関東大学対抗戦Aに続き、関東大学Jr.選手権が開幕した。初戦の相手は東海大。試合は前半、慶大が相手の反則などで得たチャンスで確実に点数を重ね、11点のリードで折り返す。後半は一時、4点差まで詰め寄られたものの、一年生ながらレギュラーに抜擢されたSO古田のトライなどで東海大を突き離し、見事開幕戦を白星で飾った。
関東大学Jr.選手権 vs 東海大
2015/9/23(日)13:00K.O.@東海大学グラウンド
得点 | ||||
慶大 |
| 東海大 | ||
前半 | 後半 |
| 前半 | 後半 |
2 | 3 | T | 1 | 3 |
1 | 2 | G | 1 | 2 |
2 | 1 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
18 | 22 | 小計 | 7 | 19 |
40 | 合計 | 26 |
得点者(慶大のみ)
T=松岡3、古田1、佐野1
G=古田2、佐野1
PG=古田2、佐野1
出場メンバー | ||
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 長尾 昂(環3・茗渓学園) |
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2.HO | 松岡 大介(環3・小倉) |
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3.PR | 八木 悠太朗(経4・慶應) | →18 角田 匠輝(法3・慶應) |
4.LO | 吉田 雄大(総2・秋田) |
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5.LO | 辻 雄康(文1・慶應) | →20 西松 広夢(商2・慶應志木) |
6.FL | 永末 千加良(法2・慶應) | |
7.FL | 高家 章徳(商4・慶應志木) |
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8.No8 | 朝田 健太(経4・慶應志木) | →19 竹田 和正(法3・慶應志木) |
9.SH | 中鉢 敦(経3・慶應) | →21 江嵜 真悟(商1・小倉) |
10.SO | 古田 京(医1・慶應) |
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11.WTB | 吉迫 雅俊(商3・慶應志木) |
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12.CTB | 染原 健人(理3・修猷館) |
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13.CTB | 古橋 純(理4・千種) |
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14.WTB | 佐野 航太(政4・慶應) |
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15.FB | 楠本 遼(経3・慶應) |
先制点を挙げたのは慶大。前半5分、慶大ボールのラインアウトをしっかりと成功させると、そのままモールに転じる。東海大FW陣を押し込み、相手ゴール内へ侵入すると、最後はHO松岡がグラウディング。その後のコンバージョンも成功し、慶大は幸先よく7点を先制する。しかし8分、東海大もラインアウトからのモールでトライに成功。スコアは7-7となり、試合は振り出しに戻る。その後、慶大はやや劣勢に立たされる。モールで押し込まれてしまう場面や、東海大WTBに突破をされてしまう場面があった。相手のハンドリングエラーに助けられるなど、得点こそ許さなかったものの、苦しい時間帯が続く。転機が訪れたのは24分、ターンオーバーに成功しボールを奪うと、PR長尾がフィジカルを生かしたアタックでラインブレイクを決める。このプレーが相手の焦りを生んだのか、東海大はペナルティを犯し、慶大はPGのチャンスを得る。これをSO古田が手堅く決め、3点のリードを奪う。勢いに乗った慶大は34分、マイボールラインアウトからモールを組み、最後はまたも松岡がトライ。先制点の再現のようなプレーで点差を広げると、前半終了間際には、センターライン付近からのPGを「長い距離のキックを蹴れる」(古田)WTB佐野が見事に決めた。18-7と11点のリードを手にし、前半を終える。
後半、さらにリードを広げたい慶大。しかし5分、わずかな隙を相手SHに突かれ、トライを許してしまう。4点差とし、さらに逆転を狙う東海大は、テンポの良いパス回しを披露。だがここは慶大FW陣を中心とした粘りのディフェンスで連続得点を許さない。その守りが流れを呼び16分、古田がハイパントを蹴り上げると、CTB染原が見事にキャッチ。そこから出たボールをSH中鉢が右サイド、さらには中央へと展開すると、最後は古田が抜け出しトライを決めた。1年生SOの活躍でリードを広げると、19分には古田のPGが決まり、21分にはFL高家のビッグゲインから佐野がトライに成功。わずか5分で15点を奪う怒涛の攻撃で、東海大を引き離していく。25分には、タックルが甘く入ってしまったところを突かれ、トライを許してしまう。しかし30分、モールから松岡がこの試合3本目となるトライに成功し、試合の行方をほぼ決定付けた。スコアが40-26となったところで、試合はノーサイド。慶大は見事開幕戦を白星で飾った。
FW陣の奮闘が目立つ一戦となった。この日慶大が挙げた5トライのうち、3トライがマイボールラインアウトからのモール攻撃で挙げたものだ。「モールでこんなに取れるとは」(松岡)と振り返ったが、マイボールラインアウトをほぼミスなく成功させた確実さやモールで押し負けない力強さが光った。また、勝利の要因として、堅実なプレーが積み重ねられたことが挙げられる。ハンドリングエラーを繰り返す東海大に対し、慶大は派手さこそないものの堅実なボール回しで相手の反則を誘った。自陣深くに攻め込まれた場面ではキックを多用し、確実に陣地を回復した。それに応えた1年生SO古田のキック精度の高さも見事だった。夏の厳しい練習の成果を実戦で披露した慶大。この試合のように、普段通りの力が発揮出来れば、おのずと結果はついてくるだろう。
【ケイスポ的MOM】努力が生んだ正確無比のスロー HO松岡
この試合3トライを決め、慶大の勝利に貢献した松岡大介(環3)。「(トライは)FWみんなのおかげ」と謙遜するも、それらは全て松岡が投げ入れたマイボールラインアウトによるもの。「今までは試合で緊張してしまってスローが上手く出来なかった」が、「夏はラインアウトにこだわってやってきた」と語る。努力が実を結び、正確なスローで慶大のラインアウト成功率を高めた立役者となった。あくまでも「対抗戦にもっと出ること」を目指すと語った松岡。この一戦で目標を大きく手繰り寄せたに違いない。
(記事・小沢光市)
松岡大介
(試合を振り返って)今日はレッグタックルをすることにフォーカスしていて、それを前半から全員が出来たことが良かったです。個人としては、今までは試合で緊張してしまってスローが上手く出来なかったのですが、今日は1ミスだけで、それも悪いミスではなかったので納得しています。(夏の練習で重点的に取り組んだことは)FWはラインアウトにこだわってやってきました。夏合宿ではBKがご飯を食べている時に、FWだけで練習したりして、今日の試合では(その成果が)出て良かったです。(今日はラインアウトからのモールでトライが3つありました)モールディフェンスで結構やられると予想していたのですが、まさかこんなにモールで取れるとは、という感じです。(松岡選手自身も3トライ)全部モールからなので、FWみんなのおかげです。(今後に向けて)次の対抗戦の日体大戦ではリザーブに入れると思うので、もっとアピールしたいです。Jr.選手権では優勝、個人では対抗戦にもっと出られるように頑張ります。
古田京
(Jr選手権に出場して)このような高いレベルの試合に出るのは初めてでした。夏は、真ん中のクラスのチームでもなかなか出られなかったです。自分なりに気合いを入れていたので良い準備がしっかりできていましたし、力も出せたと思います。(夏の練習はどうでしたか)FWもBKも一生懸命に自分で走るというラグビーをずっとやっていました。あとはディフェンスですね。(試合を振り返って)今日はキックが多かったのですが、前半はうまくいきませんでした。そこの精度を意識して上げていきたいと思います。前半はハイパントが長いボールになってしまうことが多かったですね。(佐野選手がキックをする場面もあったが)佐野さんは長い距離のキックを蹴れるので、距離で分担していました。(これからに向けて)1年生ですが物怖じせずに対抗戦にも出られるように頑張っていきたいです。