1年生時からチームの中心として活躍してきた、谷本真人主将(環4・名古屋高)、髙田航輝(環4・湘南工科大学付属高)、渡邉将司(総4・名古屋経済大学市邨高)、池田玲(環4・富士見丘高)、西本恵(環4・岡山学芸館高)の5人。この5人に、幹部として活躍した植野佑紀主務(法4・慶應義塾湘南藤沢高)、今橋真優主将兼主務(環4・東海大学付属相模高)の2人を加えた7人にお話しを伺った。
昨年の王座ではS1を務めるなど、プレーでも運営でもチームを引っ張り続けてきたチームの主将。ラリーでは常に相手の前を取る、攻めのテニスが持ち味だ。
新進テニス大会では3年の野田、早慶戦では2年の韓と組むなど、ダブルスでは後輩を常にリードしてきた。気持ちを全面に出すプレーが持ち味。
――4年間主力として活躍されましたが、印象に残っている試合はどの試合ですか
谷本:逆に思い出に残っていない試合はなくて、一つ一つの試合が大きくてインパクトがあって、今考えると今日の試合になります。最後の集大成で勝てなかったことが一番悔しい部分でもあり、印象に残っています。
渡邉:自分も全く同じで、自分は「終わり良ければすべて良し」と思っているタイプで、結局最後かつために今までのいろいろな試合があったとポジティブにとらえようと昨日までいたんですけど、最後が単複ともに悪くて締められなかった部分が今の自分であると思いますし、そこが本当に悔しいです。
――長い時間ダブルスを組んでいましたが、特に印象に残っていることは何ですか
谷本:高校時代まで愛知でめちゃくちゃライバルでしたね。悔しさとして残るのは、去年の王座で勝ったのはあるんですけど、ペアの個人戦で成績を残せなかったことですね。二人でインカレを取りたかったです。でも、ペアとしての相性は絶対によかったと思うので、結果が出せなかったことに悔しさが残ります。
渡邉:自分たちはアップダウンが激しくて、いいときには誰にでも勝てる気がしたんですけど、よくないときはたいしたことのない相手にも負けてしまうということで、最後までそこを突き詰められてなかったことが今日出てしまったと思うので、個人戦で結果が出なかったこともそうですし、インカレ優勝と王座優勝も達成できなくて本当に悔しいです。
――お互いに今、何か言いたいことはありますか
谷本:このペアで勝ちたくて、(渡邉)将司とずっとやってきて、今日他の人と組んで勝つのは考えてなかったので、(渡邉)将司と勝ちたかったです。結局悔しいんですよね。
渡邉:結局、4年生3人が勝てれば優勝できると谷本、髙田と話していて、髙田はやってくれて、この二人が落としてしまって、後輩たちが頑張ってくれたんですけど、自分たちがやらなくてはいけなかったと感じています。1年生から谷本は自分にないものをもっていて、例えばリターンで前に入ることだったり、サーブだったり、本当に見ていて自分も参考にしたし、1年生の頃よりは自分のサーブもマシになったし、リターンもよくなったと思うんですけど、もっといいプレーをして勝ちたかったですね。本当に申し訳ないなと思います。
――主将から同期に向けて一言お願いします
谷本:自分たちの代は植野が主務、今橋が主将兼主務ということで3人の幹部だったんですけど、全然3人では回らなくて、いろいろなところで助けてもらって本当に感謝しています。ありがとうと伝えたいです。なので、自分自身この代で日本一になりたいと思ってやってきましたし、結果にこだわってやってきたんですけど、本当に一つにすることができなかったのは僕の責任だと思います。この一年間、共に戦ってくれてありがとう。
――お二方から後輩へメッセージをお願いします
谷本:本当に後輩には歴史を変えてほしい。できると思いますし、男子だと3年連続王座に出場しているので、王座を知っているメンツが新1年生以外全員という代になりますし、いろいろな経験をしてきている選手たちなので、このあと一歩の壁を壊せるかは自分たち次第だと思うので、絶対に結果を変えられると信じていますし、応援しています。このチームが日本一を目指すことに引退したから関わってはいけないわけではないですし、自分自身できることはなんでもしようと思います。そして、1年間、至らないことの多かった自分についてきてくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。
渡邉:自分で考えることが大切である、そうすれば絶対に行動は変わりますし、全員が「自分がひっぱる」という気持ちで臨んでほしいです。そのうえでチームのことも考えてやっていってもらいたいなと思います。本気になってやってほしいなと思います。
今季のインカレでは2年の上杉とペアを組み、ダブルス大学日本一。今年の王座では去年欠場した悔しさを晴らす活躍でチームの中心となった。
――四年間を振り返っていかがですか
本当に僕は一年生のときから出させていただいていて、他の人だったら絶対できない経験を沢山することができました。今までの先輩方からも自分の直さなければいけない部分も教えてもらいました。メンタルの部分なんですけど、ここ最近少しアップダウンもあったのでそこを指摘されていて、監督だったり、コーチだったりの支えがあって、四年間庭球部でやってこられたと思っています。その方々には感謝の気持ちでいっぱいですし、OBOGの方々にも部費という形で支援してくださって、環境の面でもすごく慶應は日本のテニス界の中でも恵まれているので、そのことにも感謝しています。後輩たちにも、環境に感謝しながら、自分ができる最大限のことにチャレンジしてほしいです。
――髙田選手から上杉選手にメッセージをお願いします
僕の方こそありがとうと伝えたいです。僕が頼れる存在だとは自分では思っていないですし、頼りないことが沢山あったと思うんですけど、僕についてきてくれて、色んな言葉をかけたし、その言葉や、S1、D1を背負っている姿を見て、このままではいけないんだということを心の中で思っていました。上杉には感謝しています。そして、絶対に上杉は大学テニス界とかでは来年全部優勝できるくらいの実力はあるので、その枠から外れて、日本のトップや世界のトップを目指してやっていって欲しいなと期待しています。自分の可能性を信じて、慶應のワンとしても日本の代表としても活躍していって欲しいです
――坂井監督は髙田選手にとって、どんな存在でしたか
選手生活を四年間やってきた中で本当に厳しいことも言われてはきたんですけど、昨年も僕が落ち込んでいる時にも最初に勇気づけられる言葉をかけていただきました。僕だけではなくて、他の選手も監督からの助言や言葉に心動かされてきました。また、全国の舞台に立ったときに僕らのことを信じて、どうにか良さを引き出そうというのを熱心に毎日考えてくれる方です。熱くて僕ら想いの最高の監督です。
2年時には西本とダブルスで大学日本一を経験。苦しいときの笑顔でチームを引っ張ってきた。
今季、シングルスでもインカレ制覇。単複どちらでも大学トップレベルの実績の持ち主。S1、D1でチームに多くの勝利をもたらした。
――お二人で組んだ4年間。どんな思い出がありますか
西本:1年生のときからメンバーで出させていただいて、先輩方からもいろいろと教えていただいて、苦しかったことも多かったですけど、本当に慶應で4年間積み上げてきたものっていうのは、今後の人生でも本当に力になると感じています。
池田:1年から最初の1、2年は正直うまくいき過ぎたというのをすごく感じています。だからこそ3年、4年とつまづくこともあったし、苦しいこともありました。しかし、そういう悔しい気持ちもたくさんあったんですけど、慶應の庭球部にいたからこそ、そこに対して立ち向かう力がついたんじゃないかなと思います。なので、この慶應での4年間は自分の人生においても大きな財産になったと思います。
――「慶應に来て、このペアになってよかった」と感じていますか
西本:私は全然ダブルスができなくて、本当に後ろでラリーをしていることしかできなかったんですけど、ボレーの上手さだったり、勝負強さだったり、本当にいろいろな強さをもった人と組めたことは、自分にとってもいい経験をさせてもらったし、(池田)玲とだったからこそタイトルも取れました。苦しいこともあったんですけど、この1か月、今まで以上にダブルスについても考えたし、真剣に取り組んでこれて、最後は勝てなかったんですけど、本当に(池田)玲と4年間組めてよかったと思います。
池田:まさか4年間ずっと組むとは思ってなくて、最初はところどころ怖いところもあったんですけど(笑)。結構ずばずば言うので(笑)。
西本:逆も然りだよ(笑)。
池田:怖かったときもあったんですけど、やっぱり組んでいくうちにお互いの信頼が深まっていったと感じたし、昔はあまりコミュニケーションとか取らなかったんですけど、最後の1年は特に二人で勝つために取り組めたと思うし、本当に(西本)メグと組めてよかったと思っています。
――池田選手は試合中どんなときもニコニコされている印象がありますが、心がけていたのですか
池田:そうですね(笑)。私は元々アップダウンが激しい人だったんですけど、ダブルスは私が引っ張ると覚悟を決めていたので、私が元気にやっていないとD2も(西本)メグも思いっきりできないと思っていたので、その覚悟の現れですね。
――後輩に向けてメッセージをお願いします
西本:まずは、私たちについてきてくれてありがとうという気持ちを伝えたいです。選手もそうですし、サポートのみんなも自分の役割に徹してチームのためにやってくれたことに感謝しているので、まずは感謝の気持ちを伝えたいです。これから、また日本一への挑戦が始まると思うんですけど、今日の負けだったり、いろいろな方からのメッセージを忘れず、自分たちで考えてまた突き進んでいってほしいなと思います。
池田:私も後輩には私たち4年についてきてくれて本当にありがとうという気持ちを伝えたいです。本当に来年、この場に立って日本一取ってほしい、ただそれだけなんですけど、そのために「勝つチーム」を今から全員で作り上げていってほしいです。
――王座準優勝という結果についてどう捉えていますか
率直に悔しいです。負けた瞬間に、これまで王座で負けてきた時の記憶がよみがえってきて、4年間で結果を変えることが出来なかったので悔しい思いが強いです。
――早大との差はどう感じていますか
慶應が今まで勝ったことのない相手を倒すこと、チームの中で強くなっていくことを大事にしている中で、早稲田との勝負に負けたという事実もありますけど、自分との戦いに勝てなかったこともあると思います。早稲田が強いというもあると思いますけど、彼らが勝負強くて負けたことよりも自分たちが描いていたチャンピオン像になれなかったことが一番だと思います。この1年で新しい結果も出ましたが、結局男子が早慶戦やリーグで勝てなかったことがこのようなスコアになったと思います。
――非常に競った試合が多かったと思いますが
2-7という結果は負けは負けで実力だったと思うんですけど、大学テニス界に実力差はほとんどなくて一部校も二部校も差はないと思っていて、その中でチームや人間性といったところを慶應は大事にしているように各校それぞれチームのカラーがあるだけなので、実際に大きな差はないと思っています。
――主務としての1年を振り返っていかがですか
幹事が3人というチャレンジングな体制だったので、その中でチーム谷本・今橋を支えるということを考えて、3人で一枚岩になってチームを動かしていくことは考えていました。チームには谷本も常々言っていた結果にこだわることやとにかくチャレンジすること、変わり続けることは常に言ってきて、他校より9倍10倍努力しなければこのチームは勝てないので、うちはスポーツ入試もないですし、皆にはそういったところに誇りやプライドを持ってやるということを伝えていました。
――主務をやってよかったこと、苦しかったことは何ですか
心残りなことがあって、結局チームを作っていく上で形にこだわりすぎてしまってそこが結果につながったのかということを今でも自問自答していますし、あとは後輩を育てるという意味ではもっと伝えられることや執念を出してやれたことがあったのではと思っています。また、主務にはプレー面以外でのマネージメントをする役割があるので、その責任の背負い方が甘かったとも思っていて情けない気持ちでいます。
――4年間を振り返っていかがですか
一言でいうと本当に感謝しています。4年間で結果を変えられなかったという責任も感じていますが、一方で恵まれた環境で貴重な経験をさせてもらえて、主務だけでなくプレーヤーとしてもテニスをさせていただいたのもそうですし、慶應チャレンジャー国際トーナメントの総責任者として色々と任せていただいたのもそうですし、素晴らしい蝮谷という環境で素晴らしい監督・コーチ陣・先輩方も自分のことを家族のように厳しく可愛く育ててくださって、日本一という結果を残せなかったことは申し訳ない気持ちでいっぱいですが、それと同じぐらい感謝しています。正直このような環境は庭球部以外ではそうそう無いと思っていて、最後結果を出すには苦しみがあってその先に喜びが待っていて、その過程の中で必ず成長出来る場だったので、この4年間は自分は幸せだと感じています。これから多くの後輩が出来ると思いますが、後輩も私生活や学校のことで気を向けたくなる気持ちもあるかもしれませんが、後輩には日本一をこだわってやり続けてほしいですし、その意味で蝮谷はパラダイスなのでそういう場所で4年間過ごせた自分は幸せです。
――4年間共に戦ってきた同期へメッセージをお願いします
同期に関しては4年間苦楽を共にしてきてありがとうという感謝の気持ちと、同期は一生ものの仲間なので、この庭球部では日本一になれませんでしたが、今後別のフィールドでそれぞれ日本一を目指して、庭球部で培ったものを活かして新しいフィールドで世のために自分を酷使してこれからも一緒に頑張っていこうという思いが強いです。
――坂井監督に対しても一言お願いします
この代に懸けてくださった中で結果を出せず本当に申し訳ないという気持ちと、心からお礼を伝えたい気持ちでいっぱいで、監督に関しては今年が10年目という節目の年でもあったので、最後勝って胴上げして引退したかったですけどそれが出来なくて情けないし悔しいですし、来年以降に対して自分たちがやれることであれば何でもやりたいと思っていて、今後の庭球部に対してやれることは何でもやるので使って欲しいです。そして、庭球部や庭球部外で学んだことを武器にしてこれから戦っていきます。
――王座準優勝という結果についてどう捉えていますか
悔しい気持ちが一番大きいですけど、OB・OGの方々が今年のチームにすごく期待してくれていたので、その期待に応えられなかったことが一番申し訳ないです。
――リーグ戦の時の早大と今日の早大に違いはどこにありましたか
関東の時はとにかくチャレンジャーの気持ちで、出だしから相手を追い込んでひるませるというところにチャレンジして一人一人がチームを引っ張っていくというプレーが出来ていたと思うんですけど、今日は勝負どころで自分たちからとりにいけなくて守りに入ってしまって、相手にプレッシャーをかけられなかったので、最初は相手も引いているように見えていましたがそこを突けなかったです。
――関東チャンピオン、今大会第1シードとしてのプレッシャーはありましたか
女子に関しては昨年3位で王座を経験していなくて、王座を経験していない1、2年生にとってはその経験の無さが大きくて、気持ちにプレーが付いてこなかったように思います。
――この1年、主将として心がけたことは何ですか
最初は選手として王座に出るという意識でいたんですけど、テニスの戦績的に最後選手になることが出来なかったので、プレーでチームを引っ張ることは出来ないけれども、自分の思いを言葉にして全員に伝えていってそういう部分でチームに貢献したいという思いがありました。
――主将として一番苦しかったことは何ですか
主将兼主務というスタイルが今までなくて、1年の頃から偉大な主将と主務の背中を見てきて、その兼任というのが自分の中で非常に大きいものでしたし、歴代の人と比較して自分はふさわしいのかとか、プレッシャーや責任に悩んだ時期は長かったです。
――逆に主将をやっていて良かったことは何ですか
一番は早慶戦で18年ぶりに勝って関東で48年ぶりに優勝出来たことは一つ大きく歴史を変えられましたし、関東の早慶戦は全員の思いがつながって全員で勝ち取った勝利だったので、一つ歴史を変えられたチームを作ることができたのは嬉しかったです。
――この4年間の庭球部での生活を振り返っていかがですか
これからの先の人生の軸となることを学べた4年間でした。ここに来てなかったら全く違う人生を歩んでいたと思いますし、全然違う人間になっていたと思います。ここにいたからこそ成長出来た部分もありますし、自分の軸となる部分が出来上がったので、ここに来て色々なことを教えてくれた人に感謝の気持ちでいっぱいです。
――4年間共に戦ってきた同期へメッセージをお願いします
最初は言い訳する人とか部に懸けられない人ばかりで、同期ミーティングを何回もやる中で「変わってくれ」って言い続けてお互い嫌な気持ちになることも多かったですけど、最後は同期を信頼して同期がいなかったらここまで来ていないと思いますし、変わった人も多かったので最後はこのチームで勝ちたいという思いを強く持つことが出来ました。色々厳しいことも言ったけれど、最後までついてきてくれてありがとうという思いがあります。あと、同期の谷本(主将)と植野(主務)の2人には本当に感謝していて、幹事が3人というのは初めてで2人もやりづらかったと思うんですけど、気を遣ってくれたり励ましてくれて、この3人でなければ出来なかったと思うので本当に感謝しています。
――これから日本一を目指す後輩へメッセージをお願いします
最後に日本一に導くことが出来なくて申し訳ないという気持ちもありますけど、絶対に早稲田との差は縮まっていますし積み上げてきたものの質も高いと思うので、これからも日本一を追求し続けて来年絶対勝ってほしいと思います。
――坂井監督に向けて一言お願いします
最初は主将兼主務という立場に対して、悩んでいることや情けない部分に厳しく言って下さって、逃げていることとか隠れている弱さを変えようと強く語ってくれたからこそ主将兼主務として皆の前に立つことが出来ているので、頼りない部分もあったと思うんですけど、監督が私を信じてくれたことで自信を持てたので、感謝しています。これほど監督のことを好きなチームはないと思っていて、監督の人間性を全員尊敬しますし、たまにお茶目なところも大好きなので、これからも監督としていてほしいと思っています。