前の試合の結果でグループBとの入れ替え戦に回ることが決定した慶大。しかし5位と6位で対戦相手が変わるため、勝ち点差1で迫る日大との一戦は非常に大きな意味を持つ一戦となった。そうした中、この日の慶大は持ち味の運動量豊富なホッケーを展開。粘る日大に対し、最終ピリオドまでもつれこむも最後に突き放し、価値ある1勝を手にした。
関東大学アイスホッケーリーグ戦 Division1 グループA
2010/11/7(日)13:25FO@小瀬スポーツ公園アイスアリーナ
日本大学2-4慶應義塾大学
{得点者 慶大のみ} 小川×2、氏橋、小坂
この試合の勝因を「チームの結束が一つになった」ことだと語った浅沼監督。その言葉が示す出来事は試合前に起こった。試合前の練習中、慶大FW陣の中心・似鳥(環3)のスケート靴の歯が折れるというアクシデントが発生。チームに衝撃が走った。ところがこの日メンバー入りしていたFW水澤(政1)と靴のサイズが一致。チームのためにー。その思い一心で自身のスケート靴を似鳥に貸し、似鳥は無事リンクに立つことができた。
そんな中始まった第1ピリオド、「バタバタ」したとFW氏橋主将(法4)の言葉が表すように攻守が激しく入れ替わる展開が続く。しかし4分に日大が退場者を出すと流れは徐々に慶大へ。直後にFW金村(経2)がシュートを放つと5分にもFW児玉(経4)、DF小川(環4)が連続でシュート。しかしいずれもGKにブロックされ先制点には至らない。その後も球際での激しさが増す両チーム。パックを奪い合う時間が続いた。ところが10分、慶大ゴール前での混戦でパックを押し込まれ先制を許してしまう。一方、早めに同点にしたい慶大は13分、金村が左サイドを突破しゴール裏を回り小川へパス。パスを受けた小川が放ったシュートは日大ゴールに突き刺さり、同点に戻す。その後も流れは慶大へ。16分にはFW荒谷(経3)が敵陣でパックを奪うとパックは氏橋の足下に。そのまま氏橋がシュートを放つとパックは日大ゴールに吸い込まれ逆転。そのまま2-1で第1ピリオドを終えた。
1点リードで迎えた第2ピリオド。追加点を奪って突き放したい慶大だったが、1分にあっと言う間に同点に戻されてしまうとその後も苦しい展開を強いられる。3分には自陣ゴール前での混戦から最後はパックがゴールラインを割るがこれはその前に日大のファールがありノーゴール。慶大にとっては絶対絶命のピンチだったがなんとか切り抜けた。しかしその後もパックを奪うもののチャンスに結びつかない慶大。その一方でDF陣は集中を切らさず失点も許さない。一進一退の攻防に緊張感がリンクを包む。そんな中、11分には金村、15分には荒谷がそれぞれ決定的なシュートを放ち、流れをたぐり寄せ始める。しかしゴールネットを揺らすまでには至らず、そのまま第2ピリオドが終了。2-2の同点で第3ピリオドを迎えることとなった。
運命を決める第3ピリオド。そんな中、慶大の選手たちには「走り勝てる」(小川)という自信がみなぎっていた。そして3分、その自信はすぐに裏付けられた。日大のクリアパックを小川が敵陣でカットするとそのままシュートを放ちゴール。慶大がついに突き放した。その後も同点に戻したい日大を尻目にカウンターで日大ゴールを脅かす。9分には似鳥が角度のないところからシュート。これは惜しくもポストに弾かれるも流れを引き寄せる。そんな中迎えた12分、GKがパックを失った一瞬を見逃さなかったFW小坂(商2)が拾いパックをゴールに押し込み、決定的な4点目。そしてそのまま試合終了。慶大にとって非常に大きなリーグ2勝目を手にした。
パックが落ち着かない中でも、運動量の違いを見せつけ勝ち点3をもぎ取った慶大。この日の結果でリーグ5位が決まり、グループB2位との入れ替え戦が決定した。しかしこの日見せたチームの結束力やどのチーム相手でも走り勝てるという自信、そしてトップリーグで1年間戦ったという経験を持って臨めば必ず勝ち切れるだろう。その一方で入れ替え戦の前に強豪・東洋大との一戦が残っている。東洋大は今リーグ戦で4-8と大敗した相手だ。その相手にリベンジするために。そして入れ替え戦へ弾みをつけるために。慶大にとってホームと言える新横浜で勝利を掴み、リーグ戦を終えてほしい。
By Daiki Yamamoto
浅沼監督
(振り返って)実際5位、6位を決める順位決定戦だと思って、最後の試合と思って臨んだ。日大も本当に死に物狂いで、捨て身で来るということを聞いていたので、ただ我々は変に浮き足立ってはいけないので、いつものプレーをして、基本的には失点を無くし、取れるチャンスでしっかり取ると。欲は出さずに慶應のプレーをし続けるというのを念頭に、ただほんとに最後の最後まで60分間慶應の意地をどこまで出せるかというのを選手には言って臨んだ。(勝因は)実は試合前の練習中にアクシデントが起きまして、19番似鳥のスケート靴の歯が折れたんですね。折れて修復不可能だったので、どうなるかと思ったが、実は控えの選手の水澤と靴がまったく同じサイズだったということで急遽履き変えてやったところなんとか合ったとのことだったので、一時はみんなが本当にやばいなと思ったが、そこでチームの結束が一つになったのかなと。その時に言ったのが、アクシデントは起こったけど、だからこそみんなが一致団結する時だということを試合前に言って、実際に生きたのかなと。途中小守谷だったり小坂がケガで出られないこともあったが、その時に4セット目の控えだった種田だったり中村がピンポイントだがレギュラーメンバーと遜色ない非常にいい動きをしてくれたのがチームの流れを止めないいい勢いだったかなと思った。(今日は球際での強さが目立ったと思うが)そこもまさにボールゲームなので、身体を当てて潰すというのがホッケーではなく、チャンスを作るために身体は入れるが最終的にはパックを取ってゴールに向かうというのが我々の目指すプレーなので、そこの部分が相手よりしつこくできたところで自分たちのパックにできたのかなと思う。あとはフォローがよかったのかもしれませんね。2番手、3番手のフォローがよかったと思う。(同点に追いつかれて第3ピリオドを迎えたが指示は)これも毎回言っているが、同点でもビハインドでも1点差2点差までは我々は3ピリで爆発できるチームだと。体力差を使って、爆発できるチームだと信じているので、平常心で1ピリに戻った気持ちでやっていこうと。守りを固めつつ、チャンスをしっかり決める。そういうことでいこうと指示した。(今日の結果でリーグ5位が確定したが)最初から我々はチャレンジャーとしてリーグ最下位で臨んでいたので、特に欲は出さず、次は入れ替え戦に臨むが、5位は5位なりで相手がどこであれしっかりトップリーグで戦ったこれも意地ですが、意地を持って来年もトップリーグにいれるようそこの部分をしっかり気持ちとして持って入れ替え戦に臨みたいと思う。(最終戦・東洋大戦に向けて)春にこれもたまたまですが勝てて、秋に1戦目にリベンジを食らったので、ある意味今年の1勝1敗という中でいくとこれは慶應として何が何でも日大に勝った流れもつけて勝ちにこだわっていきたい。
氏橋主将
(素晴らしい勝利だったが)たぶん観客席から見ると動きの悪い試合だったと思う。両チーム慌ててて、バタバタしてパックも手に付かない、クリアできない、いつもやっているプレーができなかった。その中で、足を止めなかったというのが勝利につながったと思う。(ルーズパックは拾えていたと思うが)もともと運動量がうちのウリで、1ピリだけなら他のチームもできると思うが、3ピリ通しての運動量というのをシーズン入る前から陸トレで徹底してきたので、それの成果がここに来てやっと出せたかなと思う。(第1ピリオドから出足が速かったが先制点を奪おうという意図あったのか)まずは無失点。それが第一目標で、守りから入っていったが、ちょっとパックも手につかなくて、クリアミスやカウンターから失点したケースも多かったが、こっちの足が回れば点が入ると。うちはそういう試合プランを立てて試合に臨んだので、それがうまくはまったのかなと思う。(その中でゴールも決めたが)あれは荒谷が粘っていいパスをくれたので、シュート入ったのはとなりに恵典(金村)がいて、キーパーがそっちの方に注意を傾けていたので、あとは入れるだけで入った。(今日は攻守の切り替えも素早かったが)それぐらいしかできないというか、逆にこっちが簡単にパックを取られてしまって、それを両チームがやってしまってバタバタするというのが多かったと思う。(日大戦へのアプローチは)いろいろビデオとか見て研究したのもあるが、何よりも前日入りして、それで試合に向けてモチベーションを高めて、団結心を高めて行ったというのが一番大きかった。(ホーム新横浜での最終戦に向けて)いつも新横で練習してて、新横はホームなので、見に来てくれるお客さんのためにもいい試合をしたいと思う。あとは東洋大学には前回の試合で大敗してしまったので、今回はそれを1点差でも切りつめて、勝利を狙いたいと思う。
小川
(試合を振り返って)2ピリが攻められていて、そこで1失点に抑えれたのが一番よかったところだと思う。3ピリは走り勝てるとわかっていたので、2ピリを抑えられたのが一番よかったかなと思う。(2ゴール決めたが1点目について)1ゴール目は奇跡的で、ただ打っただけなので入ってよかった。(2点目については)相手が油断してたのでそこを狙った。あとキーパーが下がってくれていたので、そこをよく見て決められた。(ディフェンスについて)途中途中カウンターが多くて、結構危ないシーンが多かったが、最後は身体を張って守れていたのでよかった。(日大戦に向けて意識したことは)いつも通りやろうと、それだけだった。(同点で第3ピリオドを迎えたが)3ピリは走り勝てるという自信があったので、あとは走って走ってそれでゴールするだけだとわかっていたので、気楽な気持ちで行った。(東洋大戦に向けて)一矢報いたいです。
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