5月5日、新横浜スケートセンター第50回四大学フィギュアスケート定期戦が行われた。慶應義塾、立教、同志社、関西学院の4大学が集結。記念すべき第50回目をホームで開催するとあって、慶大部員は運営に奔走した。慶大からは11名の選手がA、B、C、Dそれぞれのクラスで出場。多くの部員が優勝や表彰台など個人の目標を達成した結果、団体では女子、男子、総合すべて優勝し、他3大学を圧倒させた。
第50回四大学フィギュアスケート定期戦
Dクラス女子
・新谷 彩夏(総3) 2位
・中村 理沙(理2) 8位
・板倉 明子(商3) 14位
Dクラス男子
・竹居 峻治(政1) 2位
Cクラス女子
・棟尾 観月(文2) 1位
Cクラス男子
・橋本 將太(政1) 1位
・富田 雄登(商3) 2位
Bクラス女子
・鈴木 伶奈(環4) 1位
・奥山 未季子(環4)2位
Aクラス女子
・鈴木 美桜(法2) 1位
・庄司 理紗(総1) 棄権
Aクラス男子
・小曽根 孝浩(環3)3位
団体女子 ・慶應義塾大学 1位
団体男子 ・慶應義塾大学 1位
団体総合 ・慶應義塾大学 1位
Dクラスでは、新谷が準優勝を果たし、着実に力をつけてきた結果があらわれた。慶應義塾高出身の竹居は大学デビュー戦。サッカーワールドカップのテーマ曲を使用したプログラムで観客の注目を集めた。
Cクラス女子に3番滑走で出場した棟尾は、新プログラムを披露。赤い衣装がリンクに映えた。曲は「昔から滑りたいと思っていた」という、バイオリンの音色が響く『チャルダッシュ』。ジャンプで転倒もありミスはあったが、スピンでは客席から拍手が送られた。振りミスが焦りも生んだが、滑り込んでいくことで、試合本番で実力を発揮するという課題も解決されてゆくことだろう。結果は見事1位。「4級らしく」Cクラスを代表する選手へとなりつつある棟尾の存在感は頼もしいものになってきた。
富田はCクラス男子の第1滑走者として登場。「情熱的で大人っぽい衣装にした」と黒いシックな衣装に身を包んで新プログラム『Csardas』に挑んだ。前半はバイオリンの旋律に合わせて伸びのある滑りを披露。後半はビートの入ったモダンなCsardasに曲調が変化。気持ちのこもった表現力、ステップ、イナ・バウアーを披露。全てのジャンプも大きなミスなく終えた。怪我からの復帰戦だということを感じさせない安定した滑りで観客の目を引きつけた。結果は2位だったが、この悔しさは成長への推進力となるだろう。
続いて2番滑走の橋本。声援に背中押されて、『Pulp Fiction』に合わせた黒い衣装で登場。明るくもどこか切なさを感じさせる旋律に合わせて滑り出した。冒頭のダブルアクセルは惜しくも転倒。しかしその後のジャンプは成功させ、「結構練習してきた」というスピンも披露。後半は誰もが一度は聞いたことのあるPulp Fictionのオープニング曲。こちらでもジャンプの転倒があったが、終盤のスピンも綺麗に決まり、笑顔で締めくくった。ジャンプやキャラメルスピンには悔いが残るものの、他のスピンでは練習の成果を発揮。成長楽しみな1年生だ。
Bクラス女子には、奥山主将が2番滑走で先に出場。柔らかい表情で、『レ・ミゼラブル』の世界観をリンクいっぱいに表現する。ダブルトウループを鮮やかに決めると、後半の連続ジャンプを続けて決めた。奥山主将の魅力は柔軟性を活かしたスピン。指の先まで神経を注ぐ。今後は「ジャンプを武器に」できるよう、さらに磨きをかけていく。
続いて4番滑走で出場した鈴木伶奈。彼女がラストイヤーで選んだ曲は『Mask of Zorro』。衣装はさわやかな青。勢いのあるこの曲には、「最後まで攻め続けたい」という気持ちが込められている。ダブルアクセルはこらえながらも着氷し、意地を見せた。大きなミスはなく、プログラムの仕上がりも順調のようだ。結果は見事1位。奥山が2位となり、Bクラス女子は慶大が上位を独占した。
Aクラス女子には鈴木美桜が第二グループ2番滑走で出場した。目標にしていたトリプルトウループを二回とも成功させたが、ダブルアクセルが抜けてしまいシングルに。しかし、クライマックスに向かってゆくコレオシークエンスでは笑顔が輝いた。結果は1位。これでA、B、Cクラス女子の優勝者は全て慶大部員が独占。強さを見せつける。出場予定だった庄司は残念ながら棄権となった。
最後に出場したのがAクラス男子の小曽根。冒頭のトリプルフリップは転倒してしまったが、前回のリリーカップで3回転の判定を受けてから成長してきている。冒頭のジャンプを決めることができれば、その後の演技にも調子が出てくるだろう。今後のステップアップに期待だ。結果は3位。ジャンプでまだ不安定な要素もあるが、本シーズンまでまだ時間はある。まずは今月末の関東インカレ。慶大からも多くの選手が出場するが、それぞれの課題と向き合い、また成長したスケーティングを魅せてくれるだろう。
(記事・木下恵、須佐奈月 写真・後藤理央)
◆以下、選手コメント
板倉明子(商3)
(今日の演技を振り返って)短い練習の中で、要素を決めるという最低限の目標を立てて頑張りました。ステップまでは流れよく行ったのですが、そのあとに疲れが出てスピンが流れてしまったので残念でした。(今日までどんな練習を)貸切練習でプログラムを通して滑るということに気を付けてきました。試合が久しぶりになるので、試合感を戻すために全体を通した練習を重ねてきました。(改善していきたい点は)スピンをいつでも流れないように回れるようにすることと、シットスピンなど新しいバリエーションも早く取り組みたいなと思います。(今後に向けて一言お願いします)ジャンプの種類を増やすこと、スピンを流れず回れるようにすること、ステップでも表現ができるように変えていきたいです。
中村理沙(理2)
(今日の演技を振り返って)スパイラル失敗してしまったのが良くなかったです。(今日までどんな練習を)初めての公式戦で、この大会に向けて結構自分なりに練習してこれたのですが、本番ではうまくいかないこともあるんだなと感じました。(改善していきたい点は)試合がどのようなものなのかが分かってきたので、プログラムの通し練習とか頑張りたいです。(今後に向けて一言お願いします)今回の結果で自分の点数が分かったので、試合の目標が具体的にできると思うので、表彰台狙って頑張りたいです。
新谷彩夏(総3)
(今日の演技を振り返って)私は誰かと目を合わせながらスケートをしたいという思いがあって、それを実践できたときは試合の成績が良くて、実践できなかったときはぐんと下がっていたのですが、今日はそれが実践できて、楽しく滑れたので良かったです。(今日までどんな練習を)怪我があって、思い切り練習することができない状態だったのですが、プログラムのイメージトレーニングをたくさんしてきて、氷上での練習時間は減っているのですが、なんとか調整してきました。(改善していきたい点は)これまではスピンがなかなか入らなかったので、スピンをと思っていて。今日はちゃんと回れたのですが、もっと難しいスピンがやりたくて、まだまだなので練習していきたいです。(今後に向けて一言お願いします)無理しない程度に、以前みたいに練習がいっぱいできる毎日が来るといいなと思っています。
竹居峻治(政1)
(今日の演技を振り返って)塾高のときに、大会に2回出て両大会ともアクセルジャンプを失敗してしまったので、今回はどうしても成功させたくて。無事成功できたので良かったです。(歓声もかなり上がっていました)演技中に聞こえていて、嬉しかったです。(今日までどんな練習を)神奈川リンクに所属しているのですが、今建て替え中であまり練習できていなかったのですが、大学の貸切練習に参加させていただいて、とてもいい練習ができたと思います。(大学の雰囲気はどうですか)本当に楽しくて、良い部活だなと思います。(今後に向けて一言お願いします)スピンが苦手なので練習して、2級、3級ととっていきたいなと思います。
棟尾観月(文2) (今日の演技を振り返っていかがでしたか) 練習はいつもよりも落ち着いて調子の良いまま臨めたのでジャンプも成功していたのですけれども、本番でやっぱり上がってしまって振りミスとかジャンプを失敗してしまって、それが悔しかったです。(新プログラムにはどのような思いがありますか) 結構昔から滑りたいと思っていたプログラムの曲なので演技をきちんとしようというふうに思っていて、下のファイブコンポーネンツの表現力が上がるように意識しています。(今日までどのような練習をされてきましたか) あんまり曲かけをする機会がなくて正直不安だったのですが、その代わりにジャンプの練習をして、自分の跳べるジャンプは確実にしてくるように練習しました。(改善していきたい点は?) まだプログラムが新しいので今日みたいにちょっと変わってしまうと振りミスしてしまったりというのが多いので、曲かけの中でもジャンプを跳べるようにしっかりと曲かけの回数を増やして、曲の中でジャンプを跳んでプログラムを完成させたいと思っています。(今後に向けて一言お願いします) C女が4年生が引退されてあんまり多分上手い人がちょっと減ったのでこれはチャンスなのでしっかり自分の役割を果たして4級らしくいつも表彰台にのぼれるように頑張っていきたいと思っています。
富田雄登(商3) (本日の演技を振り返って)年度が変わって新しいプログラムでの最初の演技でした。全体として練習と比べてしっかりまとめられたと思ったのですが、細かいジャンプやスピンのミスだったり、つなぎのところがまだ練習が必要だと感じました。(新しいプログラムはどんなイメージですか)情熱的で、衣装も少し大人っぽい雰囲気にしています。(どんな練習をしてきましたか)プログラムを作り始めたのが少し遅かったのでプログラム通しての練習時間が少なく、まだまだ練習しなければならないと思うのですが、とりあえず四大戦で大枠としてできたと思います。引き続き5月23日に関カレがあるのでそれに向けてしっかり練習していきたいと思います。(修正したい点について)スピンでしっかり規定数回るのと、いかにプログラム中に滑らかにスピンに持っていくかというところを重視したいです。(四大戦にどのような思いがありますか)1月、2月ぐらいに怪我をして以来一番最初の試合になったので正直色々な不安もあったのですが、無事今日を迎えられてよかったです。それなりにジャンプもスピンもできたと思います。(今後に向けて)今回失敗したところを重点的に意識して練習したいです。関カレでは新採点という新しいルールに変わるので、ジャンプでも回転不足にならないように練習したいと思います。
橋本將太(政1)
(今日の試合を振り返って)最初のジャンプ(ダブルアクセル)がまだ跳べてなくて精神的に結構プレッシャーがかかって、後半に結構影響が出ちゃったかなと思います。後、途中のフライングキャメルスピンが入らなかったのが少し残念でした。(今までの練習は)今はホームリンクが改装中で体育館のリンクでやっているので、主にジャンプとかはリンクが小さくて出来ないので、スピンとかを結構練習して試合でも入るようにやってきました。(では、今回はそのジャンプがネックに)まあ、スピンはいつも3個あるんですけど、その内の2個か3個ミスったりするときもあったのですが、今日は二本はしっかり入ったので良かったかなと思います。(これからの改善点は)そのダブルアクセルを入れても後半ちゃんと他のジャンプを決めるという事と、スピンを2つだけじゃなくて3つ全て入るように頑張っていきたいなと思います。(大学に入ってやっていきたいことは)今までは、スピンとかジャンプとかにとらわれて、他の繋ぎとか演じる部分が弱くなってしまったんで、そこも意識して頑張っていきたいなと思います。(大学の部活の雰囲気は)上下関係とかは結構しっかりしているんですけど、みんな仲良く練習しているので楽しく頑張っています。(今後に向けて一言を)今、4級なのですが、後々先輩みたいに上手く、トリプルまで追いつけるように頑張りたいと思います。
奥山未季子(環4)
(本日の演技を振り返って)今回の大会は運営担当で特に忙しく、その中で自分の試合をするのが大変だったのですが、全部員をまとめながら主将として結果も出せたらいいなと思いながら試合をしました。(どんな練習をしてきましたか)一人一人目標をしっかり持ってやってもらえるように、目標設定も4月から細かく行ってきました。私自身としては後半のジャンプに重きを置いて練習してきました。(修正したい点について)ジャンプを武器にできるようにしたいです。(新入生が入ってきましたが)男の子も2人入ったことで今までより部の中の男性の人数が倍になったので、レベルアップしたいと思います。そして7級の庄司や、初心者の部員も2名入ってきているので、それぞれのレベルにあった、部活が行えればいいなと思っています。(今後に向けて)2週間後には関カレがあって、その後オフがありながらも試合が立てつづけに入ってくるので、とにかく体調面に気をつけながら部として成績を残していけるようにしたいです。それから、フィギュアスケート部が慶應の中で色々な人に知ってもらえればなと主将として思っています。
鈴木伶奈(環4)
(本日の演技を振り返って)演技自体は新しいプログラムになって初めての試合だったのですが、初めての割には納得した演技ができたと思います。試合自体が第50回で慶應が主管校だったので直前まで準備が本当に忙しかったのですが、その中で集中した演技が出来きたと思います。(その新プログラムについて)曲がMask of Zorroなのですが、最後の1年は最後まで攻め続けたいという気持ちをこめて勢いのある曲にしました。(どんな練習をしてきましたか)ゴールデンウイークはリンクが空いていなくて他のリンクを転々としていたので、限られた時間で自分ができる最大限の練習をしてきました。(今後に向けて)まだはじまったばかりですが、5月23日の関カレに10月にも試合とあっという間だと思うので、1つ1つの演技を悔いのないように頑張りたいと思います。
鈴木美桜(法2)
(本日の演技を振り返って)抜けてしまったジャンプが何個かあるので内容は全然満足していないのですが、結果的に優勝出来てすごくうれしいです。(どんな練習をしてきましたか)リリーカップが終わってからここ(新横浜プリンススケートセンター)がアイスショーで使えなくて色々なリンクにお邪魔しながらの練習でした。曲かけもずっと出来ず、今日の朝に2週間ちょっとぶりにやっとかけられて不安だらけでしたが、今年は去年と違ってホームリンクでの開催で、できることをしっかりやろうという気持ちで臨みました。(前回のインタビューでジャンプに自信をつけられるようにしたいとおっしゃっていましたが)この前のリリーカップの時はトリプルトウループに自信がなくて試合になると跳べなくなるという状態だったのですが、今日はそのジャンプが2つとも跳べて自信になりました。(修正したい点について)今回の目標のトリプルトウループを2つ入れるということは達成できたので、次は今日抜けてしまったダブルアクセルを成功させたいです。ダブルアクセルとトリプルトウループは最低限おりられるように関カレに向けてもう一度一から頑張ります。(次に向けて)関カレは今日と違って新採点方式なので、ジャンプだけではなくスピンステップでもしっかり点数につなげられるように頑張りたいです。
小曽根孝浩(環3)
(今日の演技を振り返って)今日は、サルコウはまとめられて、トウループも前半はよかったんですけど、ちょっとアクセルがだめだったかなという感じで、前回のリリーカップよりは良かったのですが、まだまだ足りない部分が見えてきたので、次こそはフリップを降りたいです。今日もまあ回って転べたんですけど、ちょっと軸が変だったので。関カレには完成させていきたいので、ある意味良いステップが踏めたんじやないかなという試合でした。 (今日までどのような練習に力を入れてきたか)やっぱり、前回フリップに集中して、そのあと総崩れしちゃったんですけど、フリップを失敗した後、どう立ち直せるのかっていう練習をしてきて、通せるような練習ができてきたので、そういった途中経過というのも変ですけど、関カレに向けて、今はそういう経過の途中って感じで、失敗した後も確実に飛べるような練習をしています。(今後改善していきたい点は)そうですね、やっぱりまだ詰めが甘いので、最後まで気を抜かないようにできていくような練習がしていきたいなと思っています。(今後に向けて一言お願いします)今回も色々悔しいところはたくさんあったのですが、やはりちょっとした成長というのも出たので、またシーズン前の最後の試合に向けて、まず今できる、思いっきり挑戦していけるようなことを成功させていきたいなと思っています。
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