矢川組の春季の戦いは、伝統の早慶戦で幕を閉じた。春季大会グループA第5位の早大と、グループB第3位の慶大。帝京大や明大との試合結果を比べても、 実力伯仲と見られていた両校。接戦が期待された。しかし、試合は12-48と大きく水をあけられる展開に。春シーズン最終試合を勝利で終えることは出来なかった。
招待試合 vs 早大
2015/6/28(日)13:00K.O.@月寒ラグビー場
得点 | ||||
慶大 | 帝京大 | |||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
1 | 1 | T | 4 | 4 |
1 | 0 | G | 3 | 1 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
7 | 5 | 小計 | 26 | 22 |
12 | 合計 | 48 |
得点者(慶大のみ)
T=松村、清水
G=青井
出場メンバー | ||
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 堀切 厚輝(環3・國學院久我山) | →17細田 隼都(商2・慶應) |
2.HO | 山田 康介(法4・流経大柏) | |
3.PR | 出口 桂(商4・明善) | |
4.LO | 佐藤 大樹(総2・桐蔭学園) | |
5.LO | 松村 凜太郎(商2・慶應) | →20 高家 章徳(商4・慶應志木) |
6.FL | 岩本 龍人(政4・國學院久我山) | |
7.FL | 鈴木 達哉(環3・茗渓学園) | |
8.No8 | 徳永 将(商4・慶應) | |
9.SH | 中鉢 敦(経3・慶應) | |
10.SO | 青井 郁也(商2・慶應) | |
11.WTB | 清水 祐輔(環3・明和) | |
12.CTB | 染原 健人(理3・修猷館) | →21 矢川 智基(環4・清真学園) |
13.CTB | 田畑 万併(環4・桐蔭学園) | |
14.WTB | 佐野 航太(政4・慶應) | |
15.FB | 楠本 遼(経3・慶應) | →23 澤根 輝賢(総4・佐倉) |
「今季やってきたことを貫いて慶大らしいラグビーを」(No8徳永)と意気込んで試合に臨んだフィフティーン。小雨が降るなかキックオフ。先制点を決めたのは早大だった。手にしたボールを素早く展開すると、慶大の追随を許さずゲインを重ね、開始10分で先制する。しかし慶大もすかさず反撃。CTB染原が、早大が落としたボールをキャッチすると、左サイドへ大きくパスし、徳永がビッグゲインを見せる。その後、WTB清水が瞬足を武器にボールを運ぶと、最後はLO松村が内側に入ってトライ。スピードを維持しながら展開された一連のプレーは早大を圧倒した。しかし、ここから長い我慢の時間が続く。自陣での防戦が多くなり、ペナルティからの認定トライや、スクラムトライを許す。何とか立て直したい慶大は、終了間際にマイボールスクラムのチャンスを得る。ゴールポスト手前の絶好の位置でのスタートだったが、早大のプレッシャーに押され負け、掻き出せない。好機を生かせぬまま、前半は7-26で折り返した。
後半は、司令塔にSO矢川を据えてゲームが展開された。「前半の流れを取り戻すプレーが出来れば」(矢川)と臨んだが、エンジンがかかったのは30分を過ぎてからであった。開始5分、オフサイドから早大にPGを許すと、その後もペナルティを繰り返す。早大の展開力やスピードに翻弄され、ディフェンスが上手く入らない。ディフェンスラインが崩れ、簡単に突破されるシーンも目立った。また、ボールを手にしても、ブレイクダウンで競り負けターンオーバーされる回数が多い。「ディフェンスで受けてしまうということを繰り返して、そのあとのブレイクダウンの攻防でも後手に回ってしまいました」(徳永)しかし、因縁の決戦をこのまま終わらせるわけにはいかない。開始30分になろうとする頃から、矢川を起点として、パスが繋がるようになっていく。そしてついに、流れは慶大へ。敵陣での密集から素早く出されたボールを、CTB青井がキャッチすると、相手を躱しながら左サイドへビッグゲイン。CTB田畑を経て清水がトライへと結び付けた。会心のトライの後は、慶大が試合の主導権を握り、アタックを続けた。しかし、残された時間は短く、得点には至らない。結果、12-48でノーサイドとなった。
春季課題としてきたディフェンスだったが、先の帝京大戦では通用する部分も多く、克服したように見えた。しかし、本試合では、再びディフェンスの甘さが目立った。前半は、早大の左右に広くに展開するラグビーに翻弄され、外側が手薄になり突破される箇所が多かった。特筆すべきは後半だ。外側で抜かれるだけでなく、ディフェンスラインの真ん中など、内側でも突破される回数が増えたのである。「ディフェンスのセットが遅く、ノミネートのずれがあったり、コミュニケーションが取れていなかった」(矢川)本試合で、慶大の春季シーズンは終了する。苦い敗戦を喫した早慶戦。しかし、この経験をばねに夏合宿で課題を克服した彼らが、秋季躍進することを期待している。
【ケイスポ的MOM】力強いプレーが持ち味WTB清水
本試合、誰よりも強気なプレーを見せたのは清水であった。選手が密集する地点に落ちてきたボールも果敢にハイパントキャッチ、敵を振り払ってビッグゲイン。2回の得点シーンの両方に関わる活躍もする。回ってきたボールは得点を決めきるまで離さない。そんな力強さが伺える圧巻のランを見せた。一方で、冷静に指示を出し、周りをコントロールすることにも長けている清水。秋のプレーにも注目だ。
(記事・長尾里穂)
コメント
佐藤 大樹
(今日の試合を振り返って)僕たちのやりたいことが全然出来なかった試合だったと思います。(ディフェンスで後手に回るシーンが多かったが)ディフェンスでタックルが甘くて、いいテンポで出され続けて後手に回ったという印象でした。(現状の課題と秋までにすべきこと) まずは、ブレイクダウンの修正ですね。アタックもディフェンスもブレイクダウンのところがまだまだだと思います。また、僕はロックなのでラインアウトをリーダーとしてやっています。今日の試合は、成功することが多かったのですが、まだミスもあるのでラインアウトリーダーとしてそこを修正していきたいです。(秋の早慶戦への意気込みを) 今日は、やりたいことをやれずに流れを掴めませんでした。秋は、流れをものにして、早大に借りを返したいです。
徳永 将
(今日の試合を振り返って)今日の試合は、春季最後の試合ということで、今季やってきたことを貫いて慶大らしいラグビーをしたかったです。しかし、ディフェンスがあまりよくない試合でした。(ディフェンスで後手に回るシーンが多かったが)前に出られるところで受けてしまうということを繰り返して、そのあとのブレイクダウンの攻防でも後手に回ってしまいました。よくない試合の典型的なパターンです。(オフェンスでは、後半のトライを決めた前後から、良いプレーが出来たのでは)はい。そのラグビーを80分間続けないといけないので、まだまだ修正する必要があると思います。(現状の課題と秋までにすべきこと)もう一度ディフェンスを見直し、個々のタックルを極めていければと思っています。(秋の早慶戦への意気込みを)この借りを11月23日にしっかりと返したいと思います。
矢川 智基
(後半から出場だが、その時の心境は)外から前半を見ていて、流れが悪いことと、外側が空いていたことが分かったので、ボールを外に振れるようにマネジメントできればなと思ったのですが、早大の勢いに押されて流れを取り戻せなかったため、反省しています。(ディフェンスについて)簡単にラインブレイクされてしまうと、ペナルティも多く出てしまいますし、慶大はディフェンスのチームなので、そこを改善しなければならないと思います。また、相手にボールを速く出されてしまい、ディフェンスのセットが遅く、ノミネートのずれがあったり、コミュニケーションが取れていなかったことも多かったです。(早大は、左右に大きく展開するラグビーですが)今日の試合では、外だけでなく、内側でも相手に抜かれてしまいました。そこは展開ラグビーに対応する以前の問題だと思っています。(春季を総括すると)春は何とか勝てた試合も多かったですが、対抗戦相手になると、そのような勝ち方は難しくなると思うので、まだまだといった感じです。(走り勝つラグビーの実感は)一人ひとりが自分の仕事をしているときはいいアタックができるのですが、今日のように歯車が狂ったときに機能できなくなってしまいます。(ご自身のプレーについて)前半の流れを取り戻すプレーが出来ればいいなと思っていたのですが、上手くいきませんでした。キャプテンとして、スタンドオフとして、悔いが残ります。
清水 祐輔
(今日を振り返って)前半は、早大のアタックに押されて、自分たちのミスも多かったために、ずるずるとやられてしまいました。後半は、切り替えて臨もうと思ったのですが、あまり修正できませんでした。後半の最後は、結構良かったので、そのような試合が80分間できればよかったです。(ディフェンスの出来は)慶大は、帝京大のように、縦に出てくるチームには良いディフェンスが出来るのですが、早大のように外に振ってくる相手にはうまく対応できないので、修正していきたいです。(走り勝つラグビーの実践結果は)今日のように、ラインブレイクを多くされたり、ペナルティが多い試合ではあまり生かし切れていないというのが実感としてあります。(ご自身のプレーを振り返って)いいプレーも少しはあったと思うのですが、ディフェンスでラインブレイクされそうなところを、外からの声掛けで何とか防げたシーンが多くあったので、そこが反省点です。
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