関東大学対抗戦もいよいよ後半戦に入り、残すところ2戦。前回は王者帝京大に完敗を喫してしまった慶大。本試合はここまで対抗戦無敗の強豪明大とのカード。開始早々、慶大は明大のペナルティから先制し幸先のいいスタートを切る。しかし、「ブレイクダウンのところで上回られた」(金沢HC)と次第に明大のプレッシャーに圧倒され、前半終了時点で10-28とリードされる。後半になり立て直しを図るも、寸前でトライを決めきれず、明大のテンポの速い攻撃に翻弄され、結果10-42でノーサイド。3週間後に迫った早慶戦に向けて、大いに課題の残る一戦となった。
関東大学対抗戦A vs 明大
2015/11/01 (日) 11:40K.O.@秩父宮ラグビー場
得点 | ||||
慶大 |
| 明大 | ||
前半 | 後半 |
| 前半 | 後半 |
1 | 0 | T | 4 | 2 |
1 | 0 | G | 4 | 2 |
1 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
10 | 0 | 小計 | 28 | 14 |
10 | 合計 | 42 |
得点者(慶大のみ)
T=佐藤耀
G=青井
P=矢川
出場メンバー | ||
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 加藤 宏(経4・慶應) | →17 堀切 厚輝(環3・國學院久我山) |
2.HO | 佐藤 耀(総4・本郷) | →16 松岡 大介(環3・小倉) |
3.PR | 八木 悠太朗(経4・慶應) | →18 大塚 健太(環4・國學院久我山) |
4.LO | 辻 雄康(文1・慶應) | →19 西出 翼(経4・慶應NY) |
5.LO | 佐藤 大樹(総2・桐蔭学園) |
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6.FL | 廣川 翔也(環3・東福岡) |
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7.FL | 鈴木 達哉(環3・茗渓学園) |
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8.No8 | 高家 章徳(商4・慶應志木) | →20 岩本 龍人(政4・慶應志木) |
9.SH | 南 篤志(総4・清真学園) | →21 中鉢 敦(経3・慶應) |
10.SO | 矢川 智基(環4・清真学園) |
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11.WTB | 佐野 航太(政4・慶應) | →23 清水 祐輔(環3・明和) |
12.CTB | 青井 郁也(商2・慶應) |
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13.CTB | 田畑 万併(環4・桐蔭学園) |
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14.WTB | 染原 健人(理3・修猷館) | →22 古田 京(医1・慶應) |
15.FB | 金澤 徹(商2・慶應) |
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前半は球出しからの試合展開が速く、運動量の多い試合展開となった。立ち上がりは順調に進んだ。開始1分、明大のオフサイドからSO矢川が中央寄りの右サイドから手堅くペナルティゴールを成功させ先制点を取る。しかしその後、7分にCTB青井のキックをチャージされそのまま左サイド隅にトライを決められ、続く9分には右サイドをビッグゲインされ立て続けにトライと明大優勢の展開が続いた。接点で明大のプレッシャーを凌ぎきれず、ディフェンスがセット出来ない間に突破される一連の流れを堰きとめることができない。そんな中、待望の得点チャンスが訪れる。23分にNo.8高家のビッグゲインからCTB田畑へパスが渡る。このゲインを皮切りに敵陣深くに攻め込むと、明大のペナルティからゴール際にタッチキックを出す。マイボールラインアウトに成功するとモールで押し込み最後はHO佐藤耀がトライ。25分ぶりの得点で反撃の狼煙を上げたかに見えた。しかし「スピードの速さで圧力をかけられて、ディフェンスラインを下げられてトライをされることが多かった」(FL廣川)と、相手の左右に大きく展開するパスやスピード溢れるBKのステップに翻弄され、終わってみれば10-28と突き放されて前半を折り返す。
試合は後半、一転して膠着した様相を見せるようになる。開始早々、明大選手がハイタックルを繰り返しシンビンで退場。ここを反撃の足がかりとしたいところだったが数的不利の相手にも思うように接点でプレッシャーをかけきれず、中々得点に結びつけることができない。2分、矢川のタッチキックで大きく陣地を進めるものの、その後FB金澤がスローフォワードを取られてしまう。22分に、マイボールラインアウトを確実に成功させてモールに持ち込むものの、トライ寸前で痛恨のノックオン。なかなかチャンスをものにすることができない。両者ともに、ペナルティとハンドリングエラーで試合が停滞。後一歩のところでスコアできない時間帯が長く続いた。しかし中盤以降は、スピードを活かしたアタックで多くのチャンスを創出し、随所に正確なキックが光った明大が慶大を大きく上回った。41分には、ラインアウトからのモールへ繋がれ、相手WTBがダメ押しのトライ。そのまま10-42でノーサイドとなった。後半は無得点に終わったうえ、2トライ2ゴールを許してしまった。相手のペナルティに助けられたことを加味すれば、見た目のスコア以上の完敗だったことは否めない。
「一番フォーカスしていたのはブレイクダウンだった」(金沢HC)と、試合前から意識を共有していたにも関わらず、ブレイクダウンは終始明大に圧倒された。FW陣のブレイクダウンでの更なる奮起が不可欠だ。また、「FWの近場の攻撃の精度を高めていくしかない」(No.8高家)と、フィジカル面だけでなく、一つ一つプレーの精度を高め攻撃と守備の両方の面でミスを防ぐことも重要な課題といえる。本試合では、ブレイクダウンでオーバーされた後、順目にパスを繋がれペネトレートされる光景がしばしば見られた。早大は明大と同じようにテンポの速い攻撃を持ち味とするチームであるため、レッグタックルを徹底させ容易に突破を許さないことが鍵となってくるだろう。慶大フィフティーンがこの敗戦を貴重な糧にし、課題を克服して、早慶戦で躍動する姿が見られることを期待したい。
【ケイスポ的MOM】敗戦の中、希望の光差す闘争心溢れるプレー No.8高家
強靭なフィジカルを生かしたアグレッシブなプレーを信条とする高家。明大とのJr.選手権でも卓越した突破力をもって慶大に勢いを与えた。本試合では、チーム全体としては明大のプレッシャーに競り負けたものの、その中でも高家は果敢に前進し、攻撃の糸口を作った。今後の試合でも彼の持ち味が存分に発揮されることを期待したい。
(記事・江島健生)
【コメント】
金沢ヘッドコーチ
(試合を振り返って)今日のゲームは、ブレイクダウンで明大が慶大を上回っていました。そのことでアタックでもディフェンスでもそれ以外の面でも明大を優位に立たせてしまったということだけです。(どのような点で明大を上回ろうとしていたのか)一番フォーカスしていたのはブレイクダウンだったので、そこに選手はプレッシャーを感じていたと思います。ただし、今日の結果を振り返って、もっと改善していかなければならないと思いました。また、いくつか今までに使っていないプレーを準備はしていたのですけれども、結局そういう準備の前に接点のところで負けてしまったのがすべてで、慶大としてはやりたいことを出し切れなかったです。
SO矢川 智基主将
(試合のテーマは)ブレイクダウンが厳しい戦いになると分かっていたので、ブレイクダウンにフォーカスして練習してきました。(試合を振り返って)ブレイクダウンでディスェンスもオフェンスも僕たちのやりたいように出来なかったということが、ゲーム中の判断や相手のプレー対し後手に回ってしまった殆どすべての原因だと思っています。(明大の圧力やスピードにおされていたが)それもブレイクダウンで簡単にボールを出させてしまったために、僕たちが前に出られなかったことが敗因です。(収穫を得たもの)ゲーム中に何度もチャンスがあったのですが、そこで球が出なかったです。それは帝京大戦から続く課題なのですが、ブレイクダウンを磨いていくしかないと思っています。(早大戦に向けて)早大も早いテンポでボールを出すチームです。春はそのテンポについて行けずディフェンスが後手に回ってしまいました。やはりブレイクダウンにこだわりたいと思います。
HO佐藤 耀
(試合を振り返って)接点でも特にブレイクダウンでやられてしまって、そこから明大の強いFW陣が前に出る試合でしたのでそういった部分でやられてしまったと思います。(ラインアウトはどうでしたか)相手のプレッシャーがかかる場面で勝負してしまったので自分たちのやりたいことが100パーセントできなかったと思います。(スクラムはどうでしたか)スクラムも一、二本いいのはあったのですけれど、全体を通してみればまだまだといった感じです。(早大戦に向けてどのような点を修正していくか)とにかく自分たちのやるべきところの精度を上げていって早大に勝てるようにやっていくだけです。
FL廣川 翔也
(試合を振り返って)一対一がとても強くて、タックルしてもすぐ起き上がる必要があって、上手く対応できませんでした。(ブレイクダウンは)明大のファイトする気持ちが僕以上に大きくて、その点が足りなかったです。(レッグタックルについて)タックルが入って倒せたところも多かったのですが、効果的なタックルができていないと思いました。(明大のスピードは)スピードの速さで圧力をかけられて、ディフェンスラインを下げられてトライをされることが多かったです。(ランプレーは)もっと順目に走りたかったのですが、コンタクトでやられて後手になって、サイドが余ってしまってしまうことが多かったです。(早大戦に向けて)あと3週間、タックルで勢いをつけられるようなディフェンスや、ブレイクダウンでファイト出来るように練習します。
NO.8高家 章徳
(試合を振り返って)今日の課題と言いますか、やられていたのがブレイクダウンのところです。そこでよいクリーンアウトが出来ずに、球出しが遅れたり、また相手にボールを献上してしまったりしてその点でよい流れができなかったと思います。(今日のテーマは)ブレイクダウンのところで前に出ることだったんですけれども、明大の二人目の寄りの速さですとかファイトの激しさに後手に回ってしまって、その点で勝ち切れなかったと思います。(ブレイクダウン後のセットが間に合わずスコアされるケースが多かったが)スコアされるというかターンオーバーされてからいいアタックをされてそこで結局相手に流れを持って行かれてしまったので、その通りですね。(後少しのところで得点できないことが多かったが)一個一個セットプレーですとかフォワードの近場の攻撃であるとか、そういう点の精度を高めていくしかないと思っています。(早大戦の意気込みを)まずはあと3週間あるので、しっかり明大戦、帝京大戦で出来なかったことをできるようにして早大戦に臨みたいと思っています。
SH南 篤志
(試合を振り返って)何もできなかったという言葉に尽きると思います。ブレイクダウンのところが一番の課題だと思うので、そこを修正出来るように頑張っていきたいと思います。(ボール回しで意識したところは)FWが取りやすいように心掛けて、テンポを出せれば良かったのですが、あまり良いテンポでボールが出せなかったです。僕も含めて改善していく余地は多くあると思います。(どのように改善していこうと)出すタイミングを僕が変えたりだとか、FWの走り込みの仕方を変えたりだとか、そういった練習でFWとコミュニケーションをとっていけたらと思います。