9年ぶりの勝利を目指した慶大は、伝統の早慶戦に臨んだ。格上・早大に攻め込まれる場面が多かったが、林田明子(理4)主将を中心としたディフェンスが機能し、粘り強く守ると前半34分に岩﨑が先制ゴールを決める。しかし、後半に運動量が落ちた隙を突かれ、立て続けに失点。最後までゴールまで迫ったが、思いは届かず1-3で9年ぶりの勝利をつかむことができなかった。これにより4年生は引退を迎え、会場からは溢れんばかりの拍手が送られた。
第23回早慶ホッケー定期戦
2015.11/29(日) 12:00~ @慶應日吉ホッケー場
慶應義塾大学 1-3 早稲田大学
(前半1-0、後半0-3)
【得点者】
34分 岩﨑(FG)
<スタメン>
GK大野結花(商2)、FB林田明子(理4)、芦川真祐子(商4)、深澤裕理子(経4)、石垣七海(法3)、MF武山直歩子(経4)、岩﨑絢香(総3)福田薫(経3)、FW國友萌果(経4)、岩本早紀子(文4)、宮本舞(経3)
今年で23回目を数える早慶女子ホッケー定期戦。昨年は敵地東伏見で対戦したが、前半から失点を重ね1-6で敗れている。今年はホームの日吉で行われ、観衆も立ち見が多く出るほどの大入り。格上の早大だが、今年こそは9年ぶりの勝利に期待が懸かった。
前半は早々から早大がペースを握る。相手・早大の主将、八木澤江里(スポ4)を中心としたゲームメークの前に受け身の展開が続く。それでも9分、その八木澤のオーバーラップを慶大の主将・林田明子(理4)が止め、攻撃に転じる。右から攻めあがると、最後は武山直歩子(経4)がリバースシュートも放つも、これは惜しくもゴールを捉えられない。さらに11分にも武山のシュート、15分には右サイドから石垣七海(法3)を中心として相手ゴールに果敢に迫るも得点とはならない。20分以降は相手の攻めに苦しめられる。強烈な打ち込みをしのいではクリア、という試合展開に加え、ペナルティーコーナー(PC)が起こらないためプレーが止まらず、体力の消耗戦となる。それでも林田や深澤裕理子(経4)を中心にシュートを打たせなかった慶大。なんとかリズムを立て直すと34分、岩﨑絢香(総3)から前線へ岩本早紀子(文4)へのパス。この際ファールがあったのではと一瞬足を止めた早大の隙を突き、再度ボールをもらった岩﨑が相手DFの網をかいくぐりリバースシュートを振りぬく。体勢を崩されながら放ったこのシュートは絶妙なコースに決まり、慶大が先制ゴール。そのまま前半終了のホーンが鳴り、劇的な展開で前半を1-0で折り返す。
前半の興奮冷めやらぬ中、後半が開始される。前半の勢いそのままに後半は攻める展開。石垣と芦川真祐子(商4)の両サイドハーフから力強いボールが前線に送られ、追加点を予感させる。しかし激戦から徐々に運動量が落ち始めると、ペースは早大へ。GK大野結花(商2)の奮闘もあり、何とか失点を許さないが、52分に芦川がファールを犯し、グリーンカードで一時退場となりキルプレーとなると、直後の53分にこの日初めてのPCを献上。仕切り直しを含め2本を防いだものの、3本目で強烈なフリックシュートをゴール右隅に叩き込まれ、同点に追いつかれてしまう。勝利を手にしたい慶大は60分にPCを獲得。パサーへボールをつなぎタッチシュートを狙ったが、決められず勝ち越せない。逆に62分、早大瀧澤瑠奈(スポ1)に上手く身体を入れられ突破を許し、シュートを決められ逆転されると、63分にも稲田くるみ(スポ2)にシュートを許し万事休す。最後までよくプレーしたが、1-3で試合終了となった。
9年ぶりの勝利まであと20分粘れなかった。前半のいい流れを維持したかったが、終盤に早大を勢いづかせてしまった。それでも死力を尽くした選手たちに惜しげもない声援が送られた。今季は上位進出、早慶戦勝利の目標は達成できなかったが、昨季よりも手ごたえを感じる試合が多かった。王者・山梨学院大を相手に春秋共に健闘した試合や、得点力不足に苦しむ中でもしっかり秋季リーグ戦は連勝で終えた。この試合をもって4年生は引退となった。大勢の選手が涙を見せ、悔しい敗戦となったもののスローガンである『I’m a HERO』の通り、37人全員がHEROとなり戦った70分だった。今季成し遂げられなかった目標は、来季以降のチームに託されることになった。関東リーグ上位進出、そして10年ぶりの早慶戦勝利へ、新たな旅路に注目が集まる。
(記事:荒川智史 写真:布寺智裕)
今季引退を迎えた選手
DF林田明子(理4=成城学園)主将
チームの精神的支柱として攻守ともに軸になった絶対的主将。敵をサークルにいれさせない堅実な守備と、相手の守りを打ち砕く男子顔負けの強烈なストロークで好機を何度も演出した。
FW國友萌果(経4=慶應女子)副将
副将として臨んだ今季はFWで全試合スタメン出場。最上級生となった今季は相手からの執拗なマークにも遭いながらも、抜群の精度を誇るリバースヒットで、シュートや得点機を数多く演出した。
DF芦川真祐子(商4=慶應女子)
全試合右サイドハーフとしてグラウンドを駆け抜けた。最終年となった今季は飛躍的にヒット精度が上がり、林田と並んで最後方からで幾度となくチャンスを作った。
FW岩本早紀子(文4=東明館)
PCでも重要なストッパーを任されたFW。ゴールへの貪欲さを常に見せ、5月の順位決定戦(vs立大)では貴重な2ゴールを挙げ、チームを勝利に導いた。
MF武山直歩子(経4=慶應女子)
卓越したホッケーセンスで、慶大の得点に数多く絡んだ。中盤唯一の4年生として堅実なプレーでチームを引っ張った。またディフェンス面でも恐れず身体を張り、相手にゴールを割らせなかった。
DF深澤裕理子(経4=慶應女子)
マネージャーから2年秋にプレーヤーに転身した異色の経歴を持つセンターバック。ケガに泣かされることも多かったが、ラストシーズンとなった今季は数多くの場面で試合を救った。
このほか、河野華(政4=慶應NY学院)マネージャー、松永悠紀(政4=学芸大付属)学生コーチも引退となりました。