グループ戦を1位で通過し、決勝トーナメントへと駒を進めた慶大バレー部。負けたら終わりのトーナメント初戦の相手は秋季リーグでも対戦した大東文化大。フルセットの末敗れた相手に対してリベンジを目指したが、その壁を越えられず敗戦。今季の戦いが終わった。
12月3日(木)第68回秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会 決勝トーナメント2回戦 慶大×大東文化大 @墨田区総合体育館
得点 | ||
慶大 | セット | 大東大 |
23 | 1 | 25 |
25 | 2 | 22 |
20 | 3 | 25 |
最高の滑り出しを見せた。尾木将(政2)のジャンプサーブが冴えわたり、ノータッチエースを含む3連続得点を挙げ、チームに勢いをもたらす。その後は相手にサイドアウトを重ねられ、じわじわと点差を詰められていくが、尾木を中心としたコンビ攻撃で相手ブロックに的を絞らせない。だが、池田裕哉(環3)のスパイクで20-17としてから流れが明らかに変わった。不用意なネットタッチで失点するとタイムアウトを挟んで3連続失点を喫し、このセット初めて逆転を許す。一度相手に傾いた流れを引き寄せられず、23-25と大事な第1セットを失う。
勝利に向け、もう後がなくなった第2セット。上田悠貴(総4)のクイック、ブロックが連続で決まるなど、ミスも多く、流れをつかみきれないもどかしい展開が続く。ここで存在感を示したのは布川智規(商3)。16-16の場面で布川がサイドアウトを取り、サービスエースも決め18-16と2点のリードを奪う。ここから両者1点ずつ点を取り合っていき、最後は尾木のダイレクトが決まって25-22とセットを奪い返す。
勝負の第3セット。だが、出だしからつまずく。思うように攻撃を組み立てられず3-7でタイムアウトを要求するなど、勢いに乗れず点差は開く一方。ここで、1・2セット目で決定率が低かったクイックが決まりだし、上野素希(文3)のブロックで10-13まで追い上げるが、その後はサイドアウトを取り切れず、相手の攻撃を切り返して得点することができない。ミスを減らしてきた相手に対し、慶大は終盤にかけても反撃の糸口を見つけられず、20-25でセットカウント1-2。この時点で慶大バレー部2015年の戦いが終わった。
「今年のチームを象徴した試合」(野瀬)、「正直実力の差」(宗雲監督)と監督、選手からは厳しい言葉ばかりが口をついた。試合の主導権を得るチャンスがありながら、決めきれない。その結果負けが込んでしまい、重苦しい雰囲気のなかバレーをやらざるを得ない状況を作り出していく。今年のチームをおおった“呪縛”からこの試合も逃れられなかった。
2部降格など、様々な苦難を味わったこの1年。その中でも光明を見出すとすれば、チームの主力は多く残ること。池田、布川、上野は我慢の起用に応え、チームの柱へと成長した。岩本龍之介(商1)、伊藤祥樹(総1)も途中出場が主であったが、秋季リーグ戦以降にかけて出場機会を増やしていった。今年の経験を糧として、来年の戦いにつなげてもらいたいところだ。そして、野瀬主将をはじめとする4年生は、大学バレー生活最後の試合となった。最上級生としてスタメン出場するのは野瀬と上田のみで、大半のメンバーはベンチやコートの外から声援を送る控え選手。だが、「普通の練習から支えてくれた」(野瀬)と部へ貢献する姿は、チームの一体感を生み出していった。
来年度は、今年果たせなかった1部復帰が当面の目標となるだろう。そのために日々研鑽を積み重ね、大輪を咲かす――。スケールアップした慶大バレー部が新たな歴史を刻む日はそう遠くない。
(記事 岩井邦夫)
宗雲監督
(今日の試合を振り返って)
正直実力の差だと思います。こちらの方が途中から我慢しきれなくなって、スパイクが決まらず、その差だと思います。
(勝負の3セット目での失速)
残念でしたね。何のために2セット目とったのか。今年は負け続けているので、どうしても自信を持てず、セットをとってもいつかはひっくりかえされるのではないか、今年そういうことばっかりだったので、それが体に染みついているので、どれだけ頑張っても前向きに考えられないというのが悪い循環だと思います。結構いいディグであげて、1点を取れば追い付く、またはこの1点をとればとどめを刺せるというところで、今年は決まっていない。それが最後まで解消されませんでしたね。それに尽きると思います。
(今年の4年生の代を1年間振り返ってみて)
この数年間ではとても大変な1年間で、岡田、星谷、柳田、間宮とかああいうスーパースターがいなかったので、チームを引っ張るにもとても苦労して、大変な思いをした4年生じゃないかなと思います。
(来年以降の戦いに期待したいこと)
今年の攻撃のパターンがライトからのバックアタックがほとんどないので、それがうちの攻撃の幅を狭めてしまって、ミドルも生かせないという形になってしまっていたので、そういうところをしっかり、ライトのバックアタックをしっかり打てる選手を育てて、なおかつライトの速いボールを打てる選手、そういうのを使えるように考えます。ちょっと今日終わったばっかりなので、また明日以降考えます。
(今日の試合を振り返って)
悔いが残らないと言ったらうそになるんですけど、最後にみんなとやれてよかったですね。プレーがどうのこうのというのはありますが、次はないので。でも一つ言えるのは今年のチームを象徴した試合だったかなと。いいところでミスが出たりだとか、1年間の課題が年間を通して改善できなかったというか、そこじゃないですかね。
(今年の戦いが終わったいま、この1年間を振り返ってみて)
結果論で言えば、春リーグ初戦の東海戦に勝っていればと思うんですけど、それも含めていまさらなので、学生主体でやらせてもらったのでこの1年間。僕が4年生として甘さが出た。そこが1年間改善できなかったと思います。
(4年間共にした同期への思い)
試合に出ているのが僕と上田の2人で、ほかの人はピンチサーバーだったりなのですが、みなさんが試合で見ているときは彼らは活躍する場はないかもしれないんですけど、ほんとに普通の練習から支えてくれて、試合に出ていないメンバーが一番悔しいと思うんですよ。自分がやりたくても試合になるとみているだけという。それに対してほんとに申し訳ないという、支えてくれたことに対して僕がレギュラーで出ることが恩返しなんですけど、それができなかったことは申し訳ないの一言ですね。
(後輩へのメッセージをお願いします)
プラスにとらえるとするなら、今年いろいろ苦しんで経験したと思うんです。いろいろマイナスなことを学んで、同じ失敗をせずその失敗を糧にして。メンバーは結構残って強いと思うので、がんばってほしいですね。
(今日の試合を振り返って)
秋のリーグ戦でフルセットで負けた相手で、インカレとか関係なく純粋に大東大に勝ちたいという気持ちがあって、結果的にはフルセットで負けてしまったんですけど、どうしても勝ちたかったというのがあったので、今はもう残念とか悔しいとかでもなく何とも言えない感じです。
(自分たちの代を振り返ってみて)
いろんな人からきついことを言われた時もあったんですけど、その中で僕自身スタメンとして出させてもらって、僕よりもバレーボールのできる知ってる同期がいるにもかかわらず、こうして自分が試合に出ていて申し訳ないなという気持ちが素直に思います。
(これまで印象に残った試合)
今年に関しては春のリーグ戦の明治戦ですかね。唯一今年のチームで1部に勝った試合だったので、あれ以降1部には勝てていなくて、そういう意味ではあの試合は印象に残っています。
(後輩へのメッセージをお願いします)
自分たちが2部に落としてしまって、1部に上げることもできなかったので、バレーボールのことは口出しできないんですけれど、これからも応援するので、頑張ってもらいたいです。
サイド | 池田 裕哉(環3・北嵯峨高) |
セッター | 尾木 将(政2・修道高) |
センター | 上田 悠貴(総4・生野高) |
サイド | 佐藤 康平(環2・桐蔭学園高) |
サイド | 布川 智規(商3・桐朋高) |
センター | 上野 素希(文3・甲陽学院高) |
リベロ | 野瀬 将平(環4・東福岡高) |
途中出場 | 吉田 純(環4・東亜学園高) |
| 佐藤 凛太郎(環4・東北高) |
| 林 智之(商4・高知学芸高) |
| 伊藤 祥樹(総1・清風高) |