昨季の主力であった史習成リック(総2)、安藤直哉(政3)や野崎大希(商2)をケガで欠く厳しい台所事情ではあった。しかしスタメンに名を連ねた新入生5人がそんな不安を払しょくした。ルーキー長谷川真之介(政1)の先制点を皮切りに、新入生FWが全員得点決める鮮烈デビュー。主将小池玲央(環4)を中心としたDF陣は専修大をシャットアウトし、7-0と完勝。今季初の公式戦でこれ以上ない結果を残した。
秩父宮杯第64回関東大学アイスホッケー選手権大会 1回戦
2016年4月9日(土)12:00F.O. @DyDoドリンコアイスアリーナ
慶應義塾大学7-0専修大学
Period | 1P | 2P | 3P | Score |
慶大 | 3(11) | 2(12) | 2(8) | 7(31) |
法大 | 0(8) | 0(8) | 0(7) | 0(23) |
※()内はシュート数
第1ピリオド、今季開幕戦ということもあってか選手の動きが固く、なかなか思うような動きができない。開始1分にキルプレーとなったが、ここは無失点で凌ぐ。4分には長谷川がゴール前に持ち込みシュート、そして阪本航大(環3)が中央でパスを受けシュート。いずれも得点には至らなかったが、徐々に慶大がリズムを掴み始める。試合が動いたのは7分。専大の度重なる反則で5-3のパワープレーとなると、ゴール前で滝智弥(法2)のパスを受けた長谷川のシュートはゴールに吸い込まれた。ルーキーのいきなりの得点で慶大は流れに乗る。その30秒後には永田雅宗(総2)が滝とのコンビネーションから華麗に追加点を奪う。さらに12分には永田が鋭く右サイドから駆け上がりシュート。一度は相手キーパーに阻まれるも、こぼれたパックを滝が詰め、3-0でインターバルへ。
第2ピリオドも、慶大の勢いは止まらない。2分には大久保健介(経3)が左から強烈なシュートを放つ。キーパーに弾かれるが、これまたルーキーの田中陸(政1)が詰める。初めての公式戦での得点とあって田中陸は飛び跳ね、喜びを露わにする。この後も相手陣内でのプレーが多くなる。12分には十文字開紀(商1)が髙安望(経4)のパスを受けるとキーパーと1対1に。「最初から狙っていた」(十文字)という個人技で相手キーパーを交わしダメ押し点を奪う。
第3ピリオドも慶大は攻撃の手を緩めない。4分には相手DFがゴール前に密集する中、長谷川が相手キーパーの右脇を通すシュートを決める。9分には自陣ゴール前を攻め込まれるが、DF陣を束ねる主将小池や新人GK河合智哉(環1)らが中心となって相手の攻撃を食い止める。16分には滝のゴールで追加点を奪い、終わってみれば7-0と大勝であった。
この試合で特筆すべきはルーキーの働きぶりだ。先発した1年生FWは全員得点を奪い、DFの瀧澤慎之督(経1)やGK河合も守備を支えた。昨季の主力の一部をケガで欠く中で、新戦力の台頭はチームにとって間違いなくプラス材料であろう。もちろん2ゴール2アシストと半数以上の得点に絡んだ滝などの上級生の活躍は、今後の躍進に必要不可欠だ。そして「無失点で公式戦を勝ったのがいつぶりかな」(金村)との言葉通り、チームが一体となって最後まで集中力を切らさずにゴールを守り抜いたことの意味は大きい。
新体制で迎えた初の公式戦としては、これ以上ないスタートを切ることができた。次戦の相手中央大は、昨季三冠を果たした。この勝利で掴んだ勢いそのままに、一波乱起こすことを期待したい。
(記事 合場 將貴)
以下コメント
主将 小池玲央(環4)
(主将として迎えた今季初の公式戦、意気込みは)去年の強力な戦力が今年は抜けまして、皆がしっかりトレーニングして成長していかないと勝てないとわかっていたので、自覚の部分で去年より変わっている部分がありました。スタートはシーズンのその後に響いてくるためすごく大事なので、気合いは今まで見てきた中で、後輩は最もあったし、4年生は自分たちの代という自覚もあったのでさらに気合いが入っていました。(春合宿ではどのようなことを念頭に置いて取り組んだか)まずはスキルよりも体力、そして自分がやらなければいけないという自覚を持たせることの二つに重点を置きました。今回も下級生が点を取ってくれたように、責任を持ったプレーをみんながすることでチームに貢献するというコンセプトをもってやっていたので、そういったところが今回の試合で生きたのかなと思います。(幸先よく先制点を取ったが)パワープレーは数少ないチャンスで、試合にあって三回で、試合によっては一回もないこともあります。だからパワープレーでしっかり決めて流れを作れて良かったです。試合の入りが悪かったので、パワープレーで点を取り自分たちの流れを作ることができたことも良かったです。(無失点で試合を終えることができたが)無失点で公式戦を勝ったのがいつぶりかなという気持ちです。今年は上手いキーパーも入りました。そしてディフェンスも、もちろん守る意識は高いのですけれども、今年はディフェンスだけではなくて、FWがしっかりゴール前に集まって、5人で守って5人で攻めるという動きができたので、守りの部分では1対1や2対2でも負けていませんでした。そして攻撃面ではFWがそこに加勢して攻めに繋げることができたので良かったと思います。(ルーキー3人が得点。キャプテンとしての感想は)1年生だから1ピリオドの入りは緊張してしまっていて、パックが手につかなかったり冷静な判断ができていないことがあったのですけれども、本人たちも大学でアイスホッケーをできる喜びというものを存分に感じて、ホッケーを楽しんでできていたので、とても高く評価しています。(次戦の相手は強敵中央大、意気込みは)春で1部Aにチャレンジできるのは、リーグ戦を戦うにあたっていい経験となると思うので、ここで怯むのではなくチャレンジ精神をもって、どんどん体をぶつけて足を動かして、慶應のアイスホッケーを体現して、できる限り中大に対抗していきたいと思っています。そして必ず勝ちを目指します。
十文字開紀(商1)
(初の公式戦を終えた感想を)試合前は専修と接戦になるかもしれないと思っていて、チームが固くなっていた部分がありました。試合のスタートは良くなかったのですけれども、徐々に良くなってきました。主力が点を取ってくれて、3ピリオドでは自分もよく走れていたので良かったです。(初の得点、狙っていたか)あれは狙いました。パックをもらった瞬間に、最初から決めていたことをしたら点を取れたのでとても良かったです。(春合宿にも参加したが、チームの印象は)慶應はハードワークをすることをコンセプトにしていると春合宿の前から聞いていたのですけれども、それ以上の熱さや強さや走り負けない力強さなどがあってすごくびっくりしました。チームの雰囲気がほかの大学にはないようなノリもありましたし、僕は小中とチームが10人ぐらいしかいなかったので、こんなに大勢のチームでアイスホッケーをできることに楽しさを感じています。(次戦の相手は強敵中央大だが)今日みたいに自分たちのアイスホッケーをして、自分たちがパックをもって攻めることのできる時間も少ないと思うので、何とかそこを打開して、少ないチャンスをものにして何とか自分のプレーをしたいと思います。
長谷川真之介(政1)
(開幕戦となりましたが、終わって今の気持ちは)相手は1部Bだったので負けてはいけないのと、慶應としてのプライドでトーナメント1回戦は勝たないと思っていたので、とりあえず勝てて良かったです。(1年生ながら2得点の活躍。狙っていましたか)そうですね。主力のリック・スー選手と安藤直哉選手がいない中で、FWがどれだけ点を取れるか、という話は監督からもされていたので、1年生とか関係なくゴールを狙い続けました。(チームの印象は)今まで通り慶應の走って当たるアイスホッケーを体現できているのでこれをキープしていければ良いなと思っています。(先輩方の印象は)変な上下関係などなく、しっかり縦の関係は守っていますが、チームに対して言いたいことはちゃんと言えているし、いい関係を築けているなという実感はあります。(次戦は昨年度3冠を達成している中央大学との試合ですが、意気込みを)中央大学はやはり3冠に輝いていて、大学の中ではトップのチームなのですが、負けるつもりは一切ないので僕は1年生として、FWとして、ひたすら走って点をとることだけを考えてやっていけばな、と思っています。次の試合も継続して走って当たっていきます。
田中陸(政1)
(開幕戦を振り返って)最初は緊張していてかたかったのですが、いい結果で終われたのでよかったと思います。(1年生ながらも得点しました。決めようという気持ちは)1年生の中でも、チームの中でも、1年生早く決めようという雰囲気がありました。結果的に1年生のFWは全員点が取れて成果が出たのでよかったと思います。(チームの印象は)システムや上下関係などいろいろあるのですが、アイスホッケーに集中してできるので充実していて、楽しくやっています。(先輩方の印象は)みんな真面目なところは真面目で、オフのときはしっかり楽しむという、オンとオフがはっきりしていて楽しくやらせてもらっています。(次戦は学生王者の中央大との一戦ですが、意気込みを)多分スピード感など全然違うと思いますが、それの対策として今週も練習はあるのですが調整していきたいと思います。もちろん勝ちたいと思います。