【バレーボール】因縁の相手についに勝利!VS大東文化大

  DSC_0095前試合青学大vs法大でフルセットにまでもつれ込む熱い試合が行われたコートで、今度は慶大vs大東大の熱戦が繰り広げられた。大東大は現在4位につけ虎視眈々と1部昇格を狙う強豪校。昨季は2度もフルセットの末に煮え湯を飲まされた。しかし、今季はここまで全勝と乗りに乗っている慶大バレー部。正セッターが離脱という「緊急事態」に対して逆にそれを力に変えた慶大が大東大とのシーソーゲームを制し、1部昇格に向け大きな一歩決めた。

 

5月8日(日)春季関東大学男子2部バレーボール第7戦 慶大×大東大@亜細亜大学体育館

 

得点

 

 

慶大

セット

大東大

19

25☆

☆25

20

19

25☆

☆25

19

☆15

13

 

 

 

第1セット。「マルキの勢いを買った」(宗雲監督)と、スタメンを布川智規(商4)からマルキナシム(総1)に代えて挑んだこのセット。序盤は相手のブロックに苦戦しながらもサイドからの攻撃で得点を稼ぎ拮抗した展開を演じる慶大。中盤はクイックに苦しめられつつも相手のサーブミスに助けられ、何とか息を繋ぐ。しかし、ここで大東大も攻め方を変えてきた。ここまでサーブレシーブが不安定なマルキが狙われ、カバーに入った黒田彪斗(環3)もホールディングを取られるなど安定せず、相手に楽に打たせてしまう。サイドからの強打を最後まで処理することが出来ず、このセットは19―25で落としてしまう。

 

続く第2セット。前セットではレシーブで苦戦した慶大。このセットはこの点の改善を図り、マルキに代えて布川を投入した。このおかげか、目に見えてのサーブレシーブミスは軽減。そして何よりこのセットで特徴的だったのはブロックの立ち位置の変化だった。シャットアウトのようなブロックが主役となる展開は多くなかったものの、ワンタッチを取るなど、強打をコートに入れさせない展開が増加。レシーバー陣の足も軽くなり、ラリーの続く展開になった。それが功を奏したのか、開幕から3連続得点を決めると、ブロックのプレッシャーからか相手もスパイクミスを連発。慶大も逃さずにサイドアウトを取り、試合を優位に進めていくと、9―4で大東大がたまらずタイムアウトを要求。すると、今まで不安定だったレシーブを再び突かれ、連続得点を許してしまう。しかし、相手のミスを利用してしっかりと立て直すと、そこから試合は慶大のものだった。選手全員が足を動かしてフォローしあい、上がったボールを両サイドが押し込む。ラリーもネット際の攻防で優位に立ち、相手に楽をさせない。後半は大東大に連続得点を一切許さず、25―20でセットを奪還した。

 

そして第3セット。ここでは序盤から攻撃的なミスが目立った。前セットの勢いを維持したいがために攻撃に焦りが出て失点してしまう場面が多々見られた。慶大がタイムアウトを取る7-11までに慶大のサーブミスは4本。ここからも慶大の焦りは見て取れる。ブロックがきちんと機能しているおかげで、一方的な展開にこそならないものの、両サイドの攻撃は鳴りを潜め、反撃の糸口を掴めない。流れを掴めないことで生まれる嫌なループはディフェンス面にまで及び、そもそもサイドが打てるトスが上がらなくなっていく。これに対し宗雲監督は黒田に代えて、谷口聡(環1)をピンチレシーバーとして投入し、落ち着かせにかかる。更に18-22となった終盤では富澤太凱(経1)に代えてマルキを投入し前衛の厚みを増大させ、得点を狙うが最後まで流れを掴めず、このセットを18―25で大東大にリーチを掛けられてしまう。

 

もう後がない第4セット。「4セット目が終わったら倒れてもいいよ(宗雲監督)」と声を掛けられて臨んだ。ここでは前セットでの鬱憤を晴らすかのように両サイドの攻撃が爆発した。開始早々から黒田が決めると、勢いに乗ってブロックもシャットアウトが決まり始める。序盤こそクイックはブロックにつかまるが、勢いは止まらない。ワンタッチボールのレシーブが増えているため、綺麗にセッターにボールが返ることも多くなくトスもブレがちになるが、富澤はテクニカルに黒田は強烈にボールをコートに叩き込み、布川もスパイクだけでなくブロックでも魅せ、得点を重ねていく。隣のコートの試合は既に終わった体育館。体育館に響くのは両校の応援の声のみ。それでも、両校の熱戦に体育館は声で溢れていた。試合は互いに一切譲らずに進み、13―12で会場の熱気のためか審判によってタイムアウトがとられる。そこで流れを手にしたのは慶大だった。ブロックなど、ネット際の強さを見せ、怒涛の5連続得点。依然として大東大の強烈なサイドアタックは脅威だったが、拾えるところをしっかりと拾い、25―19でこのセットをものにし、再び試合をイーブンに持ち込んだ。

スパイクを決めて、笑顔の富澤

スパイクを決めて、笑顔の富澤

 

運命の第5セット。このセットは選手や監督も語るように、気持ちのセットだった。富澤のスパイクで先取こそしたものの勢いに乗れず徐々にリードを許してしまい、布川のスパイクが止められ、4―6になったところでタイムアウトを要求。ここでしっかり立て直した慶大は池田のサービスエースや富澤の技ありのスパイクで4連続得点。優位を保ってコートチェンジを迎える。その後も、「こうなったら自分がスパイク打たなきゃ」という思いだったという黒田のスパイクは大東のレシーブを崩し、好調のブロックはプレッシャーを与え続け、再三の監督の声かけもあってか身体の軽いレシーバー陣はルーズボールを逃さない。得点の際には歓声だけでなく、慶大選手の雄叫びが何度も響いた。大東大も13―11でピンチサーバーを投入し、最後の追い上げを図るが気迫のプレーで追随を許さず15―13でゲームセット。熱戦を制し開幕から7連勝を飾った。

 

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7連勝で勢いに乗る慶大

この試合は、「何よりも勝ててよかった」。そういった声をよく聞く試合だった。開幕から負けなしで現在は法大に次ぐリーグ2位。法大との差も大きくない。この試合を終え、1部昇格が現実味を帯びてきたことは間違いないだろう。加えて、慶大らしい弱さというのは慶大のスポーツを見ているとよく聞く言葉ではあるが、この日はその点を覆す慶大の強さが見てとれた。総計17回のタイムアウトの中で、その直後に失点をしたのはわずかに3回。自陣のタイムアウトだけでなく相手のタイムアウトでも気持ちに維持、立て直しが出来る。そのような強さを慶大バレー部は「緊急事態」の中で得たのかもしれない。正セッター尾木の不在がいつまで続くのか、それは分からないが現状が慶大をステップアップさせているのは確かだ。しかし、これからの1戦1戦。慶大にとって余裕は一切ない。今の熱量をリーグを通して発揮し、慶大らしいバレーを見せてほしい。

 

 

(記事:岩本 弘之)

 

【ケイスポ的視線 2部リーグ今後の動向 慶大バレー部   一部昇格への道②】

2部上位チーム順位表 第7日を終えて

順位

大学名

勝敗

セット率

法政大学

7勝0敗

3.50

慶應義塾大学

7勝0敗

3.50

国際武道大学

6勝1敗

3.00

国士舘大学

5勝2敗

3.00

大東文化大学

5勝2敗

2.25

亜細亜大学

5勝2敗

1.80

青山学院大学

4勝3敗

1.60

※順位は勝利数、同じ勝利数の場合はセット率、同じセット率は得点率で決まる。

 

7試合を終えて慶大バレー部は全体の2位となっている。1位の法大とは得点率でわずかの差ながら慶大が下回っている。1部昇格入れ替え戦への切符はたった2枚。そして今週15日には首位攻防戦、法大との直接対決が行われる。法大は「1部から落ちてきて2部ですごい調子いいと思う(黒田)」と語るように強敵であることは間違いない。慶大もここまで法大同様開幕から7連勝できているが、慶大バレー部には不安材料がある。まず正セッター・尾木の離脱だ。サイドスパイカーからコンバートをした池田が4年生として「チームのために」セッターとして直近の2試合では素晴らしい働きを見せたが、尾木の復帰も待ち遠しい。また期待のルーキー2人の勢いにも少し陰りが見え始めた。富澤は開幕戦の亜細亜大戦で鮮烈デビューを果たしたが、直近ではサーブにミスが目立つなどパッとしない。一方マルキも大東文化大戦で初スタメンを勝ち取ったが、レシーブで狙われるシーンも。この2人が再び躍動感あふれるプレーで慶大を引っ張っていくかにも注目したい。慶大バレー部の1部昇格への熱い戦いはまだまだ続く。

 

宗雲健司監督

 

(試合を振り返って)ずっと同じことですけど、勝ててよかった、負けなくてよかったです。

(試合前はこの試合をどういう風に見ていたか)ある程度打ち合いになるだろうなとは思っていたんですけど、サイド選手が大東さんは3枚しっかり打てるので、その打ち合いでうちがいかに拾えるか、拾えなかったら負け、そこだけですかね。

(勝因はやはり拾えたからか)まず、ブロックが2セット目から立ち位置が良くなってきて、ワンタッチをとれるようになって、後ろを守っている選手達がワンタッチを拾えばいいという感覚になったんですよ。だから強打は逃してもワンタッチさえしっかり取れればいいという感覚で守っていたので、後ろの足が良く動いていましたね。だからこれはブロックが良かったから後ろも機能したということですね。

(2セット目からマルキを下げたが)このポジションはサーブレシーブもしっかりやらないといけなくてあまりミスをしてはいけないポジションなんですよ。それで試合の直前に決断して昨日からのマルキの勢いを買おうかなと思ったんですけど、マルキを周りがカバーできるまではいかなかったですね。

(3セット目の谷口選手を入れたのは)布川も黒田もサーブレシーブでバタバタして下がっていたので、特に黒田のところに代えてとにかくサーブレシーブを落ち着かせたいという狙いで入れました。結果的に1本しか上がらなかったので効果はあまりなかったですね。

(4セット目にはとなりのコートが終わって雰囲気の変化は)うちは良く競るので、選手たちによく言って聞かせていて、本人たちもそのつもりなのが、4セット目を取れば勝負は分からなくなるので、「4セット目が終わったら倒れてもいいよ」といつも言っているんですけど、本人たちもそのつもりでやったので、気持ちがそのままゲームに出たんだと思います。

(5セット目はその勢いで)5セット目は本当に気持ちの問題で、どっちが勝つかわからないので、今回はたまたまこちらにラッキーな点数が何本かあったということだと思います。

(5セット目はしきりにコートに声をかけていたが)ずっと言っていることなんですけど、強打ボールを拾おうとすると、体が固まってワンタッチを拾えないので、せっかくワンタッチボールを取っていたので、後ろの選手にルーズボールだけ、ワンタッチ系のボールだけをしっかり取ってねということをしきりに、勝負所になるとみんな固くなって強打を拾おうとするので強打レシーブじゃないということを何回も何回もしつこく言いました。

(相手はサーブミスが多かったが)サーブミスはお互いさまであるので。相手のミスは水物なので期待しないで、それよりもこっちが自分たちのバレーが出来るかどうかというところにこだわった結果良かったんじゃないかなと思います。

(次戦は)学生の方は入れ替え戦に行きたいので、順位の方をすごい気にしながらやっていると思うんですけど、私は結構一試合一試合勝つことしか考えていないので、セッターも戻ってくると思うので勢いをもっとつけてやりたいと思います。

 

池田裕哉(環4)

 

(試合を振り返って)1セット目を最初に取られたときはやっぱり強いなと思いながらも、気持ちの切り替えとかが中々難しくて、結局シーソーゲームになってしまって、最後、勝てたからよかったんですけど、ああいうシーソーゲームの場面でももう1段階スイッチを入れて勝ちたかったというのが心残りです。

(勝因は)最後は応援の力ももちろんありましたし、特にレフトスパイカーの黒田が自分のトスが短かったり、割れたりいろいろあったんですけど、それでも気持ちで打って決めてくれて、それでチーム全体に良い空気が伝わって、最後は気持ちで勝てたと思います。

(昨日からの違い)昨日は使命感が強くて、尾木の分まで勝たなきゃいけないと思っていてそれが空回りして全然トスが上がらなかったり、ダブルドリブルという反則も取られてしまって、チームにも迷惑をかけてしまったんですけど、今日はある意味楽に、プレッシャーを掛けつつ楽に、その中間を保とうといろいろ工夫して臨めたので、それが今日の結果につながったんだと思います。

(工夫とは)ちょっとアホなことなんですけど、後輩と絡んで遊んでみたりして、自分をリラックスさせるように心がけました。

(次週に向けて)僕らには記念館という有利なところがあるので応援の力も借りて何とか勝ちたいと思います。

 

黒田彪斗(環3)

 

(試合を振り返って)とりあえず、勝ててよかったです。内容がどうこうあれ。

(勝因は)最初の方はスタメンに1年生が多かったり、セッターも変わったばっかりで結構戸惑ってあまりうまくチームが回っていない感じがしたんですけど、何とか2セット取って、最後は勝つっていう気持ちの差なんじゃないかなと思いました。

(後半のセットでは乗っていたが)こうなったら自分がスパイク打たなきゃなという思いでスパイクを打っていたので、気持ちが乗ったセットだったんじゃないかなと思います。

(サーブレシーブで不安定な場面があったが)1セット目2セット目にマルキのカバーとかに行って、行ったにもかかわらず、いつもよりミスも多かったので、向こうに調子が悪いんだなと思われて狙われたんだと思うんですけど、後半しっかり返せてよかったです。

(谷口選手との交代は)監督には一回この交代で気持ちを切り替えろと言われたので自分としてはいい交代だったと思います。

(次週に向けて)法政は1部から落ちてきて2部ですごい調子いいと思うので、お互い全勝同士実力に差はないと思いますし、自分達のチームの状態もいいと思うので、法政という壁にぶち当たればいいかなと思います。

 

 

サイド

黒田 彪斗(環3・富山第一高)

セッター

池田 裕哉(環4・北嵯峨高)

センター

佐藤 康平(環3・桐蔭学園高)

オポジット

富澤 太凱(経1・慶應高)

サイド

マルキ ナシム(総1・川越東高)

センター

上野 素希(文4・甲陽学院高)

リベロ

松岡 海(文3・慶應高)

 

長澤 翔吾(環3・盛岡第一高)

途中出場

岩本 龍之介(商2・仙台第二高)

 

布川 智規(商4・桐朋高)

 

増田 拓人(環3・習志野高)

 

谷口 聡(環1・韮山高校)

 

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