慶應義塾大学4‐3明治大学
青コーナー 慶大
赤コーナー 明大
第一回戦、ライトフライ級には和田龍之介(理4)が出場。大事な初戦ということで、いい流れを作りたいところだった。
第1ラウンドから相手は和田のボディを効果的に攻めてくる。ラスト1分は防戦一方になってしまった。そして残り25秒で1回目のダウンを奪われると、終了間際に2回目のダウンを奪われ、無念のTKO負けを喫した。いきなり格の違いを見せつけられる苦しい展開となった。
しかし第2回戦、フライ級の松井祐樹(政4)はそんな嫌な空気を一蹴した。
第1ラウンドは序盤一進一退の攻防が続いたが、残り35秒で松井の強烈な右フックが炸裂した。第2ラウンドでも残り2分5秒の場面で右ストレートが決まる。ここから徐々に松井ペースとなっていった。しかし第3ラウンドではあと少し攻め切ることができなかった松井。勝負は判定に委ねられた。
そして見事判定勝ちを収めた松井。「最後の後楽園での試合にふさわしい戦いができたんじゃないかな」と試合後うれしそうに語ってくれた。
第3回戦、バンタム級にはエース田中和樹(総3)が出場。
第1ラウンド、速い右ストレートで相手を翻弄する田中和。うまく距離を詰め、相手に攻め込んでいった。残り1分のところで右ストレートが相手の顔面をクリーンヒット。残り30秒の場面でも右フック、左フックが立て続けに決まり、いい流れ第2ラウンドを迎える。
第2ラウンドでも田中和は常に冷静だった。立て続けに相手に攻撃を仕掛け続ける。
第3ラウンド、激しい打ち合いが繰り広げられたが、田中は試合の主導権を相手に渡さなかった。
「勝てたかどうかは自分でも自信と不安が入りまじりどきどきした」と試合後語った田中和であったが、判定で見事勝ちを収め、エースとしての仕事を果たした。
相手を突き放したい場面となった第4回戦、ライト級1には杉山知義(商2)が登場。
第1ラウンド、冷静に相手の攻撃に対応しつつ、残り30秒のところで右フックを見舞い。ここまでは完全に杉山ペースだった。
しかし第2ラウンド、序盤から相手に攻め込まれ、先ほどまでのようにうまく攻撃に対応しきれず、徐々にペースを相手に持って行かれてしまう。
第3ラウンドでもキレのある攻撃を見せれず、苦しむ杉山であったが残り1分30秒から徐々に前に前に体を出していき、攻撃を仕掛けようとした杉山であったが、時すでに遅し。
惜しくも判定負けを喫してしまった。
同点となったところで第5回戦、ライト級2に折敷出陸(法2)が出場。
第1ラウンド、残り30秒で折敷出は果敢に前に出て、攻撃を仕掛けた。続く第2ラウンドでも強烈な右フックをお見舞いする場面や一気に攻め立てる場面が見られた。
そして第3ラウンド、左でジャブを打ちながらの攻めを続ける折敷出。終盤は激しい打ち合いが繰り広げられ、会場のボルテージも一気に上がった。
効果的な攻撃が多かった折敷出。結果は判定までもつれ込んだが、見事勝ちを収めた。「対策立ててやるべきことができてよかった」と折敷出は試合後に語ってくれた。
ここで勝利を決めたい慶大。第6回戦、ライトウェルター級には大原拓也(政4)が登場した。
第1ラウンドでは試合が動かず、迎えた第2ラウンド。左フックを少しづつ決めていく大原であったが、相手の効果的な攻撃を何度か受ける場面があった。
第3ラウンドでは、残り1分の場面で試合が一気に動き始め、大原が強烈な左フックをかます場面も見られたが、このまま結果は判定へ。そして残念ながら結果は判定負けだった。
第7回戦、ウェルター級。梅津志門(商3)の結果次第で、慶大の2部残留か否かが決まる。「3対3で自分に回ってくるとわかっていた」と強気で梅津は試合に臨んだ。
第1ラウンド、冷静な立ち上がり。相手の攻撃を巧みによけ、攻撃を続けた。続く第2ラウンド、1分50秒の場面で右ストレートをかます。そして自らのリズムを作っていく梅津であった。
運命の第3ラウンド、残り1分30秒から梅津は一気にギアチェンジ。第3ラウンドは相手を圧倒する形となった。
結果は判定へともつれ込んだが、梅津は見事判定勝ちを収めた。
試合後、リングから降りた梅津は雄叫びを上げた。このリーグ戦を通して、もっとも印象深いシーンとなった。
部員全員が今年から初の2部での戦いということで期待と不安を持っていた。しかしその不安を振り払って、後楽園の舞台で戦い続けた慶大ボクシング部には心からの敬意を示したい。会場のボルテージを上げ、我々記者たちの心も熱くした慶大ボクシング部はこれからも成長を続けるだろう。次は12月に行われる伝統のボクシング早慶戦。それまでの間、ひとりひとりが鍛錬を積み重ね、さらに強くなった慶大ボクシング部を見てみたい。
(記事:河合佳祐 写真:下川薫)
以下選手インタビュー
松井祐樹(政4・慶應高)
(今日の試合を振り返って)もう最高の一言です。結構勝てないんじゃないかなって思うような明治大学という1つ格上の大学に勝てたので、非常にうれしいですね。(2部残留が決まりました)ほんとに最初はどうなるかなと思ったんですが、36人という大人数がまとまると大きな力が出せることを実感しました。(今日も粘り強いボクシングを見せたが)自分はサウスポーの選手が苦手なんですが、いつも以上にいい動きができて、最後の後楽園での試合にふさわしい戦いができたんじゃないかなと感じました。(リーグ戦全体を振り返って)最初の中大と日体大に負けてつらいなという感じのところがあったんですが、やはり早稲田戦で5‐2で勝って勢いに乗れたことが大きかったですね。あとはほんとに応援の方の力が大きくて、応援の力が6、僕らの力が4という割合でしたね。(これからの目標)やはり12月の早慶戦に向けて6か月くらい期間があいてるので、そこまでしっかり準備をして、最高の形で終わりたいですね。
梅津志門(商3・慶應高)
(試合を振り返って)相手は高校ランカーで、しかもうちにはサウスポーが少ないのでちょっと不安でした。でもここまで3対3で自分に回ってくるとわかっていたので、弱気になっている場合じゃないと自分を信じて戦いました。(二部残留がかかる試合だったが)プレッシャーはありました。早稲田に勝った時点で(残留は)大丈夫かなと思っていましたが、今いるのは(去年までの)三部ではなく二部だと考えると急に緊張感が湧いてきました。なので、残留できて本当に良かったです。(相手の印象は)右手が利き手のサウスポーで、ストレートからの返しを多用し振り回すタイプの選手だということは分かっていました。頭を振ってその攻撃をかわして自分の距離に持っていき、ワンツーを当てられたのは作戦通りでした。(今後の目標は)強豪揃いの二部で一年間戦ってみて大学から始めた部員の多い自分たちでも十分通用することが分かったので、次は二部Aクラス(上位3チーム)を目指したいです。
田中和樹(総3・鎌倉学園高)
(試合を振り返って)今日はエース、そしてポイントゲッターとして自分は絶対勝たなくてはならないと思っていたので、そういった気持ちの面でも押し切って勝つことが出来てほっとしています。(相手の印象は)長身サウスポーということでやりづらさは感じていましたが、気持ちで乗り切ろうと思って戦いました。(判定までもつれこんだが)勝てたかどうかは自分でも自信と不安が入りまじりどきどきしていましたが、なんとか勝てて良かったです。(二部残留がかかる試合だったが)(今日にかかわらず)勝たなければいけない立場なのでいつもと同じ気持ちで臨みましたが、二部残留に向けて大事な試合を全員で乗り切れたことはすごく良かったと思います。(今後の目標は)今年二部で初めて試合をして明治と早稲田に勝ち、部員にとって良い経験になったと思います。なので、次は二部優勝を目指して頑張っていきたいです。
折敷出陸(法2・慶應高)
(今日の試合を振り返って)今日は割とやりたいことはやれたかなという感じがします。対戦相手はある程度予想できていたので、その相手に対しての対策を試合でも生かせたかなと思います。(2部残留が決まりました)すごいうれしいです。今回上がったばっかりなので、3部降格という不安もありましたが、勝つとこ勝てたのでうれしいですね。(今日の相手の印象)すごい大きいなという印象がありました。自分より5センチくらい高い相手だったので、やりにくいなと思ったこともありましたが、対策を立ててやるべきことができてよかったなと思います。(リーグ戦全体を振り返って)5戦中3戦に出場して、やはり相手が強いなと思いました。今までの相手と違って勝ち方を知っているというか、やり慣れている相手ばかりだったので、強い相手ではありましたが、しっかり勝つこともできましたし、勉強にすごくなったので、来年につなげたいです。(これからの目標)来年は5戦すべてに出場して、すべて勝つことを目標に頑張ります。