9月10日(木)から13日(日)にかけて、戸田ボートコースにて第93回全日本選手権大会が行われた。初日には、前日の台風の影響で一部コース設備が使用不可となり、レースの距離が1500mに変更となる予想外の事態もあった。慶大端艇部からは計10クルーが出場。4年生にとっては最後の公式試合となる今大会、社会人チームを含め全国からトップレベルの選手たちが集った。決勝に進んだのは男子舵手なしペアの1クルー。表彰台は惜しくも逃したが、4位に入賞した。他3クルーが順位決定戦へ。それぞれ上位入賞を狙い全力を尽くした。
第93回全日本選手権大会
2015年9月10~13日
@戸田ボートコース
・女子舵手なしクォドルプル 予選敗退
S:流石 揚子(総3) 3:渥美 優(総1) 2:野方 千裕(政2) B:古川 のどか(理4)
・女子エイト 予選敗退
C: 池田 可南子(文3) S:古川 のどか(理4) 7:笹谷 由佳(文2) 6:萩原沙由子(政1) 5: 野方 千裕(政2) 4:芝崎 佐和子(経1) 3:キム ミナ(文1) 2:流石 揚子(総3) 1: 渥美 優(環1)
・男子シングルスカル 予選敗退
宇津木 琢哉(法2)
・男子ダブルスカル 準決勝敗退
S:有馬 康耀(法2) B:長谷 裕太(経3)
・男子舵手なしペア 第4位
S:細田 外嗣(法2) B: 大津 匠(政3)
・男子舵手つきペア 第5位
S:小坂 哲生(商2) B:森崎 光洋(環4) C:今村 匠(商2)
・男子舵手なしクォドルプル 予選敗退
S:阿部 悠平(経4) 3:舩門 啓司(法4) 2:高橋 航平(経2) B:尾辻 大将(経4)
・男子舵手なしフォア 第8位
S:佐々木 多聞(総3) 3:藤枝 裕亮(商4) 2:舟橋 勇生(商4)B:高田 直人(総2)
・男子舵手つきフォア 第7位
C:小原 孝明(政3) S:笹岡 裕之(政2) 3:高林 拓海(理3) 2:宮本 星太(政3) B:小豆沢 遼(政3)
・男子エイト 予選敗退
C:米澤 一也(政3) S:内田 優志(政2) 7:大河原 敦史(政4) 6:北原 敬梧(法2)5:中田 幸太郎(経3) 4:吉田 航(政4) 3:尾留川 敦(総4) 2:田中 将賢(法3) B:寺坂 僚太(経2)
初日から、慶大クルーは苦戦を強いられる。予選は、組中1着のみが準決勝または決勝へ進む厳しい戦いだ。良いレース運びをしてもなかなか1着が遠く、すべてのクルーが敗者復活戦へまわった。女子部は、舵手なしクォドルプルに出場した選手がエイトにも出場するというかなりハードな状況。小規模であるために練習時間も短い中での調整を強いられた。強豪相手に力の差を見せつけられるが、その差は着実に縮まってきている。昨年は8分を大幅に越えてしまったが、今年、1年生を4人加えたクルーで7分45秒88というタイムを出した。入賞という結果を出すことはできなかったものの、今後の成長に大いに期待である。
インカレで2位という好成績を残した男子舵手付ペアは、再び上位を狙うべく挑んだ敗者復活戦。1着でないと決勝には進めないという条件の中、先を行く東京大学を刺しきれず結果は0.2秒差で2着。惜しくも順位決定戦へまわることとなった。順位決定戦では余裕も見せ1着、5位入賞で大会を終えた。同じくインカレ3位でメダルを獲得した男子舵手なしフォアは、準決勝に進出。しかし、メンバーを直前に変えた焦りもあったのか、後半の追い上げに伸びがなく4着。続く順位決定戦でも4着となり、結果は8位入賞となった。インカレからさらにレベルの高いレースではあるが、4年生にとってはこれが引退試合。このハイレベルな全日本選手権で結果を出すことを、続く後輩にも目指していって欲しいものだ。
見事決勝に進んだのは、男子舵手なしペア。社会人チームに最後まで食らいつき、好タイムをたたき出すが及ばず。表彰台を逃しはしたが、2・3年生の若手クルーが全日本の決勝の舞台で戦ったことは、他慶大クルーを鼓舞したに違いない。同様に2・3年で構成された男子舵手つきフォアも順位決定戦にのぞみ、7位という結果を残した。大きな期待のかかる男子エイトは残念ながら、予選敗退。吉田主将は、慶大端艇部でのボート生活を振り返って、「やはりエイトで勝つのは難しい」という。10月には新人戦が控えている。4年生の思いをつなぎ、新体制で再び日本一を目指していく慶大端艇部。4年生が残してくれた組織力をもって、次こそは結果に示したいものだ。
(記事・須佐奈月)
◇以下、試合後選手コメント
吉田 航主将(政4)
(レースを終えて、今の気持ちは)勝てなかったのは非常に残念なことではありますが、インカレよりも確実にレベルが上がっていて、ある程度力を出し切れたので、自分の中で自信にもなりました。(大会に向けてどのような話を)今まではコーチの方に頼ったりすることも多かったのですが、漕ぐのは自分たちなので、自分たちでいかに考えられるかについて話し合いました。あまり期間も無かったので、やることをシンプルに、絞って練習をするようにしていました。(強豪がそろうレースの印象は)結果的に見れば社会人チームであったり、大学生チームにもまだまだかなわなかったので、地力の差もですけど良くなったところを前からできていればなとは思います。(後輩に伝えていきたいことは)部員も増えて、強い部員もかなり増えてきたので、思い切ってやってほしいと思います。過去にこうやっていたから、同じようにしようと思うのではなくて、自分たちで思い切りやってほしいです。(慶大でのボート生活を振り返って)1年のころからエイトにのせてもらっていたのですが、やはりエイトで勝つことの難しさを4年間通して感じました。その中でも、全員の息が合って漕げた時はとても爽快で、楽しいですし、何より良い仲間に恵まれたなと思って。仲間には感謝しています。(今後の予定は)自分としては、企業のボート部で続けられることになったので、やはりこのままでは終われないのでそこで日本一を狙えたらなと思います。(最後に、仲間やお世話になった方々へ)日本一になれなかったのは申し訳ないのですが、本当に感謝しきれない気持ちです。仲間の支えや助けがあって、今の自分も、慶應のチームもあると思うので、本当に誇りに思っています。
大河原 敦史(政4)
(今大会の結果を振り返って)残念な気持ちでいっぱいです。(今大会に向けて皆で話してきたことは)目指す目標が日本一というのは決めていたので、そこに向かって艇速を速くするという目的は9人一緒なのでその目的に向かってどうすればいいのかということを話す。それをやる。ということを繰り返してきました。(予選を経て、次のレースに向けては)勝負所が何回かくるので、それを全員で意識を統一して上げる事が予選では出来なかったので、それぞれがバラバラに頑張っていたという感じのレースをしてしまったので、それでは勝っていけないと話し合い、コックスのコールに8人が纏まって声を出して、声から盛り上げて全員で勝負を仕掛けよう、その勝負所を3ヶ所、500m、1000m、1500m付近と決めてそこで9人で仕掛けようと話していました。(最後のレースの感想は)強く、長く押すというところを、もう最後なので一本も途切らす事なくスタートの一本目からゴールの一本目まで、強く、長く、誰よりも押そうという気持ちで、最後だからというよりは、そういうドラマティックな感情ではなく、僕の後ろには6人乗っているので、示し続けるということを意識して漕いでいました。(今までの端艇部生活を振り返って)入学の時を想うと、からだもそんなに大きくなくて、へたくそで、体力もなくて、常識も協調性も無かった所から、もちろん、技術的な所とか体力的な所とか、そういった部分はこの端艇部の中で成長させてもらったなと思いますし、共同生活を通じて人と生活する中で協調性やコミュニケーションをとったりということも大切だったので、本当に体力面や技術面に加えて精神的な面についても成長させてもらったかなと思うので、これを今後の人生に活かしていけたらなと思います。 (後輩に向けて)本当に、僕らが今の子達の学年だった頃よりも遥かに実力はあるので、本当に自信を持って欲しいと思います。近年は結果についてはあまり変わっていないようですが、着実に慶應端艇部というものは年々強くなっているという風に、何年かやってきて思うので。自分達に自信を持って、本心で日本一というものを目指して頑張ってもらいたいなと思います。(同期に向けて)感謝ですね、ありがとう、と。
尾留川 敦副将(総4)
(大会を振り返って)試合前の仕上げの段階から軸になるものをクルーで見つけて、それを中心に試合に向けてシンプルに仕上げて。2レースしかしていませんが1レース目より2レース目の方がそれに取り組む姿勢や精度も上がっていたので、最後のレースに向けての調整から試合でやると決めたことへの取り組み自体も評価していい部分が結構あったんじゃないかなと思います。(結果については)結果は結果だし、負けた相手に対して何かが足りていなかったというだけで、自分達がやると決めたこともやれずにボロボロになって勝負に負けたというのではなく、今回に関しては決めたことをやり続けて、相手に対して及ばなかった数本が多分たった数本で、紙一重の差だったと思うのですが、そこがこういう結果に繋がったんだろうと。(全体として満足に足る部分があったか)シンプルにこの大会だけにフォーカスして過去も別にして、クルーが一つになっていたというか、やると決めたことをやって、それが出来た部分もたくさんあって、という部分だけに絞って見ると、凄く満足しているし、その点のクオリティは過去これまでの4年間と比べても一番良かったものだと思います。ただ結果という部分に関しては、もちろん至らなかったから負けたわけで、満足はしていないです。(大会に向けてクルーで話していたことは)インカレから踏まえて、スタートで頭を取るというものが一つ改善点として出たのですが、それよりも仕上げの段階で全員が絞って出来たのが良かったのかなと。一つ技術的な点として一つ軸となるものを見つけて、それだけをやろうと。もちろん改善しなければいけない点はたくさんあると思うし、まだまだ成長はしうるんだけれども、その軸となる部分だけをやれば、全て改善出来ると思うので、そこを9人余すことなくしっかりとやろうということを決めて、やってきました。(レースの感想は)特別何かということは思い描いていた程は無かったです、引退が掛かっているからとか。多分そういうのは終わってからじわじわくるものだと思うので特別レース期間中にということは無かったです。単純にクルーで決めたことを全員でやれているという実感のようなものは、過去になくレベルが変わっているなという、1段階2段階3段階とかなり違うところに来ているねということは実感できていました。だからこそ、最後だからということは正直、頭には無かったです。(これで引退となりますが、端艇部の生活を振り返って)実感が湧いていないというのが正直なところで明日の朝も練習なんだろうなというような、、、今日で終わったんだということはあまり実感が湧いていないです。 (後輩達に向けて)着実にボトムは上がってきていて強いチームになってきていることは実感していると思うし、それは自分達のことだから分かっていると思うので、その中にいて自分達がどうしていくのかということは自分達自身のことだから、あまり後輩達に言いたいということは無いですね。自信を持ってやってくれればいいと思います。
舟橋 勇生(商4)
(今大会を振り返って)インカレからメンバーが変わって、また新しいクルーとして組み始めていたのですが、正直全日本まで時間が足りなかったかなと。練習段階で出せなかったから、試合でも相応の結果になったのかなと思います。(4年生の皆さんにとっては引退となりますが、今のお気持ちは)この最後のレースで結果を残せなかったのは残念だったし、この4年間の目標であった日本一を達成することができなかったことも悔しいとは思いますが、個人的な感想としては、日本一という結果を部にもたらすことはできなかったけれども、それに向かっていく姿勢であったり、日本一の組織になるために必要な見えない部分を4年生全員で後輩に託すことができたと僕は信じているので、その点は自分たちへ評価できるポイントだと思います。(後輩たちへの期待は)インカレで乗っていた寺坂だったり、全日本で乗った高田もそうだし、ずっと戦ってきた佐々木も、ポテンシャルは強いものがあるので、来年は日本一、絶対に取ってほしいです。(慶應での生活を振り返って、共に戦ってきた仲間へ)感謝の一言だと思います。自分自身成長することができたし、同期も後輩も、先輩も含めて端艇部の部員には、自分を成長させてくれたし、良い夢を見させてくれたということで、本当に感謝しています。
大津 匠(政3)
(本日の大会を振り返って)お互い未経験だったので、他クルーとの経験値の差が決勝という大舞台で出た為に負けてしまったのかなと思います。(決勝のスタートはどのような心持ちで臨まれましたか?)いつも通り、平常心という感じでした。( 今後の目標をお願いします)最上級生として後輩に頼られるような先輩になりたいです。
細田外嗣(法2)
(本日の大会を振り返って)気持ちを強く持とうと思って最初から(全力で)いったつもりだったんですけど、実力差やコンディションの差もあり、本当に優勝を目指さないと、こういった結果になってしまうんだなと思いました。(決勝のスタートはどのような心持ちで臨まれましたか?)大津さんが平常心でいこうとずっと声を掛けてくださったので、決勝でも平常心で臨むことができました。( 今後の目標をお願いします)来月新人戦があるので、そこでは絶対優勝します!
古川 のどか主将(理4)
(今回はエイトにも出場されましたが、女子部の活躍振り返って)結果は残せていないので、何とも言えないですが。こうして8人でしっかり慶應のクルーとしてエイトに出れたことは良かったと思います。実力はまだまだないですけど、やる気は負けていなかったんじゃないかと思います。(インカレからどのような調整を)クォドは舵手付きから舵手なしになったので、まるで漕いでいる感じが変わって苦戦したので、4人で話し合ったりして。変えていけたらよかったのですがあまり時間もなく、間に合わずに迎えてしまった感じがありました。(全日本のレースの印象は)最初からどんどん離されてしまったので、そこは実力の差だなと思いました。(それでも短期間でここまで調整できたのは下級生たちにとってもかなり自信にもなったのでは)実際エイトでの練習がそんなにできていなかったのですが、昨日かなり追い込んでやったので、今日のレースは昨日よりかなり良かったんじゃないかなと思います。(引退という実感はわいてきましたか)数日前からシミュレーションはしてきたのですが、ついにその時が来たなあというくらいで、案外普通です(笑)。(慶應でのボート生活を振り返って)レース直後にも思いましたが、感謝の気持ちでいっぱいで。上から下までいろんな人に支えてもらったなあと思います。(4年生一人で厳しい環境だったと思われますが)やはり自分でどうにかするしかなかったので、リーダーシップというのはまだ全然ありませんがなんとなく分かることができたのかなと。女子は一人でしたが同期はいっぱいいるので、人に頼るのも大事だなと思いました。(後輩たちへの思いは)早慶戦に勝ってほしいです。日本一という目標に向かって、どこまでできるか追求していって欲しいと思います。(最後に、お世話になった方々へ)ふがいないですが、皆のおかげで成長できました。ありがとうございましたと言いたいです。
流石 揚子(総3)
(大会を振り返って)去年からのどか主将の下で女子部一丸となって練習してきましたが、一人一人が力もつけてきて、それをこの大会を一年間の成果として出せたのでは無いかなと思いました。私としてはのどか先輩に優勝や表彰台やメダルといったものを手に入れてもらって引退して欲しかったのですが、それが叶わなくて悔しい試合でした。(インカレから準備してきたことは)インカレと全日本では4人乗りというのは変わらないですが、コックスというかじを取ってくれる人がインカレの時はいましたが全日本ではいなくなってしまったので、艇全体が軽くなって基本的な漕ぎのリズムや水の押し方といったものが全く変わってしまって、別の種目のように感じました。側から見ていると、2週間あったので改善すればいいだけだという風に見られることが多いのですが、全く違う種目を2週間で仕上げるというところが凄く難しく、初めての挑戦だったので、準備しきれたのか不安ではありました。(W4-とW8+の2種目への準備は)クォードの時は一年生も乗っていますが、全員が経験者で基本的に体力もあって漕げるので、後は4人で力を合わせてという感じなのですが、エイトは漕ぎ始めてまだ2ヶ月の一年生が乗っているので、まず基本的な動作から教えました。クォードでは本当に戦うという感じで、エイトでは自分が戦うなかで下の人達を見ながら、声を掛けながら漕ぐというところでとても大きな違いがありました。平日の練習でも男子は一種目の練習をしていればいいのですが、女子はクォードの練習とエイトの練習で2回3回練習したりしていて割と辛かったなという感じです。 (これまでに成長してこれたと思うことは)常に、自分は本当に追い込めているのかということを自問自答しながら漕げるように、生活できるようになった所が成長できたところだと思います。いつも自分は本当にベストを尽くしているのかと聞きながら生活しています。(次から最上級生になりますが、目指していきたいものは)目指していきたいところはもちろん全日本、インカレ、軽量級と全日本級の大会でメダルを取ることです。これは歴代の先輩方が毎年掲げている事だと思うのですが、私は高校時代から選手としてボートをやってきて色々なコーチの方からご指導してもらったりして、知識はある方だと思っているので、慶應ボート部は未経験者が多く入ってくるのでその人達に私の経験を教えてあげる事で、全体として知識の面からもメダルを取りやすくしたいと思っています。(一年生が多く入りましたが)人数が多くなって、問題点や人が多い事によるトラブルなども多くなってくると思うのですが、その分プラスになる部分もきっと多くあって。のどか先輩は背中で見せてくれるタイプでしたが、私は1人で背中を見せられるかはまだ不安なので、同期も一つ上の代よりも多いわけですし、全体で統一しながらも、手を取り合って皆で支えて女子部全体を盛り上げていきたいと思っています。