はやっていたんだけど、わからないこともあったし、半信半疑でやっていました。1年目はすごくいい成績だったけど、2年目はちょっと気の緩みもあっただろうし。3年目もまた違うこともあった。そこですごくいい経験をさせてもらった。チーム状態が悪いときにどう立て直すか、といういい経験ができた。4年目というのは、僕と一緒に入ってきた1年生が最高学年だから一つの節目のシーズンなんだけど、そういった意味ではこっちも3年間やってきた経験があるので、いろいろな余裕が出てきました。あとは選手たちとのコミュニケーションだったり。
―昨季と異なり、今季は4年生が多く出場して結果を残していますが、4年生への思いはありますか。
大学っていうのは4年が一番だから。4年がしっかりと中心となってチームを引っ張ってくれるというのが、大学スポーツでは大切だと思っています。人数も多いし、1年から出ている選手もいるし、彼らがまさに去年の教訓を得て、今年しっかりとしたチーム作りをしている。そういった意味で、本当によくやっているなと思います。彼らの最後の年だから、ぜひ彼らといい成績を収めたいなと思います。
―指導者として心がけていらっしゃることは何ですか。
ないな(笑)。何だろうね。そのときの状況に応じて、対応していきたいなと思っています。「いい、加減」なところかな。「いい加減」じゃないよ。
―では、早慶定期戦について伺います。早大には前期リーグ戦とアミノバイタルカップで完敗してしまいましたが、早慶定期戦はどのような試合になると思われますか。
わからない。サッカーはやってみないとわからない。勝つか負けるかわからない。天皇杯もあるし、早慶戦に向けてGO!という感じではないんだよね。選手たちがよく頑張って東京都で4位以内に入ったから、天皇杯の予選にも出られることになったわけだし。ひとつずつの試合を、今回は背水の陣で大事に戦おうということなので、目先のことしか今はちょっと考えられないんだよね。今は天皇杯をどう勝ち抜くかということしか考えていないので、早慶戦のために準備する期間というのは、もしかしたら勝ち抜いていくとないかもしれないんだよね。その流れの中で早慶戦がある。今は早慶戦についてはまったく考えていない。インタビューにならなくて申し訳ないけど。
―特に慶大のキーマンになる選手はいらっしゃいますか。
全員サッカーだから。サッカーって90分間あるよね。その中で、大体同じくらいのレベルの大学生と戦えば、攻撃するときも守備するときも、いいときも悪いときもある。要するに人生と同じで、今は攻めるときなのか、今は守るときなのか。今チームがゲームの中でどういう状態なのかをコントロールして戦いなさい、と。相手のペースのときって見ていてもあるじゃない。そのときに慌てないこと、焦れないこと、イライラしないこと。相手に得点させないようにがっちり守ろう、ということをみんなが共有することが大切だと思う。ずっと90分間、自分たちのペースで自分たちがボールを持っていて攻撃している試合というのは、まずないよね。だったら、今はどういう状況なのかを判断して、守りきろうじゃないかということで、そういう時間帯はみんなで声を出して頑張る。逆に今は攻撃なんだ、というときは取りに行く。みんなが共有すること、それが大切なんじゃないかと思います。そういう流れを読むということを彼らによく指導しています。だから、キーマンはやっぱりキャプテンだよね。キャプテンが、苦しければ叱咤激励してチームを盛り立てて励ます。今はチャンスなんだ、というときはどんどん攻撃するし。だから、キーマンは間違いなくキャプテンだと思います。
―増田湧介選手は、その役割をしっかり果たされていると思われますか。
彼は本当に、前期チームのリーダーとして引っ張っています。ピッチ内外において、なおかつ練習でもね。彼はよくやってくれているので、さらにこれからもやってもらいたいなと思います。
―最後に、今後の試合に向けて意気込みをお願いします。
まずは目先の試合である天皇杯に勝って、次のステージに上がること。今回は本当に次のことしか考えていないのでね。引き続き謙虚に戦っていきたいなと思います。
須田監督、ありがとうございました。
(取材 窪山裕美子)
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