夏合宿を終え、対抗戦開幕に向けて力をつけている慶大。BKチームと言われるなか、セットプレーとフィールドプレー両面において、FWがどれだけボールを奪取できるかが勝利への明暗を分ける。今回は、慶大のFWの中心であり、4年生のバックローコンビである木原健裕主将(総4)、森川翼(環4)の両者にお話を伺った。チームの軸となる彼らの口からは、冷静な分析による今後の改善点や課題、そして勝利への熱く前向きな思いが語られた。
――夏合宿を振り返って一言
木原 夏合宿は網走、菅平、山中湖と移動しましたが、かなりハードなスケジュールでした。網走では、個々にフォーカスを当てた練習が中心で、菅平では、練習試合を多くしました。負け試合が多かったのですが、立命館大戦はかなり良い形で進められたと思います。
森川 菅平での試合を通じて、慶大の強みや課題がはっきりしました。監督もおっしゃられるように、このチームは個々の選手の素材からすると悪いものではありませんが、どの試合もミスが多いために負けを喫しました。しかし、その分伸びしろはあると思っています。
――合宿で重点的に練習したところは
木原 セットプレーですね。スクラム、ラインアウトの基礎的なスキル向上に取り組みました。また、チーム全体の取り組みとして、試合においてディフェンスよりもアタック中心のプレーが出来ることを意識しました。
森川 バックローのプライドとして、強いタックルをしたいと思い、そこに意識を置きました。バックスに混ざってアタックの練習も行いました。
――合宿を経て変化したところはありますか
木原 春シーズンは4年生がチームを引っ張れないことが多かったのですが、合宿を経て4年生が軸のチームに変化したと思います。雰囲気も良くなりましたね。一つひとつのミスについても厳しく対応できるようになりました。
森川 セットプレーにおいて、細部まで気を遣って取り組めるようになりました。セットプレーの基準が一段階上がったと思います。
――菅平での練習試合について
木原 負けてしまった試合はやはりミスが多かったですね。逆に立命館大戦ではみんなの意思疎通が取れていました。先手を読んだプレーもできたので、成長を感じました。
森川 帝京戦において、セットプレーで負けてしまったところが反省点ですが、フィールドプレーでは大差があるようには感じませんでした。倒れてもすぐにリロードしたり、一人当たりの運動量を大きくしたりすることで、慶大は枚数で勝てると思いました。今後はミスをどれだけ少なくできるかが鍵だと思います。また、慶大は、相手にやられこむと周りが見えなくなり、チーム全体が下を向いてしまう傾向にあります。逆に調子がいいときは、全てが前向きに攻撃できるため、勝ち試合が多くなります。今後は内面的な部分をどれだけ強くしていけるか、どうしたら常に前向きな気持ちを持てるかを模索していきたいです。
木原 確かに、昨年の対抗戦での勝ち試合は、全員が必ず勝てるという気持ちを持って挑めましたね。
森川 対抗戦は一発勝負で、僕らが大差で勝てる試合は多くないと思うため、波に乗れなくてもいかに試合中に持ち直せるかが大きな課題になると思います。
――主将として一番気を遣った部分は
木原 チームとして良い状態をいかに継続させられるか、4年生がチームをどれだけ引っ張れるかということに意識を注いでいました。
――森川選手は一次合宿でMVPに表彰されていましたが
森川 もともと僕はフィットネスや走るトレーニングが苦手ですが、7月のオフ期間も含めそこに必死に食らいついていたところを評価していただけたのかなと思っています。
――お二人はプライベートでも親交があるのですか
木原 森川とは、部のなかで一緒にいる時間が最も長いと思います。もともと実家が近くて、入寮する前は毎日一緒に帰っていました。
森川 初めてあったときの木原は、今と顔つきも髪型も違って接しにくく、ここまで仲良くなれるとは思っていなかったです(笑)。
木原 考えが一緒のことが多いですね。家庭環境も似ていると思います(笑)。ここに関東申峻(総4)も加えて、3人で仲良くしていることが多いです。
――プレーヤーとしては
木原 森川はチームに欠かせない、唯一無二の存在だと思っています。ラインアウトでも軸ですし、アタックでも頼りになるので、彼がいなかったらうちのチームはないと思っています。
森川 運動量が大きいですし、ほとんどのFWに求められるスキルが揃っているため、頼りになりますね。4年生になってから、今までよりも体を張っています。チーム160人の代表にふさわしい責任感があると思います。
――続いて対抗戦について伺います。まずは意気込みを
木原 初戦が大事だと思っています。最初から白星発進したいです。まずは自分たちのラグビーがどれだけ通用するのかを試し、FWではセットプレーで圧倒したいと思っています。
森川 お世話になった方のためにも、勝ちたいですし、自分のためにも悔いが残らないようにやりきりたいです。後悔のない試合をし続け、勝ちにこだわっていきます。
――開幕に向けて準備していることは
木原 慶大は簡単に勝てる相手がいないと思っているので、どんな相手でもとにかく100%で挑みたいと考えています。ですから、練習中から常にミスに厳しくし、試合を想定して練習するようにしています。
森川 ラインアウトでチームを引っ張る存在でなければならないと思っているので、クオリティを高めるために、日々厳しく練習しています。また、今までは試合中に言葉を発する選手ではなかったのですが、最近はコミュニケーションを大事にしていきたいと思っています。ですから、練習中から意識的に声を出しています。
――意識しているチームは
木原 全チームですね。なかでも、OBやファンの方からは、早大に勝ってくれという声が大きいので、早慶戦は絶対勝ちたいですね。
森川 全チームですが、特に意識しているのは明大です。昨年の終わりに接戦で負けて悔しい思いをしているので、その借りを返したいです。
――チームの目標は
木原 変わらず、打倒帝京・日本一ですね。
森川 一戦一戦着実に勝つことですね。
――個人の目標は
木原 体を張ることですね。気持ちを込めて、一つ一つのプレーを丁寧に取り組みたいです。
森川 沢山ボールに絡んで、自分の働きが得点に繋がるようなプレーをしたいです。
――ラストシーズンの思いは
木原 僕らは今季でラグビーから離れるので、負けて終わりたくはないです。絶対に勝ちたいですね。
森川 悔いの残らないようにやりきりたいです。
――Webをご覧の方に向けて
木原 いつもご声援ありがとうございます。どの試合も100%でぶつかって、気持ちを込めて頑張ります。今後ともよろしくお願いします。
森川 いつも応援してくださっている皆さん、支えてくださっている皆さんに、良い試合を見せたいと思っています。これからもよろしくお願いします。
――お二人の仲の良さから、終始和やかな雰囲気で取材させていただくことが出来ました。お忙しい中、ありがとうございました!!
(取材 長尾里穂)
木原 健裕(きはら・たけひろ)
本郷高出身。高校時代に花園出場を果たし、慶應義塾大学総合政策学部に進学、現在4年生。主将を務める。ポジションはFL。チームの精神的支柱であるとともに、高いFWスキルによってプレーにおいても選手を引っ張る。
森川 翼 (もりかわ・よく)
桐蔭学園高出身。高校時代に全国制覇を果たし、慶應義塾大学環境情報学部に進学、現在4年生。ポジションはNo8。鍛え上げた強健なフィジカルが持ち味で、ブレイクダウンでは圧倒的な強さを誇る。
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