昨日の①の続き。ケイスポ記者石井博己(政3)、江島健生(政1)はまわしを巻いて稽古開始。四股、股割り、てっぽう、すり足、といった相撲の基本動作を、悲鳴を上げながらも習得し、続いてぶつかり、実戦形式の練習に。65kg未満級のケイスポ部員が120kg超の相撲部員に立ち向かう!!終わってお風呂で一息ついたところで待っているのは食い稽古。和やかに始まった食事の場はいつの間にか厳しい稽古の雰囲気に・・・無事に帰って来ることができるか!?
11月28日
相撲稽古@三田綱町道場
~前半のあらすじ~
ケイスポ相撲担当の石井博己(政3)は、今年引退した嶋田翔太主将(政4)の「半年預けてくれたら90kgにしてお返ししますよ」との言葉を受け、一日の稽古でいかに増減するかを確かめるべく、江島健生(政1)、カメラマン下川薫(政1)を連れて三田綱町の道場を訪れた。書き忘れていたが、開始前日夜の体重は64.9kg(タニタ体組成計 インナースキャン BC-250を使用)。ちなみに学生相撲の最軽量級は65kg未満級であり、このままならギリギリ出場することができる・・・さて、9時過ぎに集合したケイスポ一行。石井、江島はまわしを巻きいきなり稽古開始。四股、股割り、てっぽう、すり足、と相撲の基本動作を、悲鳴を上げながらも習得し、続いて立ち向かうのはぶつかり、実戦形式の練習だ。前半の詳細はこちらから→http://keispo.org/wordpress/?p=34557
土俵に砂をまき、ほうきで掃いて散水し、ならした後、人に当たっていく「ぶつかり稽古」が始まる。記者たちの相手をしてくれるのは部内最重量級(120kgくらいとのこと)である北原英嗣(慶應義塾高2年)。まずは江島が当たる。四股の始めの体勢から北原の合図で思いっきりぶつかる!手はわきの下の辺りにつくように押す。腹に近くなってしまうとみぞおちに衝撃がくるためだ(みぞおちの攻撃は禁じ手の一つ)。松田剛監督(平成11年卒)は江島に脇を締めるよう指導する。続いて石井が当たる。頭をつけ低い体勢から突き上げるイメージだったが、思ったより上体が追いつかず、腹の近くに手が。2回目はしっかり頭を付けて押すことができた。
続いて、実戦形式の稽古、部員との試合となる。果たして今日学んできたことを生かすことができるだろうか。
江島の相手は時田王右(環2)。過去には幕内力士朝乃若、武雄山を輩出した愛工大名電高校相撲部出身で、持ち味は低い体勢からの攻め。仕切り線を均し、蹲踞の体勢を取り、立ち合いの姿勢。両こぶしを付くと審判役の樋口貴仁(環3)の「はっけよい!」の声が響く。気持ちよく当たり、戻されながらも頭を付けると土俵際まで押す。また戻されるが最後は抱え込んで押し出し。
○江島(押し出し)時田
次は石井が授業でよく遭遇する藪本健太(政3)との対戦。埼玉県出身で、慶應高では関東大会重量級優勝の経験を持つ。石井は立ち合いから低い姿勢で当たると土俵際まで押す。左右に逃げられるが最後は押し出しで勝利。同級生対決は何の受賞経験も無い石井に軍配が上がった。
○石井(押し出し)藪本
江島の2戦目、相手は埼玉県入間市出身の平野皓大(商2)。身長180cm、体重100kgの均整の取れた堂々たる体格から、どっしりとした力強い取り口が特徴。当たりから江島は頭を付けると、なんと平野の右足を取ってバランスを崩し土俵外へ。足取りで2連勝となった。
○江島(足取り)平野
疲れていない平野は連戦で石井の相手に。石井は左上手をつかむと寄り切った。
○石井(寄り切り)平野
ここまで4連勝のケイスポ。負けられない相撲部は「横綱」北原を出す。北原はあまり食べないという割に120kgを超える巨体の高校2年生。負け無しの江島、どうなる!?
立ち合いから低く頭を付けると、力を振り絞って左へ崩す。最後は押し出し。すごい!の一言に尽きる。
○江島(押し出し)北原
石井も「横綱」北原に挑む。取材で培った眼力はここで生かす!と言わんばかりに、樋口の張り、手数の多さを意識して下から張り上げる。土俵際で粘られるも最後の力を振り絞って押し出し!2倍近い体重差に負けなかった。
○石井(押し出し)北原
一通り対戦し終えたケイスポの2人は休憩に入り、部員同士の対戦を見る。あまりの疲弊で呆然と立ち尽くしながらも、1メートルの距離で見る相撲の迫力を存分に味わった。
試合形式が終わるとぶつかり稽古の続き、通称「かわいがり」が始まる。諸事情により最近は聞かれなくなった言葉だが、当たったらあとは流れ、なんてものはなく、最後まで押さなければ勝てず稽古は終わらないのである。江島も石井もヘロヘロになりながら押した。
最後に四股を踏み、軽く体操をして土俵を使った稽古は終了・・・
と思いきや、「藪本スペシャル」が続く!今日のメニューは「むかで」で、4人一組の隊列を作って前の人のまわしをつかみ、すり足で徳俵を2周回る。練習で疲れ切った体は最後まで痛めつけられる・・・
さらに部員は腕立て伏せを課せられる。ケイスポの2人は免除され、部員のみんなに頭が上がらない(部員も頭を上げるのは大変だろう)。実際100kgを超える体を腕2本で支えるのはとても大変だろう、と松田監督は言いながら平野の足をくすぐっていた。
練習の最後は塵手水で締め、練習始めと同様(前半で省略してしまいました)神棚に一礼して終了。激しい運動の後のお風呂は身に沁みた。
土俵を片付け、部員は台所で準備を始める。すっかりお昼時になり、前日仕込んだ大鍋いっぱいのちゃんこを煮て、大皿2枚分の回鍋肉を炒める。この日のちゃんこを仕込んだのは樋口。しょうゆベースのあっさりした味でおいしかった。
白米は25~30合炊くとのことだが、当然すぐなくなる。とはいえ、全員が全員さらっと食べられるわけではない。初めのうちは弾んでいた会話も、段々みな苦しくなってきて、樋口も「食い稽古っぽくなってきましたね」という状態に。江島、石井も共に回鍋肉をつまみつつ白米、ちゃんこを3杯ずつ戴いたが・・・
江島の様子がおかしい。疲れ切ったのでいくらでも食べられると思い、どんどん食べてきたが、限界はいきなりやってきた。体勢を入れ替えるのもつらくなってきた江島は少々2階で休憩。のちに無事戻ってきた。
「食べてすぐ寝たら牛になる」とよく聞くが、相撲部が食べる目的はやはり体づくり。片づけたらすぐ寝るのだ。眠ったり動画を見たりと銘々楽しみながら相撲部の一日は終わっていった。(完)
体験入部、サークルなどの受け入れは随時行っているとのことで、過去にはアメリカ・ハーバード大学やテンプル大学(日本校が三の橋からすぐのところにある)からの留学生と土俵を共にしたこともあるそう。参加ご希望の方はぜひ連絡を。http://www.keio-sumo.jp/index.html
P.S.さて、石井の体重はどうなっただろうか。前日の夜は64.9kgだったが・・・なんと帰ってから量ると66.1kgに。翌朝外出前には65.4kgになっていたものの、1日で1kg以上食べ、半分近くを吸収した計算だ。確かに毎日続けたら半年どころか計算上では2カ月以内に90kgになるかもしれない・・・と思ったが、樋口に「いま慶應、65kg未満いないんで出てくださいよ」と言われたことを思い出しなぜか少し悩んでしまったのだった。
相撲部のみなさま、ありがとうございました!また伺いますのでよろしくお願いします。
(記事:石井 博己、写真:下川 薫)