早慶戦まで残り1週間。同時にそれは、4年生にとっては大学野球生活のラストへのカウントダウンをも意味するものでもある。
その中で今回は、これまでチーム内で重要な役割を務めながらも、あまり注目されることはなかった4年生を4日間にわたって特集する。
初日の今日、取り上げるのは田中宏典投手(環4)。投手陣の中で唯一の4年生、昨季の胴上げ投手でもあり、今季の早慶戦でも好リリーフを期待されている田中宏投手にインタビューを行った。
―春季リーグでは優勝投手となりましたが、夏の間、秋季リーグに向けてどのような課題をもって準備してきましたか
春よりも精度を上げたいなと思って夏の間は練習していましたね。コントロールを良くしたり、投げミスをなくそうと思って練習していました。
―今季、立大戦までベンチから外れていましたが、その間どのようなことを考えていましたか
去年も同じような状況になって、春はベンチ入りしていたんですけど、調子を落としてしまって、その時はどうにかしなきゃと思って一日中練習をしちゃって無理をしてひじを痛めちゃって、どうしようもなかったんで、今年はそうならないようにがむしゃらにやるだけじゃなくて、冷静になって客観的に自分を見て、とりあえず怪我しないように、最後までやり切れるようにということを意識して練習していました。
―立大戦で今季初登板が延長14回一死満塁で長打が出れば逆転サヨナラ負けというものすごいプレッシャーのかかる大ピンチでしたが、どのような気持ちでマウンドに上がりましたか
本当に久しぶりのマウンドだったんで、とりあえずもう超緊張しましたね。ヤバかったっす(笑)
―その大ピンチを無失点に抑え、5回戦にも及ぶ激闘に自ら終止符を打ったわけですが、その瞬間の気持ちはいかがでしたか
ホッとしましたね。ホッとしましたね(笑)
―その試合後に江藤監督が延長14回のあの場面では信頼がなければ田中投手を出せないとおっしゃっていましたが
ありがたいです。そうやって信頼してもらっている限りその期待に応えなければいけないと思いますし、やっぱりなんかあの人(江藤監督)もってるんですよね。選手を乗せるのがうまいというか、やる気の出させ方というか、励ましたり、そういうのはさすがだなとすごく思いますね。
―今年春から通じてリーグ戦8試合に登板し、すべて無失点に抑えていますがその要因は
点を取られてはいけない場面でしか投げていないんで、もっとどうでもいいような場面で出されたらたぶん何点か取られてると思うんですけど、場面が場面なだけに点を取られてはいけないんで、たぶんそれで抑えられてるんだと思います。緊張感を持っていつもマウンドに上がれてるかなと思います。
―現在チームはリーグ戦2位ですが、早慶戦に向けてチームの雰囲気はどうですか
チームの雰囲気は、まぁとりあえず楽しく練習やってるなって感じですね。優勝の可能性が残って、後2週間練習できるんで、それはすごい幸せだと感じてますし、最後まで優勝戦線に残っていられるっていうことをみんなうれしく思っていると思うし、そういう状況なんでみんなやるしかないという感じなんだと思います。
―最後の早慶戦に向けてご自身はどのような準備をなさってますか
どんな場面で出ても抑えられるようにということと下級生がすごい頑張ってくれてるんで、その下級生に少しでも楽をさせてあげたいなとは思いますね。
―早大打線に対してどのような対策を考えていますか
これからっすね。対策っていうよりもまずはしっかりと自分のピッチングをするだけだと思うんで、何回も対戦したことのあるバッターばかりだし、向こうも対策してくると思うんですけど、それにあまり影響を受けすぎないようにしっかりと自分のピッチングに集中したいと思います。
―早大打線の中で特に警戒する打者はいますか
松永ですかね。なんかすごい打たれてるような感じはありますね。
―慶大の優勝の条件はまず2連勝してから3戦目の優勝決定戦に持ち込んでそこで勝つことなんですが、3戦目は必然的にリリーフ投手が登板する可能性が高くなると思うんですが、また優勝が決まる瞬間のマウンドに立っていたいというお気持ちはありますか
まぁ、できればですけど(笑)それは監督次第というか状況次第なんで、もちろん僕が出なくても楽勝で勝てればそれが一番だと思いますけど、そうなれば(自分が優勝決定のマウンドに立っていられれば)いいなというのはちょっとあります。自分がマウンドに立つ準備はいつでもしています。
―田中投手にとって早慶戦は相性がいいのではないですか
結構早慶戦は自分の力以上のものが出てるなっていう気がします。
―今年一年を振り返って投手陣の中で4年生は田中投手一人ということでしたが、投手陣を引っ張っていこうというお気持ちはありましたか
引っ張っていこうというのはありましたし、1年生がやりやすいような環境をつくってあげたいなというのはありました。僕がどうこうというよりも下級生が自主的に練習してくれて頑張ってくれていました。ピッチャーコーチの田代が妥協せずに、嫌われ役になって頑張ってくれたんでそれがすごい大きいと思います。
―2年生の竹内大・福谷が活躍する中で刺激を受けることは
(二人が)頑張っているので、僕が頑張らなきゃというのは毎試合思ってます。若い投手陣からマウンドを譲られたりするので、なんとかして抑えないとというのはいつも思います。
―立大の田中宗一郎選手と同じ佐賀西高校出身。今でも親交は
地元に帰った時は、一緒に母校の練習に行ったりしますし、(8月に松山で行われた)オールスターの時に、一緒に飲みにつれていってもらったりしました。(その時に)完全に潰されて、立大戦の時に仕返ししてやろうと思ったんですけど、対戦することはなく終わってしまいました。
―ご自信にとって最後となる早慶戦にかける意気込みは
もちろん勝負にはこだわりますし、真剣に勝ちにいくんですけど、その中でもしっかり楽しめたらいいなと思います。早慶戦の雰囲気を楽しめるのは最後だと思うんで、勝っていい思い出にしたいと思います。
記者の質問に一つ一つ丁寧に答えてくださった田中宏投手。お忙しいところ本当にありがとうございました。
2日目の明日は、松本和選手のインタビューを掲載する予定です。
By Masao Honda、Takayuki Fukui
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