第64回早慶アメリカンフットボール対抗戦がついに明日、4月29日(金・祝)に行われる。昨季は目標としていた日本一に届かず、関東リーグ4位という結果に終わった。心機一転して臨む今季。5日連続のインタビュー企画で最後を飾るのは、主将を務める李卓(総4)だ。日本代表にも選ばれた大学最強RB(ランニングバック)に早慶戦への思いを伺った。
――まずは、昨季を振り返っていただけますか
李 僕が入ってから、先輩たちから聞いていたユニコーンズよりも少しずつ良くなってきていて、小さいことからこだわるとか、練習量が増えました。デイビッドコーチが来てから本当にガラッとチームが変わって、昨季は本当に日本一が狙えるんじゃないかというくらいだったのですが、結果は4位に終わってしまいました。何が足りないかというのは、根本的な技術ということもありますが、一番はやっぱり気持ちが足りなかったと思っています。ちょっとずつちょっとずつ強くなってきて、日本一を狙える位置にいたのに届かなかったというのが昨季の印象です。
――昨季は、ヤード数、総得点の部門でリーグ1位と大活躍でした
李 自分の記録が伸びたのは、やっぱりランプレーが増えたということで、パスが通らないからランが増えたということもあったと思います。ランに頼っているチームはオフェンスとしては弱い気がします。オフェンスの強いチームはランも通るし、パスも通るので、今季は自分の記録よりもチームとしてランもパスもバランスの良いオフェンスができたら良いと思っています。
――リーグ最終節の早慶戦では3TDの活躍でしたが、その試合を振り返っていただけますか
李 早大の主力が欠場していたということもあったので、慢心するような結果ではないと思っていますが、4年生の引退試合ということで、そこで3TD決めて、チームを鼓舞できたのは良かったと思います。
――昨季は日本代表にも選ばれましたが、刺激を受けたりしましたか
李 そうですね。自分の中で、大学で練習していると、レベルの高さがなくなってきたというか、慢心してしまうような気がしていました。しかし、日本代表に行ってみて自分のレベルが全然まだまだだということを知ることができ、もっと高いレベルを知れて、自分の視野が広がったというか、自分の中でもう一段階レベルアップできるんじゃないかという期待が生まれて、昨季はその経験もあって一段階レベルアップできたと思っています。
――昨季が終わり、オフはどのように過ごしていましたか
李 次のシーズンに向けて体づくりをしっかりとしていました。週4回の筋トレをして、ウエイト前もウエイト後も食事もけっこう食べるようにしていました。
――そもそもアメフトを始めたきっかけはなんですか
李 中学1年生の時に体験入部でNFLのスーパーボウルのビデオを見て、めちゃくちゃかっこよかったので入りました。
――どうしてRBというポジションを選んだのですか
李 足がもともと速くて、そんなにボールを取るのも投げるのも上手くなかったのですが、ボールを持って走るというのは自分が初めてボールを持った時から向いていたような気がして、自分からも周りからも「RB!」という感じでなりました(笑)。
――速く走る秘訣を教えてください
李 速く走る秘訣・・・。いつの間にか速くなっていました(笑)。特別なことはないのですが、中学3年の時からやっていたのが坂ダッシュです。80~100メートルくらいの緩やかな坂を毎朝5本走るというのを日課にしていました。
――現在の速さはどのくらいですか
李 40ヤードを4秒49がベストタイムです!
――それでは、慶大を選んだきっかけはなんですか
李 純粋にユニコーンズという組織を知って、日本一を狙える中堅校だったのですが日本一になれていなくて、自分の母校の南山高校も日本一には届かないけれど日本一を目指している組織でした。自分の中で、不完全燃焼で引退してしまって、もう一度日本一を目指している組織でまだ日本一になっていないチームで日本一になっているような強豪校を倒したいと思い、自分に一番フィットしたのがユニコーンズで、久保田監督から勧誘を受けて慶大にチャレンジしました。
――関西の大学が強いというイメージがありますが
李 そうですね。関学大や立命大とか。関学、立命からもスポーツ推薦のお誘いをもらっていたのですが、アメフトをしているとそこでやりたいという気持ちもあって迷ったのですが、やっぱりそういう相手に勝ちたい!勝って日本一になりたい!という思いの方が強くて慶大を選びました。
――今季、主将になった経緯を教えてください
李 入った時から生意気かもしれませんが、「俺が日本一にするんだ!」という強い気持ちを持っていました。ラストイヤーですし、今年は何が何でも勝ちたい、日本一になりたいという気持ちから、自分が立候補しました。チームをまとめるのは本当に難しいし、すごく大変ですが、自分は割と同期に恵まれたというか、他の副将が頼りにできる人たちで、かなり助けられています。なので、やりやすい環境かなと思います。
――新チームが始動して、現在の手ごたえはいかがですか
李 自分の中で謙虚なチームを作りたいという思いはあるのですが、去年と違うという期待感があって、そういう期待感が積もって積もって大きな自信になると思っているので、それをチームで体現したいです。少しずつ昨年のチームより良くなっているという期待感をみんな感じているのかなと思うし、自分も感じられているのかなと思っていて、それに慢心して終わりたくないと思っています。
――今季の目標を教えてください
李 甲子園ボウルで勝ち、日本一になるということを目標にしました。
熱く、ひたむきに、泥臭くタッチダウンを狙う
――早慶戦にはどのような印象がありますか
李 去年の主力が抜けた早大ですが、昨季勝ち続けて甲子園ボウルに出たメンバーが残っているということは、勝ち癖があり、甲子園ボウルという世界を経験している分、自分たちよりは格上かもしれませんが、そういう相手を倒してこそ日本一だと思っているので、何が何でも勝ちたいと思っています。
――早大ディフェンスの印象はいかがですか
李 けっこう速さがあるディフェンスですね。速くてすごく仕掛けてくるという感じです。去年はDLのフロントの要の人たちが強くて、押されている状態だったので、ランがやりにくかった印象です。今年はそんなに押されないんじゃないかと思います。
――最後に、早慶戦への意気込みをお願いします
李 慶大としては絶対に負けられない相手なので勝ちます!ということと、新チームで「熱く、ひたむきに、泥臭く」ということを口酸っぱく言っているのでそれを体現したフットボールを見せたいと思います!
(取材 熊谷健二)