【男子テニス】日本一への執念!死闘制し決勝進出 全日本大学王座準決勝vs.関大

慶大は初戦となった2回戦で鹿屋体育大に勝利し、準決勝へ駒を進めた。準決勝で迎え撃つ相手は今季の関西王者・関大。昨季は同じ関西王者の同志社大に5-4と苦しめられただけに、今季も接戦が予想された。その予想通り慶大は終始苦しい展開を強いられる。一時は関大に王手をかけられるも、最後はシングルス上位3人が揃って勝利を収めて逆転勝ち。明日、現在9連覇中の早大との決勝戦に挑む。

 

死闘を制した権

死闘を制した権

 

☆全日本大学対抗テニス王座決定試合

2014年10月25日(土)@有明テニスの森公園

 

  慶大   関大
D1 ○権大亮・上杉海斗 6-4、6-0 ●森田直樹・池川浩史
D2 ●谷本真人・渡邉将司 6-2、1-6、(5)6-7 ○細川和希・加藤隆聖
D3 ●井上善文・韓成民 6-3、2-6、2-6 ○中村侑平・矢多弘樹
S1 ○谷本真人 6-2、6-2 ●森田直樹
S2 ○権大亮 6-4、5-7、7-6(6) ●中村侑平
S3 ○渡邉将司 6-3、6-2 ●染矢和隆
S4 ○上杉海斗 6-1、6-1 ●竹元佑亮
S5 ●韓成民 3-6、6-1、4-6 ○池川浩史
S6 ●桐生光之介 0-6、4-6 ○加藤隆聖
  5-4  
 

 

慶大に1勝目をもたらした権・上杉組

慶大に1勝目をもたらした権・上杉組

9-0と快勝した2回戦の鹿屋体育大戦から、谷本真人(環3・名古屋高)・渡邉将司(総3・名古屋経大市邨高)組をD3からD2に、井上善文(経4・慶應義塾高)を韓成民(総1・つくば国際大東風高)と組ませてD3に変更して準決勝に臨む。一方、前日に続きエース格の近藤大基(環4・湘南工科大付属高)、高田航輝(環3・湘南工科大付属高)はメンバーに名を連ねなかった。

3面展開で同時に始まったダブルス。先にリズムをつかんだのはD2とD3だった。D2は谷本のパワーと渡邉のテクニックが光り第1セットを先取。D3も井上と韓が攻撃的なダブルスで押し切り、こちらも先取に成功する。一方でD1の権大亮(総4・秀明栄光高)・上杉海斗(環1・清風高)組はブレークを許して苦しい展開に。それでも徐々に調子の上がって来た二人が巻き返し、2-4から4ゲームを連取。ダブルス3本全て第1セットを奪う。その勢いのままD1が第2セットは相手を全く寄せ付けずに快勝で慶大が先行する。

しかしこの流れにD2、D3が乗りきれない。ミスが目立ち始めた二組は次第に劣勢に立たされるとD3は逆転で敗戦を喫する。D2も最終セットは苦しみながらキープを続けてタイブレークに持ち込むも、最後まで流れを取り戻せずに逆転負け。ダブルスでリードを許して試合を折り返す。

 

単複2勝をあげた上杉

単複2勝をあげた上杉

勝負のシングルス。S4には上杉、S5に韓、S6には桐生光之介(法1・慶應義塾高)と1年生トリオが登場した。「練習してきたことを徹底してやれば絶対に勝てる」と意気込んでいた上杉が序盤から得意のフォアとネットプレーで次々ポイントを重ねる。失ゲームも2の完勝で通算成績をタイに戻す。

一方の韓、桐生は苦しい試合展開に。桐生は相手の伸びのあるフォアの前にミスを連発。第2セットに入って自らの攻撃的なテニスを取り戻したが時すでに遅く、ストレート負けを喫する。韓もセットオールで最終セットに持ち込み、最後は互いにメディカルタイムをとる消耗戦となったが相手の粘りに屈し、関大に王手をかけられてしまう。

 

 

 

 

渡邉の勝利から逆転劇は始まった

渡邉の勝利から逆転劇は始まった

後のなくなった慶大。ここから上級生が意地をみせる。まずはS3の渡邉が得意のストローク戦で常に先行する展開に。「自分が負けたら負けが決まってしまう状況だったので3年生としてチームを引っ張っていくという意識を持ってファイトしました」と最後まで気持ちのこもったプレーでリードを保ちストレート勝ち。さらにS1の谷本も「勝ったことのない相手」という森田とのエース対決に挑む。地を這うようなショットの応酬となったラリー戦を制したのは谷本だった。完勝で合計スコアを4-4とし、勝敗は権のS2に委ねられた。

S1同様白熱のラリー戦が展開されたS2。序盤は相手の強打を耐えた権が得意のバックでリズムをつかむ。しかし相手は激戦区・関西のチャンピオン。強打が決まり出し、勝負の行方は第3セットに。第5ゲームで先にブレークに成功した権がぎりぎりのところでキープを続け、サービングフォアザマッチを迎える。しかしここでミスを連発してブレークを許し、タイブレークに突入。この時点で権は足が痙攣気味のままでのプレーを強いられる。それでも「自分のフィジカルが苦しい状況でも自分のプレーが出来ればいけると信じていた」権が最後の気力を振り切り相手を振り回す。そして迎えたマッチポイント、最後は相手のボレーがネットにかかって試合終了。土壇場から逆転に成功した慶大が2年連続の決勝進出を決めた。

 

昨季同様、関西王者に苦しめられた慶大。それでも最後は日本一への執念が選手たちを突き動かした。そして最後は3、4年生の意地が慶大を決勝へ導いた。しかし、この劇的勝利の余韻に浸っている暇はない。明日の決勝戦の相手は宿敵・早大。昨季は1本どころか1セットも奪えずに完敗。あの日の悔しさを胸に、早慶戦・リーグ戦と確実に早大との差を縮めてきた。迎える今季最後の早慶戦。そして4年生にとっては現役最後の一戦。悲願の日本一へ、宿敵との最終決戦にすべてをぶつける。

エースとして大事な場面で魅せた谷本

エースとして大事な場面で魅せた谷本

(記事 飯田駿斗)

 

 

◆慶大監督・選手コメント

 

坂井利彰監督

―今日の試合を振り返って

「生き残ったということで負けた試合について色々思うことはありますけど、明日に向けて体力を回復することが最優先なので、粘り強く勝った学生たちを褒めたいしやるべきことはやってきたので、もう一回準備したいと思います。」

―最後は権選手、谷本選手の健闘が光ったが

「権と谷本はリーグ戦で負けてから本当に追い込んで練習してきていて、力を出せれば勝てると思っていたので、良かったと思います。」

―明日の決勝戦に向けて

「明日は絶対に勝ちます。昨年も準決勝5-4で勝って体力を削られて決勝で負けてしまいましたが、今年は同じことをしないように頑張ります。」

 

権大亮(総4・秀明栄光高)

―今日の試合を振り返って

「相手は全国で上位に入っている選手でしたが、自分の力を出せば勝てると思っていたので、自分の力を出し切ることだけを考えていました。」

―勝敗の懸かった中、最後はタイブレークまでもつれたが

「それほど焦りや不安はなくて、自分のフィジカルが苦しい状況でも自分のプレーが出来ればいけると信じていたので、フィジカルに対する不安は全くなかったです。」

―勝った瞬間は

「素直に嬉しかったですけど、明日があるので嬉しい半面明日に対して引き締めなくてはという感じでしたね。」

―明日で大学最後の試合、そして最後の早慶戦だが

「春は4-5、リーグで3-6と越せない壁ではないですし、ダブルスの入りがとても大事だと思うのでそこを集中して、自分の全てをコートに置いてきたいと思います。」

 

谷本真人(環3・名古屋高)

―今日の試合を振り返って
「ダブルスは本当に不甲斐ない試合をしてチームに迷惑をかけたので、早くシングルスに切り替えることを意識していました。シングルスは必ず負けられない状況で臨むことになると思っていたので、序盤から勢いを持って、ファイトしてチームのためにプレーすることしか考えていなくて、それが自分の良いパフォーマンスにつながって、勝ったことのない相手に対して勝つことができました。」
―明日への意気込み
「明日勝たないと意味がなくて、日本一を狙うためにやってきたので、今日のダブルスでの失敗を繰り返さないようにして、リーグ戦の反省も生かして、最後に(チームが)勝って終わることが何より大事なので、とにかくまず明日の入りに集中したいと思います。」

 

渡邉将司(総3・名古屋経大市邨高)

―ダブルス振り返って

「出だしに集中して勢いに乗っていくことを意識していて、うまくファーストセットを奪えたんですけど、セカンドセットをとられた後に自分たちが後ろに引いてしまったことが敗因だったと思います。明日は自分たちのダブルスが重要なので絶対とりたいです。」

―シングルスはいい流れを作れたのでは

「ダブルス2つ負けて他のシングルスがもう2つ負けていて自分が負けたら負けが決まってしまう状況だったので3年生としてチームを引っ張っていくという意識を持ってファイトしました。」

―明日の意気込みを

「絶対勝ちます。」

 

上杉海斗(環1・清風高)

―今日の試合を振り返って
「相手が関大で、関西1位で早稲田も警戒するぐらいの相手だったんですけど、別に自分はそのことを気にしてなくて、練習してきたことを徹底してやれば絶対に勝てると思っていました。個人的には、今日はロースコアで勝ててうまく明日の決勝に備えられたと思います。」
―明日への意気込み
「日本一という目標があるので、今日は5-4でなんとか勝ちましたけど、そのことは一回忘れて、ただ早稲田を倒すことに集中できればと思います。」

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