【ラグビー】春の早慶戦、5点に抑え大差で圧勝/春季大会・早大戦

 

ラグビーの聖地・花園での戦いに気合も入る

ラグビーの聖地・花園での戦いに気合も入る

ラグビーの聖地・東大阪市花園ラグビー場で行われた春季大会の早大戦。試合は、WTB高木のトライで慶大が先制点を挙げると、その後ディフェンスが冴え無失点で前半を終えた。後半は、慶大のオフェンス力が存分に発揮される。SH江嵜、SO古田のハーフ団が織り成す多彩な仕掛けに、FB丹治ら強力なランナーが呼応し、次々とトライを奪っていく。合計9トライを奪う猛攻で、57-5の圧勝劇。昨秋敗戦を喫した因縁の相手に、聖地・花園の舞台で見事雪辱を果たした。

 

2016/6/5(日)14:00K.O.@東大阪市花園ラグビー場

得点

慶大

 

早大

前半

後半

 

前半

後半

3

6

T

0

1

2

4

G

0

0

0

0

PG

0

0

0

0

DG

0

0

19

38

小計

0

5

57

合計

5

得点者(慶大のみ)

T=高木2、辻2、江嵜、丹治、今成、豊田祥、高野

G=古田6

 

 

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

1.PR

細田隼都(商3・慶應)

→角田匠輝(法4・慶應)

2.HO

松岡大介(環4・小倉)

→中川丈豊(経2・慶應)

3PR

榎本雄一(商4・慶應志木)

→坂田拓海(経2・慶應志木)

4.LO

辻雄康(文2・慶應)

 

5.LO

永末千加良(法3・慶應)

→豊田祥平(総4・ 國學院久我山)

6.FL

廣川翔也(環4・東福岡)

 

7.FL

竹田和正(法4・慶應志木)

→ 中村京介(文3・明和)

8.No.8

山中侃(商2・慶應)

 

9.SH

江嵜真悟(商2・小倉)

 →桜井修(経4・慶應)

10.SO

古田京(医2・慶應)

 

11.WTB

高木一成(1・慶應)

 

12.CTB

今成哲(経3・城北)

→堀越貴晴(総3・茗渓学園)

13.CTB

木口俊亮(経4・仙台第三)

 

14.WTB

高野慎也(商3・慶應)

 

15.FB

丹治辰碩(政2・慶應)

 →金澤徹(商3・慶應)

 

 

 

今試合でも会場を沸かせた丹治

今試合でも会場を沸かせた丹治

試合は序盤から動いた。前半3分、慶大はマイボールラインアウトからSO古田にボールが渡ると、古田はハイパントキックを蹴り上げる。これに素早く反応したWTB高木がキャッチに成功し、相手ディフェンスをハンドオフで振り切りインゴールへ飛び込んだ。古田のコンバージョンも決まり、7-0。まさに電光石火の速攻で、慶大は先制点を挙げた。勢い良く先行した慶大だが、その後は早大に主導権を握られてしまう。スクラム、モールで圧倒され、自陣に押し込まれる時間帯が続く。対し慶大は鋭いタックルでノックオンやパスミスを誘うなど、粘り強いディフェンスで早大の攻撃を凌いだ。すると19分、FB丹治のビッグゲインで相手陣内に侵入すると、CTB今成、No8山中らが確実にボールを前へと進めていく。最後はSH江嵜が抜け出し中央にトライ。「仕掛けが良い方に転がった」という江嵜の機転が利き、貴重な追加点を挙げる。さらに慶大の勢いは止まらず23分、ラインアウトから攻撃を組み立て、CTB木口、LO辻とボールを繋ぐ。後ろから走り込んだ丹治がパスを受け取ると、しがみ付く複数の早大ディフェンスを振り切りトライを決めた。花園スタンドを揺るがす丹治の個人技で、慶大は立て続けに3トライを奪った。その後も得点を狙うが、この試合では終始セットプレーに苦しむ。スクラムでコラプシングを取られ、相手ラインアウトからのモールで押し込まれる悪循環に陥った。だが、ゴール前でモールを巧みに崩すなど、窮地でのディフェンスが冴え、慶大は19-0と無失点で前半を終えた。

 

今季Aチームに定着しつつある山中

今季Aチームに定着しつつある山中

後半、序盤は互いにターンオーバーに成功する場面が見られるなど、拮抗した展開が続く。ゲームが動いたのは10分。早大BKにキックパスを蹴り込まれると、SO岸岡にインゴールで押さえられてしまった。トライを許し、この試合初失点を喫する。しかし17分、慶大はすぐに取り返す。この試合再三に渡った丹治のビッグゲインで相手陣に攻め込むと、丹治からボールを受け取った江嵜が裏のスペースに絶妙なキックパスを蹴り入れる。すると今成が見事に反応し、インゴールで押さえた。難しい角度からのコンバージョンも古田が決め、7点を加えた。さらに21分、相手陣内でペナルティを得ると、江嵜がクイックスタートで素早く仕掛ける。相手ディフェンスが乱れたところを、最後は辻が突いてトライ。26分には、古田がチャージダウンに成功したボールを辻が拾い上げ、試合の行方を決定付けるトライを決めた。これでスコアは40-5。大量得点を奪った慶大だが、なおも攻撃の手を緩めない。30分、高木がランプレーで攻め込むと、タックルを受けラックを形成。そこからボールを拾い上げたLO豊田祥がサイドアタックを仕掛け、左隅にトライした。試合終了間際にも、高木、WTB高野がそれぞれトライを決め、終わってみれば計9トライを奪う猛攻で、早大をねじ伏せた。試合は57-5で慶大が圧勝し、昨秋敗戦を喫した宿敵相手に、聖地・花園の舞台で見事雪辱を果たした。

 

 

今季フォーカスするディフェンスの成果が表れた試合となった

今季フォーカスするディフェンスの成果が表れた試合となった

大差を付け勝利を挙げた早慶戦。9トライ、57点を挙げたオフェンス力に目を奪われるが、HC・選手が揃えて口にしたのは、1トライに抑えたディフェンス面の手応えだ。「ディフェンスにフォーカスしている」(江嵜)という今季の慶大。しかし、ここ最近の試合では被トライ数が多く、成果を発揮し切れていなかった。この試合では、「(ピッチに)立っている人数を多くして、低いタックルで相手を倒すように」(高木)という意識で、「ディフェンスとブレイクダウンでプレッシャーをかけることが出来た」(金沢HC)と、早大オフェンスをほぼ完璧に封じることに成功した。スクラム、モールなどセットプレー面でやや課題を残したが、「モールを重ねていくごとに修正出来た」(辻)という試合中の高い修正能力が光り、相手の得点源を奪った。その結果、失点は今春公式戦のうち最少の「5」。積み上げてきた取り組みが、実となって現れた試合といっても過言ではないだろう。次戦は、関西の強豪・同志社大。昨季の大学選手権で対戦し、6トライを奪われ完敗を喫した相手だ。早慶戦で得た手応えを確実なものとするためにも、リベンジを果たしたい。舞台は石川・金沢。どのような熱戦を繰り広げるのだろうか。今週末の戦いに注目だ。

 

[ケイスポ的MOM・新進気鋭のフィニッシャー 高木一成]

 

期待の新星

期待の新星

チャンスはすぐに訪れた。前半3分、ハイパントキックを見事にキャッチした高木は「絶対(トライを)取ってやる」という思いで左サイドを駆け抜け、最後はインゴールに飛び込んだ。電光石火の先制トライ。チームに火を付け、その後の猛攻のきっかけとなるプレーになった。ルーキーながら先月行われた法政大戦でAチーム初先発を果たすと、その後の2試合でもスタメン起用され、迫力あるランプレーで慶大オフェンスに厚みをもたせている。黒黄軍団の新フィニッシャーとして名乗りを上げる1年生WTBの躍動に、今後もますます期待が懸かる。

 (記事・小沢光市)

 

コメント

 金沢HC

(今日の試合を振り返って)やろうとしていた、ディフェンスとブレイクダウンのところで早大にプレッシャーをかけるということができたのがよかったです。(早大についてはどのように分析していたか)春の段階は相手を分析は特にしていなくて、それよりは自分たちのやってきたことをしっかりやろうというところでした。(明大戦から修正したところは)ブレイクダウンでの激しさと、ディフェンスでは倒れてもすぐに立ち上がり、倒れている人がいないようにしっかり人数を揃えた状態でプレッシャーをかけることを意識してやってきました。(相手を5点におさえたことについて)非常によかったと思っています。

 

HO松岡

(今日の試合を振り返って)スクラムが全くだめだったことが悔しいです。(ラインアウトについてはいかがですか)相手のプレッシャーが比較的少なかったので落ち着いてできたと思います。(大きい相手に対するセットプレーを安定させることが課題としていましたが)トップリーグのチームとの練習をしてもらって、意識の部分も修正していくことができてきたと思います。(松岡選手自身の今季の調子は)まだスクラムで自分中心に圧倒できていないので、まだまだ頑張りたいと思います。(同志社戦に向けて)同志社大には高校時代のチームメイトもたくさんいるので、絶対勝ちたいです。

LO

(今日の試合を振り返って、大差で勝てた要因は)慶應のラグビーを90分間貫き通して、自分たちが最後まで気持ちを切らさずプレーできたことがこの点差に繋がったと思います。(ご自身も試合の中で2トライを決めましたが)今日はどんどんアタックのチャンスがあったら自分の長所を生かしてボールをキャリーしていこうと思っていたので、良いところでスピードをつけてボールをもらえたことがトライに繋がったと思います。(試合中、スクラムやモールで少し押された場面もありましたがうまく対応していました)はい。モールも最初の方は押されていましたけど、何回かモールを重ねていくごとに自分たちの修正していくべきところも修正できたので、試合中のコミュニケーション能力が上がっていると思います。(今日、花園というラグビーの聖地でプレーした感想は)この花園グラウンドで勝ったことが一度もなかったので、負けていた早大に花園で勝てたということは個人的にすごく嬉しくて、それで完勝できたというのは、純粋に嬉しいです(最後に次の金沢での同志社大戦に向けて意気込みをお願いします)同志社戦ではもっともっと自分に体の強さを使って、アタックでもディフェンスでも目立てるように頑張ります。

FL竹田

(今日の試合を振り返って)全体を通してディフェンスで前に出られました。慶大らしいプレーができたと思います。(早大との試合でしたが)ライバルに大きな差をつけ勝てて良かったです。(スクラムでは苦戦したようですが)そうですね。今回の反省を生かして、次は低くまとまりのあるスクラムを意識したいです。(花園でのプレーはいかがでしたか)高校ではできなかったことを、今できていることに感謝しています。(最後に次の同志社戦に向けて意気込みをお願いします)慶大らしい低いタックル、激しいプレーを出せれば、結果もついてくると思います。

SH江嵜

(今日の試合を振り返って)前半は自陣で釘付けにされていたのですが、そこで点を取られなかったのが良かったと思います。(花園ラグビー場での試合となった)いつもと違う人に見てもらえるので、フレッシュな気持ちで楽しかったです。(今日のゲームプランは)今はディフェンスにフォーカスしているので、ディフェンスから流れを作ろうということで、今日はそれが出来た試合だと思います。SHとして様々な仕掛けが見られた)今日は色々仕掛けて、それが上手く良い方に転がったので良かったです。(トライのシーンを振り返って)前が空いていたので、行ったらトライ出来ました。(次戦に向けて)同志社大も強い相手ですが、今日のようなディフェンスが出来るように頑張りたいです。

WTB高木

(今日の試合を振り返って)初めての早慶戦でしたが、自分の役割は果たせたと思います。(花園ラグビー場での試合となった)高校2年生の時に花園に出場させてもらって、その時に御所(実業)相手に負けていたので、相手は違いますがグラウンドが同じということで燃えていました。(先制点となったトライを振り返って)「絶対取ってやるぞ」という気持ちで行ったので、そのままトライに繋げられてすごく嬉しかったです。(早大相手にこれだけ得点出来た要因は)試合前に「今日は絶対勝つ」と何度も口にして、みんなの意識が一つに向いたからだと思います。(先週からの改善点などはあったか)立っている人数を多くして、ディフェンスの時に低いタックルで相手を倒すようにしました。(来週に向けて)来週、試合に出られるか分かりませんがこの一週間しっかり準備して、同志社大戦でいいプレーが出来るようにしたいです。

FB丹治

(今日の試合を振り返って)練習してきたことが、しっかり試合でも出せたところが大きいかな、と。相手に関わらずやってきたことをやろうっていうのは、チームで決まっていたので、それがちゃんとできたのが良かったかなと思います。(ご自身も試合前半に1トライを決めましたが)あれはもうゴール前で、自分の中で前への意識が強くて、敵に関係なく気持ちでトライにつなげた感じです。(相手の攻撃を5点で抑えられたという意味で守備も良かったと思うのですが)いや、今日の試合は0点で抑えられたと思うので、帰ってからもっとディフェンスの面でも修正して、次はちゃんと完封できるようにしたいです。(今日、花園というラグビーの聖地でプレーした感想は)自分たちがここで負けた以来のグラウンドだったので、やっぱり気持ちは入りましたね。それでちゃんと勝てたので、良かったです。(最後に次の金沢での同志社戦に向けて意気込みをお願いします)同志社大はやっぱり強いと思うので、自分はアタックでチームに流れを、勢いをつけられるようなプレーができたら良いなと思っています。

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