【ラグビー】昨季の借り返す快勝!/関東大学対抗戦 青学大戦

果敢に前進を図るFL岩本

果敢に前進を図るFL岩本

関東大学対抗戦第2戦の相手は昨季まさかの敗戦を喫した青学大。大学選手権出場へ絶対に落とせない一戦だ。試合は序盤から慶大が果敢なアタックからトライを連取し前半だけで26点のリードを奪う。後半も攻勢に出る青学大を持ち前の粘り強いディフェンスで封じ、38‐7で快勝。終始試合を優位に進めた慶大が青学大に雪辱を果たし、大学選手権出場へ大きく前進した。

 

関東大学対抗戦A vs青学大

2014/9/28(日)13:00K.O.@秩父宮ラグビー場

 

得点

慶大

 

青学大

前半

後半

 

前半

後半

T

G

PG

DG

26

12

小計

38

合計

 

得点者(慶大のみ)

T=浦野 関東 川原 宮澤 白子

G=矢川4

 

慶大出場メンバー

ポジション

 

1.PR

青木周大(商4・慶應)

→16眞鍋泰明(経4・慶應)

2.HO

神谷哲平(総4・桐蔭学園)

→17末永晃二(商3・慶應)

3.PR

吉田貴宏(総4・本郷)

→18出口桂(商3・明善)

4.LO

野田一宇(商4・修猷館)

→19佐藤大樹(総1・桐蔭学園)

5.LO

白子雄太郎(商4・慶應)

6.FL

木原健裕(総4・本郷)

7.FL

岩本龍人(政3・國學院久我山)

8.No8

森川翼(環4・桐蔭学園)

→20鈴木達哉(環2・茗溪学園)

9.SH

宮澤尚人(法4・慶應)

→21星卓磨(政4・慶應志木)

10.SO

矢川智基(環3・清真学園)

11.WTB

関東申峻(総4・宮古)

12.CTB

石橋拓也(環4・小倉)

→22田畑万併(環3・桐蔭学園)

13.CTB

川原健太朗(環4・小倉)

14.WTB

浦野龍基(政4・慶應志木)

→23服部祐一郎(総4・國學院久我山)

15.FB

下川桂嗣(商4・修猷館)

 

試合は慶大キックオフで始まる。すると敵陣での相手ボールスクラムからボールを奪い、CTB川原からWTB浦野へ右に大きく展開。浦野がそのままインゴールへ突破、前半3分に早くも5‐0と先手を取る。さらに前半7分ハーフライン付近でWTB関東がラックから球を拾うと、そのまま一気に中央へ約50mの独走トライ。明学大戦から関東の勢いが止まらない。SO矢川のゴールも難なく成功し12‐0。負けられない一戦の重圧に屈することなく、慶大が積極的にアタックし開始早々立て続けに得点する。24分には矢川のロングキックの処理を相手が誤り、5mスクラムを獲得。SH宮澤、矢川と素早く球を出す。最後は川原がゴール左へ抜け出しトライ。この試合ではスクラムからHBのテンポの良いパス回しにより多くのチャンスが生まれた。前半30分台も敵陣で執拗に突破を図り、相手のペナルティを誘ってチャンスをうかがう。37分にゴールライン近くの密集から、宮澤が手薄になった相手守備の隙を突く。左への一瞬の持ち出しでそのまま中央へトライを決める。小柄な宮澤の的確な判断が光った。前半は26‐0と慶大が大量リードを奪う。

 

川原が力強い走りを見せる

川原が力強い走りを見せる

後半開始後も慶大はアタックの手を緩めない。青学大の不安定なセットプレーもあり、ほとんどの時間慶大がボールを支配する。9分には屈強なNo.8森川がタックルを受けても簡単に倒れず、懸命にゲイン。倒れ込みながらラストパスを送り、「粘り強く走ってフォローしていた」というLO白子が受けインゴール左へ沈めた。またタッチライン近くの難しい位置から矢川が見事なキックでゴール成功。33‐0と突き放した。ところがここまで零封されてきた青学大がしだいに息を吹き返す。青学大の距離を詰め強く当たってくる「激しい気迫、厳しいディフェンス」(和田監督)を前に慶大の反則が増え始め、13分には自陣でオーバーザトップを犯してしまう。ラインアウトから押しこまれ、ついに青学大にトライ、ゴールを許し33‐7となる。ただ慶大も20分にタックルを華麗にかわした浦野が関東へと送り左隅へトライし38‐7。関東はこの日も複数トライ、WTB2人で相手守備陣を切り裂いてみせた。

しかし20分過ぎから再び我慢の時間帯へ突入してしまう。相手に走り勝ち後半に突き放すラグビーを目指す今季の慶大だが、青学大は疲れを見せず果敢に慶大インゴールへ突破を図る。慶大もプレッシャーを受けてペナルティを続けてしまい、ずるずると押しこまれる展開に。ただ慶大の真骨頂とも言える強いタックル、粘りの守備は健在。相手の精度の低いラインアウトにも助けられ、最後までインゴールは割らせなかった。「僕らも僕らでプレーがはっきりしなかったりミスが続いたりした」(川原)と、例えばラインアウトを取りきれなかった場面などマイボールを保てず攻めあぐねたことは反省点。しかしそれでも青学大を1トライに抑えたことは自信になるはずだ。試合はそのまま両者得点はなく38‐7で終了。慶大が大学選手権出場へ大きな白星をつかんだ。

 

大学選手権へ向けて慶大戦に照準を合わせてきた青学大に対し、6トライを奪う快勝。今の慶大は関東をはじめとしたBK陣が絶好調だ。またFWもスクラムで圧倒するなど気持ちが一つになっている。この日は押しこまれる時間帯もあったが、終わってみれば相手はわずか1トライ。持ち前のしつこい守備から手堅い試合運びをしたと言える。次戦は日本代表キャップを持つWTB福岡など、BKにタレントが揃う筑波大が相手。強敵であることに疑いの余地はないが、粘りのディフェンスで相手の持ち味を封じ、素早く好調のBKで展開できれば勝機を見いだせる。筑波大に勝利すると一気に対抗戦上位進出となる慶大。「対抗戦全体で慶應が流れに乗れるかどうかの一番の、最初のキーポイント」(浦野)の次戦に注目だ。

 

ディフェンスの穴を突きトライを決めた

ディフェンスの穴を突きトライを決めた

【ケイスポ的MOM】スピーディーな球出しとアタックで相手を撹乱 SH宮澤尚人

先制点の浦野、さらに川原のトライなど数多くの決定機がスクラムから生まれた青学戦。スクラムそのものが「結構良くて安定」(PR青木)していたことに加え、SH宮澤の素早い球出しによって相手守備を後手に回すことに成功した。今後も宮澤・矢川のHBによるテンポの良いパス回しは、ディフェンスを置き去りにするアタックにつながる大きな武器になるだろう。宮澤は副将として試合中常に大きな声で仲間に指示を与え続けている。前回の試合後「もっと自分で勝負していくところ」が必要と話していた宮澤だが、その言葉通りこの試合では前半37分に密集から自ら持ち出してインゴールへ飛び込んだ。他にも隙があれば積極的にゲインを試みるなど、パス出しだけではない攻撃のオプションとしてのプレーが慶大を勝利へ導いた。「(2つのプレーの)使い分けをうまくしたい」と反省も口にしたが、それも強豪相手の勝利に向け更なる成長を目指す証。166cmの小柄で俊敏な体を生かした、敵を惑わし続ける宮澤のプレーに注目だ。

(記事 砂川昌輝)

 

 

コメント

和田康二監督

(今日を振り返って)青学大には昨年度敗戦しているため、その雪辱をテーマに挑みました。勝利したということは良かったのですが、内容についてはただ反省の多い試合でした。(試合内容について)青学大の激しい気迫、厳しいディフェンスによって、大きく当たられた際は、ただそれを受けるだけの時間もありました。(次戦に向けて)まずは、セットプレーを立て直すところと、アタックでもディフェンスでもブレイクダウンでの球出しの精度を上げること、そして何よりも、ディフェンスを組織的に行い、個人がいかに良いタックルをできるかが勝利の鍵になると思います。

 

木原健裕主将

(今日を振り返って)監督と同様に、昨年の借りを返そうと臨んだ試合でした。内容に満足はしていませんが、勝ったことは良かったと思っています。(試合内容として良かった点)前半は26‐0で折り返して、青学大を0点で抑えたところは良かったと思っています。また、初めのうちはBKで外に展開し、攻めてくるディフェンスに対してラインを深くして対応し、BKもいいアタックが出来た点が評価できると思います。(課題について)青学大を低いタックルで受け止めきれずに高いタックルで受けてしまった時間がありました。そこが一つの反省点です。(次戦に向けて)筑波大戦が山場になっていると思うので、もう一度、ディフェンスの部分から修正していきたいと思っています。

 

青木周大副将

(試合を振り返って)絶対に勝つということと、FWからしっかり前に出て、相手も前に出てくると思っていたのでそこに対して逃げずに真っ向勝負で勝とうという話をしていて、それができたという点ではすごくよかったかなと思います。(セットプレーについて)スクラムは結構良くて安定していたんですけど、ラインアウトで精度が低い部分がありました。目標は獲得率9割なんですけどそれを達成できなかったので課題が残りました。(苦しい時間帯もありました)慶應は圧勝できる試合はほとんどないですし、接戦の中でどれだけ相手より苦しい思いをして勝つかという話をいつもしているので、苦しい時間帯もあったと思うんですけどそこでしっかり我慢できたことが収穫かなと思います。(今後に向けて)これから上位校と当たるのでさらに接戦が続くと思うんですけど、日頃の練習から相手よりも苦しい思いをして試合後には嬉しい思いができるように、ハードワークして頑張りたいと思います。

 

宮澤尚人副将

(青学に勝利、雪辱を果たせたか)何よりも勝つことが一番の目標だったので良かったんですけど、後半ちょっと失速していっちゃったのかなという反省があります。 (HBでテンポよくパスを回せていた)そうですね。ただ僕のところの判断ミスやプレッシャーを受けて上手く展開できなかったところもあったので、そこは次へむけて修正したいです。 (「もっと自分でアタックしたかった」という前節、今日はトライをとれた)そうですね、よかったです。ただペナルティから自分で行ってノットリリースザボールを取られてしまったりだとか、アタックが上手くいかなかった部分もあるので次はそこの使い分けを上手くしていければと思います。 (後半ミスが増えて攻めあぐねた)後半ミスが多くなってしまった理由としてうちのアタックのラインが浅くなってしまって、ディフェンスが前に出てくるのに対してプレッシャーを受けてミスが多くなりました。そこはラインを深くするとか、コミュニケーションを取りながらやっていくしかないと思いますね。 (次の筑波戦へ向けて)本当に筑波に勝てるか勝てないかがこの後の対抗戦や選手権に大きく関わってくるので、2週間あるのでしっかり準備して臨みたいです。

 

白子雄太郎

(今日を振り返って)ラインアウトの成功率を90%以上にしたいというチーム目標があったのですが、本日はマイボールが取り切れないところが多かったので、そこが課題となりました。(セットプレーについて)ラインアウトは、マイボールをしっかりと獲得すれば崩れたゲームにはならないため、キープすることが大切なのですが、キックオフのボールを含めて本日は取り切れませんでしたね。(対抗戦二戦目の意気込みは)初戦は緊張もあったのですが、本日はリラックスして臨むことができ、試合も楽しめました。(トライシーンを振り返って)運が良かったという感じでしたが、本日のように粘り強く走ってフォローしていれば、ラッキーな球も来ると思うので、今後も沢山走っていきたいと思います。(筑波大戦に向けて)セットプレーでマイボールを確保するために、ラインアウトやキックオフを手堅く成功させたいと思っています。個人的には、もう少しボールを保持して、アタックでチームを前に出せるようになれればいいかなと思っています。

 

矢川智基

(今日の試合を振り返って)去年負けている相手だったので、結果にこだわって臨もうと考えていました。(キックがうまく成功していたような印象でした)風が強くて色々考えることもあったんですが、成功して良かったです。(次節の筑波大戦に向けて)自分達の練習してきたことを活かしてチャレンジしていきたいです。

 

川原健太朗

(試合前の気持ちは)勝とうと。去年負けているのでその雪辱を果たそうと、去年の借りを返しにいこうということで臨んだので、勝ててよかったです。(今日の試合を振り返って)点差がそんなに開かないとは思っていたんですけど、勝てましたね。BKがしっかり青学大のディフェンスに対応して点を取りきることができたのでよかったと思います。(ご自身のプレーについて)縦に行けてよかったということと、青学大が詰めてくるディフェンスだったので待って外をつなげて、ラッキーな感じですけどうまくトライを取れたので僕自身満足はしています。一方ではノックオンも何回か出してしまったので反省したいと思います。(後半攻めきれない場面がありましたが)この前の明学大戦の時のようにもっと走れると思ったんですけど、なかなか走れませんでした。青学大のしっかりしたディフェンスと、僕らも僕らでプレーがはっきりしなかったりミスが続いたりしたので後半ああなったんじゃないかなと思います。いい反省になったと思います。(次戦に向けて)一戦一戦勝っていくだけなので、次の筑波大も全力で勝ちにいきたいと思います。

 

浦野龍基

(試合を振り返って)試合の入りはトライを結構取れて良かったんですが、中盤から終わりにかけて相手が勢いづいた時に止められないっていう自分達の弱点が出てしまったかなと思います。(チームに勢いを与えるトライ)前の試合でトライをとれていなかったので今日は絶対取ろうという気持ちでいたので最初にとれて良かったです。(自陣でプレーする時間も長かったが)そうですね。前半は風下ということもありなかなか自陣から簡単に出られず課題が残りましたが、そこで点を与えなかったのはいいことだと思います。(筑波戦に向けて)次の筑波が対抗戦全体で慶應が流れに乗れるかどうかの一番の、最初のキーポイントだと思うので勝ちに拘って、自分もトライをいっぱい取ってチームに貢献したいと思います。

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