今季は「No Limit」をスローガンに掲げてきたスケート部ホッケー部門。激闘の2014年シーズンを締めくくる、第79回早慶アイスホッケー定期戦が行われた。試合は第1ピリオドでリードを奪ったものの、その後は地力の差を見せつけられ、終わってみれば2-10での大敗。それでも、力を出し尽くした選手たちに対し、ねぎらいの拍手と大歓声はいつまでも鳴り止まなかった。
第79回早慶アイスホッケー定期戦
2015年1月17日(土)16:50F.O. @ダイドードリンコアイスアリーナ
慶應義塾大学2-10早稲田大学
Period | 1P | 2P | 3P | Score |
Keio | 1(13) | 1(21) | 0(0) | 2(34) |
Waseda | 0(14) | 6(21) | 4(0) | 10(35) |
得点者/アシスト者
1P 17:52 大久保健介(経1)/ 鈴木啓介(環3)
2P 15:39 金村知紀(政3)/ 江口大輔(環3)
試合直前、山本統哉主将(環4)を囲うように円陣を組んだメンバーたち。チーム一丸となって、第38回大会以来となる秋の定期戦での勝利を目指した。
第1ピリオド、慶大は立ち上がりから素早くパスを回され、あわやという場面を何度も作られてしまう。しかし、ここで一際存在感を示したのがGK落合俊(政4)だ。「1本1本シュートを集中して止めた先に勝利があると思って頑張っていた」(落合)。守護神の活躍に奮起したオフェンス陣も、個人技を武器に反撃を開始する。17分にはキルプレー(数的不利)の中、カウンターから大久保健介(経1)がショットを冷静にたたき込み、待望の先制点をゲット。慶大側のスタンドは総立ちになり、「若き血」が響き渡った。そして、そのままのスコアでインターバルへ突入。これまで何度も苦汁を飲まされている宿敵への歴史的勝利に向け、これ以上ない展開だ。
さらに、第2ピリオドはパワープレー(数的有利)からスタート。いきなり絶好のチャンスを迎えた慶大は何度も攻め込むものの、追加点を挙げることができない。もどかしい展開が続くと、反則が相次いだことで「自分たちで自分の首を絞めてしまった」(山本主将)。6分に同点にされると、さらにその直後には、ゴール前の混戦を押し込まれて逆転を許してしまう。3点目も奪われて追い込まれた慶大は、ここから波状攻撃を展開し、15分に金村知紀(政3)のゴールで一点を返す。だが、ピリオド終了直前に再び突き放され、2-6という苦しい状況で勝負の第3ピリオドを迎えることになった。
「慶大ホッケーは第3ピリオドから巻き返し、点を決めて大差をつけるのが特徴」(山本)。得意の終盤戦での逆襲が期待されたが、パスミスから直接スラップショットを沈められるなど、4失点を喫してしまう。一方の攻撃面でも、パワープレー時などに訪れた好機を生かせず。結局、このピリオドは無得点のまま、タイムアップのブザーが鳴ってしまった。
一時は優位に立ちながら、終わってみれば8点差をつけられての逆転負け。総シュート数に差はほとんどなく、フィニッシュの精度と、それに至るまでの過程が明暗を分けたといえる。さらに、「チーム全体で結構ミスがあった」(落合)。プレー面では、あらゆる局面により一段とこだわっていく必要があることを思い知らされてしまった。それでも、どん欲に勝利を追い求め続けてきた結果、「応援されるチーム」(山本)を築くことができた。試合後に、一年間を戦い抜いたメンバーたちに惜しみない拍手が送られていたのだ。そして、「粘り強い」慶大ホッケーの土台作りを、後輩たちが経験できたことも大きいだろう。
試合後のインタビューにて、選手たちは「悔しい」と口を揃えながらも、最後には胸を張ってこのようにも語っている。「やり切ったので、あとは後輩に託すのみです」。今季越えられなかった「リミット」を突き破ることが、来季の最大の目標、そして引退する4年生への最高の恩返しとなるに違いない。
(記事 木下彰 写真 脇田直樹)
※激動の瞬間をもう一度!
1月24日13時より、BS朝日にてこの試合の録画が放送されます!是非こちらもご覧ください。
(番組名)
『タマホームスポーツスペシャル 第79回早慶アイスホッケー冬季定期戦』
以下選手コメント
山本統哉主将(環4)
(今の気持ちは)悔しいの一言ですね。(どんな気持ちでこの一戦を迎えたか)アイスホッケーを小学1年生から始めて15年間やってきたので、応援に来てくださる方、特に両親に感謝の気持ちを示すために結果を残したかったんですけど、大敗してしまったのは残念です。(第1ピリオドをリードして終えたが)慶大ホッケーは第3ピリオドから巻き返し、点を決めて大差をつけるのが特徴なんですけど、先制点を奪えたということは、プラン通りというよりもラッキーだったというのが率直な感想です。(その後流れが変わってしまったポイントは)やはり反則が多かったということで、自分たちで自分の首を絞めてしまったのは敗因につながったと思います。(今季主将として意識してきたことは)人間性を高めたいということで、実力ももちろんですけど、アイスホッケープレイヤーである前に一人の人間として成り立たないと応援されるチームにはならないと思っていたので、そういった面を意識してきたつもりです。(大学生活最後の試合だったが)思い残したことはないですね。やり切ったので、あとは後輩に託すのみです。(同期にメッセージを)僕は本当に何もやっていない実感しかないので、同期の人に支えられて感謝の気持ちでいっぱいです。「ありがとう」の一言に尽きますね。
落合俊(政4)
(今の気持ちを)ゴールキーパーが非常に重要なスポーツなので、自分が最後守れなかったのが大きな敗因だと思うので悔しいです。(試合を振り返って)第2ピリオドから流れが悪くなって、いいところから打たれてしまって、自分の技術不足も含めて、チーム全体でも結構ミスがあったので、そこを早大がしっかり決めたということに尽きると思います。(この試合に懸ける思いは)1本1本シュートを集中して止めた先に勝利があると思って頑張っていたんですけど、100%集中できなかったのが非常に悔しいです。(4年間を振り返って)今年は非常に出る機会も多くて充実した1年でしたけど、最後インカレや早慶戦で、一発勝負でなかなか勝てなかったというのが悔しいです。
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【フィギュアスケート】「応援する想いを込めて…」 第79回早慶アイスホッケー定期戦エキシビション
試合に先立って行われたフィギュアスケートのエキシビションには、フィギュア部門主将の栁澤薫(総4)が登場し、演技を披露した。曲はブルーノ・マーズの『Just The Way You Are』。いつもの試合とはまた一味違った表情で、観客の目を楽しませた。エキシビションならではの、花束の小道具を使った演出でも場を沸かし、伝統の一戦に文字通り花を添えた。
(脇田直樹)
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